第1話

 厳しい冬から春に近づく3月。ピッグは体を震わせながら、畑の周囲に杭を打ち込んでいた。
「お~さぶさぶ」
 3月になったとはいえ寒気は今だ厳しく、冬が苦手なピッグにはたまらない。だが、農閑期のうちに仕上げた害獣対
策用の網を設置しなければ種まきも出来ない。寒さに堪えながらピッグは丁寧に網を打ち込んだ杭に取り付けていく。
「・・・よし、これでいいブヒ」
 2度3度、軽く網を引っ張りながらピッグは頷いた。これで明日から野菜の種まきが出来る。
 去年を振り返ると、異常気象ばかりだった。長続きした梅雨、平年以上の熱気。そして予測が出来ない集中豪雨。だ
が無事に野菜を収穫し、高く売ることが出来た。以前のピッグだったら根気が折れていたのかもしれない。しかしピッ
グを支えてくれた奴隷がいつも傍にいた。
「ただいま~」
「お帰りなさいませ、ピッグ様」
 玄関を開けるとピッグの奴隷、ミント・アドネードが迎えてくれた。温かく優しい笑顔がピッグを癒してくれる。
 白のボンデージを纏ったミントはピッグに抱きつくと、冷えた唇に自分の唇を重ねた。露になっている105センチ
の乳房を、ピッグの体に押し付けるのも忘れていない。
「ちゅ・・・。ちゅう・・・。お体が大分冷えてます・・・。今、コーヒーを淹れますね」
 ピッグから離れ、ミントは台所へ向かう。引き立てのコーヒー豆に沸騰寸前の湯を注ぐと、部屋にはたちまちコーヒ
ーの香りに包まれる。そして暫くするとミントはマグカップに注がれたコーヒーをピッグに差し出した。
「お待たせ致しました、ピッグ様。ミルクはいかがされますか?」
「もちろん、ミントのミルクをいるブヒ」
「ありがとうございます。では・・・」
 ミントは手を後ろに回し、ピッグにたわわに実った胸を差し出す。顔は赤く紅潮し、乳首は硬く起立している。
 午前中にも2回、ミントはピッグとのセックスを交わしている。その間に何回も乳房を揉まれ、ペニスを挟み、母乳
を出したにも関わらず、ミントはピッグに愛撫してもらうことに喜びを感じていた。
「おっぱいを、揉んでいただけますか?」
「解ったブヒ」
 ピッグの両手がミントの胸に伸びる。待ち侘びた瞬間に、ミントの興奮が最高潮に達した時。
「すみません」
 玄関のドアをノックと同時に女の声が聞こえた。ピッグは溜息をつきながら、玄関へ向かった。
「・・・はい」
 ピッグがドアを開けると、黒い法衣を来た女が立っていた。顔はレースで隠れており、表情をうかがうことは出来な
い。そして手には膨れた麻袋があった。
「どうぞ」
「・・・」
「ではまた」
 ピッグが無言で麻袋を受け取ると、女は足早に去っていく。ピッグは中身を確認しようともしないで、倉庫にある金
庫に入れた。
「・・・すみません、ピッグ様」
「いいブヒ。ミントは悪くないブヒ」
「ですが・・・」
「もういいブヒ」
 ピッグは、今にも泣きそうなミントの頬を優しく撫でた。
 黒い法衣の女は、ミントの生活資金を運んでくる法術師教会の者だ。今のミントの立場は破門寸前の法術師。トーテ
ィス村での子孫繁栄と名の下に隠れた性的乱交に参加しなかった事で、ミントは追い出されたのだ。あれから1年が経
つ今もミントの元に黒法衣の女が現れては、金を置いていく。ピッグの収入でなんら不自由が無いことが解ってもだ。
 その女達のせいでいつもミントは苦しんでいることを、ピッグは重く見ていた。金には一切、手をつけていない。む
しろ今から返しに行きたいくらいだ。しかし、ただ返しただけではまた金を渡してくるのは容易に想像がついた。
「どうしたものブヒか・・・」
 ピッグはミントをそっと抱きしめ、頭を撫でながらふと思いついた。
「ミント、1つ質問するけどいいブヒか?」
「はい・・・」
「法術は男なら誰でもいいブヒか?」
「と、いいますと・・・?」
「つまり、セックスが出来るなら誰でもいいブヒか?」
「そんなことありません!」
 ミントは普段からは想像がつかない声を上げた。
「確かに法術は表向きは治癒術、本当は性欲を沸き立たせる淫術です。しかし、乱交は本来禁止されているのです」
「ふむ・・・。だとするとミントがトーティス村で見た行為は禁忌、ブヒか・・・?」
「はい・・・。風習が無くなりつつあるとはいえ、法術は愛する男性に掛けるものなのです」
 ミントはピッグにありのままを伝える。
「もし、いろんな男性に無差別に掛けると強姦をむやみに増やすことに繋がりますから」
「なるほど・・・」
 ミントの答えにピッグは頷いた。
「・・・ミント、法術師の総本部はベネツィアだったブヒね」
「?・・・え、ええ」
 ピッグはミントに奴隷の焼印をつけるために一度、ベネツィアを訪れたことがある。港町だが、そこには大きな教会が
あり若年カップルの結婚式をよく執り行っている。観光スポットとしても人気の場所だ。
「ミント、準備するブヒ」
「え・・・?」
 ピッグは立ち上がり、旅行用のリュックサックを倉庫から取り出した。
「ベネツィアに行くブヒ。さ、準備するブヒ」


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PIXIV「24-16」



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