恋歌 作

官能小説『秘愛館“睡蓮亭”』



第1話

「ねえ、本当にこの道でいいの?」
 ハンドルを切りながら宏美は助手席の息子に言った。十四歳の成幸は市販の道路地
図とパンフレット裏面の地図を照らし合わせている。東京から三時間は走りつづけ、
今や周囲は車一台分の道と広葉樹の木々だけしか見えない。
「うん。この道でいいよ。このまま真っ直ぐだ。こっちの地図の目印どおりだよ」
「でも、もう家も見えなくなったわよ」
「人里離れた温泉にある地図にない旅館なんだからいいんだよ」
 成幸は自信たっぷりだ。自分で探してきた目的地だけに強気である。宏美はため息
をつきながら独り言のようにいった。
「でも、本当にあるのかしら。外とは完全に隔離された――その・・近親愛専門の温
泉旅館なんてものは・・」

 宏美は十八歳で京都の女子大に入り、そこで家庭のある一回り以上年上の男性と恋
仲になった。初めて身体を許した相手だったし、本妻とは別れると男も誓ってくれた
ので宏美としては結婚する気でいたのだが、本妻が妊娠してしまうと話はがらっと変
わった。男はあっさり宏美を捨てて家庭に戻ってしまったのである。泣くに泣けない
宏美が自分も男の子を宿していることに気づいたのは、ショックで大学を中退して東
京の実家に帰ってからのことだった。
 一度は堕ろそうと考えたが、宏美の不倫には終始反対してきた実父がそれを止め
た。
「この子はおまえが作った命ではないか。母親のおまえが愛さなくてどうするんだ」
 そうして生まれたのがここにいる成幸である。宏美は父の会社を手伝いながら一人
息子を育てた。実父がこの初孫の父親代わりを十分につとめてくれたおかげもあっ
て、成幸は素直な良い子に育った。二人きりの親子の仲も良く、仕事も順調――宏美
は傍目にも幸せな家族を持つことができたのであった。
 そんな二人が今では人目をはばかる関係になってしまったのである。きっかけは成
幸が小学校高学年の時に起こった祖父の急死であった。宏美は成幸以外の唯一の家族
を失うとともに父の会社も引き継がねばならなかったのである。今まで手伝っていた
とは言え、経営者としては向かう姿勢の次元が違う。宏美はそれから数年間は勉強し
ながらがむしゃらに働いた。
 成幸は良い子でそんな母に協力をおしまなかった。家には深夜にしか帰らない母に
さびしさを感じたに違いなかったが、不平ひとつ言わず、学校に行き、家事を手伝
う。少なくともこの時期の成幸が親に一切手をかけさせない子でなかったら、宏美は
生きていくための重責に耐えられなかったかもしれなかった。
しかし、子供には我慢はできても寂しさや愛情の飢えを消すことはできなかったよう
である。母への愛がちょうど覚えたての自慰という形で現れるのは責められる事では
なかったのかもしれない。宏美は母の下着を盗み出し、それに射精する息子の姿を見
て今までの自分を後悔した。その寂しさを埋めるために母の手と口を、やがては身体
を息子に差し出したのは宏美にも受けた成幸にも自然のことだった――――

「ほら、見えたよ!」
成幸が指差した先に確かに大きな建物が見えた。5階建てで周囲は一面が庭園となっ
ており、別館らしき建物も幾つかある。一本道沿いにおかれた大きな岩には白く「睡
蓮亭」と屋号が彫られていた。
「まあ・・本当にあったわ・・」
宏美はやはり呆然とした。近親相姦カップルのみの秘密旅館など半分以上は信じてな
かったのである。期待と警戒が入り交じったものに胸をどきどきさせながら看板の表
示に従って車を入れた。駐車場は半分くらいが埋まっている。ナンバープレートを見
ると東京に限らず、かなり幅広く各地からきているようだ。外国大使館のものまで
あったのには驚いてしまった。
「ほら言ったとおりじゃん。僕が探してきたんだから間違いないよって。こっちの世
界じゃ有名だってんだから」
トランクから二人のバックを下ろしながら成幸が鼻高々にいう。それでも宏美は半信
半疑だ。あいまいにうなずきながらもどうしても実感がわかない。正規の地図に載っ
ていない旅館があったのは事実だが、問題はここがそんなサービス(?)をしているか
どうかだろう。
「何も気にせずに堂々と母子でいちゃつける」というのが成幸の説明だが、どう考え
ても眉つばだと思う。単に経営者が変人で地図に載せてないだけではないだろうか
――宏美がここまで来たのはあんまりにも成幸がせっついたからであって決して納得
しているわけではなかった。まあ、せっかくの連休に成幸と離れられるはずもないか
らといったところであろうか。
(もう、あんなに大きくしちゃって。はしたない)
 嬉しそうに腕を取って歩き出す成幸の股間を見て宏美は思った。毎日息子のものを
しゃぶり、にぎっている母だけにスラックスの上からのふくらみで何を考えているか
だいたい判る。あれは思いっきり姦ってやるぞと相当に張り切っている状態だ――も
ちろんそんなものでそんな事が判るなど恥ずかしくて口にしたこともないが。
 成幸は十四歳にしては特に大きいほうではない。身体付きには無駄がなくボクサー
のような体型ではあるが、顔立ちが優しく整っているので服を着るとむしろ女性的な
感じさえする。美人と言って良い宏美と並ぶと母子というより仲の良い姉妹に見える
ことすらあった。そのあどけない微笑の裏側が実母の女体への貪欲な欲望に満ちてい
るとは誰が信じられたであろうか。実母の宏美ですらこういう関係になるまでは予想
だにしなかったのだ。
二人はやや古い作りの玄関の自動ドアをくぐった。ラウンジは厚手の絨毯がしかれ、
豪華な、そして見るからに趣味の良い内装品に飾られており、広さもかなりある。格
としては有名温泉地の一流クラスの旅館くらいはあるであろう。「いらっしゃませ」
という躾の行き届いた従業員の幾つもの挨拶を受けながらフロントへいく。
「予約しといた成幸と宏美だけど」
宏美を押しのけて成幸がフロントの青年に言った。こういう所では名前じゃなくて姓
をいうのよ――と宏美が注意しようとしたが、フロント内の青年は顔色もかえずに応
えた。
「いらっしゃいませ。成幸様と宏美様でございますね。確かに本日より三泊四日でご
予約いただいております。今、部屋へご案内いたしますが、その前にこちらの用紙に
必要事項をご記入ください」
驚いたことにその宿泊者登録用紙には姓だけではなく、通常あるべき住所だとか勤め
先だとかの記入欄がない。あるのは下の名とE―メイルアドレスだけである。何の疑
問もなくペンをとる成幸に宏美は心配げに小声で聞いた。


