第1話

 埼玉県浦和市にある篠田会計事務所は、公認会計士の篠田喜一を始め、男性社員10名、女性社員5名の市内では中堅の会計事務所だ。
 現在65歳の篠田喜一は10年程前に妻と離婚し、今は市内のマンションで一人暮らしをしている。
 身長は低いがガッシリとした体系で、顔は赤黒くギラギラとした大きな目を持つエネルギッシュな男だ。
 この物語は、朝の朝礼での篠田喜一の一言から始まる。
「みんな聞いてくれ。私の古くからの友人で太田二郎という会計士が先月病気で亡くなってな、彼の奥さんからいろいろ相談されて……」
 話の内容は、亡くなった会計士太田二郎の顧客約80社の引継ぎと、従業員5名の受け入れをするというものだった。
 社員の三島理恵は、俯いたまま篠田の話を聞いていたが、今の理恵にとってそんな事はどうでもいい話だった。
 それもその筈、理恵は篠田会計事務所を辞めようと思っていたのだ。

 恵理が篠田会計事務所に就職したのは8年前。
 商業高校を卒業した理恵は地元の短大を経て、20歳でこの会計事務所に入社した。
 現在28歳の理恵は、その美貌から顧客からの評判も良く、若手男性社員からも慕われる存在だった。
 本来は大人しく無口な性格だが、甘い眼差しと透き通るような肌は、官能的な匂いを漂わせていた。
 そんな理恵は男性社員にとって高嶺の花だった。

「三島さん、安西建設の業績はどうだ?」
「……はい、先月は平年並みでした」
 篠田の問いに理恵は、少し間をおいて答えた。
 この篠田からの質問は、週に一度は必ずある。
 しかしこれは質問ではなく、篠田からの誘いのサインなのだ。
(一昨日会ったばかりなのに……)

 理恵と篠田の肉体関係は、理恵が入社してから半年も経たないうちに始まった。
 当時20歳だった理恵には、高村准一という恋人がいたが、幼馴染みの加奈に准一を奪われてしまった。
 加奈は、幼い頃から理恵に強い対抗意識があった。
 理恵と加奈は、小学校、中学校、高校まで、ずっと一緒だった。
 加奈は、理恵の持ち物はなんでも手に入れたい性格だった。
 おもちゃ、絵本、服、お菓子まで、理恵が持っている物は、なんでも手に入れた。
 そして、中学、高校になると、理恵の友人も自分が支配するようになり、20歳の時には、とうとう恋人の准一まで奪い去ったのだ。
(加奈が憎い。いつか復讐してやる……)
 そんな時に、篠田から誘いを受けたのだ。
 篠田は理恵を抱く度に、5万円を支払った。
 週に1~2回、必ず理恵をホテルに誘った。
 当時の理恵の月収は15万円にも満たなかったが、篠田からホテルで受け取る金額は、少なくとも月20万円、多い月は30万円程になった。
(この金で身体を磨いて、准一を見返してやる……)
 理恵は、いつもそう思っていた。




第2話

 この日も、いつものホテルで篠田と待ち合わせた。
 篠田は、早々とシャワーを済ませ、大きな目をギラギラ輝せながら栄養ドリンクを飲んでいた。
「君も早くシャワーを浴びてきなさい」
 篠田は、65歳とは思えないほど性欲が旺盛だ。
 既に、篠田のガウンの股間は大きく膨らんでいた。
 理恵がシャワーを終えると、既に篠田はベッドの上で待っていた。
 理恵が寄り添うと、いつもの様にチュバチュバと音をたてながら、篠田は理恵の乳首を吸う。
 理恵の乳首は、すぐに硬くなった。
「今度はマ〇コをしゃぶってやるからな」
 篠田の愛撫は、乳首から滑り落ちる様に、理恵の股間に向かった。
「どれどれ」
 篠田は、理恵の股間を大きく開き、顕になった女陰を左右に押し広げ、厭らしい目つきで覗き込んだ。
「う~ん、、いつ見てもいい眺めだ」
 篠田は、膣穴まで丸見えになっている理恵の女陰にしゃぶり付いた。
「あっ、、せ、先生、、あっ、、あ~、、」
 篠田は、チュバチュバと音をたてながら、女陰を吸い続けた。
 そして理恵の口からは淫声が漏れ、ピンクの蜜壷から愛液が溢れ出た。
「あぁ~、い、いい~、あ~~」
 篠田は、とめどなく溢れ出る理恵の愛液を、一滴も逃す事なく啜った。
「そんなに気持ちいいか~! ならばここはどうだ、、」
 篠田の指は、秘毛を丁寧に掻き分け、陰裂を顕にさせた。
「ほ~ら、観音様が丸見えだぞ!」
「は、恥ずかしい、せ、先生、恥ずかし~い」
 篠田は理恵が発する『恥ずかしい』という言葉が好きだ。
 行為の際、理恵はいつもこの言葉を口にした。
「こんなに大きくしやがって! もっと大きくしてやる!」
 篠田はそう言いながら、理恵の顕になったクリトリスに舌先を這わせた。
「あっ、、あ~ん、、せ、先生~、ダメ~、、」
 篠田は理恵の言葉など一切無視をして、舌先をクリクリ回し始めた。
「あ~~ん、、そ、それダメ~~、、か、感じるぅ~~、、あ~~」
「逝きたいか! よ~し、逝かせてやるわぃ!」
 篠田は、徐々に舌の動きを早めていった。
「あ~~、ダメ、ダメ~~、い、逝くぅ~~、、あ~~~~~」
 理恵は、大きく口を開き身体を痙攣させた。

