ものすごい緊張感……。
だって中学まではブラを付けてても良かったのに、あたしの入った高校だと、内科検診は上半身裸じゃないといけないらしいの。それが本来のやり方で、衣服の邪魔がない方が正しい診察がしやすいんだとか。 女医が相手ならって思ったけど、そうもいかない。 医者は普通にオッサンらしい。 「あー……。鬱だわ」 列に並んでとうとう順番が回ってきて、あたしは衝立に囲まれた中に入って、オッサンの前で制服を脱ぐ羽目に……。 ああ、最悪。 何が悲しくて、こんな彼氏でもないオッサンにおっぱい見せなきゃいけないんだろ。でも看護婦さんが傍にいるから、男と一体一になるよりはなんか安心だ。 あたしはブレザーのボタンを外していき、まずはワイシャツ姿になる。脱いだものは看護婦さんが受け取って、脱衣カゴに畳んで置いてくれた。首からリボンを取って、いよいよワイシャツのボタンを外す。 ほんとに緊張してきた。 ボタンを上から一個ずつ外していくたびに、心臓ばくばく。少しずつあたしの肌が曝け出されて、裾から腕を引き抜くと、いよいよ上はブラジャーだけになった。 ここからが本番だよね。 下着までなら、中学でも見せていたし。 あたしは決心を込めて背中に腕を回していき、指でホックを探り当てる。パチンと外し、カップを緩める。腕でカップが落ちないように押さえつつ、肩のブラ紐を順番に下げていく。腕でおっぱいを隠したまま、隙間からブラジャーだけを引き抜いて、看護婦さんに手渡した。 もう、ホントに恥ずかしい。 両腕で隠してるっていうだけで、男の前で裸になっちゃった。 しかもオッサン。 今夜はショックで寝込めるかも。 「はい。聴診器当てるからねー」 遠まわしに、とっとと腕をどけろって意味なんだろうね。 ああ、オッサンにおっぱい見られる……。 何か阻止できる手段でもあればいいけど、検診なんだから仕方ないのかな。男だったら胸見られたって何でもないだろうに、これが女に生まれた不幸ってやつか。 あたしはさらなる決意を込め、えい! って気持ちで両腕とも下に下ろした。 すぐさま聴診器があたってくる。 ひんやりする。 最初は乳房の真ん中にぴたりと当てられ、今にも指がおっぱいにかすめてきそうでドキドキする。 山のあいだをぺたぺた動き、次に乳首の上から当ててきた。 これ、聴けるの? 心音ちゃんと聴こえるの? あたしの胸、一応ちゃんと膨らんでるから。乳房が邪魔して聴きにくいんじゃないかと思うけど、まさかわざとやってるだろうか。いやまさかね。エロそうなオッサンだけど、医者なら女の体なんて見慣れてるはずっていうか、そうじゃないとあとでオカズにされそうで気が気じゃない。 もう片方の乳にも当てて来るけど、本当に聴けてるんだろうか。 それから、乳房の周囲に何度かぺたぺた当てられて、聴診器の出番は終了だ。 けどね、次が予想外。 「じゃ、触診しまーす」 「え……!」 さ、触ってきやがった! 何の遠慮もなく、さも当然のように両手をあたしのおっぱいに乗っけてきた! 揉み始めた! あ、あ、あたしのおっぱいが……オッサンに揉まれてる! あたしは一瞬固まって、衝撃のあまりすぐには反応できなかった。 二秒か三秒くらいかして、やっと抵抗しようという発想が沸いてくるけど、控えている看護婦さんがまたあたしの腕を後ろから抑えてくる。なにこれ、暴れるなって意味ですか。いやその、確かに反射的に体が逃げそうになりましたけど……。 オッサンの太い指があたしのおっぱいに食い込んで、こねるように揉みしだいてくる。 これ、これって……。 診察? だよね。 思い出した。ちゃんと触診があるって説明あったのに、おっぱい出すだけで緊張し過ぎて忘れてたんだ。 しかしこいつ、だからってちょっとテクニックを駆使しすぎだ。揉まれているうちにだんだんヘンな気分になってきて、正直認めたくない快感が乳房の中に疼き始める。いくらなんでも、これってエロい揉み方じゃない? けど証拠はないし、あたしには触診と単なる乳揉みの区別なんてわかんないし……。 あぁ……。 だとしたらあたしは、例えエロ目的で揉まれてても、黙って終わるの待ってるしかないんじゃん。 うぅ……。 そろそろ終わってくれ……。 心の中で念じた瞬間、不意にオッサンの手が離れる。 お、終わった? と思いきや。 「いひっ!」 乳首摘まれた! しかもあたし、変な声出しちゃったし! 「痛かったかな?」 「い、いえ……」 「じゃあ大丈夫だね」 オッサンはそのまま乳首弄りを続行し、指でぐりぐりつねってくる。人差し指を擦りつけられ、どんどん乳首が熱くなってきて、もうやばい。 頼むオッサン、そんな触り方しないでくれ……。 あぁ、息が。 あたし、息が乱れてる。 これじゃあ、ホントにエッチな子じゃないか。 あぁ……。 早く、早く終わって……! はぁ、はぁ……。 ようやく着替え直した時、これって最低でも十分以上は揉まれたんじゃないだろうかと思って時計を確認した。あれ絶対長かったし、きっとあのオッサン楽しみやがった。間違いない。あいつエロい。 って、思ったけど……。 「三分? あれで経ったの三分?」 嘘だよね。 でも、入るまえにもちゃんと時間見といたし、間違いようないし……。 じゃあ、これってそんなに時間が長く感じてたのか。 あたしの体感時間じゃ、三十分は揉まれた気分だったけどなぁ……。 けど、まあ。 とにかく解放されて安心した。 完 ★黒塚さん投稿作品一覧★ 少女に恥ずかしい検査や診察を行う羞恥系小説と自作のイラストがメイン。 筆者・作者は黒塚さん。 黒塚工房 |