官能小説『再会…愛しき人よ』



竜馬




第1話

 私は、男性を愛する事に恐怖を覚えていました。
それは、私が十八歳になって間もなくの事、心底愛し合っていた恋人が、この世から去ってしまったのが原因だったからです。

 生きる希望を失った私… しかし、そんな私に勇気を与えてくれたのが当時から同じ時間を歩み支えてくれた今の主人、そして周りの親友達です。

 辛い過去を、一つの思い出として正面から向き合えるようになった私、名前は、真琴、二十五歳、結婚して五ヶ月が過ぎようとしています。


「真琴さん、新しいバイトの子を紹介するよ」

 私は、昼間の時間を利用してコンビニのバイトをしています。そんな或る日、新しいバイトの子を店長から紹介され、私は驚きを隠せませんでした。

「彼は飯島 剛志くん、十八歳の学生さん。真琴さんと同じ時間に働いてもらうことにしたので、分からない所は教えてやって下さい」
「飯島です。宜しくお願いします」

 百八十センチ近い細身の身長、二枚目で優しい表情の男の子が頭を下げています。

「……あ、う、うん、宜しく…」
「真琴さん? どうかしたのかい、何処となくおかしいよ」
「えっ?! い、いいえ…あの、彼が、その…知り合いの子にそっくりで、それでびっくりしちゃって…」

 そうなのです。目の前に立っている新しいバイトの男の子は、死んでしまった私の恋人と瓜二つなのですから言葉も出ません。更に、名前も同じ「剛志」で恋人の生き写しではないかと、疑ってしまうのも無理ありませんでした。しかし、恋人がこの世を去った時、彼は既に存在しているわけで、これは全くの偶然だと思うしかありませんでした。

 でも、月日の流れというものは、私の心を確実に変えさせていてくれたのだと改めて実感しました。確かに目の前の剛志くんの存在は昔の恋人を思い出させますが、だからと言って彼に好意を持ったり、想いをよせることなど当然ありませんし、今までの気持ちに何の変化もなく過ごす事ができています。 
逆に、「私って冷たい女なのかしら?」とさえ思う次第で、そんな今の充実な生活を与えてくれる主人に感謝さえしています。

──数週間後

 バイトが終わり、車に乗り込んだ時でした。
突然の豪雨。滝のような雨に前も見えません。取合えずワイーパーを動かして視界を広げてみました、すると、遠くの軒下で剛志くんが雨宿りをしている姿を見掛けました。突然の雨に行き場を探してたどり着いたのでしょう。

「剛志くん! お家まで送ってあげるから乗りなさい」
「えっ?! ああ、いいですよ、今、親を呼ぶ所ですから大丈夫です」

 剛志くんの、断る声も雨で掻き消されるほどの雨。洋服は勿論、髪までずぶ濡れになっています。そんな彼を置き去りにして帰れるわけありません。私は室内から助手席のドアを開けて乗るように合図しました。

 申し訳なさそうな表情で剛志くんが、車の中へ入ってきます。雨の雫が、髪の毛先からすたすたと流れ落ち、座席の上へ染みになっていくのを気に掛ける剛志くん。

「タオルは…あん、もお今日に限って忘れてきてるわ…ええと、ちょっとまって、ハンカチが…バックの中……あった、あったわ、さあ、これで取合えず髪を拭きなさい」

 小さなハンカチで髪を拭かせますが、それで拭取る事などできません。
 
「あら、困ったわ、このままだと風邪をひいてしまいそう。 …ねえ、剛志くん私の家でシャワーを浴びて行きなさいよ。乾燥機もあるから、洋服も乾かしてあげれるわ」
「ええ? でも、これ以上迷惑はかけられませんよ」
「あら、遠慮しなくても大丈夫よ。それにこのまま帰して風邪をひいて、バイト休まれたら困るもの、なんてね」