第2話

「どうしてなのよ?」
「プライバシーを守るためだよ」
そう言われるとそうかもしれないが、何か大げさな話でもある。また、そうすると
あのサービスの話も本当っぽくなってくるではないか。
「ありがとうございます。お客様は四階の“葵の間“のご宿泊となります。こちらが
キーです。ではごゆっくりどうぞ」
 フロントの青年は用紙と引き換えに古風な青銅製の大きな鍵を差し出した。仲居が
一人現れ、二人の荷物とその鍵を受け取り、先導する。エレベーターに行く途中で成
幸が宏美にささやいた。
「今のフロントの人おかしくない?」
「?どんなふうに?」
「顔が赤いし、動きがぎこちない。それになんとなく眉間に力をいれているんだ」
 そう言われればそうだった。こっそり振り向いてみると、青年の真っ直ぐに向けた
顔は先ほどよりさらに赤くなっている。
「具合でも悪いのかしら」
「違うよ。僕の経験からするとあれは自分のをこすって――オナニーしている時の顔
さ」
 ああ、そうか。言われてみれば、成幸もあたしに咥えられて快感を耐えている時は
あんな顔を――と納得しかけて宏美は我にかえった。とんでもないはしたない事を考
えた自分に真っ赤になり、その分の怒りを込めて成幸の耳を引っ張り上げる。
「アイタタッ!何するんだよ!暴力反対!」
「お黙り!その手には乗らないわよ。またHなこと言ってお母さんを挑発しようとし
ているんでしょう!第一、あの人の手がフロントの上に出ていたのはあなただって見
えたでしょうに!」
 成幸がここにくる間も助手席で何かと卑猥なことを言って宏美を挑発していたのは
事実だから、被告人の抗弁など聞いてもらえるはずがない。もっともとんでもない恥
ずかしいことを口走ってしまった宏美は前をいく仲居の存在を思い出して慌てて両手
で口を押さえた。
 幸か不幸か――それとも故意か――何の反応も見せなかった仲居に案内されて二人
は四階の自分達の一室に案内された。「葵の間」はこの料金にしては十分に立派な作
りで、十畳の和室が二間にベランダ、洗面台、トイレ、そして結構広い――大人三人
がゆったり入れそうな浴槽と四畳分の広さの洗い場のある浴室で構成されている。そ
の豪華さには二人は満足したが、宏美は和室の一つにすでに大き目の布団が二つくっ
つけてしかれていることと浴室の洗い場にダブルベットほどの広さのエアマットがお
かれているのを見て、自分の心臓音がきこえるほど驚いた。まるでファッションホテ
ルではないか。母とよくその手を利用している息子も気づいたらしくこちらはにんま
りと笑う。
「では、わたしはこれで。じきに当旅館の女将がご挨拶にまいりますので」
 仲居はそう言って荷物を置くとさっさと帰ってしまった。後にとまどいと期待にゆ
れる母と息子だけが残される。
「へええ。ここからだと庭も一望できるんだ。まあ良い景色だなあ。テニスコートも
ある。あっちに富士山の頭がちょっとだけ見えるな。ほら、お母さんもきてごらん
よ」
なぜか身を固くした宏美よりはるかに余裕のある成幸はベランダに面したガラスか
ら外を見て言った。誘いを拒否する理由がない宏美はしかたなく息子の傍らにたつ。
「あら、本当。結構、静岡からは離れているのにね。それに庭も広いわ。日本風じゃ
ないけれど。うん?あれ、何?」
 宏美のいうとおり庭はかなり広い。基本は芝生で幾つかの小さな建物の間を木と庭
石が点在している。しかし不動産会社を経営する宏美の目から見ると、庭石と木のバ
ランスが悪いのだ。景観を計算して作ったとは思えない。また石は不釣合いなほど大
きいものばかりで、木とあわせるとかなり死角ができるのではなかろうか。
 それに、なぜ庭のあちこちにこの部屋の風呂場にあったマットと同じものが幾つも
おかれているの?
「そりゃあ、直接、芝生の上では草の汁が服に染み付いたりしたじゃない。葉先もち
くちくして痛いし、動きすぎるとすれもして・・」
 自信を持って成幸が説明する。無言で宏美は息子の唇に手をかけてひねり上げた。
嘘をいったからではない。哀れな成幸君は実体験した恥ずかしい本当のことをぺらぺ
らしゃべったせいで折檻を受けたのである。
 その時、ドアチャイムがなった。宏美は嘘はついていない罪人を慌てて解放して入
り口へ向かう。現れたのは上等な和服を着た女性であった。
「宏美様、成幸様、。ようこそ当旅館“睡蓮亭”へいらっしゃいました。わたくしは
女将を勤めさせていただいております菊乃と申します。以後お見しりおきくださいま
すようよろしくお願いいたします」
 女将と名乗る女性は部屋に通されると実に折り目正しい動きで正座し、丁寧に挨拶
をした。つられて宏美と成幸も正座して頭を下げる。しなくても良い緊張をしたせい
で「こちらこそ・・」とつぶやくのがやっとであった。もっとも成幸の場合は緊張と
いうよりこの年上の美女に対して良からぬ感想を持ったからではないかと宏美は瞬間
的に疑った。
「東京からお車ですと大変だったでしょう。ここは高速からも離れておりますし」
 客の狼狽はきれいに無視してにこやかに女将が笑った。女将といえば経営者だが若
い。どう見ても四十になるかならないかにしかみえない。目元が同性の宏美にも艶っ
ぽく見えるが全体としては上品な美人で、とても成幸の言っていたような種類の旅館
の女将とは思えなかった。
「ところで、成幸君は宏美様の弟さんですの?」
 女将がごくごく自然な口調で質問した。宏美は三十二歳にしてもかなり若く見える
ためよく聞く質問だった。よって警戒はせずについ答えてしまった。
「いえ、息子です」
「まあ、そうですの。ではわたしと同じですわね」
 女将は上品に笑った。何が同じかよくわからずに宏美も愛想笑いをする。そのなご
やかな雰囲気のまま、女将はこう続けた。


第3話

「成幸君は十四歳でしたよね」
「はい」
「では最初にお母さんを姦っちゃたのは幾つのころですの?」
 あんまりあっさり言われたので宏美は意味が咄嗟に判らなかった。
「十二歳の時です。ちょうど僕の誕生日の夜にプレゼントとしてお母さんを抱きまし
た」
 成幸が胸を張るようにして答える。そこでようやく内容を理解した宏美の顔から血
の気が引いた。今まで誰にも言ったことのなかった母子の関係なのに!
「まあ、よろしいですね。そんな新鮮な時からですか。わたしなんか息子が十九の時
でしたから手垢がたっぷりついている状態で――確かわたしで五人目っていってまし
たっけ」
 女将が平然と言い、先ほど以上に宏美は驚いた。彼女の人生で自分達以外に近親相
姦をしたという人を見たのは初めてだったからだ。ましてこのように堂々と本人が母
子相姦を公言するなどとても信じられない。言えば社会的な全てを失いかねない事実
ではないか。そもそもこの上品な婦人が実の息子に肉体を捧げている事自体が本人に
目の前で告白されても信じられなかった。
 唖然として声も出ない宏美の前で成幸と女将は楽しげに談笑を続けた。
「宏美様も成幸君も勇気がありましたのね。うらやましいわ。わたしももう少し勇気
があれば息子の最初の女になれましたものを」
「僕も今のほうが幸せなのでのでよかったと思っています。ところで女将さんの息子
さんは今どちらへ?」
「ここの専務でして、昼間は三号館にあるエクササイズルームの管理を行っています
わ」
「一緒にいるんですか?」
「ホホホ・・当旅館の従業員はみんな、お二人と同じ関係の者ですわ。たとえば板長
の娘は経理をしていますし、庭師の姉は専属の栄養士です。あとエステテックルーム
の二人は兄妹で、仲居頭の息子は警備の責任者でしたっけ。他にもそうでない者はお
りません。やはり当旅館のお客様のニーズにお応えするには同じ価値観を持っている
べきだと思いまして。まあ兄と弟とか姉妹同士とか私には良く判らない者もおります
けど――
 ああ、そう言えばいらっしゃった時、フロントに真面目そうな青年がいたでしょ
う」
「はい」
「何か変な感じじゃなかったですか?」
 フロントの青年の様子がおかしかったことは二人とも気づいている。成幸がうなず
いた。
「恐らくフェラチオされていたんですわ」
「え!?」
 思わず二人は声をあげてしまった。
「あの者には変な趣味がございまして、素敵な――ちょうど宏美様のようなお客様が
いらっしゃると猛烈に興奮するのです。そして仲居として勤務している妹を密かにフ
ロントのデスクに呼び出して口と手で発散させるという訳でして。妹のほうはこちら
のお部屋の配膳係でしたので、よろしければ夕食の時にでもお確かめ下さい。」
 宏美はあんぐりと口をあけた。何と言って良いか見当もつかない、するとあの場で
兄妹の口姦が行われていたのか。いやそれ以上に、ここは成幸の言ったとおり近親愛
専門の旅館なのか!
「他にお客さんは多いんですか」
成幸は目を輝かせている。宏美としては恥ずかしかったが、自分も興味のある質問
なのでなんとなく止めかねてしまった。
「本日は連休の中日ですので、ちょうど入れ替えになりますが、ほぼ満室です」
「外人さんも来ているようですが」
「ええ、いつもごひいき頂いております。本日は白人と黒人の二組ですので庭園にで
も出ればすぐお目に留まるでしょう」
「組合わせは?」
「白人が母子。黒人は家族四人で――あら、まあ。いけないいけない。わたしの口か
らは言ってはいけない事でした」
女将は上品に笑って話題をかえた。
「ところでお二人は初めてですので、ここの規則を説明させていただきます。
 まず、このお部屋はお客様だけのものです。必要な従業員以外、他のお客様を含め
て余計な者が入ってくることはございません。どうぞごゆっくりとお二人でおくつろ
ぎください。また、逆に他のお客様の部屋に入られることはいかなる事情がありまし
ようと固くお断りします」
 女将はにこやかに言った。
「それから、当旅館の敷地以内であればお二人同士に限り何をなさっても結構です。
他のお客様や従業員に見られる事さえご了承いただけるのなら階段であろうラウンジ
であろうと、庭園、浴場――禁忌はございません。この周囲一帯の山と土地は全てわ
たくしどもの所有であり、下品な邪魔者は一切は入れませんので安心してご自由に振
舞いくださいませ。
 また他のお客様や従業員が何かしているのを鑑賞なさるのは完全に自由ですが、お
手は一切出さないでください。もし意気投合なされた場合もそこら辺りでは禁止しま
す。どうしても必要であれば四号館がそれ用の施設ですので、そちらをご利用くださ
い。重ねて申し上げますが、それ以外の全ての場所は近親愛のみの場でとさせていた
だいておりますのでご了承ください」
「判りました」
にこやかに了承したのは今回のホストの成幸であってゲストの宏美は声すらでないほ
ど驚いたままだった。
「では、どうぞごゆっくり」


