時代SM連載小説
『牢獄の美姉弟』
~捕われの志乃と菊乃助の屈辱の日々~
作者:縄吉及びShyrock(リレー小説)





第13話「大の字晒し」

 志乃とお里が町に着くと椿屋の前は人垣ができていた。椿屋の入口の横に白木の磔柱が横倒しに置かれている。まだ、菊乃助は晒されてはいなかった。志乃は少しほっとした。しかし、これから菊乃助は引き出されてきてあの柱に縛り付けられるのであろう。それを考えると志乃は今すぐにでも椿屋に乗り込んでいって救い出してやりたいと思うのであった。しかし、それは志乃一人でできるわけがない、早まって自分まで捕まってしまったらもはや江戸に密書は届けられない。そうなれば父上の命も危ないであろう。ここは慎重にいかなくてはと自分のはやる気持ちを必死に抑える志乃であった。
 その時、観衆がざわめいた。ハッとして志乃とお里は人混み紛れて椿屋の入口に目を向けた。志乃は愕然とした。菊乃助が褌一枚の姿で外に引き出されてきたのだ。志乃は飛び出して行きたい気持ちを必死に抑えた。お里も志乃の手をきつく握って押さえているのだ。
 菊乃助が磔柱の方に押されていく。男たちの手で菊乃助は磔柱の上に仰向けに乗せ上げられた。両手が広げられ横木にきつく縛り付けられている。腰も柱に縛り付けられている。菊乃助は恥ずかしさに頬を赤く染めているのだ。それはそうであろう、男とはいえ武士が褌一枚の姿を町民達の目に晒しているのだ。観衆の中には若い女達も多く混じっている。菊乃助の恥ずかしさは耐え難いものであろう。

「おい、小僧、あんよを広げな、フッフッフ」と辰蔵がニヤニヤして言った。

 菊乃助の足首が押さえつけられ無理やり左右に広げられていく。

「ああっ、やめろ、ううっ、許さぬぞ、ああっ」菊乃助の足は大きく広げられ足首が下方に打ち付けられた横木にきつく縛り付けられていった。なんと菊乃助は大の字に縛り付けられたのだ。そして、菊乃助は猿轡を噛まされた。
「よし、立てろ」と辰蔵が叫んだ。

 磔柱がゆっくりと立てられていく。菊乃助は地面から五尺程の高さにありありと晒された。観衆からため息が漏れた。なんとも悩ましい光景ではないか。観衆は口を開けたまま見惚れているのだ。
 志乃は目を向けていられず顔を横に背けた。

「志乃様、堪えてください、夜を待つのです。それより警備の状態を探っていくのです」とお里は志乃の耳元で囁いた。「わかってます、お里さん、心配しないで」

 志乃とお里はあたりを見回した。椿屋の屋根の上に二人見張りが隠れている。また、向かいの酒屋の二階にも見張りが隠れていた。椿屋の玄関の土間には数十人の男たちが戦支度して待ち構えている。かなり厳重な警備だ、夜中は本当に手薄になるのであろうか。志乃は不安を感じていた。
 菊乃助は恥ずかしいのであろう、顔をうつむけ目を閉じている。観衆はさらに増え五百人以上になっていた。贅肉のない引き締まった菊乃助の体は女達の目を魅了していた。
 長い菊乃助の晒し者が始まった。菊乃助は耐え切れるのであろうか。昼とはいえ裸では少し寒い気候だ。これでは尿意も早く襲ってくることであろう。厠はどうするのであろう。
 その心配がすぐに表われた。菊乃助が体をよじって額に脂汗を滲ませているのだ。
 辰蔵はすぐにそれに気がついた。

「おい、小僧、おしっこしたくなったのか、店の前で垂れ流されちゃあ困るぜ、どうだ我慢できるか」と辰蔵は見上げて言った。

 菊乃助は首を横に振った。我慢できないのであろう。

「おい、お米に小僧がおしっこだって言ってこい」と辰蔵が子分に命令した。

 すぐに お米が壷のようなものを持って外に出てきた。
 柱の横に踏み台が置かれた。

「お坊ちゃん、今わたしがさせてあげるからね、ホッホッホ」とお米は踏み台の上に上がった。

 観衆はどうするところなのかとざわめき始めた。

「お坊ちゃん、フッフッフ、私に任せなさい」とお米は褌の横から菊乃助の肉隗をつまみ出したのだ。
「ああっ、うっ」と突然のことに菊乃助は焦った。
「ほら、この中にやるのよ、私が支えていてやるから、ホッホッホ」とお米は肉隗の亀首あたりをつまんでその先端を壷の中に向けた。

 あまりの屈辱に菊乃助は全身を震わせた。こんな多くの人前で女に男根をつままれ放尿を強いられるこんな屈辱があるであろうか。

「お坊ちゃん、我慢してないで出しな、スッキリさせなよ、フッフッフ」とお米は指先で肉隗をしごくのだ。
「あうっ、ううっ」と菊乃助は左右に顔を振り激しく顔を歪めた。

 武士としてこんな人前で放尿を演じるわけにはいかない、しかし、尿意は徐々に強くなってくるのだ。



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