『牝犬・・・牝猫』



えいと 作







第1話


「礼子!・・・」

ホテルの部屋に入るなり、哲也が背後から覆い被さり礼子を抱きしめる。

「あんっ!! ま、待って・・シャワー浴びてから・・ねっ・・」

年甲斐もなく、サカリのついた少年のごとく迫ってくる哲也を
甘く甘え混じりの声で礼子がなだめる。
だが、哲也の欲情はすでに走り出し、ブレーキがきかなくなっていた。

「シャワーなんて浴びなくていいよ。お互い、臭いままヤろうぜ!」

「礼子の臭いマ○コ嗅がせろよ。俺の臭いチ○ポも嗅がせてやるからさ」

耳元で囁かれる、哲也の毒々しいセリフに礼子が顔を紅く上気させ、
妖しい反応を見せる。
哲也もそんな礼子の反応を見逃すことなく、すかさず責め手を繰り出す。

「ほら・・礼子!俺の臭いチ○ポ嗅いでくれよ」

片手で礼子を抱きしめながら、哲也がおもむろにペニスを露出させる。
そして礼子の手を取り、自分のペニスへと導き、既に堅く勃起した その一物を握らせる。

「あっ・・・・」

手の中で、ビクンビクンと脈打つペニスの熱に礼子が小さく喉を鳴らす。
次第にあたりに哲也のペニスから発するホルモン臭と、
礼子の火照る身体から発せられる優美な香水の香りとが広がり、
得も言われぬ淫靡な芳香が漂い出す。

そしてその麻薬じみた芳香が礼子の理性を徐々に蝕み、奪い去っていく。
さらに、追い打ちをかけるように哲也の手が礼子の豊満な胸を
鷲づかみ、力強く揉み込み出す。

「あっ、ぁん~~~~~~」

とたんに礼子は甘い吐息をこぼし、続けざまに切なく鼻を鳴らして、
快感を示す。礼子の欲情に火が付き始める。

だが、それからの哲也は服の上から胸への愛撫を繰り返すばかりで、
次の責めへは進まなかった。

そこには、ワザと焦れったい快感を与え続け、あぶるように
責める狙いがあった。

「うっ、うぅ~~~ん。ぁ~~」

案の定、トロトロとした責めに礼子は淫靡なフェロモンを
ふりまきながらすすり泣き、どん欲に刺激を求め体を
くねらせ始める。そして、熱棒を握りしめる手に力を込め、
上下にはやしたててくる。

「おいおい、そんなに強くチ○ポしごいたら、
             俺、このままイっちゃうぜ~~~」

哲也が意地悪くたしなめる。

「いっ、いやぁ。イっちゃいやぁー。
         い、意地悪しないで・・・も、もう、私・・」

くるりとした、愛くるしい瞳を涙で潤ませ、哲也を見つめると、
蚊の鳴くような細い声で礼子はさらなる刺激を哀願する。

だが、悲しいマゾの性だろう、礼子の表情はドロドロとした
被虐美に満ち溢れ、逆に哲也のサディズムを一層高めてしまう。

「意地悪しないでだってー? 嘘つくなよ」

「死んだ旦那にさんざん変態プレイ仕込まれたんだろ。
   普通のSEXじゃぁ、満足出来ない。虐めてほしいって
               すがってきたのは礼子の方じゃないか!」

「えっ? どうなんだよ?! 普通のSEXでいいのか?
  それとも、変態らしく虐めてほしいのか?はっきり言って見ろよ!」

哲也が声を一段と張り上げ礼子を問い詰める。
礼子は溢れ出る唾液をコクリと小さく飲み込むと、表情を隠すように
大きくうなだれ、深く陶酔していく。

「い、虐めて・・・。虐めてほしいです・・・」

「礼子を・・礼子を・・・たくさん虐めて下さい・・・・」





第2話


中毒者のうわごとのような口調で礼子が自分の変態的欲望を告白する。

哲也がすかさず礼子の顎を引き上げ、うつむいた顔を上向かせる。
すでにキラつく朱色の口紅を引いた唇は半開き、その奥からは 他物の進入を待ちこがれた舌がモゴモゴと蠢いていた。