 本当に私は、雨に濡れた剛志くんの身体が心配で、その気持ちだけで家のお風呂場を貸してあげたのです。 しかし、主人以外の男性を家の中へ入れるなんて…その時の私の心の何処かに隙があったのでしょう。 当日の我が家は、主人が出張の為、家を留守にしていたからです。 けど、剛志くん以外の男性であったら勿論、家の中へ入れさせる事は無かったと思います。 剛志くんだったから…

 それに気付き後悔したのは、剛志くんを風呂へ入れ彼の衣類を乾燥機に入れようとした時でした。昔の記憶が、突然私を襲ったのです。
 
「…下着、剛志くんの下着… つ、剛志…」

 恥かしいですが、私は剛志くんの下着を手に彼の温もりを肌に感じさせていたのです。いえ、恋人だった剛志の温もりを感じたかったのかもしれません。主人以外の男性の下着に触れ、しかもそれが剛志くんの下着だと余計、剛志の懐かしい思い出が甦ってくるのです。

「あああ…剛志…どうして、どうして死んじゃったの…うう、うううっ」

 知らないうちに、恋人が死んだ当時の辛い心境が私を襲っていました。今までも何度かそんな心境に襲われる時がありましたが、いつも主人が私を守ってくれました。けど、偶然にも主人がいない今日、その恐怖に巡り合うとは想像もしていませんでした。

「あ、あなた…助けて…」

 自分の弱さに私は主人に助けを求めていました。しかし、その気持ちとは裏腹で、高鳴る鼓動、押えられない興奮に、シャワーを浴びる剛志くんの元へ駆け出してしまいたい心境にかられていました。

「あなた… あぁ…剛志…」

 私は駆け出しました。何処へ駆け出して行くのか私自身でさえも知りえません。気がついた時… 私は、受話器を手にしていました。





第2話

「何かあったら、携帯へ連絡するんだぞ」

 出張前の主人の言葉が、私の身体に宿していたのです。有難うあなた…感謝の気持ちで私は主人に連絡を入れました。

「どうした、何かあったのか?」
「い、いいえ、何も無いけど…あなたの声が聞きたくて…」
「ははっ、そうかい。声が聞けて安心した?」
「はぁぁ、ああ… ううっ、声を…声を聞いたら安心して、涙が出てきちゃった…」

 安心したのか、それとも一瞬の間でも主人を裏切ろうとした自分を惨めに思ったのか、私は大きな溜息を吐いて涙を流していました。
 
──数分後 
 
 私が準備してあげた衣類を着て、剛志くんが浴室から出てきました。
 
「済みません、乾燥が終わったら直ぐ帰りますから」

 本当に礼儀正しい男の子です。その辺の気遣いもまた、恋人の剛志にそっくりなので、私は戸惑っていくばかり。

 早く帰さなければ… そうしないと私は昔を回想して、恋人の剛志から逃れなくなってしまいそうなのです。

 乾燥が終わるまでの間、私はバイトの話しや、TVの話題で話をはぐらかせていました。
 大丈夫だわ…このままなら何とか心の整理ができそう。そう思ったと同時に乾燥機の終了する音が聞こえました。 これで…大丈夫… 自分に言い聞かせてみるものの、切なさが悲しみと一緒にこみあげてくるのす。

 数秒間、二人の間に無口な時間が過ぎました。
剛志くんの衣類を取りに行かなければいけない私。けど、脚が動いてくれません。 このまま帰したら…剛志が他界した、あの別れが再び訪れるのではないかと恐怖に怯える私、剛志くんを帰そうとする意思が薄れていきます。 帰さなければいけないのも分かっています。けど…別れが辛い、そして恐い。

