優菜の場合 (1)

「イ…イネさま……あ、あたし、胸が……胸が苦しくて……」

 都心にほど近い、ある住宅地。その一角に、そこだけ何故か取り残された、昔からの鎮守の森。
 昼なお暗いほどに鬱蒼と茂る雑木の林。その最奥にひっそりと佇む小さな祠。
 それは知る人ぞ知る陰陽師イネの十四郎の棲家であった。

 時は夕刻。厳しかった冬も終わりに近づく頃、頬を切るような風の中にふと緩やかな春の香りの混じるこの季節では、祠の周囲は既に漆黒の闇に閉ざされている。
 風もなく、木々の咳き一つ聞こえぬ静寂。
 祠の中には四隅におかれた百目蝋燭が、黒い油煙を上げている。それは祠の内部を照らすよりも、その炎の届かぬ辺りの闇を、一層際立たせているかのようであった。
 その祠の中、床もない、荒くれた土間の中央に跪き、掠れた泣き声で必死に陰陽師に呼び掛ける清楚な制服姿の少女が一人。

「イネさま……どうか、どうかあたしを、お、お助けください……この苦しみから……逃れさせて…く…ください」

 ふいに風の音が高まる。
 木々の葉がさざめき、妖しい気が立つ。蝋燭の炎が揺れ、一つ、また一つと消えてゆく。そして遂に闇が辺りを覆い……一瞬の後、蝋燭が燃え上がり闇を払った。
 そして少女の前には陰陽師が姿を現していた。

「あっ、イ…イネさま……ありがとうございます……あたしを助けていただけるのですね……そのために、お姿を見せてくださったのですね……」

 明々と蝋燭に照らされた少女。肩までとどくセミロングの黒い髪に縁取られた化粧の気もない素顔は、しかしそのままでグラビアアイドルが務まりそうなほど愛らしい。その顔が今、深い憂いを湛えて沈んでいる。
 涙に濡れる円らな瞳。通った鼻筋。血の気の失せた、それでも可愛い唇が微かに震えている。
 少女はその顔を、しかし陰陽師が姿を見せたことで、幾許かの安堵を現しながらその顔を上げ、陰陽師を仰ぎ見る。

「お、お願い…します。この胸の苦しみを……」

 言いかける少女の言葉を、陰陽師、イネの十四郎が遮る。

「ふむ、一体どうしたと言うのじゃ。」
「あ……あたし、失恋して……い、いえ……片思いだったのですけど……こ、こ、断られて……そ、それで……」
「それで飯も喉を通らぬと申すか。夜も眠れぬと申すか」
「は、はい……もう一週間も眠れず……な、な……息をするのも苦しくて……」

 そこまで聞いたとき、陰陽師の赤い隈取りの目が妖しく光った。

「よい、診て進ぜようぞ。だが、余の言うことを全て聞けるか。余に全てを任せられるか。どうじゃな」
「は、はい。すべてお言いつけ通りにいたします。すべてお任せいたします。ですから、この、く、苦しみを…」
「よい、もう言わずともよい。・・・さてと、じゃ」

 いつの間に現れたか、陰陽師の背後にある背凭れの高い肘掛椅子に、どっかりと腰を下ろす陰陽師。

「立てぃ。そして答えよ、そちの名はなんという」
「ゆ…優菜です。柏木優菜、○○女子高の2年……もうすぐ3年生になります」

 おずおずと立ち上がりながら答える少女。その姿を、舐めるように見据える陰陽師。

「ふむ、いかにもな名前じゃの。・・・まずは、その上着を取れ」

 えっ、という顔を一瞬見せた少女は、それでも濃紺のブレザーの釦を外し、それを脱いで床に置いた。

「次にそのシャツじゃ。続けて、スカートも脱ぐのじゃ」
「は…い……」

 荒い木綿のシャツの釦を外し、思い切ったように脱ぎ捨てる。
 さらにスカートのホックを外し、ファスナーを下げると、腰をかがめてこれも脱いだ。しかしさすがに下着姿は恥ずかしく、脱いだスカートを手に持ったまま、腰の前に当てている。


優菜の場合 (2)

