官能小説『私の妻お貸しします』
 


かい







第1話


 昼休み、いつものように某掲示板を見ていた大輔は思わず椅子から落ちそうになった。
『お客様の手を煩わせぬようMぎみに調教済みです。レンタル料は1日5万円です。ご興味のある方はこちらのアドレスにメール下さい』
(まじかよ~)
 大輔は今まで自分をSだと感じたことはない。
 彼女もいて、普通にセックスをしている。
 このままいけば、あと1~2年で結婚の話が出るかもしれない。
 満ち足りているといえばそうであるが、しかし独身のうちに寄り道してみたい気もする。
(でも、まあ、こんなのどうでもいいや)
 掲示板を閉じ、仕事に戻った。

 大輔はIT企業に勤める会社員。
 当たり前だが、仕事はハードだ。
 残業、休日出勤はザラで、そのせいで彼女と喧嘩になることもある。
 今日は彼女の誕生日だ。
 それなのに、急な仕事で夜遅くまで残業になった。
 夕方、彼女と電話で大喧嘩をした。
「何よ、こんな急にドタキャンなんてひどいじゃないの」
「ごめん。大事なクライアントの……」
「私と仕事とどっちが大事なのよ!」
「そんなの選べないだろう。わかってくれよ」
 ツー・ツー・ツー……
 一方的に切られた。

 皆が帰った暗い社内で一人パソコンを操作する。
「はぁ、眠い」
 さっきからコーヒーを何杯飲んだことか。
 眠気覚ましにいつもの某掲示板にアクセスした。
(あ、そうだ。昼間の妙な書き込み、消されちゃってるかな)
 書き込みを過去にさかのぼっていくと、まだ残っていた。
(はぁ~、なんかむしゃくしゃするから、ちょっと冷やかしてみようかな)
 指がキーボードを叩き始める。
『はじめまして。まだお借りするかどうかはわかりませんが、興味があるのでメールしました。奥様はどんな方でしょうか……』
 送信して10分後、返事が来た。
『お問い合わせありがとうございます。妻のレイコは30代前半、顔は女優の×○涼子に似ております。色白でスタイルはよいほうだと思います』  大輔はさらにメールを打った。
『写真を見ることは可能ですか』
 返事はすぐに返ってきた。
 添付してある写真を見た。
 女が下着姿で床に寝かされている。
 色白で、足がすらりとしている。
 ひざ周りに無駄な肉がなく、立ち上がったらどんな脚線美なのかと想像し、つばをごくんと飲み込んだ。
 顔は目の部分にモザイクが入れてあるが、額のカーブ、輪郭、形のいい鼻と唇を見て、それだけで相当美しい女だということがわかる。
 5分後に再びメールが来た。
『気に入っていただけましたか』
 大輔は考えた。
(彼女とはこんなだし、最近職場と家の往復だし、いいことないもんなぁ。5万でこんないい女とデートできるなら……)
『ええ、気に入りました。具体的にはどういうふうにすればいいですか。場所と時間は……』

 数日後、大輔は約束の場所に立っていた。
 夜7時の待ち合わせを10分過ぎているのに、まだ相手は現れない。
(俺、もしかしてだまされたんだろうか……)
 突然、後ろから女性の声がした。
「ケイスケさんですか」
 大輔はケイスケという偽名を使って約束をしていた。
 どんな女でも驚かないようにしよう……と、ゆっくりと後ろを振り向いた。
「うわ……」
 絶句した。
 何ていったらよいのだろう。女優も務められるほどの美しさだ。
 色白の整った美貌、胸のあたりまである緩やかな栗色の巻き髪。
 濃い葡萄色のワンピースを上品に着こなしている。
「私、レイコです」
「あ、あの、あの、俺、ケイスケです」
「今日はエスコートよろしくお願いしますね」
「は、はいっ」
(ど、どうしよう。何したらいいんだ。気楽にデートなんてできるような雰囲気じゃないぞ。何なんだ、この綺麗さは!)
 それからしばらく何も言い出さない大輔に、レイコは緊張を解きほぐすように言った。
「ケイスケさん、仕事帰りじゃないの? おなかすきませんか?」
「は、はあ、そうですね」
 とりあえず近くにあるイタリアンに入ることにした。