 自然と涙が溢れて、頬を伝い流れていきました。
 
「真琴さん? ……どうしたの?」
「ご、御免ね… 剛志くん…剛志くんが、余りにも昔の恋人に似ていたものだから…そ、それで、つい想い出してしまって…」

 私は、昔の恋人、剛志の事を、剛志くんに話しました。付き合っていた事、そして死んでしまった事、その件で主人に助けられて来た今現在の事まで。もう涙が止みません。懐かしさと、哀しみが私の心を覆ってきます。そして、気がついた時私は、ソファーに座る剛志くんの胸で大泣きしていました。

 私の肩を擦りながら、優しく抱擁してくれる剛志くん。
まだ大人といえない彼が、私の涙を指で拭いてくれます。 いえ、私の目の前にいる男性は、昔の恋人に映ってしまい仕方がないのです。昔も、涙もろい私をこんな風に接してくれていたからです。 見詰め合うともう、胸が張り裂けそう…

「つ、剛志…ああ…剛志」

 ついに、主人を裏切るその時を迎えてしまう私…
 
 どちらとも無く、唇を重ね合いました。初々しい唇…昔、初めて剛志とキスを交わした時とまったく同じ感触が、私の唇に伝わり、十八歳の剛志くんの唇は、その時の懐かしさを次々と想い起こさせてくれるのです。 想い出す度に涙を零し、そして数分間私は、剛志くんの唇を受け入れていました。

 私の身体に小さな快感が走ったのは、お互いの舌を舐めあってから暫くの事でした。 剛志くんの震える手が、私の胸を触り揉み始めたのです。



第3話

 罪悪感を感じながらも、胸の圧縮に誘惑される自分の弱さに惨めさを感じずにはいられません。 毎日、私に勇気を与えてくれている主人に申し訳なく思います。 ああ…あなた… 出来るものなら今ここにあなたが帰って来て「何をしているんだ!」と、弱い妻を叱咤して欲しい… 頬を平手打ちされても構いません、怒られても我慢します…あ、あなた帰ってきて、お願い…私を、私を助けて下さい。そう叫ぼうとしますが声が出ませんでした。まるで、剛志の亡霊が私の口を塞いで、そのまま淫楽の淵縁へ引きずり込もうとしているみたいです。

 生温かな接吻に、目の前の光景が、夢なのか現実なのかさえも私には理解できなくなっていました。そして、気がついた時には上着を脱がされ、スカートも足首から抜き取られた後でした。 私は、日常生活を繰り返す、明るい居間で下着姿にさせられていたのです。

「はああ、は、恥かしいわ…」
「真琴さん…凄く、凄く綺麗だよ。 ああ、初めて大人の女性の下着姿を見たけど、こんなに綺麗で素敵だったなんて想像もしていなかった…」

 純白のお揃いの下着、花柄の刺繍を施したブラジャーに、腹部がメッシュになった下着から陰毛がうっすらと浮かんでいて恥かしいです。またレースが股から腰に施されている下着に剛志くんは官能しているみたいでした。あまり、他の女性の下着姿を見る機会がなくて私はよくわかりませんが、よく主人に「下着姿の君は、凄く魅力的に見えるよ」と言われていました。 同じ男性の剛志くんが主人と共感してくれたことに、少し嬉しくなったのも本当です。

「ほ、本当? 本当にそう思ってくれる…」
「ええ、本当です。見ているだけで…僕、興奮してます」
「嬉しい…恥かしいけど、もっと見て…」

 有頂天になった訳では有りませんが、私は隅々まで身体を、剛志くんに見て欲しいと願い、膨らんだ胸を張ってみせました。それに気付いた剛志くんは、ブラに包まれたバスト八十五センチの胸が揺れているのを、目を丸くして見入ってくれています。そして、息を荒げ、興奮を隠せない様子でした。

 お互い、興奮を昂ぶらせた二人の接吻は、それは濃厚なもので、重なり合う舌の合間から、透明の唾が顎を伝っていく程でした。 男性の唇に吸い付く私は、更に後戻りできない深みにはまっていくのです。しかし、その時の快感は言葉に言い表せない刺激に覆われ、まるで自分が溶けていくのではないかと錯覚さえしていました。

