海作 |
第1話 春子は専業主婦である。 マンションで夫と2人暮らし。一人息子は結婚して近県に住んでいる。 夫はけさ 「今夜は接待だ」 と言っていた。 たぶん午前様だろう。 春子は、夫は浮気してると読んでいる。 50代半ばで健康な男ならセックスはできると思う。 それなのに、自分とはここ数年間夫婦生活がない。 夫はお洒落に気を遣うほうだ。金も持っている。 どこかで若い女とセックスを楽しんでいるに違いない。 夫は午前様のときは風呂に入らない。 その晩、春子は入浴した後、換気のため浴室の窓を開け、バスタブの湯を落とし、軽く掃除をしていた。 すると、上階の浴室から何やら聞こえてくる。 「背中流してやるよ」 「うふふ」 ──何? 上のご夫婦、一緒にお風呂に入ってるのかしら。 春子は物音を立てないようにし、上から聞こえる音に耳を澄ませた。 このマンションは浴室の窓の外が1階から最上階まで吹き抜けになっている。 上の夫婦は小学生低学年の子供と3人暮らしだ。 3LDKとはいえ、ある程度成長した子供がいると部屋では夫婦のコミュニケーションがしにくいのだろう。 ──なるほどね。裸でいても、お風呂場だったら子供に見られたって不自然じゃないしね。 若い夫婦はたっぷりと泡を立てて身体を洗い合っていた。 「真理の背中は真っ白で綺麗だなぁ」 「よしくんったら」 「次はここだな」 夫、義明は後ろから真理の腹を撫で、その手を徐々に下に移動していく。 「大事なところは手で洗わなくちゃな」 真理の茂みが泡越しに優しく指に絡んでくる。 「夏だしさぁ、剃っちゃおうか」 「ええっ? 急に婦人科に見せることがあったら困るぅ」 「そうかもしれないけどさ。ツルツルにしたらそそるだろうなぁ」 義明は茂みをかき分け、指を上下に動かす。丹念に、丹念に。 「ここって汚れがたまりやすいからね」 「あ…あん」 「もう感じてきたのか」 「だってぇ」 指は可愛い膨らみをとらえ、円を描くように動かした。 「あん、だめぇ」 「ここは、こういうときに綺麗にしないと」 「あぁ」 指の動きが小さな円から少し大きな楕円を描くようになる。 「はっきりわかるよ。真理のここ、硬くなってる」 あいている左手で真理の乳首に触れた。 「おっぱいも喜んでるよ」 「あ……いや……」 泡に包まれながら愛撫されるって、何て気持ちいいのだろうと真理は思う。 「自分で下のほう、いじってごらん」 「恥ずかしい」 「ほら、こうやって」 義明は手を添えて動きを補助してやる。 「あっ、ああん」 自分で自分のものをいじるなんて、とっても恥ずかしいと思うのに、真理の指は自然とある部分に行き着いた。 「……ここ感じる」 「自分で気持ちいいようにしてごらん」 つぼみに当てられた指は、義明の補助なしでも上下に動きだす。 「気持ちいいだろ」 「うん、いい……」 指の動きがだんだん大きく、早くなってきた。 「あっ、あっ」 真理は、ぬるぬるになった秘裂をこすり上げる。 「あっ、ふぅぅん、いいっ」 「いいの? いいの?」 乳首をいじりながら義明が聞いてくる。 「あっ、だめぇっ、いきそう」 真理は上半身を少し反らしながら指を懸命に動かす。 「あっ、もう、くる……」 「真理……」 「あーッ、いくっ、いくっ……」 義明に肩を支えられながら、真理はひとり快楽の海に沈んだ。 ──やだ、あの奥さん自分でいっちゃったよ。 階下から春子は真理のオーガズムの小さな悲鳴を聞いた。 ──なんだか、ちょっといいなぁ。 春子は下半身がむずむずしてきた。 「真理、今度は俺のも綺麗にして」 「うん」 義明はバスタブに腰かけた。股間のものは立派に上を向いている。 真理は両手に泡をつけ、包み込むように夫のそれを上下にマッサージした。 「気持ちいい?」 「最高だよ」 義明のそれは、腹にぴったりとはりつき、痛々しいほどになっている。 真理はシャワーで泡を流し、義明の大事なものに唇をそっと寄せた。 「お口でも可愛がってあげる」 第2話 真理は頬をすぼませながら、頭を上下させている。 「んあぁ…いい」 義明は低い声であえいだ。 「よしくん、愛してるよ」 今度はソフトクリームを舐めるように舌を下から上に動かした。 上目遣いに義明を見る。湯気で潤った真理の肌は実にセクシーだ。 「おいしいか」 「うん」 義明は、奉仕してくれる真理への愛しさを感じた。下半身はマックスになっている。 「ああ……このまま出ちゃいそうだよ。後ろから挿れるよ」 真理は壁に手をつき、腰をかがめて洗いたてのつるんとした尻を突き出した。 「いくよ」 潤んだそこは義明をにゅるんと迎え入れる。 「ああっ」 真理は姿勢を少し低くした。 義明は真理の腰をつかみ、動き始めた。 「真理のアソコと俺の、つながってるよ」 「恥ずかしい……」 階下の春子はなんともいやらしい気分になってきた。 たまらなくなり、指を自分の下腹部に持っていった。 まだバスローブの下には何もつけていないので、指はすぐに目的に触れた。 ──さっき、あの奥さん自分で自分のをいじっていっちゃったよねぇ。こうやって、こうやって。ああっ…… 義明は徐々に動きを速めていった。真理は自分の奥深くにそれがあたるのを感じていた。 「あっ、ああっ」 「どうだ、いいか」 「いいよぅ……」 「どこがいいんだ?」 「やだ……エッチ……」 真理はさらに尻を突き出してきた。 「あっ、はうっ、もっと、もっと」 義明夫婦の秘め事を聞きながら、春子は指に力をこめていった。 夫とベッドで揺れていたときを思い出しながら。 ──ああ、こんなことしたっけねぇ…… 義明と真理はからだじゅうが粘膜になってしまったかのような快感に酔っていた。 「よしくん……もうだめ……い……きそう」 「真理……」 「来て」 「中で……いい?」 「うん……あっっ……」 2人は同時に頂上まで駆け上がる。 義明は全部放ち終わるまで妻の腰をつかんでいた。 真理は一滴も残さず自分の中に受け入れた。 春子もまたそのときを迎えようとしていた。 「あっ、ああっ」 無心で摩擦を続けた。 「あっ、いい……」 指のスピードはどんどん速まってゆく。 「ああ……いく……ああっ」 目を閉じ、口を半開きにし、忘れていた官能を思い出していた。 「ああっ、いくっ! いくっ!」 春子は洗面所の鏡を見た。 そこには、普段見慣れた疲れた顔ではなく、少し上気した頬の自分が映っている。 ──私も頑張ってみようかな。 いつもより念入りに肌の手入れをしようと、寝室に向かった。 -完- |