「どうした、それでは診れぬじゃないか。余の言うことが聞けぬと申すか」

 苛立ちを含んだ陰陽師の声に、慌てたようにスカートも床に置き、下着だけで立ち尽くす少女。

「よし、次はその胸の布を取れ」

 あぁ…小さな呻き。陰陽師の目の前で、その燃えるような眼に見られたまま、さすがに恥ずかしさがこみ上げる。

(…でも、ここで見捨てられたら…)

 両手を後ろに回し、背中のホックを外すと、覚悟を決めたようにブラを両肩から抜き去った。
 黒い靴。脹脛半ばまでの白いソックス。いかにも女子高生な白いショーツ。
 ただそれだけを身に付けた、羞恥の姿。頬が染まっている。

「よい。それでは診て進ぜる。・・・そこに膝をついて、両手を頭の後ろで組むのじゃ」

 少女の頬が、更に染まる。
 ぎこちない動作で両手を上げて、頭の後ろで掌を組み合わせる。

 陰陽師が立ち上がると、少女の両肘にそっと手を当て、ぐっと後ろに反らせた。少女胸が張り出される。

「ふ…うむ……じゃ、のぉ」

 意味不明の呟きを発し、陰陽師が一歩下がる。
 その前に晒される少女。両手を上げ、腋も、胸も、何一つ隠せぬ屈辱のポーズ。
 その胸はまだ幼く、固い膨らみ見せている。その頂きで可憐に盛り上がる乳暈は薄いピンクで、真っ白な乳肌に美しい対比をなしている。乳首は赤ん坊の小指の先程の大きさでしかなく、乳暈の中に隠れるように陥没している。

 再び椅子に腰を下ろした陰陽師が「近こう、よれ」と命ずる。
 膝で、にじるように進む少女。

 と、陰陽師が両手を伸ばし、少女の両の乳首を親指と人差し指で挟むように摘まんだ。
 そしてそのまま、まるで乳首を擂り潰すように揉み上げる。

 初めて他人の指で蹂躙される乳首。その激しすぎる刺激に、堪らず悲鳴を上げ、組んだ両手を振りほどき、胸を庇おうとする少女。

「何をいたすか。それでは治療ができぬによって、このまま捨て置くぞ! よいのじゃな」

 すかさず陰陽師の叱声が飛ぶ。

「あ…あ…、も、申し訳あり…ません」

 再び両手を頭の後ろで組み、胸を張り出す少女。
 陰陽師も何事もなかったかのように、再び乳首を捕らえると、今度は引きちぎらんばかりに捻り上げた。
 と思うと、まるで乳房に埋め込むように揉みしだき、あるいは最初のように捻り潰し、時間をかけて弄んだ。

 陰陽師がやっと手を放した時、少女の乳首は痛々しいほどに充血し、腫れ上がっていた。

「そちの病の源が判ったぞよ。そちの、そのオノコへの想いが邪念となり、悪血となり果て、ここに集まっておるのじゃ。よい。余がこれを散じて進ぜるぞ」

 陰陽師は懐から紙縒りを取り出す。

「この紙縒りが、そちの悪血を散じてくれるのじゃ。よいか、そのために、少しの間、辛抱いたせよの。これは紙縒りといえども、濡れても引っ張っても、決して切れることのない、余の特性の紙縒りじゃでの……」

 そう言いながら、陰陽師が少女の勃起した乳首の根元に、紙縒りを巻きつける。そしてその紙縒りを、固く結んでしまった。
 少女の乳首はその根元を縊られ、一層充血し、それまでの倍はありそうなほどに膨れ上がった。

 満足そうにそれを見やった陰陽師が、つと手を伸ばし、ピン! と乳首を爪で弾いた。

「あっ、きぃいいぃぃいい!」

 堪らず、少女の口から悲鳴が迸る。
 充血させられ、腫れ上がり、いやが上にも敏感にされた急所。それに加えられる刺激に、少女が耐えられるはずはなかった。
 かろうじて頭の後ろで組んだ両手はそのままに、屈辱のポーズは保っているものの、お腹の辺りがヒクヒクと痙攣している。


優菜の場合 (3)

「よい。もう服を着けてよいぞ。じゃが、その胸当て・・・ぶらじゃあとか言うのじゃな・・・は着けてはならぬぞ。直に、そのシャツを着るがよい」

 やっと許された少女、優菜はそそくさとシャツを、そしてスカートを着けた。
 ブレザーの釦を掛け終った時、陰陽師が命じた。

「よいかの、当然のことじゃが、その姿は、余の紙縒りは、誰にも見せてはならんぞよ。今日は寝るまで、その紙縒りに手を触れてもならぬ。風呂に入る時もそのままじゃ、よいの。」