 主人の面影が薄れていく…

 私は、主人を忘れてしまうほど、剛志くんの身体に夢中になっていました。
ソファーの上で膝をついて唇を重ね合い、剛志くんの手が私の胸へ、そして…私は、剛志くんの下半身に腕を伸ばすと、ずぼんの上から膨らんだ男性の証を、掌に感じていました。

「真琴さん、僕が死んだ恋人の変りになって、真琴さんを愛してあげるよ」

 剛志くんのその言葉で、私は弾けてしまったようです。
 
「つ、剛志…ああ、剛志。 愛して、今まで離れ離れになっていた分、めちゃくちゃ愛して頂戴…」

 淫楽に包まれた私は、そんな言葉を剛志くんに囁くと、力強く彼の股間を擦り始めていました。それに反応する剛志くん、ブラを持ち上げた掌が私の脂肪の膨らみを優しく揉み出したのです。そして、剛志くんの唇は、私の唇を離れて耳を舐め回していました。やがてその唇は、私の首筋を縦に何度も往復して私を誘惑していくのです。

 首を舐めていく剛志くんの舌先に、私は恥かしい声を上げずにはいられませんでした。そしてそのたびに、身体を海老のように反ってひきつけをおこし、身体の隅々まで小さな刺激の電流が流れるのを感じて、今にも腰が砕けてしまいそうです。やがて、肩で胸を支える力が抜けました。そうです、剛志くんがブラのホックを外してしまったのです。

「い、嫌…恥かしい…」



第4話

 ぷるんと揺れる胸を思わず私は、両手で隠してしまいました。私の身体を照らす照明は、あまりにも明るすぎて、主人以外に見せたことの無い胸を強調させているようだったからです。

「ま、真琴さん…」

 剛志くんは、私の名前を呼ぶと、私の腕を、両側へ開かせていくのです。
その一言に剛志くんの想いを感じ取った私は抵抗できず、剛志くんの成すがままに、胸を露にしてしまいました。

 目の前で、私の膨らんだ胸と乳房を見つめる剛志くん。その視線が嫌という程、伝わってきます。けど、何故かその視線は、程好い気持ち良さを感じさせ私の乳房を誘惑していきました。すると、自分でも信じられない程に興奮した私は、あろうことか乳房を…勃起させてしまったのです。興奮で噴出した汗でしっとりと輝かせ突起した乳房。まるで、剛志くんの唇を誘惑しているみたい…

 は、早く…吸って… そう願う私に剛志くんは察したのかゆっくりと、唇を近づけてきます、そして私の乳房に吸い付いてきました。

「うっ…ううん、はあん、あんあん…」

 吸われる感触に、私は一瞬で頭が真っ白になり、ざらついた舌先に意識を引き戻されて感じていきます。それを何度も繰り返されると、訳がわからなくなる私、もう滅茶苦茶に感じさせて欲しいと願う、もう一人の私がそこに居る事に気付きました。

 そんな私に、更に違う刺激が襲います。胸を舌先で刺激しながら剛志くんは、私の下腹部へ腕を伸ばし、そして下着の上から私の割目に指を添えて押してきたのです。私の密部を象った下着、その筋を二本の男性の指が往復しています。そして、少し膨らんだ突起物にも指が当り思わず声を漏らさずにはいられません。そう…剛志くんの指先が、私のクリトリスに当っているのです。

 恥かしい… 感じるより私は恥かしさの方が増していました。だって…興奮のあまり、あそこを濡らしているのがわかっているから…それを、剛志くんに知られてしまうことに恥かしさを感じていました。 でも、湿らせるほど下着を濡らしていては、剛志くんもそのことに気がついていたと思います。けど、それ以上に恥かしさを増して、顔を染めていく私。指が…剛志くんの指が、私の太腿の下着を押し退けて直接濡れている皮膚に触れたからです。