第4話

艶やかな笑顔を残して女将が出ていっても宏美は呆然としたままである。こんな場所
が本当にあるとは信じられなかった。女将がまじめに認めた以上、冗談にしては突拍
子すぎるから本当なのだろう。しかし、この旅館の客と従業員の全てが自分と同じ近
親愛の人だなどとは実感の湧きようがない。世間体と何より息子成幸の将来を思っ
て、ひた隠しにしてきたこの二年間とはなんと次元の違う事か。
「お母さん」
うろたえてさえいる宏美の肩を成幸が後ろからそっと抱いた。顔だけ振り向くと、息
子の唇がよせられる。いつもこうだ。興奮すると我慢ができない。畳の上で二人は深
いキスをした。
最初の頃、童貞と経験不足の二人は、愛情は十二分でも行為はぎこちないものだった
が、この二年で大分変わった。特に成幸の変貌ぶりは目を見張るほどで、宏美も本や
ビデオで勉強したが、それ以上に母の女体で実地経験をつんだ息子のほうがはるかに
上達したのである。最近に至っては三十二才の油ののりきった女体がまだまだ青酸っ
ぱいはずの十四才の技巧に4:6の割合でもてあそばれていた。
子供のものとは思えない深く優しいキスに宏美はとろとろにとろけ、夢中で息子の唇
をむさぼった。成幸の手はその間にも音もなく動き、母のブラウスのボタンやスカー
トのホックを外していく。
「しかし、あの女将さんもすごいね。五十代とはとても思えない」
急にキスをやめて成幸が感心した。いいところで唇が離された事は宏美には不満だっ
たし、二人だけの時間に他の女の話題を出すのも許せない。声がやや固くなった。
「五十代のはずがないでしょう。どう見ても四十そこそこ。いや、お母さんと同じく
らいといっても通りそうじゃない」
「いや、旅館のパンフレットのエクササイズルームのインストラクターのプロフィー
ルを見ると今年30才だよ。その母親なら五十前後が普通だろう」
成幸は嫉妬により母が興奮するのを狙ってわざと言っているのである。宏美は淫らな
会話以上にこの手に弱かった。
「本当?五十代の肌じゃなかったわ。顔はともかく首筋や後ろの張りはあの程度の薄
化粧ではなかなか誤魔化せないのよ」
「きっと毎日、息子の若いミルクを飲んでるからだよ。回春効果があるっていうもん
ね」
「もう!いやらしいわね!」
「お母さんだって、毎朝飲んでるじゃないか。だからそんなに若々しく綺麗なんだ
よ」
 宏美は真っ赤になった。
「恥ずかしいこと言わないでよ。あれはあなたが無理矢理飲めっていうからでしょう
!」
「へー。この前、寝坊して飲む暇がなかった時、一日中かりかりしてたのは誰だった
け」
言いながら、成幸は宏美のブラウスの前をはだけた。白いブラジャーが半分ほどひっ
かかった98Fの胸が現れる。痩せぎすの宏美だが乳房だけは恥ずかしい位に豊か
だ。それもただ大きいだけではなく、ぱちぱちに張り詰め、乳首はいつも上を向いて
いるという極上のおっぱいであった。この豊満なふくらみに母の長い黒髪が淫らにか
かっているショットが息子のお気に入りである。
「ほら、この真っ白い肌も僕のミルクのお陰だよ」
成幸の両手がおっぱいを掴む。指がブラジャーと肌の間に滑り込み、あっという間に
フロントホックを外してしまった。ぽよん、と音をたててあらわになったおっぱいが
宏美には恥ずかしかったが、これからの期待のほうが上回り、抵抗はしない。
成幸は右のおっぱいにキスをし、そのまま乳首を咥えた。身体をゆっくりとあびせ、
母を畳に横たわらせる。右手は下へ伸び、蛇のようにスリットからスカートの中へ
入った。すぐにも宏美の秘肉に指があたる。パンティの布ごしにゆっくりとなぞられ
た時にはすでにしみがでるほどに濡れていた。
「ねえ・・もうするの?――このまま?」
「もちろんだよ。朝してからもう六時間以上もたっているんだ。もうかちかちだ。お
母さんだってこれが欲しいんだろ」
成幸は手と口で愛撫を始めた。大きなおっぱいがたっぷりと揉みしだかれ、パンティ
の下へ指が入り秘肉をなぞる。宏美はたまらず、可愛いあえぎ声をもらした。
ねっとりと愛撫されながらも成幸のジーンズに宏美は手をかける。ベルトとボタンを
外し、無理な姿勢からもパンツと一緒に何とか脱がせた。そのまま指を息子の股間に
伸ばし、すでに真っ直ぐになっている肉棒をつかむ。負けずに愛撫し返してやるとい
うより、とにかく早くこれが欲しくてたまらなかった。
成幸はにやりと笑って69になるように身体を入れ替えた。ぐっしょりと濡れたパン
ティが剥ぎ取られ、スカートが腰の上までたくし上げらる。横になった息子の顔にア
ヌスと秘肉をさらけ出すという恥ずかしい姿勢でまたがった宏美の目の前にすでに先
端から透明なミルクを垂らしている肉棒が突きつけられた。迷わず宏美はそれにむ
しゃぶりつく。母が自分の肉棒を愛しそうに舐めるのは大好きな光景であったが、こ
こは我慢して成幸はそれ以上に好きな母のピンクの秘肉に舌を這わせ、指を差し込
む。
そのようにして二人は快感に耐えながら互いに一番弱いところを愛撫しあったが、先
に根をあげたのは――いつものように――宏美のほうだった。二年分以上に上達した
息子の愛撫に秘肉がしびれるような快感が走る。ついには耐え切れずによがってしま
い、口の中の肉棒を舐めるどころではなくなった。ひたすらあえぎ声を出すのみで崩
れ落ちそうな身体を支えるように肉棒を両手で握っている。その淫らな光景に成幸も
たまらなくなった。
「お母さん。いくよ。僕ももう我慢できないんだ」
成幸は身体を入れ替え、宏美の脚を抱えて組み敷いた。胸ははだけ、秘肉はむきだし
になっているが、スカートもブラウスもまだ身体にまとわりついている。それにも構
わず、母の唾液がしたたる肉棒を息子の愛撫に濡れる秘肉にあてがった。
「だ、駄目・・服が汚れるわ。せめて脱がせて・・」
「大丈夫だよ。全部、中に出すから」
息子の肉棒の先端が秘肉にわずかに差し込まれた。宏美は息を吐き下半身から力を
抜こうとする。十四歳であっても既にこの肉棒は母の肉路にはきつきつなのだ。成幸
がゆっくりと腰を沈めた。


第5話

「ハァァァァ・・ァァアァン・・」
 ぐりゅん、と音を立てて肉棒は宏美の肉路に刺さり、そのまま全てが入るまで肉壺
を前進した。何度聞いても興奮する母のあえぎを聞きながら成幸がやや速めに腰を動
かす。
「いくよ!お母さん」
「い・・ちょ・・待って。もう、す、少しゆっくり・・して。な、成幸の、おっきい
のぉ・・お腹が一杯になっちゃう・・」
 宏美はうめき、腰をよじろうとした。痛いわけではないが、肉壺一杯に満ちた肉棒
に息がつまるほどだ。成幸が動き肉棒が膣壁をえぐり上げるたびに頭まで届く快感が
電流のように走る。それが判っているから成幸もピッチを落とそうとはしない。さら
に加速して腰を動かす。
「あ・ああ・あああぁぁぁ!」
 今日最初の絶頂がきた。宏美の開きっぱなしの口から悲鳴のような喘ぎが流れる。
目はつぶっているが、顔は弛緩しきり、だらしなくそして淫らそのものの表情にな
る。この声と表情が成幸もたまらなくさせるのだ。腰の動きが更に加速し、新たな悲
鳴を母の口から搾り出した。
「う・・出るよ!」
 宏美が二度目の絶頂を迎えると同時についに成幸は我慢できなくなった。そのまま
抜かずに今日二度目の射精をする。約束どおりその全部が母の肉壺へたっぷりと流し
込まれ、子宮の奥までミルクで一杯になった。

