約五年前の中学三年生のことだ。私は剥離骨折を理由に体育を見学した。
 当時私のクラス担当の体育教師だった者は教室で休ませることが多く、私も教室で休むよう指示された。
 いつもは休む事など無い体育を休んだことをからかう友人達を苦笑で交わし去る背中を見送った。

 時計の針も授業が開始し約十分過ぎた時刻を示し、絵でも描こうか、と考えた頃教室の前のドアが開き私とは雲泥の差の少し病弱な優等生が入ってきた。
 当時私は女子と平然と話し掛け、親交の深い者もいた。
 しかし彼女は優等生であり、私は平平凡凡な生徒だった為話すという概念そのものが無かった。

だが暇を持て余していた私は勉学に励んでいる彼女に遊ばないか等と話し掛けたのだ。
 当然彼女は戸惑い、口を濁す 当然の反応だっただろうと思う。
 だが受験シーズンとあり、さすがに勉学の一つや二つできなければと思い、無理を承知で彼女に勉強を教えてくれないか、と頼んだ。彼女はやはり戸惑いつつ、しかし承諾してくれた。

 だが板書を真面目に写さない私は彼女の言う数学の公式等々が分からなかった。しかし彼女は懇切丁寧に教えてくれたのだ。
 骨折が治るにつれ、彼女との親交も少しずつ深くなった。
 骨折の治りも終盤になった七月上旬に私はやっと授業内容が理解できるようになった。

 そして恐らく今回が最後の見学になるであろうという時、私は今までの感謝を込めて、彼女の似顔絵を描いた。
 ありがとう、と言い笑う彼女の笑顔はまさに私の心の向日葵だった。この時私は彼女に恋心を抱いていたのかもしれない。

 このままだと彼女とは最後になるかもしれないと思い、彼女に優等生は彼氏はいるのか、といない事を願いつつ聞いた。
 ただ彼女は一枚上手だった。勉強なら家で教えてあげるよ、と答えた。

 その日から私は彼女と駅で待ち合わせ家へと向かった。やはり彼女の部屋は綺麗で可愛らしかった。
 持て成しで出してくれるのも手作りのクッキーやケーキだった。そのお菓子をつまみ、彼女の授業を受けるのだ。そんな毎日が続いた。

 次第に私の恋心は抑えきれなくなり、通いつづけて約一ヵ月後生まれてはじめて告白した。
 彼女は頬を赤らめ快諾してくれた。
 私は天にも上る思いで、頭が真っ白になり彼女に抱きついてしまった。
 戸惑う彼女だったがしばらくして背中に手を回してくれた。好きな人に抱かれるということはこういうことなのかと思った。

 やがて夏休みに入り、より彼女の家へ通った。夏だったためか半袖の可愛らしい洋服と短いスカートだった。
 私としては凄く緊張に似た思いを抱いたのを覚えている。
 その日は勉強はせず、彼女を描いてプレゼントした。彼女が笑顔でありがとうと言う時が一番嬉しかった。

 少し時が経ち花火大会があった。
 初めての市外デートだった 彼女の誕生日より一週間早かったが私は彼女に付き合い始めてから約二ヶ月で始めてキスをした。彼女は泣きそうになりつつも私にお返しのキスをしてくれた。

 このまま最高の時が止まらないで欲しい―――……。

 しかし、夏休みが終わりごろになった時彼女は転校の話を切り出した。二学期にはもう東京にいると言う。
 ショックだった。
 夏休みが終わるのも二日……。私は最後に彼女に最高のプレゼントをしようと彼女に何が欲しいか尋ねた。彼女は何も要らない、ただ私の処女が都会で喪失するよりここで喪失した方がいいと、私に処女を貰ってほしいと言ったのだ。
 
 私は彼女のためならと承諾し、初めて彼女の胸を触った。
 彼女は戸惑いつつキスをしてくれた。
 私は彼女のスカートを脱がし、パンティーの上からそこを触った。  彼女は少し縮こまったが続けた。

 やがて彼女が口の中に私の勃起したそれを入れて欲しいと言った。
 私は彼女をベットに座らせフェラをして貰った。
 初めての体験で興奮していた私はすぐに彼女の口に出してしまった。
 涙目になっても受け止めてくれる彼女が可愛く見えて頬にキスした。

 しばらくして彼女が処女をあげると言い出し、パンティーを脱ぎ私の手を握った。
 彼女も興奮していたのだろう 体が温かかった。
 私は前戯も無くそのまま彼女に挿入した。

 やはり痛いのだろう 何度も苦痛の表情を浮かべた。その度に躊躇ったが彼女は入れての一言だった。
 腰を振ったり振られたりの繰り返しでそろそろ射精しそうになった時、彼女はありがとうと言ってあの向日葵の笑顔を見せてくれた。
 そしてすぐ中に出した。
 初めての快感だった 彼女の体も痙攣していた。

 彼女は最高のプレゼントをありがとうと言うと大声で泣き出した。
 私は彼女を抱いた。

 その時は僅か数秒だったかもしれないがとても長く感じた。私は彼女の涙を拭い、今まで撮った写真の焼き増しを渡した。
 少し引っ越しの手伝いをして彼女に住所と郵便番号を書いたメモを渡した。向日葵の笑顔で彼女は受け取った。

 翌日彼女を抱いてまたこっちに帰ってきてね、そしたら指輪を買ってやると言った。
 彼女は向日葵の笑顔で約束だよ、と言いしばらくの間の別れのキスをした。

 引っ越し業者のトラックのクラクションが彼女を呼んだ。名残惜しそうに彼女は去った。その背中に私は、約束守ってやるから泣くなよ! と言った。
 彼女は振り向いて満開の向日葵のような笑顔を見せた。夕陽でよく見えなかったが涙が光っていたのは覚えている。トラックが見えなくなるまで追いかけた。

 帰り道一人で泣いている私を見て、どれだけの人が私を不思議そうな顔で振り返ったのだろうか。

 やがて彼女からは手紙が来た。
 ただ彼女直筆の手紙はたった三通だった。
 四通目は彼女の両親の丁寧な字で彼女がこの世からさった事を告げる手紙に変わっていたのだった。



































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