「ふふ、今度は俺の番だ!」
 篠田は、意識が朦朧としている理恵を起こし、自らの下半身を理恵の顔に押し当てた。
「ほら、しゃぶれ!」
 篠田の男根は、異常なサイズだ。優に20センチはある。
 理恵は、まるでロケット弾の様にいきり立った極太ペニスを口に含んだ。
「ううぅ、、」
 理恵は、苦しそうな表情をしながらも、チュバッチュバと音を立てながらしゃぶり続けた。
「よしよし、もういい! うつ伏せになって尻を出せ!」
 理恵は、篠田のペニスから口を離し、うつ伏せになって尻を突き出した。
「よ~し! 後ろからぶち込んでやる!」
 篠田は、自らの男根を手に取り、理恵の膣穴に焦点を合わせた。
「それっ!」
「はぁ~~ん!」
 篠田の極大ペニスは、理恵の蜜壷に根元まで吸い込まれた。
「あっ、、す、すご~い、、はぁ~~ん」
 篠田のペニスは、ブチュブチュと厭らしい音をたてながら、ピストンを始めた。
「どうだ、気持ちいいだろ! ほらほら、もっと突いてやる!」
 篠田の極長ペニスは、亀頭から根元まで力強く出し入れされた。
「あ~ん、、あ~ん、う~ん、、」
 理恵の愛液は、異常な程溢れ出し、肉棒を伝って睾丸から滴り落ちていた。
「それっ! それっ! それっ!」
「あんっ! あんっ! あんっ!」
 理恵の子壷から、再度絶頂感が込み上げてきた。
「それっ! うぅ! うぅ、、」
 既に、篠田も限界だった。
 篠田の腰の動きが急に激しさを増し、後背位独特の打撃音が部屋中響き渡った。
「い、いくぞっ! あ、あ、い、いくぞ~~!」
「あっ、あっ、あ~~~」

 理恵は次の瞬間、子宮の奥が熱くなるのを感じた。





第3話

 理恵の肉体は、篠田に征服されていた。
 篠田は、親子以上に年の差がある理恵を、20歳の時から自分色に染めてきた。
(この女は、絶対誰にも渡さない……)
 理恵はそんな篠田の存在に、嫌気を感じていた。
(そろそろ篠田との関係を精算したい。このままでは自分が駄目になってしまう……)
 しかし、気持ちとは裏腹に28歳の熟れた理恵の身体は、篠田を求めてしまう。
 理恵は悩んだあげく、篠田会計事務所を辞めようと思っていたのだ。

 そんなある日、篠田の亡き友人の太田二郎に雇われていた元従業員の5人が事務所にやってきた。
「みんな聞いてくれ。先日話をした太田会計事務所の元従業員の人達だ。明日から出勤だから、宜しく頼む」
 篠田は、意気盛んに言った。
(どうせこの人達とは、そう長くは付き合わないのだ……)
 理恵はそう思いながらも、顔をゆっくり上げた。
 その時だった。理恵は、心臓が止まる程驚いた。
 その5人の中に、元恋人の高村准一がいたのだ!
(ど、どうして准一が……)
 驚いたのは、准一も同じだった。
 准一は目を見開いたまま、じっと理恵を見ていた。
 そして理恵は、准一はかつて公認会計士を目指していた事を思い出した。
(准一……)
 理恵は、まるで夢を見ている様だった。
 篠田は、一人々紹介すると、『じゃあ、明日から頼む!』と言い腰を降ろした。

