くらま 作

官能小説『霧の峠道』



第1話

 僕は愛車のミニを駆り、峠道を攻めていた。朝から走り続け、そろそろ日も傾いてきた。でも、今日は土曜日。気ままな一人暮らしなので、途中で車内泊になっても全然構わない。給料の殆どをつぎ込んできた気の置けない相棒とのドライブは、僕の唯一の息抜きだった。
「霧が出てきたなぁ」
 ヘッドライトを点け、念のため、リアフォグも点けておく。

 コーナーを曲がりきりアクセルを踏もうとしたら、目の前でバイクがコケていた。
「うわっ!」
 フルブレーキ。ロックして暴れる車体を押さえ込み、なんとか止まれた。前後にクルマがいなくて助かった。
「ふぅー」
 ハザードを点け、シートベルトを外した。ドアを開け、車外へ。ライダーは無事か?
「すいませーん」
 向こうからライダーが小走りで寄ってきた。声から判断すると、女のヒトのようだ。
「無事ですかぁ」
「あたしは」
 僕は改めてライダー氏を見た。Gパンにハーフブーツ。上半身はライディング用のジャケット姿だ。フルフェイスのヘルメットの隙間から、切れ長の目が覗いていた。
「落ち着いて、自分の身体を再確認して下さい。怪我はありませんか?」
「え?」
 ライダー嬢はクルリと回って自分の身体を眺めた。回ってどうする^^; でも、スタイル…良いなぁ。
「腕が少し痛いけど、曲がるし、大丈夫だと思うよ。気持ち悪くもないしね」
「それはよかった」
 僕は小さくため息をついた。
「あ、通れないね。いま、どかすから」
「起こすの、手伝います?」
「大丈夫」
 ライダー嬢はひょいっとバイクを起こした。レーサーレプリカタイプのバイクだった。バイクには明るくないので車種までは分からないが、スズキ製であることは分かった。シートに跨ると、セルを回した。キュルキュル。あれ?
「え? かかってよ!」
 なんどかセルを回しても、結果は同じだった。
「バッテリーがいっちゃいますよ。少し下に待避所があるから、そこで見ましょう」
「いいの?」
「このまま置いていったら寝覚めが悪いですから。結果が出るまで付き合いますよ」

 下まで下ろすのが一苦労だった。

 バイクのシートに僕が車載していた懐中電灯(3個あった)をくくりつけ、クルマから見えるようにした。バックなのでヘッドライトの代わりだ。
 ライダー嬢がハンドルを持ち、ブレーキをかけながら後ろ向きに坂を下る。同時に僕が車体前からハンドルを支えて滑り落ちるのを防いだ。重い^^;
 なんとか待避所まで下ろし、今度はミニをバックさせた。暗くなってきた霧の深い山道でのバック。ライダー嬢に誘導してもらいつつ、慎重にバックする。なんとか待避所までたどり着き、ミニのライトを光源に色々やってみた。
「ダメだ。かからない」
 バイクは息を吹き返さなかった。
「いろいろ、ありがとー」
 ライダー嬢の言葉も虚しく響く。
「街まで送りますよ」
「助かります」
 ペコリ。軽く微笑み、僕は地図を見た。山道を下るより登ったほうが距離が短いと判断し、登ることにした。
「ヘルメットを預かります。きちんと固定しないと、転がっちゃうから」
「はいな」
 ライダー嬢がヘルメットを外した。癖の強いショートカット。大きな目に美形の顔立ち。えっ?
「水○ 裕子に似てると思ったでしょ? よく言われるんだぁ」
 ライダー嬢は少し微笑んだ。


第2話

「裕子です。よろしく。あ、字も一緒なんだよ」
「く、くらまです。よろしく」
 僕は裕子さんからヘルメットを受け取った。助手席を倒し、リアシートに潜り込む。ひざ掛けで包み、シートベルトで固定した。
「どうぞ」
 助手席を元に戻し、裕子さんを誘った。
「ありがとう」
 座ったのを確認し、ドアを閉めた。車体を回って運転席へ。フルバケに潜り込み、サベルトで身体を固定した。
「うわー。あたし、ミニって初めて」
 シートベルトを締めながら、裕子さんが車内を見渡していた。
「意外に広いのねぇ」
「乗っちゃうとね」
 ミニの中なので、僕もだいぶ落ち着いていた。どうも女性は苦手だ…。
「待っててね、バイク君。すぐに迎えに来るからね」
 裕子さんがバイク君に手を振り終わったのを確認し、僕はクラッチを繋いだ。

「見えない…」
 霧が一層深くなった。何も見えない。
「あ、ラブホがある。避難しよ」
 危険を感じていたので、僕はラブホに入った。大丈夫、何も起きないさと自分に言い聞かせながら。

