第14話「弱い立場の自衛官に付け入る新任女教師」
若松は3年満期のお金とわずかばかりの貯蓄を注ぎ込んでカローラレビンを買った。 それに加え同期で同郷の田所と下宿を借りた。 お酒は全く口にしないが、たばこは吸う。 下宿代に加え、カローラレビンの新車をローンを組んで買っている。 従って給与はそれほどもらっていないのでいつも空っ穴。 仕方なく購入したばかりの車を学校の敷地内に無断駐車していた。 事務局から常に苦情を言われていた。
もうひとつの趣味がアマチュア無線。
「CQCQ CQ2メーターバンド」
暇さえあれば遠方にいる同じ趣味を持つ仲間に呼びかけていた。 ピカピカの新車にアマチュア無線、それにどちらかというと可愛らしい顔立ち。 学校内に無断駐車を繰り返す常習犯。 楽しいことのひとつとしてないこの島へ赴任してきた新米女教師にとって神田川を思い起こさせる若松はいつしか格好の恋愛対象、欲情の対象となっっていった。
教師という職業は早出残業が当たり前と言われる職業のはずなのに、若松が休みで下宿に帰って来ると、どこからともなく現れ彼の部屋に入り浸り誘惑する。 妄想が募ると相部屋の田所を邪魔者扱いし部屋から追い出すなんてことは日常茶飯事だった。
このような女性が、しかもいつもふたりで現れるものだから、若松もたじたじになる。 彼女らの気が向けば対馬の南端にある厳原へケーキを買いに行きたいなどと、さも行って当然のような口ぶりでドライブデートを要求してくる。
比田勝~厳原間は当時、片道おおよそ100キロ(どんなに飛ばしても2時間強)あった。 それも連なる山々を縫うようにして道が付けられており、急勾配の上り下りに加え急カーブが続く、細長い島を北端から南端まで走破しなければならないと思うだけで気力が萎える。 これを独りで運転しなければならず、女性を載せたりすれば気遣いもそれなり、なので相当疲れる。
その分助手席に陣取る彼女らにとって、一旦比田勝を離れてしまえば車などほとんど通らない田舎道、デートにもってこいの閉鎖的空間。
「疲れたら途中で休憩を入れましょう」
ちゃっかりお弁当まで用意する気の入れよう。
集落を離れ脇に駐車スペースがある、或いは万関海峡などのような風光明媚な場所に差し掛かると、ここぞとばかりに止めさせ、誰も通りかからないことを良いことにキワド過ぎるアプローチと言おうか雰囲気を醸し出し、ドギマギさせ若松の反応を楽しんだ。
それというのも、何度も言うようにここいらは娯楽の少ない過疎地故、若い自衛官が各村々の女の子を巻き込んだ大人の関係風な何かをやかした的な話しでも聞こうものなら、ここいら一帯は一種独特 ―― つまりは寝取り・寝取られ ―― 異様な雰囲気が漂ってしまい集落はざわつく。 こうなると女教師さんも根がスケベ、おまけに性衝動に悩まされる時期でもあり授業どころじゃなかったのだ。 同じ女としての意地にかけ(どちらかというと年齢的に出遅れているものだから)、そこら辺に関しては負けまいと、彼女らなりのナンパに励む。 その対象となったのが二宮和也似のイケメン 若松だった。
人当たりが爽やかで、駐車違反も相手を納得させるだけの話術。 それに加え細々とした気遣いが出来た。 駐車違反に関しては、彼なりに引け目を感じていあものだから、役場や学校にはこまめに顔を出し、挨拶も欠かさなかった。 女教師が好意を抱くのも無理からぬことだった。
ふたりとも授業中と言わず普段も、いかにも健全であることをひけらかすため常にジャージで過ごしていて、だから当初若松の部屋に押しかけて来た時もジャージだったが、何時の頃からか若松に会いに来た時だけミニを穿いて来るようになった。 しかもその格好のまま厳原に行こうなどと言い出す始末。 車が走り出すと、頃合いをみて助手席を半分倒しパンチラをやらかしながら、運転しにくい道も何のその、悪戦苦闘中の彼に向かって艶っぽく話しかける。
ところが世の中思い通りにはいかない。