 一休みの後、二人は浴場に行くことにした。温泉旅館にきたのだから温泉に入るの
は当然なのだが、むしろ旅館内を探検してみたいという成幸のたっての希望である。
本音は他にいるという近親愛カップルを見に行きたいのだが、宏美も密かにそう思っ
ていたので反対はしなかった。
 よって二人は浴衣に着がえたのだが、ここで一つの事件が発生した。宏美はこの旅
に備えて下着を上下とも十着以上――替えが頻繁に必要な事態を予測して――用意し
ていたのだが、どうやら昨夜の内に全てが見るのも恥ずかしいようなセクシーラン
ジェリーにすり替えられていたのである。まともな――まあ普通の下着は来る時に付
けていた上下一組以外荷物のどこにもなかった。
「成幸!あなた、だからお母さんの下着をぐちゃぐちゃにしたのね!」
「さあ?なんのことやら」
 とにかく浴場へは浴衣でいく以上、下着は必要であるが、唯一まともなものはたっ
た今、宏美自身の愛液でひたるほどに濡れている。結局、ランジェリーから手のひら
ほどの布と紐でできたパンティとシルクの網で作られたかのようなブラジャー――こ
れでも穏便なほうであった――をつけて浴衣を着た。
「でもお母さんの浴衣はいいねええ」
「そう?ちょっと胸の辺りが合わないみたいなんだけれど」
 宏美の豊満な乳房が圧力となって浴衣を押しのけようとするので前がはだけないよ
うにするのが大変なのである。
「何言ってんだよ。その見えそうなところがいいんじゃないか。それに浴衣だと下に
すぐ手が入るし」
「もう!」
 二人は部屋を出て浴場に向かったが、その間、何組もの泊り客を見た。いずれも男
女の組み合わせで年齢が離れていたり、雰囲気が似ていたりといかにもそれっぽい。
さすがに人前で絡み合っているものはまだいなかったが、互いの距離は普通の家族以
上に接近していた。
 周りの雰囲気を確認した宏美は思い切って成幸の腕にすがった。いつもは人目を警
戒して必要以上に距離をおくのだが、ここではやっても良いような気がしたのであ
る。成幸も喜んで身体を密着させたので、二人はかさなるようにして廊下を歩いた。
 浴室は一階の庭園沿いにある。大浴槽にサウナ、ジャグジーが付いており、外には
露天風呂が三箇所もあった。予想したとおり、男女の区別はない。一つしかない脱衣
所に二人で入った。
「誰もいないのかな」
 脱衣所は二人だけであったが、脱衣籠を見ると三組は入っているらしい。成幸は
嬉々として浴衣と下着を脱いだ。
「・・誰かいるのよね・・」
 宏美にとって混浴などもちろん初めてのことである。ちなみに成幸とその父親以外
の男に裸身を見られるのも初めてだ。恥ずかしさで一杯ではあるが、成幸が望む以
上、断れない。短い時間だけ迷った後、宏美はおずおずと浴衣を脱いだ。
 浴場には一組の母子がいた。後は外の露天風呂にでも出ているのか姿が見えない。
浴槽に身体を密着させてつかっている母子は、母が四十代半ば、息子が大学生くらい
だろうか。宏美達の姿を認めると丁寧に会釈をした。こちらも裸の母子なのに不審そ
うなそぶりはみせない。ただ男の視線が宏美の裸身を舐めるようになぞり、宏美をさ
らに赤面させた。タオルで前を隠しているのだが、これが小さすぎ、特に胸のあたり
は乳首が両方ともむき出しになっているのだ。
「お母さん。洗ってあげるよ」
 成幸が言った。まず最初に身体を洗ってから湯船につかるのが二人の家の入浴法で
ある。宏美は息子に導かれるままに洗い場の椅子に腰掛け、先ほど息子に舐めまわさ
れた身体を洗った。成幸の背中も流してあげる。成幸も宏美の背中を流してはくれ
た。ついでに変なところもいっぱい触るのでお返しにもう半分は立っている肉棒をつ
ねったが、逆に喜ばせただけだった。
 身体を洗い終わると二人は湯船に入った。先ほどの母子は入れ替わるように出て行
き、大きな浴槽は二人占めになる。温度もちょうど頃合いのいい湯だったが、すぐに
成幸が退屈しだした。
「露天にでてみようよ。岩風呂と檜、大理石の三種類があるんだって」
言いながら宏美の手を引く。宏美としてはせっかくの二人きりが惜しかったが仕方
なく外へ出た。


第6話

 露天風呂は三箇所が独立した造りになっていた。それぞれの間には庭木と庭石が巧
妙に配置され、互いを見えなくしている。二人がまず入った岩風呂には先客がいた。
若い男女でもちろん全裸だ。女は二十代半ばくらいで胸は宏美よりかなり薄い。手足
が細く長く全体的に若鹿めいた体つきであった。ボブカットの髪にやや釣り上がった
目が気の強さを感じさせる。男のほうはそれより大分年下で、こちらは見るからにお
となしそうだ。
男は風呂の縁に後ろ手をし腰を突き出す様にして座っている。女はその男の肉棒に
むしゃぶりついていた。
「きゃ・・」
 思わず声をあげかけ、宏美は口を押さえた。女将の説明だと別にこの男女はここで
は悪いことをしているわけではない。しかし、宏美としては生で他人のSEXを見るの
は初めてなのである。動揺は押さえられない。その身体を成幸が後ろからがっしりと
押さえた。
「ち、ちょっと!離しなさい!」
 この場を離れようとする宏美は声はひそめて叱ったが、かまわず成幸は母の裸体を
抱きかかえたまま湯船に入ろうとする。大騒ぎするわけにもいかず、やむなく宏美は
押されるままに岩風呂の中へ座った。後ろから抱くように身体を密着させて成幸も入
る。
 二人の目の前、約四メートル先で男は目をつむり、快感に耐えているかのように眉
を寄せている。宏美達に気づいている様子はない、しかし、女のほうは肉棒を咥えな
がらこちらを横目で見、にやっと笑った。そしてよりいっそう口を激しく動かし出
す。肉棒の先端から双玉の皺までをたっぷりと舌で舐めてから頬に浮き出るくらいに
かっぽりと肉棒を飲み込む。頬に現れる動きだけで口の中で舌と歯が忙しく動いてい
るのがよくわかる。
(・・わたしよりうまいわ。フェラチオってあんな風にやるのね)
 思わず恥ずかしい感想を呟いた宏美だったが、実際、眼の辺りにすると、恥じらい
より好奇心と欲情が上回ってしまい、目をそらすこともできない。その後ろの成幸
も、こちらも初めて目の前で見る他人のSEXに目の色が変わっている。たまらないの
だろう。後ろから両手をのばし宏美の乳首や秘肉を愛撫し始めた。同じく夢中になっ
ている宏美には止められない。
「姉さん・・」
 執拗なフェラチオにそろそろ我慢できなくなったのだろう。男がうめくように言っ
た。姉と呼ばれた女は、にっと笑い、口を男の肉棒から離す。そのまま立ちあがり、
軽く腰を曲げて風呂のかたわらの岩に手をついた。男がその腰に後ろからとりつく。
立位のまま男の肉棒がするりと姉の秘肉に挿し込まれた。
「あぁぁん!そうよ、健、もっと激しく姦ってぇっ!」
 男が激しく動きだすと女が大きな喘ぎ声を上げた。真昼間のしかも他人の前だとい
うのに、恥ずかしがるそぶりすらもなく、互いの身体に熱中している。宏美の位置か
らは出し入れされる肉棒まではっきりと見えた。特に快感にひたる二人の顔の表情は
迫力があり、成幸の愛撫の効果もあって、見ている宏美のほうが感じすぎるほどだっ
た。
 意外と早く男の身体が震え、射精した。成幸に比べるとだいぶ短めだが、女のほう
は十分楽しんだらしい。とろんとした表情で肉棒を抜くと、もう一度膝まずいてそれ
を口に咥えた。音を立てて男のミルクと自分の愛液を舐めとる。宏美達は声も出さず
に呆然とそれを見ていた。

 処理がすんだ男女はゆっくりと湯につかり、そこで初めて宏美達に気づいたかのよ
うに意外と丁寧な会釈をした。何か小声で話し合っている。やがて、女が先に立って
近づいてきた。
「こんにちは」
「・・こんにちは」
 挨拶されたのだから応えないわけにはいかない。宏美はかすれるような声で返事し
たが、にこやかに微笑む女の顔を直視できなかった。
「わたしは霧子といいます。こちらは弟の健です。失礼ですがお二人はご姉弟ですか
?」
 手の届く距離で男女は湯につかった。やっぱり姉弟だった。初めて他人の近親愛
SEXを見てしまったのだ。何と言ったら良いかわからない宏美にかわって成幸が応え
た。
「違います。母子です。僕が成幸、お母さんが宏美」
「あら、お母さん?若いわね。てっきりわたし達とおんなじだと思っちゃったわ」
「よく言われますよ。ところで霧子さん達はこの旅館にはよく来るんですか」
「そうね――もう二年は来ているわ。ここのことをネットで見つけて――えっと、
三ヶ月に一度のペースね」
「へええ――やっぱり変な気をつかわなくていいからですか?」
「そうね。ここでなら健と夫婦になれるしね。それに他人に見られてやるSEXもいい
もんよ。さっきの私達のはどうだった?」
「初めて他人のを見たんですけど、すごいと思います。あんなフェラチオをお母さん
にもしてもらいたいくらいで」
 そう言って成幸が笑った。笑いながら背後からの指が宏美の秘肉に挿し込まれる。
恥ずかしい会話に既に真っ赤になっている宏美はやっとの思いであえぎを押さえた。
「じゃあ、やってもらったら。わたしが今教えてあげてもいいわよ」
「そうですね。お母さんもお二人のを見てたっぷり濡れたみたいですし」
「え?」
 言われた時は何の事か判らなかったが、成幸が裸体を抱きかかえなおそうとしてよ
うやく宏美は理解した。息子はここで、他人の前で母と姦ると言っているのだ!
「ちょっと!やめて!成幸、こらっ!」
 宏美は慌てて立ちあがり湯船から出ようとした。しかし身体が外へ出たところで成
幸が腰にしがみつき、指を秘肉にさっと入れる。ズキンときた快感とかけられた体重
にバランスを崩し、湯船の淵で犬のように四つんばいになってしまった。すばやくそ
の後ろに成幸がとりついた。肉棒はもうかちんかちんに勃起している。
「やめなさい!成幸!お母さんはそんなのは・・ああぁん」