「あっ、ああ…つ、剛志、く、んっ! そこは、はあ、はあ、ああっ」

 ヒダに、指が触れているのがわかり、その指に私の流したお汁が、絡み付いているような気がして恥かしくなります。けど、想像以上に私のあそこはお汁を溢れさせていたようで、そのお汁は剛志くんの指を滑りやすくさせる程大
量に広がっていました。

 そしてついに、剛志くんの指先は私の体内への入口を探し当てました。
 
 一本の指先が、ゆっくり…入ってくるのがわかります。拒む事無く私の密部のお口は剛志くんの指を受け入れ、奥の方へと導いているみたいでした。そして、更に二本目が…

 脳天を突上げる刺激に、私は悦びを身体で表現していました。腰を波打つように前後左右とくねらせ、二本の指の刺激と共存しているみたいです。
くちゅくちゅ…剛志くんの指が動くたびに、私の厭らしい音色が室内へ反響していきます。

「ああんっ、つ、剛志、貴方が…貴方が欲しいっ!」

 剛志くんの指の動きに堪らず、私はそう叫んでしまいました。
 
 亡き恋人と、結ばれることなど叶わぬ夢…そう心で泣いてきた日々、でも、その夢が剛志くんの身体を借りて叶おうとしています。貴方を受け入れてあげたかった、その夢が。 当時、唇を重ねる事数回、お互いの気持ちを分かり合い、そして私は剛志に、私の全てを捧げる決心をしたばかりでした。そんな時に剛志は、私の前からいなくなってしまったのです。

 でも、その切なくて辛い想いが、今、実を結ぼうとして、私は興奮を隠しきれません。

 私をソファーに押し倒し下着を足首から抜き取ると、自分も下着を脱いで裸になる剛志くん。

「こ…これが、剛志の…は、はだか…」



第5話

 私は、男性の裸をまともに見たのはこの時が初めてでした。 主人? ええ勿論、主人の裸も見ています、が、お風呂も別々で、肌を触れ合う夜の営みは私のお願いで電気を消してもらっているのです。 だから、明るい場所でそれも目の前で、男性の裸を見るのは初めてになるのです。

 剛志くんの、いえ、剛志の身体…ああ、何て表現したらよいのでしょう。恥かしい言葉になりますが、それはそれは若くて綺麗な肉体美、そして…男性のシンボルは、真っ直ぐに天を示し、くっきりと原形を浮かび上がらせ、凄いことに血管を無数に浮き出させて私を夢中にさせています。

「はああ…ほ、欲しい…剛志の、剛志のあそこが、欲しい…」

 私は、今まで体験したことの無い燃え上がる興奮を憶え、信じられないことに私は、剛志くんの大きくなっているあそこを握り締めて、密部の入口へと導いていました。

 神様、お許し下さい… あなた、許して下さい… 今だけ、今だけは昔の私に戻らせて下さい。一度だけの過ちをお許し下さい… 罰を受ける覚悟はしております、だから今だけ、今だけは…

 そう願いながら私は、剛志くんを身体の奥深くへと、受け入れていきます。私の花弁を押し広げ、剛志への想いが体内へと入ってくるのがわかり、切ない想いの日々を解放してくれています。そして、気持ち良い刺激に心も弾み、それと同時に恥かしいお汁を膣内に溢れさせているのも感じていました。擦れて入ってくる剛志くんのあそこが、根元まで入ったようです。膣内に溜まっていた私のお汁が溢れ出て、お尻へと流れていくのがわかり、その気持ち良さと言えば例え様の無い刺激になっていきます。