面白いことに、こうまで熱心に言い寄られても、若松と田所は何故か女に興味を示さなかった。 示さなかったというよりも傍から見ると避けている風にも見えた。 敬虔な隠れキリシタンのすむ島出身(五島列島福江)なればこそ、彼らが生まれ育った環境が馴れ合いで深い関係に陥ることを忌み嫌ったのではなかろうかとさえ思えた。 相手の罠にはまらず、面はゆいほどにとにかく平静を保つのだ。
どのようにすれば堕ちるのか。 焦る彼女らは授業中もなんのその、学校を抜け出し、アパートに押し掛けるようになる。
ひょっとするとだが、若松と田所は高卒で入隊し3年、つまり21歳。 方や大卒だから少なくとも1歳以上彼女らの方が年上。 あからさまに漢に飢えてますと言いたげな姉さんに興味を示さなかったのかもしれない。
女性が一旦こうと決めると恐ろしいもので、ふたりの新任女教師のうち本土から派遣されてきた女性は学校が探してきた賄付きの下宿を断り、あの、加奈子が比田勝に上陸し、最初に目にした澄み切った水が流れる小川、その畔の掘っ立て小屋を借りてしまった。 こうして新居を構えると、若松に会いに来てとやんわり誘いかけ、お祝いを兼ね来てくれたなら、勢いそのまま泊ってもいいよ的な言動を、彼に向かってのみそれとなくした。 が、徒労に終わるがもう一方の女教師は嫉妬した。
一計を案じた美人エロ教師は次に手に打って出た。
部屋を借りた当初は若松らを含めた若い自衛官を複数人わざわざ呼び寄せ、鍋パーティーを頻繁にやらかした。 唯一車で来ていた若松。 呑ませたら運転して帰れないと踏んだからだろうが、芸者よろしく勧めても、若松が口にしてくれるのはせいぜいコップ1杯のビール程度、しかも夜勤に慣れ切ってる若松ら自衛官は夜を徹して騒ぎ、翌日昼前になると部隊へと平気の平左で帰っていった。 誰が強要したわけでもないのに、ひとりとして欠けず騒ぎ明かす。 もちろんエロ教師さんは当初思い描いた桃色の目的など果たすゆとりとてなく、ただただ散財させられただけだった。
焦って二度三度と同じようなパーティーに誘うのだが、なにせ自衛官たるや食べることも職業のうちと、普段から脂っこいもので攻めまくられてる。 頻繁に催される食い物パーティーをそうそう喜ぶわけがない。 懲りない女教師はそこで、パーティーの内容を大人びたものに変え誘った。 が、恋してやまない彼が来てくれないのである。
チャンスとばかりに周囲の漢どもが訪れるのだが、門を固く閉ざし、入れてくれない。
こうなると取り残されたライバルでもある島内出身の、どちらかというと背が低くてきれいじゃない方の彼女は、居ても立っても居られない。 彼女がかたくなに自分の部屋を綺麗に整え若松が来てくれるのを待つ一方で、島内出身の女教師はあいも変わらず若松たちの部屋に、こんどは単独で押し掛け色仕掛けを繰り返す。 露出を武器にした逆ナンである。 ライバルがいないのを良いことにチラリチラリと魅せ付けた。
焦りが募れば幾世がそうであるように、自慰で済ます以外、この島では処理法はない。 思考は鈍り、とても授業どころではなくなる。
ふたり一緒であるということは、勢い2倍ながら恥は半分。 それが都合の良い方に働いたのに、島では人もうらやむ職業、しかもひとりの漢を賭け争奪戦となると、勢いは増したかもしれないが恥は2倍、こうなると人の口にのぼるようになるからして到底、現職ではいられない。
とうとうふたりは反りが合わないという理由で一緒に行動しなくなり、やがて精神を病んだと各々が休暇願いを出し、その期間が満了すると今度こそ言い訳できないものだから教師の道をあきらめ、それぞれ郷里へ帰ってしまった。
こんなふたりがいてくれたのに。 しかも離島に送られたからには女日照りであろうことはわかっていたはずなのに、身分が違い過ぎて漢どもは誰も彼もが彼女らの身分に、教養の高さに怯え、おいそれと手を出すなどということが出来なかった。 それが益々彼女らを卑屈に意固地にさせ、辞職に追い込んだようなのだ。 ただこれらのことからすると彼女らは、大人の女としてやることだけはきっちりやったように思える。 選ぶ相手を間違えただけではなかろうかとさえ思える。

![]() 元ヤン知佳の美貌録 |
![]() letsgochikaのblog |
![]() Japanese-wifeblog |
![]() 元ヤン介護士の知佳のブログ |