第1話

中島菜摘 25才 ショップ店員

今日はとても天気の悪い一日でした。
私の働いているショッピングモールでも、雷の音が中まで聴こえてきます。

ちょうどトイレに行こうとエレベータに乗った時、急にガタンという音が響き、室内が暗くなりました。
すぐに非常用の薄暗い照明がつきましたが、エレベータは動きだしそうにありません。

一緒に乗り合わせた同年代っぽいスーツの男性が、非常ボタンや非常通話口を触っていますが、無反応です。

「これは停電して、完全に止まったみたいだ。大丈夫、地震じゃないからすぐに助けがくるよ」

男性は私のほうを振り向き、そう言ってくれました。
そう、すぐに助けは来るはず。でも、それまで男性と密室の中で二人きりです。

(優しそうな人だし大丈夫かな・・・。でも、トイレ行きたい・・・)

私は今お店で売出し中の、ミニスカートにTシャツという格好。
二人きりの状況で、ちょっと露出が多めなのが気になりました。

案の定、男性は私のほうをじろじろと見てきます。
私、というよりも、太腿やシャツで強調された胸を見ているようです。

「・・・もしかして、トイレ?」

男性は唐突に、そしてストレートに聞いてきました。
私はいつの間にか膝をモジモジと動かしていたみたいです。

「・・・いえ、大丈夫です・・・」

まさか、おしっこしたいなんて言えるわけもありません。
すぐ電気が復旧することを祈り、男性と距離をとって立ったまま待ちました。

5分くらい経ったでしょうか。何も動きはありません。
外からも、誰の声も聞こえてきませんでした。

「おかしいなあ、こんなに長時間の停電なんて・・・」

男性は私に話しかけながら、少しずつ距離を詰めてきます。
鞄越しでしたが、男性がもぞもぞと何かをしているのが分かりました。

(まさか、股間を・・・)

スーツの上から、アレを触っているのが分かりました。
男性の目は私の足や胸を遠慮なく舐めまわすように見てきます。

私の姿を見ながら自慰に耽っている様子でした。
極力気付いていない振りをしながらも、私もどうしても目が行ってしまいます。

男性はその視線に気づいた様子でした。
言葉を発することなく、じわりじわりと私に近づいていきます。



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