 翌日の朝礼で、新人従業員の5人は篠田から顧客名簿を受け取り、それぞれ担当する顧客を命じられた。
「え~と、高村君(准一)は、三島さん(理恵)と一緒に、安西建設を担当してくれ」
「えっ? あ、はい……」
 あまりの偶然に、理恵は驚いた。
「三島さん、今日は安西建設に行く日だろ? 高村君と一緒に行ってくれ」
 何も知らない篠田は、平然として言った。
「あ、はい……」

 1時間後、安西建設に向かう理恵の車の助手席には准一がいた。
「ホント偶然ね……」
 沈黙を打ち消す様に、理恵が喋りかけた。
「うん。驚いたよ」
 理恵の脳裏から、8年前の苦い思い出が蘇る。
「あれから何してたの?」
「……」
 理恵は嫌な予感がした。
「もしかして、加奈と……」
 理恵は、准一の左薬指のリングを見て愕然とした。
「加奈と……加奈と結婚したのね……」
「ごめん、君と別れてから3年後に……」
 理恵は8年前に准一と別れてからは、一切の交友関係を絶っていた。
 同窓会など、准一と加奈が現れる席にも近づかなかった。
 理恵の頭の中は、驚きと悲しみが入り混じって混乱していた。
「理恵、綺麗になったね……」
「……」
「理恵、本当にごめん……」
「いまさら聞きたくないわ!」

 理恵の目には涙が滲んでいた。





第4話

 二人は安西建設の経理担当者から書類を受け取ると、すぐに車に戻った。
 理恵は、担当者に准一を紹介する事すら忘れていた。
(加奈、このままあなただけ幸せにさせない……)
 理恵は、冷静さを取り戻していたが、准一を奪った加奈への憎しみは消えなかった。
 そして理恵は、近くの公園に車を止めた。
「准一、さっきはごめん」
「ううん、気にしてないよ」
 准一は首を横に振りながら答えた。
「でも、一つだけ教えて。8年前、准一と加奈に何があったの?」
「……」
「お願いっ!教えて!」
 理恵の口調が強くなった。
「8年前のある日、突然加奈から電話があったんだ。ちょっと相談したい事があるって」
 准一は、俯いたまま語り始めた。
「そして、スナックで待ち合わせをして、加奈の失恋話を聞かされたんだ」
「それで?」
「加奈は、だいぶ酔っている様子だったけど、僕にどんどん酒を勧めてきた……」
「飲まされたの?」
「うん」
「そして?」
「気が付いてみたら、加奈のマンションのベッドで寝ていたんだ」
「……」
「それだけで加奈を愛してしまったの?」
「違う……」
「じゃあ、どうして?」
「妊娠した……」
「えっ?」
「その夜の加奈との……」
「もう言わないで。わかった。」
 加奈は、その夜の准一との性行為で妊娠し、准一は責任を感じて加奈と結婚したのだ。

「子供は何人いるの?」
 理恵は、妙に冷静だった。
「一人だけ」
「加奈と結婚して、今は親子三人で幸せに暮らしてるのね」
「……」
 理恵は、准一を奪い去り自分だけ幸せに暮らしている加奈が許せなかった。

(加奈に復讐してやる……)

「准一・・・…」
「何?」
「もう、私の事は嫌い?」
「……」
「今日一日だけ、8年前に戻ってみない?」
「どういう意味?」
 理恵は、准一のズボンのファスナーに右手を置いた。
「私を抱いてみる?」
 理恵は、准一の右手を取り、自分の内腿に導いた。
「仕事が終わったら、この公園で待ってるわ」

 理恵の准一への思いは、憎しみに変わりつつあった。





第5話

 理恵は、准一と共に事務所に戻ると、手短に書類を整理して准一よりも一足先に事務所を出た。
 公園に着いた理恵は、バッグの中のボイスレコーダーのスイッチを入れた。
 10分程待つと、准一が到着した。
「すぐそこにホテルがあるわ。ラブホテルなんて久々でしょ?」
「あ、あぁ、独身以来初めてだよ」
 バッグに忍ばせているボイスレコーダーは、既に作動している。
 理恵は、准一になるべく多く問いかけた。

