時代SM連載小説 『牢獄の美姉弟』 ~捕われの志乃と菊乃助の屈辱の日々~ 作者:縄吉及びShyrock(リレー小説) |
第25話「志乃剃毛」
「お松、毛剃りを止めろ」
進十朗が剃毛を一時中断させた。
剃毛はまだ始まったばかりなので、志乃の薄い陰毛はまだ多く残されている。
細い陰毛数本を進十朗は指でつかみ力を加えた。
皮膚が引っ張られ持ち上がり、限界を超えると針で刺したような痛みが走り、プツッと陰毛が抜けてしまった。
「いたいっ!」
「憎き相手にここの大事な毛を抜かれる心境はどうじゃ? 口惜しいか?」
「……」
志乃は無言で進十朗を睨みつけた。
「直訴状の在り処を正直に白状しろ。白状すればおまえや菊之助を許してやってもよいぞ」
「言えません」
「強情な女じゃ。お松、手加減はいらないぞ。全部剃ってしまえ」
「はいはい、赤ん坊のようにツルツルにしてあげますよ」
刃先を滑らせるお松に志乃が無念さを訴えても鬼女に通じるはずもない。
お松は薄笑いを浮かべてつぶやく。
「10日もすれば元通りに生え揃うさ。もっともご命令があればまた剃ってやるけどね」
お松は真剣にそしてやさしさを込めて志乃の陰毛を刈り取っていった。
進十朗や辰蔵達は志乃の最後の盾ともいうべき繊毛さえ剥ぎ取り、さらなる辱めをたくらんでいた。
「ふふふ、ぐっと幼くなったじゃないか。せいぜい進十朗さんや辰蔵さんに甘えることだね」
濡れ手拭を使って肌に張り付いている毛を拭き取ったお松はその出来栄えに目を細める。
無毛の丘とされた志乃の下腹部は女の縦筋をくっきりとあらわにしていた。
「さあ、見てご覧よ。男衆が大鏡を宛ててくれてるよ」
手下数人が担いで志乃の真上に持ってきたものは大変珍しい姿見鏡であった。
何でもポルトガル由来で堺の商人から買い求めたものらしい。
「へへへ、大きな鏡だろう? これならあんたの全身が見えるぜ。ほら、おけけがきれいさっぱりなくなってツルツルになってるだろう?」
鏡の中の下半身を目撃させられた志乃の目頭から一筋の涙がこぼれた。
進十朗達の計略により心まで貪られていく志乃であった。
「おまえたち、罪人末永謙信のむすめ志乃の破廉恥な姿を、穴があくほどに目を留めるのじゃ」
「はは~!」
「へえ!」
「進十朗様、穴があくほどということですが、お嬢さんの秘所にはすでに小さな穴が開いてますぜ」
「ははははは~、これはおかしなことを! 辰蔵の手下は愉快な男がおるのう」
「無礼は許しませぬぞ!」
「おお、こわいこわい、しかし怒った顔も色っぽいぞ」
「まったくだ」
「姉が心配で心配でたまらないのか、小僧が顔を真っ赤にして怒ってやがるじゃねえか」
「てめえはもう剃ってやったろう? おとなしくしてな!」
手下の1人が菊之助を蹴り飛ばした。
「弟に手を出さないでください!」
「弟の心配よりてめえの心配をしたらどうだ? お嬢さんよ。お米、準備はできたか?」
「はい、準備は整ってますよ。じゃあ、皆さんに配ってもよろしいか?」
辰蔵がにんまりと笑ってうなずいた。
辰蔵の合図とともに、お米が木箱か大量の太筆を取り出し、志乃を取り囲む男たちに配り始めた。
「みんな、筆を持ったか? 今からお嬢さんに筆責めをする」
全員に筆が与えられたことで、にわかに場内が色めき立った。
見物だけだと高をくくっていた手下たちが、自身も志乃責めに加われるとあって一気に熱気が高まった。
辰蔵が筆責めの説明を始めた。
「直訴状の在り処を白状させなければならないので激しい拷問をしたいところだが、進十朗様のお情けで、お嬢さんには絶対に身体に傷をつけないことになっている。そこでだ、この筆でお嬢さんをくすぐり倒して白状させようという算段だ。痛みよりも楽に思うかも知れねえが、くすぐったさと四肢を縛られて身動きできないじれったさの中で、狂いそうなほど悶え苦しむだろう。とことん責め抜かれると狂うかも知れねえし、窒息するかも知れねえ。まあ、殺しちゃ身も蓋もねえけどな。足抜けしようとした女郎の仕置きに使うことがあるがかなりの効き目だ」
「なるほど。そりゃおもしれいや。ところで若頭、身体のどこをくすぐると効き目があるんですか?」
「それはお米が詳しい。お米、説明してやってくれ」
「はい、お任せを。くすぐりのよく効く場所が、脇の下とわき腹。ほかにも、足の裏、へその周り、うなじ、股間の鼠蹊部……それと、女の一番大事なところ。中でも『さね』は特に効き目があるのさ」
と語ったところでお米はにやりと笑った。