哲也が口を大きく開け、舌を差し出す。もう命令は要らなかった。
礼子が自ら進んで差し出された哲也の舌を吸い、絡め取る。

甘い痺れが哲也の後頭部に走る。

「う~ん、よしっ。だいぶ良い子になってきたな。
   それじゃ、次は俺の臭いチ○ポしゃぶってもらおうか?!」

「もう、しゃぶりたくなってきてたんだろ!なぁ~?」

倒錯した世界へと入り込んだ礼子には、もはや理性の
歯止めはなかった。激しい接吻で溢れ出た唾液を口元に
したたらせたまま、破廉恥な衝動を口に出していく。

「はぁ、はい。礼子はもう・・おチ○ポしゃぶりたくて
        たまりません・・・しゃ、しゃぶらせて下さい・・」

卑猥な言葉を口にすることで、マゾの血がより一層騒ぎ出す。
礼子は言い終わるやいなや哲也の前にひざまづき、
股間に顔を寄せていく。

「よし、いいぞ。臭いチ○ポを礼子の口で綺麗にしてくれ」

哲也の(よし!)と共に、強烈なホルモン臭を放つペニスを
礼子がチロチロと飲み込んでいく。

ヌラヌラと裏筋を舌でなぞり、唾液にまみれた唇で
上下の運動を繰り返す。
その巧みなテクニックと礼子の艶やかな美貌が交じり合い、
哲也の男をさらなる高みへと向かい、加速させていく。

ふいに、仁王立ちでしゃぶらせていた哲也がペニスを引き抜き、
ベットへ寝そべる。

「そろそろ礼子のオマ○コも舐めてやるよ。
              服を脱いで俺の顔の上にまたがれ」

「あんっ・・、はぁ、はぁい・・・」

表情の無い、かすれた返事と共に礼子がソロソロと服を脱ぎ出し、
やがて一糸纏わぬ全裸になる。しかし、裸体をさらけ出した事で、
薄れかけていた理性が蘇り、礼子を再び恥じらいが襲う。

「おいっ、何してんだよ。脱いだらさっさとまたがれよ!」

動けないでいる礼子をすかさず哲也がはやし立てる。
そして、その苛立ちを滲ませた叱責に操られるように、
礼子が体をもじつかせながらも哲也の顔を跨いでいく。

「お~ぉ~、すげーな。オマ○コ丸見えだぜ!
  それに臭いもすごいな!う~ん、これが礼子のマ○コ臭か~」

「いっいやん。よ、よして・・・は、恥ずかしい・・・」

「そうか、そうか、恥ずかしいか。でも、興奮するだろ!
              マ○コも、もうこんなに濡れてるぞ」

哲也の言葉が的確にM女の急所を射抜き、礼子の羞恥心を
さらに燃え上がらせる。全身の性感はより敏感に研ぎ澄まされ、
礼子の秘穴がひとりでにヒクつきだす。

そんな卑猥な光景を目の当たりにし、哲也は興奮を抑えきれずに、
嬲る事も忘れ、秘穴に食らいつく。 「あっっ!! あっああ~~~あ~~ん~~~」 ビクンと身体を一度跳ね上げ、一際甲高い声を上げ、礼子が反応を示す。 今までトロトロと弱火にかけるように、嬲られてきた礼子にとって、 ついに味わえる直接的な性器への愛撫は、衝撃のごとき快感を呼び、 身体中を駆け巡る。