 ごく普通のラブホだった。裕子さんがささっと部屋を選んだ。値段はどの部屋も一緒みたいだ。
「恥ずかしいから、早くいこ」
「う、うん」

 部屋に入ると、裕子さんがベッドにダイブした。
「ぼふっ」
 自分で効果音を入れていた。スラッとした脚が視界に踊り、その向こうに形のいいオシリが見えていた。
 僕はそんな裕子さんを横目で見ながら、ソファーに倒れこんだ。ふうー。

「こーら!」
 怒気を含んだ声が振ってきた。僕は慌てて頭をブンブンと振った。いかん、半分寝ていたらしい。
 見上げると、裕子さんが仁王立ちで見下ろしていた。腰に手を当て、顔は怒っていた。
「こんな美人と二人っきりなのに、放っておくとは何事だい?」
「ご、ごめん。朝から走り続けてたから…」
 慌てて言い訳をしている自分が情けなかった。
「ミニ、好きなの?」
「うん」
「彼女みたいなもの?」
「ううん、相棒。アイツ、男の子だから」
「男の子かあ。あたしのバイクも男の子だよ」
 微笑む裕子さん。機嫌を直してくれたらしい。
「裕子さんは、男の子に跨ってるの?」
「なんだか、ヤラシイ言い方だね」
 裕子さんが隣に座った。僕の腕に裕子さんが腕を絡めた。オッパイが当たる…。
「ベッドの上では、どっちだと思う?」
 上目遣いの裕子さん。僕はゴクッと唾を飲み込んだ。
「乗りこなす方だと、思うよ」
「じゃあ、試してみて」
 ペロッと唇を舐める仕草が、イヤらしかった。僕は裕子さんのことを抱き寄せた。
「あんまり経験ないから、優しくして下さいね」
 耳元で囁いた。
「うん。任せて」
 裕子さんが唇を寄せてきた。目を開けたままのキス。僕がそのままにしていると、裕子さんの舌が伸びてきた。唇をこじ開け、僕の口の中に侵入してくる。僕の舌が掴まった。絡め取られ、吸われる。
 僕はしばらく受身のままだったが、逆襲に転じた。ソファーに裕子さんを押し倒した。片手でオシリを揉みながら、キスを味わう。


第3話

「ああん」
 裕子さんが唇を離し、色っぽく喘いだ。
「お願い、優しくしてね」
「もちろん」
 いつの間にか攻守が逆転していた。僕は痛くしないように最新の注意を重ねながら愛撫した。力加減が、よく分からないぞ^^;

 背中を撫で回しながらキスをする。イテテ。Gパンの中で勃起してしまい苦痛を覚えた。位置を直し、再びキス。手は背中から脇腹へ。裕子さんの手も、僕の背中を這いまわる。
 僕の手はオッパイに到着した。シャツの上から揉む。えーい、じれったいぞ。僕は裕子さんのシャツを引っ張り出し、ボタンを外した。ブラの上からオッパイを揉む。
「ちょっと待って。ストップ」
「え? 痛かった?」
 慌てて中断する僕に、裕子さんは微笑んだ。
「ううん。せっかくベッドがあるんだから、ベッドでしよ」
「そうだね」
 僕は立ち上がった。えーっと。まずベッドカバーを外そう。
「えいやぁって外しちゃって。布団もいらないよ」
「はーい」
 ベッドカバーを外し、出てきた布団をソファーに放り投げた。裕子さんが抱きついてきた。キス。キスしながら僕のシャツを脱がせ始めた。僕も裕子さんのシャツを脱がせ、ブラのホックを探す。あった。あれ? 外せないぞ。僕が焦っていると裕子さんが外してくれた。
 僕はブラを外し、裕子さんを抱き寄せた。生乳が当たる。片手でオッパイを揉み、片手でオシリを揉む。
「せっかちさん」
 裕子さんはクスリと笑った。僕のベルトが外される。僕も裕子さんのベルトを外す。次はGパンなんだが、脱がせづらいぞ。僕のGパンは既に脱がされているのに、裕子さんのはまだ腰の辺りで止まったままだ。スリムタイプでぴったり張り付いているので、難しい。なんとか裕子さんのGパンを脱がせることに成功し、僕は自分の成果に酔った。目の前にパンティー一枚の美女がいるのだ。
「脱がすよ」
「うん」
 ピンクのパンティーに手をかけ、ゆっくりと下ろしていく。最初に黒い茂みが視界に入ってきた。そのまま下ろしていくと茂みの面積が広がってくる。芳香が鼻腔を刺激した。僕のチンチンは痛いぐらいに勃起している。パンティーを抜き取り、思わずニオイを嗅いでいた。
「こら! 嗅ぐな!」
 裕子さんに取り返された。ほぼ同時に僕のトランクスが下ろされた。
「出てきたな、やんちゃ坊主」
 裕子さんは僕のチンチンを下にさげ、一気に離した。パチンとお腹を叩く。