 お互いの付根が重なりあう感触に、剛志への想いが叶ったのだと実感して込み上げるものがあり、つい私は涙を零してしまいました。

「真琴さん…」
「ぐすっ…う、うん、大丈夫…う、嬉しいの…今までの、淋しい想いがね…こうやって、剛志くんを受け入れた事で、消えていくのだと思うと…嬉しくて…う、嬉しくて…ありがとう…ありがとう剛志くん…」
「真琴さん…その淋しい想いを全部僕が消してあげるよ。ねっ、こうやって腰を動かしていくと、忘れてしまうでしょ…こう、腰を…」
「あ、ありがとう…お願い、お願いだから、全て忘れさせて…うっうん…はあはああ、あああ…剛志…剛志」
「はっ、はあ、はあ、 こうやってると、今度は素敵な思い出になるよ…ねえ真琴さん」

 剛志くんの腰が、私の下腹部を中心に浮き沈みしています。そうされる事で淋しい想いが薄れ、剛志くんの言う通り、次第に気持ちの良い素敵な想いが湧き上がってくるのです。

 暫く私は、剛志くんの運動に身を任せることにしました。

 昔の恋人、剛志の想いが、私の密部を擦りつけて出入りしています。剛志くんの腰使いは、主人に比べると荒々しくどこかぎこちなく感じますが、でも、それがかえって、当時の剛志を受け入れているのだと実感をもてますし、生きていたらお互い初めての交わりは、こんな感じだったのだと想像できますもの。

 まるで恋人同士のように、吐き出す吐息が調合し二人の甘い世界が広がっていきます。 それは、こんな明るい場所での交わりを望まない私でさえも、今の状況を望みそして、相手の姿をはっきりと記憶に残しておきたいと願う程になっているから不思議です。
 両足を開いた股の間で、剛志くんの腰が勢いよく動いて、前に突き出すと同時に、私の身体に痺れが走ります。次から次へと…刺激は止む事無く続いていくと、意識が薄れ頭の中が真っ白に染まってしまいました。

 途切れる意識の中で、私は夢をみていたような気がします。
微かな記憶ですが、生前の剛志が、私を優しく抱いてくれていました。そして「僕はいつでも君の側にいるよ」と、耳元で囁いてくれたような気がします。
私はその囁きを雲の上で聞いていたと思います…とても、とても気持ちの良い雲のジュータンの上で、自分でも信じられない程の…恥かしい格好でいたのは明細に憶えています。それは、姿の見えない剛志の前で仰向けになった私、裸のまま太腿を持ち上げると、両脚を開いてみせていました。

「真琴…僕の全てを受け取ってくれるよね。君の身体に、僕の精力を注いであげるよ!」

 定かではありませんが、そんな剛志の声が聞こえて私は我に返りました。
 
 剛志くんの腰が激しさを増し、私の体内で大きくさせているモノを更に膨張させて、若いエキスを噴出させようとしているみたいです。

「はっ、はっ、はっ、はああ、真琴さん、もう出そうだよ、はあ、はあっ!」
「ああ、あああっ、剛志、いいわよっ! こ、このままお願い、私の中に貴方の全てを吐き出してえ!」
「ま、真琴さん?! いいの、中に出してもいいのっ」

 剛志の液体を受け入れたい一心で私は、信じられない事に、剛志くんの腰に両足を回して組むと、そのまま離す事を止めませんでした。

「あああっ! も、もう、出るよっ! 真琴さん、真琴さんっ!」
「出してっ! お願い、私の奥に、たくさん注いで頂戴!」




第6話(最終回)

 そう叫ぶと同時に、剛志くんは腰を二度、三度と大きく突き出して私の中に蕩ける液体を放流してきました。その透明で温かい液体が、私の体内に付着して、私の肉体と一対になっていくような気分です。

