第2章 第12話「臀部検診」














第2章 第12話「臀部検診」

「お尻大きいねぇ?」

 臀部の医師は、開口一番そんなことを言ってきた。
(嫌な人だ……)
 千奈美はすぐに確信していた。
「全くねぇ? 女子高生の診察なんて、チンコ勃ちっぱなしになるから困るよ。そういう意味では、ババアか男の方がマシなんだけどさ」
 そう言って肩を竦めるこの医師は、テント状に膨らんだズボンの有様を隠す気も無く、チンコなどと嫌な単語を女の子の前で平然と口にしている。ニヤけた表情を取り繕う様子も無く、興奮するのは当たり前だと開き直った態度であった。
「そのデカケツ」
 この医師にはデリカシーの欠片もにない。
「じっくり診察してやるから、まあ悪く思うなよ。こっちは仕事が終わるまでオナニーできないんだからな」
 千奈美のお尻を後でゆっくり思い出し、妄想のネタにすることを、よりにもよって本人に対して名言する。散々女体を見せつけられ、自慰行為ができない自分の方が、よっぽど可哀想だと言い張る態度だ。
(こんな人だなんて……)
 初めに行うのは台座の上り下りだ。お尻の可動を観察することにより、肉の揺れ方から症状の有無を判断する診察法である。
 千奈美は階段の上り下りと変わらないような運動を披露して、丸々とした大きな尻山に医師の視線を浴び続けた。
「ほーう? プルップルに揺れるなぁ?」
(そんなこと言われたらやりにくい……)
「ほら、止まらない止まらない」
「……はい」
 脚の運動によって尻肉は上下に稼動し、歩行振動によってプルプルと揺れ動く。それは皿に乗せたゼリーによく似た揺れ方ともいえる。医師の視線がお尻に突き刺さっているのは言うまでもなく、千奈美はじっと下を向きながら堪えていた。

 ぷるんっ、ぷるんっ、ぷるんっ――。

 お尻のバウンド。
「もういいぞ? 健康的なプルプルだった」
「…………」
「次は四つん這いだなぁ?」
 振り向けば、そこにはサディスティックな瞳があった。
 楽しいんだ。
 裸の女の子が辛い思いをしている姿で、この人は楽しんでいるんだ。そんな人にお尻を差し出すポーズを取るなど、いかに相手を喜ばせるかが想像できて、もういっそこの世から消えたくなってしまう。
(透明人間になりたい……!)
 その思いは切実だ。
「さあ、早く早く」
 医師はニヤニヤと笑いながらせかしてきた。
 震えながら四つん這いの姿勢を取る千奈美は、頭と胸を下にして、お尻だけが高くなるような情けないポーズを披露する。ほけんだよりに書かれた指示によるなら、こうすることで自動的に肛門まで丸見えなのだ。
 千奈美からは医師の顔が見えない。医師だけが一方的にお尻を見て、その下にある性器にかけてまで視線を送っている。

 じぃぃぃぃぃぃぃぃ…………。

 視診に移れば、その視線は全てお尻の穴の一点だけに注がれた。
(み、見られて――汚いのに――――!)
 きっと、健一とどんなに仲が進んだって、こうもじっくり見せることなんてない場所だ。同じ裸の視姦でも、乳房は美しいものといえるが、肛門に自信を持つ女の子がこの世界に存在するだろうか。
 汚い場所だ。
 とてもとても、綺麗とはいえない場所だ。

 じぃぃぃぃぃ――。

 一秒だって見せたくない穴が、何秒も何秒も見られている。
 果たして、これが健一の頼みであったら、自分はお尻の穴を見せるだろうか。マニアックな頼みについていけるかはわからないが、少なくとも健一の前で恥ずかしいのと、今ここで恥ずかしいのは意味が違う。
 恋人の前で裸になるのはもっと甘い。
 今は、辛い。
 千奈美は激痛でも堪えるような歪んだ表情で歯を食い縛り、固く拳を握り締めながら、本当に賢明に耐えていた。

 ぺしん!

 突如として尻たぶを叩かれると、千奈美は頭を真っ白にして目を見開く。
「打診だからねー」
 そう言って、医師は両手でタップを始めた。

 ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ、ぺちっ――。

 リズミカルにドラムを鳴らす感覚で、左右交互の尻たぶに平手をぶつけ、素肌を叩く際の軽い打撃音を鳴らしている。

 ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ、ぷるっ――。

 尻の柔らかいバウンドは、実に小刻みに繰り返され、肉がその都度波打っている。
(……やだ! こんなのやだ!)
 ようやく手が止まったと思えば、次に始まるのは触診である。尻全体をまんべんなく調べる必要があるからして、当然じっくりと撫で回す。尻肌の表面を手の平が蠢き、その生温かい摩擦を千奈美は如実に感じていた。
 ぐにっ、と揉み込む。
 強弱のついた指が縦横無尽に躍っては、柔らかなパン生地のように変形を繰り返す。上端部分を集中的に揉みしだき、中部から下弦へかけて、指の蠢きは移動して、太ももの付け根あたりを揉んでは上へと戻った。
 何度か上下に往復すると、肛門の上に指の腹が押し付けられた。
(いやぁ…………)
 ぐにぐにと、お尻の穴を揉んでくる。
 それが終わると、今度は左右の尻たぶにべったりと手が置かれ、医師から次の指示が飛ばされてきた。
「お尻の穴に力を入れたり抜いたりしようか」
「……はい」
 そうしなければ終わらない。
 こんな時間、一秒でも早く終わって欲しい。
 早く、早く終わって欲しい。
 だからこそ、大人しく従う千奈美は肛門括約筋に力を入れ、放射状の皺を収縮させた。尻肉全体が強張ることで引き絞られた肛門は、力が抜けることで元の皺の長さに立ち戻る。ギュッと再び力を入れては小さく窄まり、また緩んでは立ち戻る。
「うん。オッケーオッケー」
「もういいですか……?」
「うーん。もうちょっとだねぇ?」
 力めば力むほど、尻部の筋肉にしっかり力が入るほど、釘付けの視線は熱く突き刺さる。まるでレーザーの出力が強まるように、皺の一つ一つが焼かれている思いがしていた。
「あとは直腸検診だから、指入れるよ」
 無遠慮な指の感触が、尻穴にゼリーを塗りたくる。
(いやぁ……!)
 指の挿入が行われた。
 嫌過ぎる異物感が、内側を探っている。
「うーん。どうかなぁ?」
 わざとらしい態度は、本当に診察なのか、単なるセクハラなのか区別がつかない。そんな男の前であろうと、千奈美はただ耐え忍ぶばかりであった。




(つづきは未定です)



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