時代SM連載小説
『牢獄の美姉弟』
~捕われの志乃と菊乃助の屈辱の日々~
作者:縄吉及びShyrock(リレー小説)





第12話「志乃、町へ」

 翌朝、志乃は早く目が覚め外に出た。まだ薄暗いだけに外は少し寒い位であった。志乃は菊乃助のことが気になり昨夜はほとんど眠っていなかった。
 今日弟が晒し者になる。それを考えるとこんなことしていていいのであろうか、すぐに行って助けてやるべきではなかったのか、しかし、二人とも捕えられては江戸へ行くことができなくなる。今は我慢しなければならないのだと志乃は自分に言い聞かせるのだが菊乃助のことが頭から離れなかった。

「あら、志乃様、もうお目覚めになったのですか、もう少しゆっくり体を休めておられれはいいのに」とお里が外に出てきて言った。
「ありがとうございます、でも弟のことを思うと眠っていられなくて」
「お気持ちはわかります、でも十分休養をとらないと救い出すことなど考えられませんよ、足首の様子はいかがですか」
「はい、足首の痛みはお陰さまですっかりよくなりました」
「それはよろしゅうございました、でも無理はしないで下さい。朝ご飯を食べたら私が町の様子を見に行ってきます、志乃様はもう少し体を休ませておいて下さい」
「お里さん、私も連れて行って下さい」
「それはできません、そんな姿で町に行ったらすぐ見つかってしまいます、志乃様はここで待っていて下さい」
「じゃあ、お里さん、私の髪を結いなおしてくれませんか、お願いします」
「そんな・・・・・志乃様それは危険です」
「お里さん、お願いします、どうしても菊乃助の安否をこの目で確かめたいのです、着る物もお里さんのなんでもかまいません貸して下さい」
「志乃様・・・・・・わかりました、でも救い出すのは暗くなってからですからね、決して危険なことはしないで下さいね」
「はい、約束します、お里さん、ありがとう」
「じゃあ、朝ご飯を食べて髪を結いなおしますか、その髪型ではすぐ武家の娘とわかってしまいますからね、志乃様、風邪をひいては大変ですから中にお入り下さい」
「はい、ありがとう、お里さん」

 朝ご飯を食べ髪を結いなおした志乃はお里の着物を借り、田舎娘のような姿に変貌した。顔にも炭などを少し塗りつけ武家娘とは到底思えない容貌に変わった。

「あの志乃様とは思えないほど変わりましたよ」
「ありがとう、お里さん」
「それと志乃様、町に行ったらしゃぺらないで下さいね、話しかたからバレてしまいますからね」
「そうですね、気をつけます」と志乃は答えた。
「じゃあ、出かけますか」とお里が言った。
「はい、お願いします」と志乃も立ち上がった。
「じゃあ、母ちゃん、出かけてくるよ」とお里は声をかけた。
「はいはい、行っておいで、気をつけてな」

 志乃とお里は明るくなった外に出た。歩きながらお里が言った「志乃様、町に行ったら志乃では危険ですからお玉にしますけどいいですね」
「はい、かまいません、なにからなにまで気を使っていただき本当にありがとう御座います」
「私にできることだけやってるのですから気にしないで下さい、誰かに会った時は従妹ということにしますから」
「はい、承知しました」

 二人は一路町に向かった。
 その頃、菊乃助は牢から引き出され辰蔵達に後ろ手にきつく縛り上げられ、お情けに褌だけ身につけることを許された。

「おい、小僧、有難く思へ、親分のご好意で褌をつけることができるんだ、丸出しよりいいだろう、ヘッヘッヘ、と辰蔵は菊乃助の男根を突然鷲掴みにした。
「あっ、なにをする。放せ放せ、ううっ」
「ヒッヒッヒ、放せだってよ、可愛いじゃねぇか、こいつよく見ると役者みたいにいい顔してるなぁ、へたな女よりずっと色っぽいぜ、ヘッヘッヘ」と男根を手放した。
「ああっ」
「よし、お坊ちゃんに褌をつけてやれ」と辰蔵が笑いながら言った。

 菊乃助の腰に赤い褌がつけられた。

「外の準備はできてるか」と辰蔵が聞いた。
「へい、言われたとおり十字の磔柱に下に横木も打ち付けました」
「おっそうか、ご苦労、じゃあ連れ出すか、ところで外の様子はどうだい」
「へい、もう百人以上の野次馬でごった返しているようですぜ」
「そうか、小僧、そうだってよ、お前の裸を見たくていっぱい集まっているようだぜ、ヒッヒッヒ、じゃあ行くぞ」と菊乃助は背中を押された。



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