第7話

 母の抗議にかまわず成幸は肉棒を秘肉にあてがい、一気に入れた。いつもは固いピ
ンクの割れ目も今度は意外なほどするりととおる。口では嫌がってもやはり興奮して
いるのだろう。まるで強姦だったが、肉棒が動く快感としっかり押さえた成幸の手の
おかげで宏美は逃げ出すこともできず、そしてすぐそこで目を輝かせて見ている姉弟
の存在による一層の羞恥と被虐の快感に興奮し、恥ずかしい声をあさましいほどあげ
た。
「あ・あん・・いやっ・・ひいっ・・」
 後背位は久しぶりなので成幸は慎重に腰を動かした。いつもはクールにしていても
いじめられるとより一層興奮する母の好みは知り尽くしている。出来るだけ観客に母
の裸体――特に二人の結合部が見えるように位置を調整する。
「霧子さん。見えます?お母さんに出し入れしているところ」
「ええ、すっごく良く見えるわよ。成幸君、子供のくせに大きいのね。それにお母さ
ん可愛い声を上げるのねえ。実の息子に後ろからえぐられているというのに、まあ、
恥ずかしげもないこと」
 霧子が声をあげて笑った。サド気もあるらしく実に楽しそうだ。密着している弟が
無言で姉の乳房をもみ始める。湯の中の肉棒は明らかに勃起していた。
 宏美は恥辱な言いざまに抗議するどころではない。むしろ快感はさらに増した。
ゆっくりであっても成幸の腰の動きは確実に快感を肉壺に与え、しびれる衝撃に何も
考えられなくなるほど酔ってしまいそうだった。四つんばいで支えている両手の力す
ら入らなくなる。一突きされるたびに快感で頭と長い髪を振り、その振動で大きな乳
房がリズミカルに揺れる。
「ああら、他にお客さんが来たみたいね。息子のおちんちんによがるお母さん、頑
張ってみんなを楽しませるのよ!」
 霧子の言うとおり、大理石風呂の方から誰かが来た。没我の極みにいる二人にはよ
く判らなかったが、半分以上禿げ上がった中年の男とその連れだ。中年は露天での性
交を発見していやらしく笑ったが、不意にぎょっと表情を強張らせた。
「あん、あん、あぁぁぁん・・」
 新たな観客など後ろから息子に獣のように突きこまれてよがる宏美には判ろうはず
がない。かろうじて成幸がそちらを見る。中年は何事か呟きながら足早に浴場の方へ
去っていった。
「何なんだ。あのおっさん?」
 気にはなった成幸ではあったが、肉棒にまとわりつく母の肉襞の快感とそれ以上に
狂う母のあえぎにすぐ我を忘れた。すでに宏美は肉壺からの間断ない快感の大波に耐
えきれずに両手で支えることも出来なくなっている。ただ顔をつっぷすように下の岩
にあずけ、悲鳴のような声を上げていた。そしてそんな母の痴態を見ているだけで息
子の肉棒は痙攣を押さえきれなくなるのだ。
「お母さん!もう我慢できない」
「・・いいわよ。きてぇ!成幸、あたしの中で全部ぶちまけてぇっ!」
 堅物の女社長という清楚な日常からは想像も出来ない淫らな絶叫を宏美は上げた。
この瞬間に完全に息子の肉棒をむさぼる牝犬と化した母に満足し、成幸は大きくうな
る。ほとんど同時に母が絶頂に達し、全身ががくがくと音を立ててわななく。その白
い裸体全部に届くように息子は男のミルクを発射した。

「もう二度としないでよ。あんな事!」
 入浴(?)を終え、部屋に戻る間、宏美はぷりぷりと怒っていた。伸ばしてきた成
幸の手も邪険に振り払う。快感に負けてはしたなくもよがってしまったが、人前での
SEXはまだ嫌だったようである。(普通は当たり前だ)
「そんなに怒らないでよ。よそじゃしないよ。ここだからこそじゃないか」
「どこでも一緒よ!あなたは他人にお母さんの恥ずかしいところを見せて楽しいの
!」
 眉を逆立てる母に息子は意外と真面目に答えた。
「日頃、家の外では手もつなげない分、せめて安全なここでは僕達を人に見てもらい
たいんだ。それに僕はお母さんのどこも恥ずかしいとは思っていないよ」
 思わず見ると成幸の目は笑っていない。いつも陽気で楽観的な息子には珍しいくら
い真剣な顔である。一瞬、言葉を失った宏美だったがまともに息子の言葉を受けとめ
る照れくささに逆に意地になってしまい、そのまま部屋へ早足でいってしまった。
“葵の間”では既に夕食の準備が整っていた。まあ着いたのは早かったが、あっちと
こっちで二回も楽しむとこれ位は時間もたつ。夕食は和を中心にしながらも、ちらほ
らと山芋や泥鰌などの精力料理の混じったもので量が多く味も極上であった。さすが
にお腹がすいていた二人は一時間あまりをかけてたっぷりと食べた。宏美だけは部屋
に備えつけの冷蔵庫からビールを出して飲む。
「僕にもちょうだい」
「駄目。あなたは未成年でしょう」
「けち」
「けちじゃない!」
 全て平らげてから宏美は電話で片づけを頼んだ。すぐに二十前位の若い仲居が現れ
る。おとなしそうな感じのなかなか可愛い娘であった。成幸の目が輝いた。
「ちょっとすいません。ここの女将さんに聞いたんだけれど、仲居さんは僕達がこの
旅館に来たときにフロントの下にいたんですか?」
 言われて宏美も女将の台詞を思い出した。確かに女将はこの部屋の配膳係があのフ
ロントの青年の妹で、あの時、テーブルの下で兄の肉棒を咥えていただろうと言って
いた。思わずまじまじと仲居の顔を見てしまう。
「・・ええ、確かにそうです。兄がどうしてもというものですから」
 恥ずかしい質問に仲居はやや躊躇したが、そのように躾られているのだろうか。
あっさり事実を認めた。
「兄は仕事柄、この旅館の入り口のカメラで入ってくるお客様をチェックしているの
ですが、たまに――その、奥様のような好みの方がいらっしゃるとたまらなくなって
あたしを呼ぶんです。そしていつもその好みの方の前で口や胸を強制するのが趣味で
して――」
 淡々と話そうとはしているが、たまらないものがあるらしい。仲居の顔は徐々に紅
潮し、目つきが誰かへの嫉妬と誰かへの不満でかなり尖ってくる。視線を向けられた
宏美は思わず気圧されてしまった。