 二人はホテルの部屋に入ると、交互にシャワーを済ませ、ソファーに座った。
「何か飲む?」
「じゃあ、シャンパン……」
 理恵は、テーブルにグラスを2つ置いて、シャンパンをついだ。
「乾杯しましょ?」
「えっ?」
「二人の再会に乾杯よ!」
 二人は、そっとグラスを合わせ乾杯した。
「理恵、本当に綺麗になったね」
「そんな事ないよ~」
「とても魅力的だ!」
「え~、加奈だって美人でしょ?」
「今日は、加奈の話はやめよう」
 20分程会話を交わすと、時折准一の視線は、理恵の胸元に向いていた。 
 理恵はソファーを離れ、ベッドに横たわった。
「准一、こっちに来て」
 准一はゆっくり立ち上がり、理恵に寄り添った。

 二人は熱いキスを交わし、理恵は自らガウンを脱ぎ捨てた。
「准一、愛してるわ!」
「僕もだ!」
 准一は、理恵の豊満な乳房に顔を埋め、貪る様に愛撫をした。
「あぁ~」
 准一は、片手では収まり切れない理恵の乳房を鷲づかみにして、乳首の先端にキスをした。
「あぁ~、、准一、、」
 准一は、理恵の表情を確かめながら愛撫を続ける。
「あぁ~、も、もっと、もっと愛して~、あぁ~、」
「理恵~、、理恵~、、」
 准一の愛撫は、徐々に理恵の下半身に向かった。
「じゅ、准一~、は、恥ずかしい~、、」
 既に、理恵の愛液は子壷では収まり切れず、陰唇から滲み出ていた。
 そして准一の愛撫は、密林を掻き分け、理恵の陰核を捉えた。
「あっ、あ~ん、そ、そこ、、いい~、、」
 准一は、理恵の陰核を弄ぶ様に舌で愛撫した。
 そして准一は、愛液が溢れそうになっている理恵の女陰を押し広げた。
「ぃ、いや~、だ、だめ~~、」
 女陰を広げられた理恵の陰部から、一気に愛液が溢れ出た。
「理、理恵~~、す、すご~い!、理恵~~」

 准一は、ボイスレコーダーの存在など知らず、溢れ出た理恵の愛液を音をたてながら舐め続けた。





第6話

 准一は、理恵の熟れた陰裂に硬直した肉棒を向けてきた。
 既に肉棒の先端からは、十分過ぎる程の潤滑油が滴り落ちていた。
「じゅ、准一、、い、いれたいの~?」
「あぁ、、う、うん、、」
「どこに~、どこにいれたいの~?」
「えっ?、、どこって、、」
「ちゃんと、ちゃんと言って~、、どこにいれたいの~、、」
「オ、オ・マ・〇・コ……」
「え、えっ?、も、もっと、ちゃんと言って~、、だれの?、だれの、オ・マ・〇・コ?」
「え~~、あ~、り、理恵の、オ・マ・〇・コ~~」
「も、もう一度、、もう一度、言って~~」
「り、理恵の、オ、オマ〇コに、いれたい~~」

 ボイスレコーダーは、二人の荒々しい息遣いもキャッチしていた。

「准一~、いれて~~、」
「う、うん、、い、いれるよ~~、あぁぁぁ~~~」
 十分に潤っている理恵の膣穴は、挿入時の摩擦は殆んど感じられなかった。
「はぁ~~ん、、す、すご~~い、、あぁ~~ん、、」
 准一の分泌液と理恵の愛液が混じり合い、結合部からの厭らしい音が部屋中響き渡る。
「理恵~~、いい、いいよ~~、理恵~~」
 准一が突き上げる度に、理恵の乳房が上下にゆさゆさ揺れる。
 准一の腰は3回に1度、深く突き上げた。
「はっ、はっ、うぅ~~ん、、はっ、はっ、うぅ~~ん、、」
「あっ、あっ、はぁ~~ん、、あっ、あっ、はぁ~~ん、、」
 理恵の蜜壷から止め処なく愛液が溢れ、シーツはびしょ濡れになった。

「じゅ、准一~~、、ど、どお~? 気持ちいい~~?」
「あぁ、、いい、気持ちいいよぉ~~、、」
「ど、どっちがいい~~?」
「えっ~~? ど、どっちって~~?」
「か、加奈のと、加奈のオマ〇コと~~?」
「えっ~~?、あぁ、、理、理恵の方が、、いい、、」
「も、もっと、もっとはっきり言って~~」
「あ、うぅん、、理恵の、理恵のオ、オマ〇コの方が、いいよ~~」
「准一~~~、嬉しい~~~、、あぁ~~~」