 店内の赤い照明で見るレイコはさらに美しかった。
 ワインが少し回ってきたころ、酒の力も借りて、大輔はぼちぼち話せるようになってきた。
 大輔のどんな話もレイコは興味深そうに聞いてくれる。
 にっこり笑ったり、あいづちを打ったり、少々コメントをしたり。
 それに大輔をさらに気分よくしたのは、周りの客の目がレイコに注がれていることだ。
 男性客はもちろん、女性客も嫉妬どころか羨望のまなざしで見ている。
「ケイスケさん」
「は、はい」
「私、飲み過ぎちゃったみたい。少しお休みしたいの」

* * * * *

   2人はホテルにいた。
(ええっ、いいのかよ、こんな展開!)
 心とは裏腹に、体中の血が一点に集まってくるのを感じていた。





第2話


 レイコはソファに深くもたれかかっている。
 美しい顔を上に向けて。
 もしかして気分が悪いのかと思い、大輔は水を渡した。
「ありがとう」
 水を半分ほど飲み、再び天井に顔を向け、目を閉じた。
 さっきからレイコはずっとこのままでいる。

(何だかなぁ)
 ホテルに入った時点で想像していたようなエロティックな展開にはなかなか至らない。
 下半身もだんだんと平静を取り戻している。
(俺、帰ろうかな。この前喧嘩した彼女に電話でもしてみるか)
「じゃ、俺このへんで帰りま……」
と言いかけたところで、レイコは目を開いた。
 黒目がちな瞳で大輔を見つめる。
「嫌……」
「え」
「レイコを一人にしないで」
 大輔の首に腕を巻け、半開きにした唇を近づけてきた。

 さっき飲んだワインの芳香を感じながら舌を絡め合う。
 この女は何と甘い舌をしているのだろう。
 よく伸びるしなやかな舌。
 若い下半身はすぐに硬さを取り戻した。
「シャワー使う?」
「レイコ、このままがいい」
「そ、そうか?」

 大輔の手は膝頭から太ももへと移動する。
 指はむっちりとした肌感を楽しみ、さらに奥を目指す。
 シャリシャリとしたレースの感触があった。
「う……ん」
 この先も許してもらえそうだと判断し、ショーツの上の部分から指を侵入させた。
 締まった腹部の下には草むらが続き、指はそのさらに下の秘肉を探り当てる。
「え?」
 大輔は一瞬凍り付いた。
 乾いた感触。
(どうして……だ?)
 もう少し愛撫を続けてみたが、反応はない。
(何だってんだ)
 このままでは次に進めそうもない。さっき帰ったほうがよかったんだろうか。
 自尊心が傷つけられたような気がして、つい汚い言葉を吐いてしまった。
「なんだよ。自分からホテルに誘い込んでおいて。とんだマグロだぜ。見かけは綺麗でも、ここはとんだ役立たずだ」
「ごめんなさい。あっ……あっ……」
 レイコが悲しそうな顔をするのと同時に、指の滑りが急によくなった。
(あれ?)
 猫がミルクを飲むような音がしだした。
「恥ずかしい」
 レイコは困ったような表情をした。

(そうか、なんとなくわかってきたぞ)
『M気味に調教済みです』の言葉がリフレインする。

「レイコさん」
「レイコって呼んで」
「レイコ、着てるものを一枚ずつ脱げ」
「は、はい」




第3話


 ソファから立ち上がり、器用に背中のファスナーを外す。
 葡萄色のワンピースの両肩を外すと、すとんと足元に落ちた。
(ほお……)
 きめ細かく磨かれた肌はしっとりと輝いている。
 ウエストから臀部にかけての見事なマーメイドライン。
 一目で高価なものとわかる黒い下着が神秘の部分を隠している。
「あと2枚残ってるぞ」
「……」
「ここまで来てもったいぶるなよ」
「……はい」
 背中の後ろに手を回し、ブラジャーのホックを外す。
 片方ずつゆっくりと腕を抜くと、細身の体には少し重そうな乳房が弾んだ。
 すぐに両手でそれを覆う。
「手を取れ」
「恥ずかしいわ」
「邪魔だ」
 レイコはもじもじしながら手をそっと体の両側におろした。
 乳房があらわになる。
 ほどよい色合いの乳首はつんと上を向いている。
(すげえ。何かのグラビアに出ていてもおかしくないぐらいだ)
「そこでゆっくり1回転して」
 改めて全身を見た。
 相当美容に気を遣っているのだろう。
 無駄な肉のない背中、きゅっと上がった尻。
 どの部分の肌も手入れが行き届いている。
 (すばらしい……)
 乳房より下に目線を移していった。
 腹と足の間にあるショーツに視線が止まる。
「あと1枚」
「でも、これを取ったらレイコ裸になっちゃう」
「命令だ」
「恥ずかしい……」
 大輔より少し年上であろうレイコが子供のように嫌々をしている。
「言うこと聞かないなら、こうするぞ」
 無理やり脱がせようと、大輔がショーツに手をかける。
「だめ、破けちゃうわ。自分で脱ぎます」