「あんっ、あ~~あっぁあ~~~~んっ」

礼子は美しい黒髪を振り乱し、恍惚状態で歓喜に泣き叫ぶ。

哲也の責めもますます熱を帯びる。
ヒクつく秘穴に指を押し入れ、掻き回し、さらにその上部にある
充血しきった肉芽を舌で撫で回す。

「あぐぅんっー、んぁああぁあ~~~ぁあ~~」

「だめっ、そ、そんなにされたら・・・、
        うっぅあっ~、イっ、イっちゃいそ~~~」

畳み掛けるような哲也の責めに、礼子の性感がたちまち
頂上付近まで駆け上がる。





第3話


「あ~~っ、だ、だっだめ! イっ、イ・き・そ・うぅー」

礼子が弓なりに反り返り、悶絶しながら、迫り来る絶頂を知らせる。
だがそこで、急に哲也は愛撫を止めてしまう。

「あん、あー・・・いっ、いやっ。・・どうして・・・」

思いも寄らぬ絶頂間近での中断に、礼子は美貌をゆがませ、
困惑する。

「悪いな礼子!今日はそう簡単にはイかせないぜ。
    俺が良いって言うまでイっちゃだめだ。わかったな」

「そ、そんな・・・・・私、も、もう・・・」

礼子には、もはやそんな余裕など無かった。
欲情が燃えたぎり、快感の虜と化した肉体が、トドメを求めて
疼き、彷徨う。

「お、お願いっ!や、止めないで・・・お願いよ・・」

半開きの唇から唾液をタラリタラリと垂れ流し、
すがるような眼差しで、哲也に懇願する。

そこには、ゾクゾクするほどの被虐美に満ち溢れた、
一匹のM女奴隷が存在するだけで、もはや凛とした美しき
未亡人の姿は無かった。

「わかった、わかった。仕方ないな、
          それじゃそろそろ大好きなチ○ポ入れてやるよ」

「いいか、勝手にイったりするなよ!」

「さぁ、仰向けになって自分で膝を抱えるんだ」

哲也の命令に、飼い犬が従うがごとく、礼子が恥辱のポーズを取る。

必然的に秘穴は開かれ、剥き出しとなり、ビラビラの奥で
待ちこがれヒクついている女芯までもがあらわになる。

「礼子は本当にスケベだなー。
         自分でこんな恥ずかしいポーズまで取ってさぁー」

一気に押し入れてしまいたい気持ちを必死にこらえ、
哲也がまた意地の悪い言葉で、礼子の羞恥心に鞭を入れる。

「あんっ、そ、そんなっ。あー・・言わ・・言わないで・・・」

礼子が恥辱にわななく姿を確認すると、哲也が
ペニスをぬかるんだ秘穴へとあてがう。

「いいか礼子、ゆっくり入れてやるからな、イくんじゃないぞ!」

言葉どうりにゆっくりと、少しずつペニスを押し入れる。

「あっ、あっ、あっ、ああっ、あ~~~ん~~~あぁ~~~」

「おいおい。イくなよ! 勝手にイったらお仕置きするからな」

たちまち、1オクターブ高い泣き声を上げ、歓喜の反応を示す礼子に
再び哲也が注意を促す。
その上でまた、ヌラヌラと絡みついてくるヒダを掻き分けながら、 ペニスを最奥へと押し込んでいく。
じっとりとした快感に、礼子の皮膚がどっと汗ばむ。

そして、ペニスが最奥へと到達する頃には、もはや正体を無くし、 快楽に狂い、泣き叫んでいく。

「あっあ~~ん~。いっ、いい!気持ちいい~~」

「はあぁっ、すっ、すごいよ~。おかしくなりそ~~~~」

哲也もザワザワと蠢く秘穴の感触と、礼子の狂態に促され、
激しく抽送を開始する。

「ああ~~~ん、だぁ・だぁめぇー、あぁ~~~」

「あっ、ああぁっ、わ、私もう・・もうイっちゃいそ~~」

「あんっ、お、お願い!イっ、イっ、イかせて~~。
      おぐっ、おんっ、お願い~~~~~~~~」

礼子が切迫した絶叫で、絶頂の許可を懇願する。
だが、哲也は非情にも、無言のままペニスを引き抜いてしまう。

「あ~~いっ、いやあ~~~。お願い、お願いよ!
   も、もうイかせて・・・私・・私・・おかしくなりそ~~」

額に玉の汗を浮かべ、ほつれた髪を無様に張り付かせたまま、
礼子が涙を浮かべ訴える。
羞恥心を煽られ、ジワジワと快感を与えられ、快感に飲み込まれては 引き戻される。そんな拷問じみた責めの繰り返しに、礼子の女は 限界に来ていた。





第4話


が、しかし、堪えきれなくなっていたのは哲也も同じだった。
これまで礼子を嬲るために、必死に衝動を押し殺してきた。
だがもう男としての本能が哲也を飲み込み始めていた。

