自分だけが特別なのだと思っていた。
しかし、実際に習い事のコーチや部活の顧問が行き過ぎた指導を行い、例えば部員を殴るだとかいうニュースが報道された。女子生徒に対する猥褻行為だなんて事件もあり、自分以外にも、きっと同じ目に遭っている子はいるのだろうなと、黄山稜子は薄っすらと感じた。 「服を脱ぎなさい」 稜子に告げるバスケ部のコーチ。 「……はい」 稜子はユニフォームを脱ぎ始めた。 逆らえないのだ。 スポーツ推薦で入学してきた稜子としては、決してレギュラーを落とされるわけにはいかないし、この高校は全国大会などの実績を持つ強豪校には違いない。過度な指導だと内心では思うものの、コーチの指導者としての腕自体は本物だ。この行き過ぎた指導も、わざとそうしているのかもしれない。 しかし、とはいえ――。 全裸になるのは初めてだった。 もう恥ずかしくて仕方が無い。 コーチはなんて厳しいのだろう。 初めて入部した頃もそうだ。 練習で実力を見せ、稜子の素質を認めたコーチは、個別の呼び出しで二人きりになり、いきなり命令してきたのだ。 「スカートをたくし上げなさい」 「……?」 当然、驚いた。 「たくし上げなさい」 「え、どうしてですか? だって、そんな問題のあることを……」 「いいから!」 口答えをすると、コートは怒鳴る。 鬼のような形相なので、さすがに驚いた。 「いいかい? 黄山稜子さん。あなたは素晴らしい選手であり、この先の大会で活躍するべき我が校の優秀な部員だといえる」 「は、はい」 「だからこそ、僕は厳しくする。優秀で、可能性のある選手であるほど、僕なりの指導方法で導いていくつもりだ」 「それで、どうしてそんな……」 恐る恐る尋ねると、鬼の形相だったコーチは途端に、まるで仮面の付け替えでもしたかのようにすんなりと表情を変え、優しく穏やかなお兄さんといった微笑みを浮かべる。三十代とはいえ歳より若く見えるので、顔だけを見る分には、オジサンよりはお兄さんだ。 「見せるのは恥ずかしいだろう?」 「当たり前です」 「だからなんだよ。だから、コーチと選手で上下関係はきっちりつける。本来ならそこまでの必要はないけど、君は特別な子だ。才能がある。だから、レギュラーでなければありえない指導を君に行う」 「私が、特別……?」 「そう。特別」 「本当ですか?」 「本当だよ」 「……じゃあ、信じます。スカートを持ち上げるんですよね」 稜子は恐る恐るたくし上げ、恥を堪えた気持ちで、水色のショーツを見せる。コーチは目の前に屈み込み、下腹部にじっくり顔を近づけ、ショーツの柄を観察してきた。 「君は今日から、言われたらすぐに下着を見せなくてはならない」 「……はい」 「返事は? 声が小さい!」 「はい!」 「よし、今日はここまででいいだろう。これから練習はきっちりやりなさい」 「はい!」 そうして初めて下着を見せた日から、週に数回以上はたくし上げの命令を受け、稜子は何度もショーツを見せた。 レギュラー全員が横一列に整列して、一斉に見せたこともある。 「全員! たくし上げ!」 というコーチの声で、みんなでスカートの中身を見せた。 ユニフォームを両方脱ぎ、下着姿で練習をすることもあれば、ミスをしたメンバーのお尻を叩くこともあり、稜子は何度も叩かれている。 全員が、一度は必ずやられている。 レギュラーみんなが見ている前で、膝の上に乗せられて、お尻をパンパン叩かれる。 アメとムチだ。 こんなことをしてくる分、試合で勝てば焼肉を奢ってくれたり、勉強でわからないところの相談に乗ったり、悩みを聞いたり、優しくする。 そして……。 そんなコーチを信頼というか、怖いからというか、何というか。何がなんだかわからないうちに従うことが当たり前になっていて、裸になれという命令にも、稜子はほとんど素直に従っていた。 「…………脱ぎました」 想像以上に恥ずかしかった。 これまで何度も、下着姿は見られているが、こうして全ての肌を出すのは初めてだ。乳首を見られるのも、アソコを見られるのも、思った以上の羞恥にかられ、肩が小さく縮んでしまう。 「いい胸だな」 「……えっ」 「きちんと上を向いている。大胸筋が鍛えられている証拠だ」 「あ、ありがとうございます」 恥部に関するコメントには、ますます顔が赤く染まった。 「アソコの毛は剃ってるんだな」 「ええと、その……。一応」 「尻を見せろ」 「――はい!」 後ろを向く。尻に視線が集中する。 「いい形だな。ふっくらしている」 「あ、ええと……」 「犬のように四つん這いになり、尻を高く掲げてみせろ!」 「はい!」 稜子は床に両手をつき、胸をほとんど下にくっつけ、下半身だけが高々と持ち上げられた恥穴の丸見えな姿勢となる。すぐにコーチは後ろに屈み、尻に顔が接近してくる気配がわかり、アソコも肛門も、まじまじと見られているのがよくわかった。 「宣言しろ。私は必ず優勝しますと」 「――私は必ず優勝します!」 「どんな強豪チームが相手だろうと諦めない」 「――どんな強豪チームが相手でも諦めません!」 「ならば仰向けになって、オナニーしてみせろ!」 「あぅ……。ううっ、はい!」 稜子は本当に悲しげになりながら、それでも大きな声で返事をした。仰向けで足を開き、秘所を弄り回す姿をじっくりと鑑賞してもらった。 完 ★黒塚さん投稿作品一覧★ 少女に恥ずかしい検査や診察を行う羞恥系小説と自作のイラストがメイン。 筆者・作者は黒塚さん。 黒塚工房 |