「その紙縒りは、時が至れば自然と解け、何処となく姿を消すであろうでの。今日はそれまでの辛抱じゃ」

「今日より七日の間、毎朝、日の出の刻(とき)に、ここに来るがよいぞ。毎日、これと同じ治療をして進ぜるによってな。その七日が明ければ、そちの病は癒っていようによって、余の命を違(たが)えるでないぞ。」

「判ったら去(い)ね」

 陰陽師はそう言い終ると、霞むようにその姿を消した。
 残された少女が、呆然と祠の中を見回す。

「あれは夢……だったのかしら」

 しかし立ち上がった瞬間、それが夢でなかったことを思い知らされた。
 下着を許されない胸が歩くたびに揺れ、木綿のシャツに擦りつけられる。根元を縛られ、敏感にされた乳首から、悲鳴を上げたいほどの刺激が、全身を駆け巡り頭に突き刺さる。

 思わず両手を胸に当てたその時、虚空から陰陽師の声が降ってきた。

「耐えるのじゃ、耐えるのじゃ、優菜よ。七日の辛抱じゃ。耐え続けるのじゃよ。よいかの……」

 :*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:

 その日、優菜はどうやって家まで帰り着いたのか、記憶がなかった。
 ただただ乳首からの刺激に耐え、それも他人に不信を抱かれぬよう、できるだけ自然な表情を保ち、普通に歩いているよう見せかけるのに必死だったのだ。
 家についても家族に悟られぬよう、あらん限りの意思を総動員する必要があった。

 夜遅く、家族が寝静まった後で風呂に入った。
 見ると乳首は真っ赤に腫れ上がり、手を触れるだけで飛び上るほどにズキズキしていた。

(これを一週間、耐えられるかしら……耐えなくてはならないのね……)

 その夜、優菜は疲れ果てて、眠りに落ちた。
 翌朝、目覚ましが鳴った時、紙縒りは消えていた。乳首の腫れも引き、見かけは普通に戻っていた。
 ただ心なしか、乳房全体が張るように感じた。

 そして毎朝、日の出前に陰陽師の祠を訪ねた。
 陰陽師はもはや姿を見せず、式台に紙縒りが2本、置いてあるだけだった。

 優菜はそれでも、陰陽師に対したように、ショーツだけの裸になり、頭の後ろで両手を組んで胸を突き出した。そしてから自分で乳首に触れ、陰陽師にされたように揉みしだき、捻り上げ刺激を与えた。
 大きく勃起した乳首に紙縒りを宛がうと、紙縒りはまるで生き物のように巻きつき、そして乳首を締め上げた。
 もちろん、シャツを、そしてブレザーを着るとき、ブラは着けなかった。

 優菜は1日中、乳首を縊られたままで過ごした。その刺激は強烈で、時には腰が砕けそうになった。
 通学の、満員電車の中が最悪だった。人に押され、乳房が圧迫されると、目が眩むほどの痛みを感じた。

 そして七日が過ぎた。
 陰陽師が言ったように、優菜の失恋の苦しみは消えていた。

 乳首の刺激に気を逸らせることで、その刺激に耐えるだけで精一杯にさせることで、失恋の苦しみを忘れられた……思い出すだけの余裕がなくなっていたのだ。
 それが1週間・・・七日もその状態を続けると、若い、溌剌とした精神はもともとの回復力を発揮し、失恋の痛手を忘れさせたのだった。

 :*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:

 今日も陰陽師を訪ねる、心に病を持った新たな患者がいるのだろう。
 それはあなたかもしれないが・・・念のため言っておくけど、陰陽師・イネの十四郎は、若い女の患者に、それも美少女と呼ばれる女性にしか興味を持たないから、そうでない人には姿を見せることもないのだよ。












☆ひとみの内緒話さん投稿作品一覧☆







女子大生ひとみさんのちょっと危険でエッチな大冒険。
SMの重鎮イネの十四郎さん直筆の官能小説。
そして多くの皆様からの多彩な投稿作品群
更新は頻繁です。

イネの十四郎さんとひとみさんのHP 『ひとみの内緒話』



























inserted by FC2 system