第8話

「あたしだって女ですから、他の女の代わりみたいなのは嫌なんですが、断ると夜に
相手にしてくれないんで仕方がなく――せめて本番でも出来ればいいんでしょうが、
仲居はこのように着物を着る規則ですので勤務中は着付けを乱れさすわけにもいかず
――もう悔しくて悔しくて。なんでこんな兄なんだろうと・・あたしの気持ちを知っ
ていながらわざとあんなことをさせるんですから――」
 喋っているうちに自分の言葉に酔ってきたらしく、仲居の目元が赤味をおびてき
た。正座の膝に置いた両手を帯のほうに引きつけたのも理由あってのことであろう。
「特に今日はしつこくて、一回あたしの口にだしてからも開放してくれず、更に手で
顔に一回ださせました。兄は気持ちいいんでしょうが、その間、SEXどころか愛撫も
キスもないあたしは生殺しです。たまらず一人でオナニーをするんですけれども、お
客様に気づかれないように声すら押さえなくてはならないですし。またそんな兄の射
精道具みたいな状態での屈辱的なオナニーでもこの身体はあさましいほどに感じすぎ
ちゃいまして、今日だけでも二回はいってしまいました。それがまた悔しくて悔しく
て――
 兄ときたら、あたしの処女を奪った時にはあたししかいないなんて言っておきなが
ら、あたしが兄の身体から離れなくなったと判ると、後は平気でよそに色目をつかう
んですから。
 奥様のところはそんなことありませんか?」
「え、えぇ?・・いや、その」
 急に話しを向けられてもただ呆然と聞いている宏美に反応ができるわけない。ま
あ、仲居も意見や同意を期待しているわけではなかったらしく、返事のないことも無
視してまるでつかれたように話しつづけた。
「実は高校を中退してこの旅館に就職したのも、人目を気にせず自由に愛しあいた
かった以上に兄の浮気癖を何とかしたいがためなのです。ここは近親愛以外にはかな
り厳しく、実質的にあたし以外には手を出せない規則になっていますから。でも、禁
止されているのはSEXだけなので、兄はわざわざ見せ付けるように、あたしを虐める
ようにあんな事をするんです。毎晩、勤務時間の後、兄の全部を搾り出してはいるん
ですが・・」
 急に言葉が途切れ、仲居は身体を前に曲げた。慌てて宏美が抱き起こそうとするが
成幸が止める。成幸には表情と呼吸で、女が自分の言葉に反応し、それだけでいって
しまった反応だと判ったのだ。実際、そのとおりで数分もしないで仲居は元に戻り、
非礼をわびつつ急いで膳を片付けていってしまった。
「う―――ん」
 仲居が去った後、成幸は真剣に感心して見せた。異常な告白に顔も身体も紅潮して
しまった宏美としては“何に?”と問いただす気もしない。無言で備え付けの冷蔵庫
に行き、もう一本ビールを取り出す。
 手酌で飲み出した母を見て成幸は意味深に微笑み――子供のようにすりよった。
「すごいね。お母さん。世の中には上には上がいるもんだね」
「・・まあね。――――上ってのがひっかかるけど」
「お母さんは僕がお母さん以外に目を向けたらどうする?」
 あどけなく訊かれたせいでもないが、宏美は咄嗟に反応できなかった。しばし考
え、何とも言えない表情になる。言いたい事と言うべき事の格差が脳裏を混乱させた
のだ。それでもようやく口を開いた。
「・・その時は、まあ・・あなたの意思を尊重するわよ。わたしはあなたの母親なん
だからね。あなたの幸せのために・・」
 そこまで言いかけて宏美はぎょっとした。成幸が――いつもにこにこと機嫌のいい
息子が見たこともないような不機嫌な表情になっていたのである。無意識のうちにも
その表情に押されたように気がひるんだ。
「ふ――――ん。じゃ、お母さんは僕のためなら他のどの女と何を姦ってもいいんだ
ね」
 あまりに露骨な言い方に宏美のほうがひるみ、言い訳するように反応した。
「そんな意味じゃないわよ!そんなどの女だなんて・・」
 成幸がごろん、と横になり宏美のそろえた膝に頭を置いた。見上げる目が笑ってい
る。やった!と言う笑いだ。また引っ掛けられた事に気づいて宏美は真っ赤になり、
思いっきりそっぽを向く。膝にあたる息子の上気した肌の熱さを無視して立て続けに
ビールをあおった。
「ねえ」
 膝から甘えるように成幸が言った。
「怒ってんの?・・」
「知らないわよっ!」
 母親の不機嫌――ないしは照れを無視して成幸は続けた。
「ねえ、ビールちょうだい」
「駄目だって言ったでしょう!未成年に飲ませてはいけないって法律で決まっている
の。ほ・う・り・つ・で!」
 恥ずかしいことを言わせられた恨みから宏美はことさら嫌味っぽく断る。しかし、
成幸は怒りもせず――
「じゃ、キスして」
「え?」
「ビールをふくんでキスをして。それならいいじゃん」
 こういうHなことを考えるのは天才的ね――一瞬本気で宏美は思ったが、何かいや
らしいこの提案もなんとなく捨てがたい。やや迷ってから、ビールを一口含む。そし
て膝の上で待っている成幸の唇にキスをした。
 待ち構えていた息子の舌はあっさりと母の唇を割り、やや苦いビールと甘い唾液に
満ちた口の中をねっとりと動き回った。お互いの唾液とビールが二つの口の中で混ざ
り合う。とろんとする快感に宏美は先ほどの怒りがすうっと消えていき、いつしか
ビールを傍らにおいて成幸の頭を両手で抱えていた。
 かなりしてから――口中が二人の唾液だけになってから成幸はそっと身体をひねっ
て起こした。唇を重ねたまま宏美も合わせて動く。そのまま成幸に引かれるように二
人は歩み、隣の寝室――二人分の大きな布団のしかれた部屋へ移った。
「優しくしてね・・今度は・・」


第9話

 立ったままゆっくりと母の身体をまさぐり、浴衣を脱がそうとする息子に宏美は囁
いた。成幸はにやっと笑ったのみで答えない。
 そのかわりに浴衣からこぼれた大きな乳房をかっぽりと口に含んだ。舌先ですでに
固くなっている乳首を転がす。恐らく何千回も味わった場所だが、今でもほんのりと
甘く感じるのは何かの錯覚だろうか。
 そのまま乳房を弄びながら、徐々に宏美を押し倒していった。乳房への愛撫自体は
おとなしいものではあったが、それでも母乳を吸う乳児のように延々と、そして丹念
に繰り返さえられると宏美の身体もたまらなくなってくる。
「ねぇ・・他のところは?」
「他ってどこをしてほしいの?言ってよ」
 恥かしそうに腰を摺り寄せる宏美に意地悪に成幸が言う。浴衣の裾がわれ、白い太
股が息子の腰をはさむようにからみつく。しかし、成幸は乳房を弄ぶだけだ。ここま
でしても応えてくれないとなると本当に言うまでじらす気だ。さすがに口に出すのは
恥ずかしかったが、ついに我慢できずに囁いた。
「あのね・・下のほう・・」
「ここかな?」
 成幸は白々しく言った。紐になっているパンティをほどき、露になった下腹にす
うっと手のひらを下ろして、叢の寸前で止める。そのまま毛をゆっくりと梳かすよう
に、しかし肉にはぎりぎりで触れずに指を動かした。
「も・もっと・・もっと下!」
 いやらしいまでのじらし方に宏美は恥ずかしさも忘れて思わず大きな声を出してし
まう。
「じゃ、ここ?」
 きゅっと音を立てて成幸の人差し指と親指がクリトリスをつまんだ。たったそれだ
けで宏美の秘肉の一点から電流のような快感が脳髄まで走る。声は一瞬であえぎと
なって口からもれた。
「あんまりじらすのもかわいそうだからね。お母さんはこれから大変なんだし」
 成幸が微笑みながら四本の指で秘肉に触り、その中の中指が秘裂に挿し込まれる。
ゆっくりとした動きではあったが、母親の女体を知り尽くした触り方にあえぎはさら
に大きくなった。
「くちょくちょだね。お母さん」
 宏美の耳元に口を寄せて成幸が囁く。それだけで宏美は真っ赤になり、更に愛液も
したたらんばかりにあふれた。我慢しきれずに母が乱暴な手つきで息子の股間を掴
む。すでにかちかちになった肉棒はじっとりと手のひらに熱かった。
 成幸は腰を入れ替え母の裸体に乗った。しかしすぐには挿入しない。肉棒で秘裂を
なぞりあふれる愛液をたっぷりと塗りたくる。肉棒はすぐにしゃぶった後のように
じっとりと濡れた。
「いくよ」
 優しく囁かれ、宏美がこくんとうなずく。それを合図に太く熱い肉棒が宏美の肉壺
に進入し、ふさぐように一杯にした。軽い痛みとそれの数倍の快感に思わず悲鳴がも
れる。
「ハ・ハハァ・・ッ!」
 成幸は自信を持って腰を動かし始めた。何せ今日はすでに三回射精しているので、
たっぷり余裕がある。そうそう漏れるようなことはない。だから今度はたっぷりと虐
めてやろうと考えていた。
 宏美の方も受け入れるのは三回目だが、女のほうは感度が鈍ることもなくいつでも
新鮮な快感が走るのでたまらない事にかわりはない。いつもより更に激しい息子の腰
使いにすぐにも悲鳴はあえぎに変わった。
「も・もうだめぇぇ・・い・いっちゃ・・うぅぅ。おねが・・い。いっしょに・・」
「だーめ」
 最初の絶頂が来た宏美に成幸は意地悪に答えた。腰の動きは止まろうともしない。
すぐにも悲鳴をあげて宏美はいってしまった。汗に濡れた裸体ががくがくと震え、
べっとりと愛液が股間からしたたる。しかし、成幸はまだ容赦しなかった。
「僕がいくまでやめないからね。何度でもいってよ。お母さん。そのいく時の声と顔
がたまらないんだ」
「ひいぃぃぃ・・」
 絶頂にわななく肉壺に容赦のないドリルでえぐられるような攻撃がなされ、宏美が
新たなる悲鳴をあげる。前にもあったことだが、成幸は一回で何度母をいかせられる
かに兆戦するつもりだった。今までの記録は三回であるが、今、肉壺を攻め上げる固
い感触とそれからもたらせられる耐え難い快感に、宏美は今夜はそれ以上になる事を
確信した。
 事実、この夜に成幸がようやく発射したのは宏美が四回目の絶頂をむかえたと時で
あり、それと同時にひさびさに宏美は失神してしまった。