 一糸まとわぬ姿のレイコ。
 恥ずかしいのか、目を合わせようとしない。
 両手は草むらに添えられている。
「手をどけて」
「見えちゃう」
「いいからどけろ」
 レイコはかたくなに拒んでいる。
「言うこと聞けないんだな。お仕置きだ」
「え、何?」

 レイコの手をとり、ベッドへ連れていき、寝かせた。
 足を開こうとすると、精いっぱいの力で抵抗する。
「だめ。ほんとに恥ずかしいの」
 いくら抵抗しても男の力にかなうはずがない。
 ぐいっとM字に足は開かれた。
「おおっ……」
 大輔は息をのんだ。
 美容に気を遣うレイコらしく、整えられたヘア。
 足に引っ張られるように開かれているクレバス。
 少しグレーがかった花びらの中心は深紅色。
 まさに大人の女性自身であった。

 大輔は自分が幼く思えてきた。
 レイコは大人の女。
 普通なら大輔がリードされてもおかしくはないだろう。
 だけど、レイコは辱められなくては感じない女なのだ。
 いきなりこんな言葉が口に出た。
「ふふふ、おま○こ丸見えだ」

  「いやぁぁぁ」
 レイコは腰をもじもじと振った。




第4話


「見ないで。お願い」
「いい眺めだよ」
 大輔の下半身は痛いぐらいに張っているが、今はレイコを攻めたかった。

「だいぶ使い込んでそうだな」
 人差し指で秘裂を縦になぞると、くちゅっと音がする。
「あ……」
「今まで何人の男とヤったんだ」
「そんなこと言えないわ……」
「旦那とは週に何回くらい?」
「聞かないで。恥ずかしい」
「何も教えてくれないんだな。もっと恥ずかしくするぞ」
 ぷっくりとした花びらを左右に引っ張ると、神秘のオアシスが姿を現した。
「すげえ。こんなにはっきりおま○こを見たのは初めてだよ」
「恥ずかしい……お願いだからやめて」
 レイコは腰を左右に揺らして抵抗した。
「うるさいなぁ」
 大輔の舌が花びらの上に顔をのぞかせていた蕾をとらえる。
「あ……」
 衣を脱がされむき出しになっている蕾を舌で転がす。
「ああっっっ」
「おいしいよ、レイコのラブジュース」
「だめよ……だめよ……」
 ぷっくりとした蕾は舌で刺激すると尖るぐらいに主張してくる。
「あん……もうやめて……そんなことされたらイっちゃう……」
 大輔は顔を上げた。
「クンニしてたらイくとこ見えないからねぇ」
「やめ……ちゃうの?」
「なんだ。もっとしてほしかったのか?」
 レイコは何かをこらえるような恥ずかしそうな表情で小さくうなずく。

 大輔は着ている物を脱ぎ捨てた。
 衣服から解放されたペニスは腹にぴたりと張りつき、先端からは男の愛液が滲みだしている。
 目の前のヴァギナに入れて目的を果たしたい。
 男の本能ですぐにでもそうしたいが、ぐっとこらえた。

 レイコの秘裂を少し開いて入り口を確かめ、中指を当てた。
 指はそっと中へ進入していく。
「どうだ」
「……いい……」
 指1本なのにすごい密着感だ。
 ぷちぷちとした肉襞を感じる。
 出し入れを続けてもその緊張感は続いている。
「あっ、そこ、いい……」
「これはどうだ」
 反対側の親指で蕾をくちゅくちゅといじりながら、指を2本に増やして出し入れした。
「あっ、ああっっっ」
「いいのか」
「うう……」
 奥のほうをかき出すようにすると、レイコの腰が浮いてきた。
「ああ……どうしよう……私……」
 指の動きを速める。
「ああっっっ……もう……もう……」
「イきそうなのか? イってもいいぞ」
「いっ……イクぅぅぅぅぅ……」
 膣内が大きく収縮するのを指に感じた。
 次の瞬間、大輔のほうへピュッピュッと温かいものが飛んできた。
(うわっ!)