 既に准一と理恵は、快楽の絶頂を迎えようとしていた。
「じゅ、准一~~、、わ、私、、も、もぉ~~ダメ~~、、」
「ぼ、僕も、、僕も、ダメ~~、う、う、う、、で、出るぅ~~」
 准一のピストン運動は、激しさを増した。
「い、いくよ~~、、理恵~~、いくよ~~」
「きて~~~、そ、そのまま出して~~~~~」
「えっ?、、あっ、う~ん、あっ、あっ、あ~~~、いくぅ~~~~~」
「わ、私も、私もいくぅ~~~~~」

 准一の肉棒は脈を打ちながら、理恵の身体の最深部に射精した。





第7話

 その夜、理恵は帰宅するとボイスレコーダーに録音されている音声をCDにコピーした。
 そして引き出しから預金通帳を取り出した。
 預金残高は、1千800万円を超えていた。
 理恵は8年前から、篠田から受け取った金額を殆んど貯金に回していた。
 週に1度のエステ代とスポーツジムの年会費を差し引いても、月平均20万円は残った。

 翌日の朝、理恵は篠田に電話をかけた。
「先生、風邪をひいて熱があります。今日は休ませて下さい」
「あぁそうか。わかった、お大事に……」
 篠田は、あっさり返事をした。

(とりあえず、ハワイにでも行こう……)

 理恵は、市内の旅行会社を訪れ、明日からのハワイ行きの切符と1ヶ月間の宿泊代を現金で支払った。
 旅行会社を出ると、予め調べておいた准一の自宅に電話をした。
「もしもし、加奈?」
「……」
「もしもし、加奈でしょ? しばらく! 理恵よ」
「……あっ、あ、理恵? し、しばらく……」
 加奈は自宅にいた。
「懐かしいわ!何年ぶりかしら?」
「そ、そうね、、元気?」
「私は相変わらずよ。加奈、准一と結婚したんだってね!」
「あ、うん……」
 加奈の声は、上ずっていた。
「加奈、准一から聞いたでしょ? 私と准一、同じ職場なのよ」
「あ、うん、、聞いたわよ……」
「本当に偶然ね。ところで今何してる?」
「えっ? 専業主婦よ」
「じゃなくて、私今、加奈の家の近くなの」
「……」
 理恵は事前に住所を調べていた。
「今からちょっと会えない? 家にお邪魔してもいいかな~?」
「あ、うん、、別に構わないけど……、でもどうして?今日仕事じゃないの?」
「私、今日有給なの」
「あ、あそぅ~、じゃあ待ってるわ」
「本当?嬉しいわ!すぐに行くからね」
 10分後、理恵は加奈の家のチャイムを鳴らした。
 准一と加奈の家は、市内から離れた静かな住宅地にあった。
 小さな家だが、モダンなお洒落な家だった。
「あ~ら!しばらく~!」
 理恵は、明るく振舞った。
「あっ、理恵、しばらく、どうぞ……」
 玄関は意外に広く、右側にリビングがあった。
「理恵、ちょっと待ってね、今コーヒーいれるから」
「あっ、お構いなく、すぐに帰るから」
 理恵は、リビングのソファーに腰を降ろした。
「お洒落なお家ね。羨ましいわ!」
「3年前にローンで買ったのよ」
 理恵は、部屋の片隅にある本棚を見た。
 そこには、准一と加奈の間で微笑んでいる小さな女の子の写真があった。
「あら可愛い~!子供何歳なの?」
「……えっ、あ、今7歳よ」
「あっそ~、可愛い~、准一にそっくりね!」
 加奈はテーブルにコーヒーを2つ並べ、理恵の正面に座った。