 翌朝、宏美は一人で目覚めた――と言うより気がついたと言うべきであろうか。
 昨夜の事は途中からもう記憶があいまいであった。気づいた時にはゆるく浴衣をま
とったままで―恐らく成幸がしたのであろう―下着はもちろんつけていない。浴衣を
引っ掛けただけの成幸の傍らによりそうように寝ていたらしく、右手は成幸の腰にか
かっていた。
 よく寝ている成幸を起こさないようにそっと床を抜け出し、壁の時計を見るとまだ
六時である。早いわりには目がすっきり覚めているのは昨夜の大騒ぎに疲れ、熟睡し
きっていたからであろう。
「もう、元気一杯なんだから。どっから出てくんのよ。そんな精力」
 ぶつぶつ言いながら成幸に布団をかけてやる。成幸の体力にはなれているはずだ
が、さすがに昨夜ほど可愛がられると少し腰に力が入らない。ふと、すでに半分以上
大きくなっている肉棒に目が止まった。毎朝これをしゃぶらされるのが日課なのだ。
思わずごくりと喉を鳴らしてしまったのが、何か条件反射のようで恥ずかしかった。
「まあ、良く寝てるしね。起こすのも可哀想よ」
 母親らしいことを呟きながら居間に移る。ニュースでも見ようかと思ったが、その
音で成幸を起こしてしまいそうだ。窓から外を見ると上がりかけの朝日の中、何とも
言えない濃さの霧が山間の風景を覆っていて、いいムードだった。
 結局、成幸が起きるまで小一時間ほど庭を散歩することにした。


第10話

 庭は昨日、上から見たとおり変な造りだった。石も木もいいものを使っているのだ
が、正統的な日本庭園とは大分違う。まるで森の中に入ったかのように周りが見渡せ
ないのである。と言って実際の森のような閉塞感はない。光も空気もすんなりと流れ
てくる。もし見渡せないのを目的として設計されたのなら逆に見事なものであろう。
 十五分も歩かないうちにその答えが判ったような気がした。砂利道の傍らの木の陰
から人の気配がしたのである。つい宏美は何の気もなくそちらを見てしまう。話し声
が聞こえるような距離に全裸の男女三人がいた。
 二人の男が裸のまま肩を組み並んで立っている。その腰の辺りに全裸の女がしゃが
んで顔を寄せていた。何をしているのかもここからはっきり見える。二人の男の二本
の肉棒を丹念にフェラチオしているのだ。思わず、宏美は側の岩の陰に隠れた。
 息まで潜めた宏美の視線の先で女は一生懸命に肉棒をしゃぶっている。二人の男は
二十才位で顔も背格好も驚くほど似ていた。双子なのだろうか。気持ちが良いのだろ
う。二人ともうっとりとしている。やがて、その一人が女の髪をなぜながら言った。
「もういいよ。千春。おかげで僕も兄さんもびんびんだ。ご褒美をあげるよ」
 女は口を離し、にこっと笑った。意外にあどけない表情になる。会話からすると妹
であろうか。
「で、今度はどうされたい?」
「うんとね、今度はちい兄ちゃんが前をして、兄ちゃんはう・し・ろ」
 はっきりとした返事に二人の男が声をそろえて笑った。
「馬鹿だな。それじゃさっきの兄さんのと混ざるじゃないか。子供ができてもどっち
の子か判らなくなるぞ」
「いいのよ。どっちでも――ううん、どっちとも欲しいんだから」
「二人もかい?そして今度はその子とも姦るんだろう。ほんとに淫乱な奴だ」
「いーーじゃないよぉ。だからわざわざ濃いい朝に姦ってんだからぁ」
 もうこれくらいじゃ驚かないぞと思いつつも宏美は息を呑んで見つめる。今度は兄
妹で、妊娠を狙っているらしい。一体、本当に出来たらどうする気とこっちが心配し
てしまう。
 ちい兄ちゃんと呼ばれた男が仰向けに横になった。成幸ほどの大きさではないが、
いかにも固そうな肉棒が垂直に立ちあがる。女がその上にそっと乗った。肉棒を秘裂
にあてがい、小さくうめきながら徐々に腰を下ろす。もう一人がその背後にまわって
たわわな胸をゆっくりともみしだいた。
「・・う・・ううんん」
 ようやく全部入ったらしい。目をつむってゆっくり腰を揺らす女を下から男が抱き
寄せた。前倒しに裸体がくずれ挿入された肉棒と愛液をあふれさせている秘襞、そし
て菊のような肛門が後ろから見て剥き出しになった。背後の男がかがんでそこに口を
寄せる。
「いやん・・なめちゃぁ・・」
 男の舌が肛門をなぞった。嬉しそうな声を女が上げ、抱きしめられたまま軽くのけ
ぞる。下の男がゆっくり腰を突き上げ始めた。さらに女の声が大きくなる。
「よしこれだけ湿ればいいだろう」
「ゆっくりしてやれよ。兄さん。千春のお尻はまだちっちゃいから」
 背後の兄が弟と同じサイズの肉棒を妹の肛門に添えた。アナルセックスを初めて見
る宏美は目を大きく見開いて見つめてしまう。話には良く聞くけれどあんなものが本
当にあんな小さな穴に入るのだろうか?
 背後の男は結構、乱暴に肉棒を挿入した。明らかに痛みによる悲鳴が大きく響く。
それに構わず、上下で男達が息をそろえてピストン運動を開始した。
「ひいいいぃぃっ!いやぁぁぁ、もっとゆっくりぃぃ・・中でごりごりあたっている
うぅぅ・・」
 女は恥ずかしいくらいあからさまに叫んだ。しかし明らかに痛み以上の快感にうち
震えているのが宏美にも判る。悲鳴をしのぐあえぎが薄い霧を長く振るわせた。
 宏美はその場を離れた。いたたまれなくなったと言うより覗き見に罪悪感を感じた
からである。昨日の霧子姉弟もそうだが、近親愛でもああも堂々とやられるとやまし
さを感じること自体が悪いもののように思えてしまう。
 それからしばらく早足で歩いたが、やがて昨日の露天風呂の側へ出てしまった。
ちょうど天蓋付きの檜風呂が良く見渡せる場所で、やっぱりというか予想通りにそこ
には一組のカップルが真っ最中であった。
(やれやれこんな朝早くからご熱心なこと)
 自分の日常を思いっきり棚にあげて宏美は思った。今度は女が座り、その股間に男
がむしゃぶりついている。女のほうは最近多いいガングロとやらで、髪は脱色して
メッシュになっているし、肌は黒人の一歩手前まで焼いている。剥き出しになった小
ぶりの胸やまだ子供っぽい腰に、水着などによる焼き残った跡が一切ないのが見事な
ほどであった。男の方は顔をうずめているため良く判らないが、ややたるんだ太目の
体つきから言って中年だろうか。
(じゃ、父娘かしら。兄妹にしてはちょっと変よね)
「ぁぁぁああああ・・いいぃぃ。パパぁ、もっとなめなめしてぇぇ・・」
 男のクンニがいいのだろう。女は押さえようとしても押さえきれない可愛いあえぎ
声を上げていた。その声だけ聞くと成幸と同じ年頃ではないかとも思える。それ以上
見ているとまた覗きになってしまうので、宏美はそっと離れようと後づさった。その
時――一瞬、足が止まった。
「ねえ・・もういぃいでしょう、ヒロミにちょうだぁいいぃ」
 どきりとして思わず視線を再度向ける。自分の名を呼ばれたかと思ったのである。
考えてみればヒロミなどありふれた名前でどこで会ってもおかしくないのだが、この
場所が場所だけに誰何されたかのように動揺してしまったのだ。そして――
「宏美様と同じ字の同じ名前ですのよ。あのお嬢様は」
 耳元で囁くように言われて宏美は飛び上がった。反射的に誰かに口を押さえられた
ので悲鳴が漏れなかったのがせめてもの幸運である。慌てて横を見ると浴衣を着た上
品そうな美人――当旅館の女将の菊乃がにこやかに微笑んで立っていた。なんのかん
の言ってもこんな側に近寄られたのが判らなかったくらい熱中して覗いていたので
あった。