「くぅっ、よ、よしっ!わかった!
  それじゃぁ、思いっきり突きまくってやるからな、イっていいぞ」

礼子の程良く肉付いた太ももをしっかり抱え上げ、
哲也が再びペニスを秘穴へと突き刺す。
そして、すぐさま遠慮無く激しいピストン運動を開始する。

「あああああ~~~んぅ~~~、うっんあぁ~~あ」

「だめ、だめ、だめぇ~~~~、んぐぅうー、
     す、すごいっ!すごいいいーーー!うっああ~~」

理性をかなぐり捨て、本能剥き出しで互いを求め合い、
快楽の世界へと入り込んでいく。

ひときわ性臭を漂わせ、粘液をはじかせ、二匹の獣と化していく。

「あっ、あっ、ああっ、イっ・イっ・・イきそうーー」

「ハァッ、ああっ、ハァッーーあぁ~~、
      ぐぅ~ぁ~あっ、ダメッ。イっ・イちゃう~~」

三度目となる絶頂の兆しを礼子が告げる。

「おっ、おうっ! ヨシッ、俺もイきそうだ!
   イっていいぞー。思いっきりイけ~~~~~!!」

哲也も堪えていた衝動を爆発させるように、
さらに激しく腰を振る。

「あぐぅ~~、あんぐぅっ、あうっ、ああぁ~~ぁおお~~」

「だ、だっ、だめっ・・いいっ、イ・イっ・・イくぅう~~~~」

「ああがぁぁあぁ~~~~~~~」

すざましい咆吼と共に、礼子が身体を仰け反らせ
快楽の頂へと昇り詰める。

ようやく味わう事が出来た絶頂感に、全身に痙攣を走らせ
歓喜する。そしてその痙攣はペニスをくわえる秘穴にまで広がり、
哲也をギュウギュウと締め上げる。

「おお~! 俺もイくぞ~~。口に出すからしっかり飲めよー」

哲也もたまらず限界を告げると、礼子の口内へ白濁液を
放出させていく。

それをビクンビクンと今だ痙攣の収まらない礼子が
恍惚の表情で、ゴクリゴクリと飲み込む。
そして、放出が止んでもなお愛おしそうに丹念に
ペニスを舐め上げる。

「う~ん、ヨ、ヨシッ。もういいぞ。ふぅ~、良かったよ礼子!」

賞賛の言葉と共に、礼子の頭をくしゃくしゃと撫でる。
そんな哲也の言葉と行為に、礼子はまるで飼い主に
褒められた犬のように、幸福そうな表情を浮かべ、
そのまま、まどろんでいった。





第5話(最終回)


「なぁ、礼子・・。旦那亡くして何年になる?」

事を終え、眠りに付こうと二人を静寂が包み始めたとき、
突然、哲也がぼそりとつぶやく。

「う~~ん、5年・・・」

寝付きの良い礼子が半分眠りながら答える。
哲也はそんな言葉の続かない礼子との会話を途切れさせないように、
すぐさま、またぼそりと独り言じみた返事を返す。

「そうか・・5年かぁ~~~」

「・・・・う・ん・・・・・・」

もはや礼子の返事は寝息混じりとなり、もう眠りに付きたいと
ばかりに寝返りを打つ。
再び静寂な時間が流れる。だが、ほどなくして哲也が小さな
咳払いをする。そして、意を決したように話を切り出す。

「なぁ、礼子。俺たち一緒にならないか?」

「妻とは別れる。
   礼子だって5年も経てば再婚してもいいころだろ」

「なぁ、どうかな?」

照れを隠すため、哲也はあえて天井を見つめたまま
返事を待った。だが、礼子からの返事が返ってこない。
哲也は薄明かりの中、そっと礼子の顔を覗き込む。
すると案の定、礼子はもう既に穏やかに寝息を立てていた。

「ふぅ~、何だよ、寝ちゃったのかよ。
           まぁいいや、またの機会にするか・・・」

哲也は間の悪いプロポーズを取り消すように、軽口をつぶやくと、
礼子の頭にそっとキスをする。そして自分も眠りに付いていった。



しかし、(またの機会)は突然消え失せる。

次の朝、哲也が目覚めると礼子の姿はどこにもなかったのだ。
その代わり、サイドテーブルの上に一枚のメモが置いてあった。



 哲也、プロポーズありがとう。とっても嬉しかったよ。
 でも、もうこれ以上はあなたを巻き込めない。
 あなたには奥さんが、お子さんが、家庭がある。
 あなたは家庭に帰って下さい。
 私は大丈夫
 今まで本当にありがとう、さよなら。    礼子
 



哲也はメモに目を通すと、急いでカーテンを開け放つ。
とたんに、まるで捜すなとばかりに、痛いくらいの朝日が
目に飛び込んで来る。当然、礼子の姿も既に見あたらない。

哲也は開け放ったカーテンをきつく握りしめ、
大きく一度ため息をつく。

「あ~あ。
  全く勝手なもんだ。あいつは牝犬じゃなくて牝猫だな。
            しつけるなんて、所詮無理な話かぁ・・」

「それにしても、俺もとんだご主人様だな。はぁっはぁっはぁー」

ガランとした部屋に、乾いた笑い声が響き渡る。

「はぁはぁっ、困ったな、失恋した気分だ。
   何が慰めてやるだ。結局、慰められてたのは俺の方だ」

「はぁっはぁ・・はぁっは・・は・・はぁ・・・」

笑い声が泣き声に近づいていく・・・。

だが、泣き声に変わるその前に、哲也は思いを断ち切るように、
開け放ったカーテンを勢いよく閉め戻す。
そして、礼子の思いをかみしめてみる。

「うんっ、そうだな。家に帰るか・・!」

「・・・さよなら・・礼子・・・」

哲也はカーテンを閉め戻した窓に向かい、礼子への別れを告げた。
そして、体を部屋にひるがえした。
その瞬間、礼子の香水の残り香が、優しく鼻をくすぐった。
まるで、哲也に「さよなら」と返事を返すように・・・。

哲也はもう一度、心の中でつぶやいた。

(さよなら、礼子・・)






















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