 繋がったまま肩で息をする剛志くんを、私は優しく抱き寄せて暫く余韻に浸るのでした。


 何かが、私の中で崩れて、何かが変りました、何かが…
 
 主人に対する想い…いいえ、それは何一つ変りはありません…ただ、罪悪感が少し、ほんの少し薄らいだような気はします。

 あなた、もう暫く私の我侭をお許し下さい…
 

 余韻を残しつつ、私は剛志くんをソファーに座らせ、私は床に膝をつくと、今しがた私の体内に埋め込まれていた男性のあそこを掌に添えていました。
そして、手にしているモノに私は優しく口付けをすると、それが恋しくてなって仕方ありません。

 私は、主人にもやってみせたことのない男性のあそこを口で咥えてみたいと思う心境にかられていました。淫猥に無知な、私がです…

「剛志くん? ここ…舐めてもいいかな」
「えっ? 真琴さん、舐めてくれるの? 嬉しいよ、真琴さんのその唇で舐めてもらえるなんて…」
「そう…嬉しいの、ね…」

 剛志くんに背を向けている私、剛志くんは感づいていなかったみたいですがその時の私は、薄気味悪い顔で…微笑んでしまったのです。暴走する自分に、もう歯止めが効きません。

 ちゅぱちゅぱっ… じゅるじゅる…
 
 厭らしい音をたて、剛志くんを飲み込んでいく私。直ぐに私の密部は疼きだし、再び、剛志くんのあそこを欲しがって、お汁を流していきます。
 明らかに私は変っていました。女は受身だと思っていましたが、私はあろう事か、剛志くんをソファーに押し倒すと、その上に乗っかり積極的に剛志くんを誘導していくのです。

 私と剛志くんは、再び一つに繋がると、腰を蠢かせて喘ぎ出しました。今度は私が腰を動かして、剛志くんのあそこに密着させていきます。堪らない刺激に私は、何もかも忘れて卑猥な女になって乱れていきます。数時間の前の私とは、似ても似つかぬ女の本性を露にして腰を振り乱しています。

 これも剛志への、想い… そう考えると、更に腰を振らずにはいられません。
 
「剛志、ねえ剛志っ! 私のあそこ、気持ちいい? ねえ、気持ちいいの?」
「ま、真琴さん、 …いい、いいよ、あああ、凄く締付けて気持ちいいよ!」
「本当に、本当に私の身体は気持ちいいのね、ああ、愛してるわ、剛志も…剛志くんも…愛してる、愛してるわ」
「おうっ、つうっ! 僕も、愛してます…真琴さんを、愛してます」
「嬉しいわ、はあ、はあ、ああんっ! 剛志、私を一生愛していて、はあ、はは、いつも、私の側にいてっ! あんっあんあん!」
「はあ、愛します…くっ、はあ、はあ、ま、真琴さんの側に、いるから、心配しないでっ!」
「本当よ! ねえっ、約束して、かはっ、はあああ、や、約束…」
「約束します…あああっ、はああ、気持ちいいっ!」

 私は嬉しくて、横になる剛志くんの肩に抱きつき、腰を激しく浮き沈みさせていきました。

「はああんっ、放さないわ、私、剛志を一生放さないわ! …あああっ…」

 二人の激しい動きに、家も軋んでいるみたいでした。それ程、私達は愛し合い、心と身体を融合させていたのです。そしてその交わりは、一晩止む事無く続いたのでした…


──あくる日…

 昨日の豪雨が嘘のように晴れ間が広がっていました。
 
 私は、何事も無かったようにいつも通り家事を終えてからバイトへ出勤し、そしてその後、主人の帰りを、手作りの料理を並べて楽しみに待つ予定です。

 ただ、剛志くんはバイト先に顔をだしませんでした。いえ、彼が顔を出す事は一生、無いでしょう。 そしてその夜、彼の家族によって捜索願いが警察に出されるのです…


 だって… 剛志くん、約束してくれたから…
 
 私を一生愛してくれて、そして側にいてくれる、って。
 
 約束してくれたもの。  うふっ…


 












作者竜馬さんのHP『官能小説は無限なり』

愛溢れたロマンスものからSM・レズものまで多種多彩

















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