第11話

「おはようございます。宏美様。良い朝でございますわね。昨夜はゆっくりお休みに
なられたようで――ああ、あちらのお客様は大丈夫ですよ。毎度のことです。SEXの
最中は電話が鳴っても気づかないくらい熱中するお二人ですから」
 にこやかに言われてもああそうですかとは言えない状況である。声も出せずにあた
ふたする宏美の浴衣の袖を女将が引いた。抵抗も出来ずにそちらへ引っ張られる。や
や離れた――しかし、ばっちり覗け、しかも声もはっきり聞こえる距離で女将はと
まった。
「あの方は関西の実業家でして、お嬢様と月に一度は必ずいらっしゃる常連ですの。
奥様は早くに亡くなれたそうで後は父娘水入らずというところでしょうか。お名前は
――」
 宏美の視線の先で中年の男が娘の股間から顔を上げた。その顔を見た宏美の脳裏に
“まさか――”という自分の呟きが他人のもののように響く。知っている顔だった。
それもかって成幸以外に唯一身体を許した――
「なぜ、私にそんなことまで説明するのですか」
 我ながら硬い声である。宏美は今、自分が感じているのが、また考えているのが何
か自分でも理解できなかった。懐かしさでもなく、怒りでもなく、そして悲しみでも
なく――
 実際、懐かしいどころかたった今まで十数年思い出しもしなかった存在である。宏
美の人生にとっては重要ではあったはずだが、正直言って成幸が産まれてからは完全
に忘れていた。当然、今は怒りも悲しみもない。
 だから、ただ、この男が自分と同じ名を娘につけて呼んでおり、そして、今、その
娘の裸体に宏美が見た事のあるはずの肉棒を硬くしていると言う事実だけが目の前に
あるのである。
「たしかにお客様のプライバシーに触れる事は当旅館ではルール違反ですけどね。で
もあちら様がそのルールを無視して宏美様の事を昨夜しつこく聞きにいらしゃいまし
て、ついその事を思いだして独り言を言っただけですよ。ああ、ご安心下さい。あち
らへはお二人は仲の良い姉弟だと説明しておきましたから」
 女将は噂話でもするように言った。きっと全てを判っているのだと確信はしたが、
その好意に甘えて宏美は気づかないふりをすることに決めた。
 二人の視線の先で中年男が横になり、娘がそれにまたがる。意外にすんなりと入っ
たようですぐに娘が乱暴に動き出した。それがあまりにもあけすけにリズミカルで、
またその肌の黒さから宏美には黒兎が跳ねているのを連想した――自分と同じ名の恥
ずかしさで一杯だった少女が、あの時は精一杯だった愛を受けとめているようには見
えなかった。
「ちなみに宏美様とはお知り合いですか?」
「いいえ」
 我ながら驚くほどに間髪を入れずに答えられ、思わず笑ってしまった。それを見て
女将も笑う。宏美がたった今、行った人生の選択を祝福するようににこやかに笑っ
た。
 ふいに二人の傍らの霧が割れて男が現れた。レスラーのような逞しい体格で、思わ
ず宏美が女将の影に隠れてしまったほどに威圧感があった。
「なんだ。母さん。こんなところで散歩かい?」
 男の声は外見のわりにに穏やかであった。ランニングシャツに短パン、ジョッキン
グシューズと言う格好である。全身の汗やはずんだ息でランニング中だったのは宏美
にも判った。ひょっとしてこれがパンフレットに出ていたと言うここのインストラク
ター兼女将の息子なのだろうか。
「あら、ちょうどいい時に来たわね」
 女将は上品に微笑み――なんと自分の浴衣の帯に手をかけた。宏美が理解する暇も
なく帯が下に落ち、張りつめた――絶対に実際より二十年は若い見事な女体が露にな
る。
「ええっ!またかい。明け方に二度したろう。俺、トレーニング中なんだけどなあ」
「ちょっといいことがあったのよ!いいから早く!」
一変したように女将があせった声を出した。半分脱いだ浴衣を下に、自ら傍らの草の
上に横になる。豊かな股間の茂みに女蜜が光っているのが宏美にも見えた。男が口と
は裏腹に実に嬉しそうに下着もろとも短パンを脱ぐ。すでにかちんかちんになって、
まるで握り拳を思わせるような、宏美が見たこともないサイズの肉棒が飛び出た。そ
してその逞しい身体が宏美の目の前で熟れた実母の身体を組み敷く。
「あの、わたし、この子とする時はかなりあさましく乱れますの。蔑ずまないでくだ
さいね。宏美様」
 息子の下から女将が艶然と笑った。前戯もいらないかったらしい。すぐにも息子の
腰が突き出され、あんなに逞しい肉棒がすでに濡れきっている女将の秘襞にぐさりと
打ち込まれる。宣言通りの艶やかな嬌声が女将の口から薄霧の中へ鳴り響いた。その
まま息子の腰が波のようにゆっくりと、しかし力強く前後に動き、その肉壺をえぐら
れるような快感に女将は獣のような声を上げてよがり狂う。
 宏美はもう我慢できなかった。挨拶もそこそこに駆け出す。そう、自分のもののと
ころへ――

 エレベーターを使って四階についた時、宏美の股間はすでに滴るほどに濡れてい
た。それが立て続けに目撃したSEXによるものなのか、あの男の今の現実に興奮した
せいなのかは宏美にも判らない。今、判っているのはただ最愛の人の-―成幸の固い
肉棒と熱いミルクをたっぷりとこの身体に味わいたい――ただそれだけである。
 “葵の間”の鍵を右手で開けながらも、左手が無意識のうちに浴衣の帯をほどこう
とする。ドアを開け、部屋へ駆け込むと同時に両手がパンティの裾を引き千切り、浴
衣の前をはだけた。最愛の息子が溺れきっている見事な裸身が露になるが、それを気
にする余裕などない。そのまま寝室に駆け込み、視界に望んだものを見つけた。
 成幸はまだ眠っていたが、浴衣の裾からはっきりと起床する下半身が見えた。宏美
はそこへ倒れこむようにすがり、硬直した肉棒を一口で咥えこむ。いつもと同じはず
の少年の匂いと味がたっぷりと舌から全身に広がった。
「え・・」
 暖かい濡れた感触に成幸が目を覚ました。そのまま寝ぼけ眼で見まわし――かって
ないほど真剣に息子の肉棒をしゃぶっている母親を発見する。軽い驚きを感じた。
「どうしたのさ。お母さん。朝なのに自分からしてくれるなんて」
 そうなのだ。今まで二人の朝のフェラチオは常に息子の命令で行われていたのであ
る。宏美の内心はどうあれ、母から自発的にやった事はかってなかった。
「・・うぐ・うん・・。ちょっとね。いい事があったのよ」
 肉棒から口を外して宏美は笑った。屈託のない、しかし息子が瞬時に肉棒を最大限
なまでに硬直させたくらい淫らな笑みだった。
「あら、急に大きくなったわ」
「・・お母さん・・」
「これだけあれば十分ね。ねえ、ちょうだい。成幸」
 宏美はねっとりとした動きで成幸の身体にまたがった。息子の身体にかかっただけ
の浴衣をはぎ、精力的な若い身体を剥き出しにする。惚れ惚れするくらい綺麗なくせ
にすでに逞しさが芽生えてかけている男の裸だった。
「ねえ、お母さんのこと好き?」
 形の良い胸にキスしながら宏美は囁いた。予想外の展開に成幸は驚いたが、ややお
いてから下から母の身体を優しく抱きしめる。
「もちろんさ。お母さんが僕の最愛の女だよ」
「本当?ずっとそう?これから先も、ずっとわたしだけ?」
 すがるようにして言う母親の表情を成幸は何よりも可愛らしく思った。
「そうだよ。お母さん。僕にはお母さんだけだよ」
 成幸の手がほとんどはだけている宏美の浴衣を脱がす。一万回でも絶賛したい母親
の肉体が直接熱い体温をもって息子の上にかぶさった。
「じゃあ、ちょうだい――」
 息子にはたまらない笑顔のまま宏美は軽く腰を動かした。それだけで大き目のはず
の成幸の肉棒が優しく宏美の秘裂に入ってしまう。成幸はやや驚いたが、かってない
ほどに濡れそぼった絶妙な肉壺の感触にたまらず声を上げた。
「ずっとよ。ずっとしてね。お母さんは成幸以外何もいらないから――何よりもあな
たを愛しているから」
 宏美は祈るように呟いた。同時にほとんど無意識に腰がゆるやかに動き出す。
 何度味わっても新鮮な快感が母と子の全身に広がってゆき、同時に酔うような幸福
感が二人に染み込むように満ちていった。
 やがておきた純粋で可愛い声と音は一組の母子の将来を祝福するかのように朝の空
気を長く長くふるわせ続けた。









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