 僕たちはベッドに倒れこんだ。抱き合い、キスをする。チンチンが裕子さんのお腹に当たって、気持ちいい。二人の両手は互いの背中を撫で回す。
「痛かったら、言ってね」
 裕子さんに下になってもらい、僕が言った。
「うん」
 裕子さんは受身の態勢。僕はオッパイに顔を寄せた。乳首を唇で捕まえ、舌先で転がす。片手で反対側のオッパイを優しく揉む。
 しばらく指と舌でオッパイを堪能し、そのまま下へ。オヘソを舐め、さらに下へ。脚の間に潜り込む。目の前には絶景が広がっていた。軽く開いて蜜を分泌したイヤラシイ割れ目。僕はしばらく眼で堪能した。
「そんなに見ないでよー」
 裕子さんが身体を捩った。芳香が僕の鼻腔を刺激する。思わず指先を伸ばしていた。サワサワと触り、反応を確かめる。
「んっ」
 苦痛では無いようだ。僕は外側をひとしきり撫でると、舌先を伸ばした。ぺろっ。ピクンと反応した裕子さん。無言で次の愛撫を待っている。僕は舐め続けた。指先も動員し、裕子さんから快感を引き出していく。
 舌先でクリトリスを舐めながら、指先で膣の入り口を刺激してあげると良いみたい。


第4話

「もう少し、指入れて」
「ん…」
 じわじわと指を侵入させる。途中で思いついて手をひっくり返した。
「あはぁー」
 指が奥まで入った。僕はゆっくりと抜き差ししながらクリトリスを舐め続けた。
「そのまま、続けて…」
 どうやら、ここまでは合格らしい。僕は単調にならない様にしながら、愛撫を続けた。
「そろそろ、来て…」
「ん」
 僕は身体を起こし、コンドームを探した。そんな僕に魅力的な提案があった。
「今日は、大丈夫な日だから。そのまま、入れて」
「う、うん」
 裕子さんの脚の間に入り込み、チンチンで入り口を探った。どこだ? 手を添えて探るも、よく分からない。裕子さんの手が参加してきた。僕のチンチンを握り、入り口に当てた。
「ここ。そのまま、ゆっくり…」
 僕はゆっくりと腰を進めた。うわっ。先端が入った。そのまま押し進めていくと、チンチン全体が柔らかく包まれた。
「はぁー」
 僕は極楽を味わっていた。こんな美人とSEXしているのだ。射精感が襲ってきた。慌てて抜こうとしたが、間に合わなかった。僕は思いっきり放出していた。
「うわっ。ごめん」
 入れただけで出してしまうなんて。早漏も甚だしい。裕子さんはニッコリ微笑むと、僕に抱きついてきた。
「気にしないで」
 僕はチンチンが再び大きくなるのを感じた。
「このまま、続けていい?」
「うん」
 僕は腰を動かし続けた。一度放出しているので、二回目は自分でも驚くぐらい長持ちした。
「あ、あ、あ、あ、あ…」
 裕子さんの声が途切れ途切れになってきた。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 絶叫。膣内が思いっきりチンチンを締め付ける。僕も堪らず放出していた。
「ううっ」
 二回目の射精をし、小さくなったチンチンが裕子さんの膣内から抜け出てきた。僕は裕子さんの隣に寝転がった。裕子さんが僕の胸に顔を寄せ、小声で呟いた。
「やっぱ、やめるね」
「ん? なにをやめるの?」
「ほんとは、連れて行っちゃう予定だったんだけどさ」
 裕子さんは微笑んだ。
「一人で、いくね」
「なんのハナシ?」
 裕子さんは答えなかった。僕の頬にキスすると、こう言った。
「いかせてくれて、ありがとう」
「どういたしまして…」
 僕の言葉は声になっただろうか? 僕は深い眠りに落ち込んで行った。

 翌朝。僕が目覚めると、裕子さんは居なかった。正確に言うと、彼女の痕跡が一切消えていたのだ。
「夢だったの、か…な?」
 夢にしては感覚がリアルなんだが。僕はシャワーを浴びるとチェックアウトした。ミニに戻り、リアシートを覗いた。
「!!」
 リアシートには、ひざ掛けが固定されていた。それも何かを包んだような形で。
「夢じゃ…なかったのか…」
 僕はミニを走らせた。昨日裕子さんと出会った、あのコーナーへ。

 昨日の待避所にミニを止め、歩いて“あのコーナー”へ。周囲を見渡すと事故の痕跡がうっすらと残っていた。
「ここで、裕子さんが…」
 僕は確信した。裕子さんはここで事故に合い、亡くなったのだと。そして彼女は、もうここには居ないのだ。
 僕は思わず空を見上げていた。暖かい光の中に、裕子さんの姿が見えたような気がした。振り返り、僕に微笑みかける姿が。
 僕はいつまでも空を眺めていた。いつまでも、いつまでも。









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