「はあ……はあ……」
 レイコは体の奥深いところで続く痙攣を味わっていた。




第5話(最終回)


 薄く目を開けたレイコはとろんとした表情をしている。
 初対面のときは自分よりずっと大人に見えたのに、今はまるで童女のようだ。
 そんなレイコがいとおしくも思えたが、口からは逆の言葉が出る。
「スケベな女だな」
「ごめんなさい……」
 だが大輔が余裕ぶるのにも限界がきている。
 下半身は熱く膨脹し、欲望をはき出さなくてはおかしくなりそうだ。

 熟したザクロのような入り口にペニスの先を当てた。
「これが欲しいか?」
「あ……」
 ぬるついたクリトリスに亀頭を当て、上下に動かす。
 一度オーガズムを迎えた体は感じやすくなっていて、ビクンビクンと反応する。
「もう一度イキたくないのか?」
「い……イキたいです」
「何でイキたいんだ?」
「これ……で……」
「これじゃわからないよ。何で?」
「お……おちん×んで……」
「おちん×んをどうしてほしい?」
「レイコのお○んこに……入れて……ください……」

 ペニスを再び膣口に当て、少しずつ腰を進ませた。
「うっ」
 大輔は小さく声を上げた。
 ペニスを迎えるようにうごめきつつ、それに反して侵入を拒むようなぴっちりとした内部。
 プチプチとザクロが弾けるような感触を味わいながらペニスを進ませた。
 気をゆるませるとすぐにでも射精してしまいそうだ。
(たまらねぇ……)
 腰を動かしはじめるとレイコは何とも悩ましい表情をした。
「あぁン」
 先端で奥を突くたびにレイコは声を漏らす。
「あっ……ああっ」

 声を出したいのは大輔のほうだ。
 レイコの膣壁は先端から根本まできゅっきゅっと絶妙な加減で締めてくる。
 それにすばらしいのは性器だけではない。
 まれに見る美女とつながっているのだ。

 心臓の鼓動と同じくらいの早さで腰を動かす。
「あ……あン」
 レイコの吐息が顔にかかる。
「いい……奥に当たるぅ……」
 結合部がグチュグチュと音を立てる。
「奥がいいのか」
「はぁン……いい……」
 大輔はレイコの片足を抱えるようにした。
「こうするともっと深いだろ?」
「あ……すごい……おちん×んが奥まで届いてるぅ……」
「どうだ……どうだ……」
「いい……すごくいい……」
(すごくいいのは俺のほうだよ……)
 交わっているあたりから獣臭が立ち上る。
「レイコ……おかしくなっちゃいそう……」
(俺だっておかしくなりそうだよ。こんなのはじめてだ……)
 もうつき合ってる彼女のことなどどうでもよくなってくる。

   抱えていた足を戻し、正常位に戻す。
 大輔は抽送に没頭した。
 クライマックスが近づいているのがわかる。
「はぁ……レイコ……」
「もっと突いて……奥まで突いて……はうぅぅぅ」
「レイコ……レイコ……」
「あっ……いいっ……いいっ……」
「ああ……」
「もう……イキそう……あうっ……」
「俺も……」
「中に……中にください……」
「いいのか……」
「いいの……いっぱい……いっぱい……」
「あ……出る……出る……」
「い……イクうぅぅぅ……」
「うあっ……」
 その瞬間、大輔の腰からペニスに抜けるような快感が走り、レイコの子宮めがけてピュッピュッと精が放たれる。
 目を閉じて長い長い射精感を味わった。
「うぅ……」
 大輔は魂が抜かれるような疲労感に襲われ、ベッドに深く沈んでいった。  

* * * * *

 どれくらい眠っていただろうか、大輔が目を覚ますとレイコはすっかり身支度を整えていた。
「もう帰るの?」
「ええ。今日は楽しかったわ。どうもありがとう」
 ベッドでのことが嘘のように、元の凛としたレイコに戻っていた。
(また会いたい。あの身体を一度知ったら忘れることは無理だよ……)
 大輔はおそるおそる尋ねた。
「あのぅ……また俺とデートしてもらえますか」
 レイコはふふっと微笑し、答えた。

「またメールください。1回ごとにレンタル料は50%増しになります」















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