第8話

 二人の間に重苦しい空気が流れ、暫く沈黙が続いた。
「加奈、今幸せ?」
 理恵は、じっと加奈を見つめながら問いかけた。
「あ、うん、、まあね……」
 加奈は、俯き加減で答えた。
「そりゃ幸せだよね、准一と結婚できたんだから」
「……な、何言ってんの?理恵だって幸せでしょ?」
「うん、8年前まではね……」
 二人の間に、冷たい空気が流れた。
「あぁ~、でも嬉しかったな~!」(理恵)
「何が?」
「だって准一、今でも私の事を愛してくれてるんだもん!」
「えっ?どういう意味?」
「どういう意味って、今言ったでしょ、准一は私を愛してるのよ」
「何それっ? 理恵っ!あなた正気!」
「正気よ。だって昨夜、私と准一愛し合ったのよ」
「……」
「准一素敵だったわ!だから私も燃えちゃった!」
「嘘よ!そんなの嘘だわ! 理恵っ!いったい何なの?ふざけないで!」
「ははははははっ~~」
「何がおかしいの?」
「じゃあ、証拠聞かせてあげるわ!」
 理恵はバッグからボイスレコーダーを取り出しスイッチを入れた。

----------音声---------------------------------------------------
「じゅ、准一~~、、ど、どお~? 気持ちいい~~?」
「あぁ、、いい、気持ちいいよぉ~~、、」
「ど、どっちがいい~~?」
「えっ~~? ど、どっちって~~?」
「か、加奈のと、加奈のオマ〇コと~~?」
「えっ~~?、あぁ、、理、理恵の方が、、いい、、」
「も、もっと、もっとはっきり言って~~」
「あ、うぅん、、理恵の、理恵のオ、オマ〇コの方が、いいよ~~」
「准一~~~、嬉しい~~~、、あぁ~~~」
「じゅ、准一~~、、わ、私、、も、もぉ~~ダメ~~、、」
「ぼ、僕も、、僕も、ダメ~~、う、う、う、、で、出るぅ~~」
「い、いくよ~~、、理恵~~、いくよ~~」
「きて~~~、そ、そのまま出して~~~~~」
「えっ?、、あっ、う~ん、あっ、あっ、あ~~~、いくぅ~~~~~」
「わ、私も、私もいくぅ~~~~~」
-----------------------------------------------------------------

 蒼白になっていた加奈の顔は、みるみるうちに紅潮してきた。
「ほらっ、私と准一でしょ、わかるでしょ?」
「……」
 加奈の身体はガタガタ震えだした。

「理恵っ!あなたこんな事してタダではすまないわよ!」
「えっ?何言ってるの?准一を寝取ったのは誰なの?」
「……」
「准一は、あなたが妊娠したから責任を感じて結婚したのよ。本当は私を愛してたのに……」
「私は准一と結婚してるのよ!私は准一の妻よ! 不貞行為であなたを訴えてやる!」
「訴える?私を? ははははははっ~」
「……」
「訴えなさい!訴えても私からは何も取れないわよ」
「慰謝料を請求するわ!」
「請求しても無駄よ。私お金持ってないし…… 無いところからは取れないの。はははっ~」
「事務所の先生に相談するわ!そして給料を差し押さえてやる!」
「先生に? ははははははっ~~」
「何がおかしいのよ!」
「先生にバレたら准一クビになるわよ。私、先生の愛人なの。だから止めときなさい」
「愛人?」
「ええ愛人よ。だから私の言う事は何でも聞いてくれるわ! だから准一をクビにするのは簡単よ。ふふふ…」
「……」
「家のローン、まだまだたくさん残ってるんでしょ?はははっ」
「理恵、あなたって恐ろしい女ね!」
 加奈は息遣いが荒く唇が震えていた。
「そうそう、さっきの音声だけどCDに全部録音しておいたわ! 一部始終、後からゆっくり聞いて」
 理恵はバッグからCDを取り出し加奈に投げつけた。

 翌日理恵は成田空港に向かう途中、フラワーショップに立ち寄った。
「すみません。薔薇の花束を下さい」
「贈り物ですか?」
「はい、ここに届けて下さい」
 理恵は、篠田のマンションの住所が書かれたメモを渡した。
「それから、これを添えて下さい」
 理恵が差し出したのは、1通の手紙だった。
(『先生、私の事は忘れて下さい。長い間、お世話になりました。 理恵』)

 1時間後、理恵は成田空港にいた。
(さよなら、准一……)
 理恵は空港内のゴミ箱に、ボイスレコーダーを捨てた。
 そしてハワイ行きのアナウンスが流れると、理恵は清々しい気分でタラップを登った。



-END-














ネット小説界新進気鋭の麗人作家真理子さん。
愛溢れる官能小説からハードでちょっと危ない体験談まで。
男性を勃たせ、女性を濡らす作品ここにあり。

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