ファンタジー官能小説『セクスカリバー』

Shyrock 作



<第13章「ペルセ島の秘密」目次>

第13章「ペルセ島の秘密」 第1話
第13章「ペルセ島の秘密」 第2話
第13章「ペルセ島の秘密」 第3話
第13章「ペルセ島の秘密」 第4話
第13章「ペルセ島の秘密」 第5話
第13章「ペルセ島の秘密」 第6話
第13章「ペルセ島の秘密」 第7話
第13章「ペルセ島の秘密」 第8話
第13章「ペルセ島の秘密」 第9話

<メンバーの現在の体力>

シャム 勇者 HP 360/360 MP 0/0
イヴ 神官 HP 290/290 MP 280/280
アリサ 猫耳 HP 320/320 MP 0/0
モエモエ 魔導師 HP 240/240 MP 310/310
エリカ ウンディーネ女王 HP 240/240 MP 330/330
シシ・フリューゲル 女海賊 HP 340/340 MP 0/0
チルチル 街少女 HP 170/170 MP 0/0
シャルル 漁師・レジスタンス運動指導者 HP 390/390 MP 0/0
スンダーラ ゴブリン族長 HP 320/320 MP 100/100

⚔⚔⚔

第13章「ペルセ島の秘密」 第1話

 夕闇が迫り夜の帳が下りる頃、ペルセ島の港に一艘の漁船が入っていった。
 漁船の船長はシャルルという。
 港には見張り台を兼ねた灯台があり島の警護に当たっている。
 もし海賊船が入港してきたなら、哨戒にあたっている警護兵はあわただしく迎え撃つことになるだろう。
 ところが入港してきた船が漁船ならば、それは日常の風景のようなものでありなんの問題もなかった。

 漁船には、船長のシャルルをはじめとして、勇者たちが9人、レジスタンス軍が15人、海賊が7人、総勢32名のつわものたちが漁師の衣装に扮装して船に乗り込んでいた。
 また船底に捕えられていた少女2人は、ヒトミとともに海賊船に見送られ大陸へと戻っていった。

 怪しまれないようにするためシャムたちはあえて堂々と港の中央の桟橋に接岸する。
 上陸したシャムたちは早速、島の様子や砦の様子を探ることにした。
 状況を知るためには情報を収集することが急務といえるだろう。
 偵察にはシシとアリサが選ばれた。
 メンバー中、島の地形に詳しいシシ、そして敏捷性があり秘密諜報に適したアリサ。
 2人は早速、調査を開始することになった。

シャム「危ないと思えば、直ぐに戻って来いよ」
シシ「ええ、そうするわ!」
アリサ「にゃんにゃん~、アリサにお任せええええ」
イヴ「2人とも治療魔法が使えないから、必ず薬草を持って行くのよ」
シシ「ありがとう。でも装備を外して軽装で行こうと思うので、薬草も最小限にしておくわ」
シャム「その方がいいだろうな。ただし戦闘になりかけても絶対に戦わないようにしろよ。直ぐに逃げること、いいな?」
アリサ「にゃ~ん! 直ぐに逃げるから心配しないでええええ! ねえ? シシさん」
シシ「うん、そうするよ。じゃあ、アリサちゃん、行こうか」
アリサ「準備オーケーだよおおおお」
シシ「じゃあ、行ってくるね!」
アリサ「にゃんにゃん~!」

 村人の衣装に着替えて身軽になったシシとアリサの2人の姿は、瞬く間に暗闇の中に消えてしまった。

シャルル「大丈夫かな? 女の子だけに行かせえちょっと心配だな」
シャム「大丈夫。おいらの目に狂いはないさ」
シャルル「というと?」
シャム「先ずアリサを選んだ理由は、メンバー1番の俊足だし真っ暗な所でも昼間と変わらない能力が発揮できること。それからシシを選んだ理由は、メンバー中1番島の事情に詳しいことと、海賊の頭領として培った鋭い勘と判断力だ」
エリカ「なるほど、さすがリーダーのシャムさん。洞察力がありますね」
シャム「いや~それほどでも~」

 得意そうにふんぞり返るシャムの胸元を、指でちょこんと押すイヴ。
 この後、シャムが後方にひっくり返ってしまったことは想像に難くないだろう。

チルチル「あ~あ、退屈だピョ~ン♫ ねえ、モエモエちゃん、ちょっと近くを偵察しない?」
モエモエ「そうね、シシさんとアリサちゃんが戻るまでちょっと時間がありそうだし、砂浜まで行こうか♪」
シャム「おいおい、遊びに来たんじゃないんだから、あんまり遠くに行くなよ」
イヴ「どんな危険が待ち受けているか分からないから、目の届く場所にいてね」
モエモエ「分かったわ。遠くには行かないから」
チルチル「イヴさんもいっしょに行く?」
イヴ「私はシャムたちと次の作戦を練るのでここにいるわ」
モエモエ「じゃあ」
チルチル「直ぐに帰るから心配しないでね」

 モエモエとチルチルは今夜のベースキャンプとなるテントを出て、坂を下り砂浜の方に向かっていった。

チルチル「wわぁ、真っ暗だぁ……」
モエモエ「チルチルちゃん、大丈夫? 松明を持ってくればよかったね」
チルチル「砂浜までだからいいんじゃない?」
モエモエ「そうね。明かりを灯すと敵に見つかるかも知れないしね」

 モエモエとチルチルは砂浜に続くけもの道を、足元を確かめながらゆっくりと歩を進める。

モエモエ「もう少しで砂浜だね」
チルチル「うん……」
モエモエ「チルチルちゃん、恐いの? 手を繋いであげようか?」
チルチル「ありがとう……」

 モエモエの差し出した手をチルチルはぐっと握り返す。
 緊張のせいかわずかに汗ばんでいる。

 その時だった。

チルチル「wぎゃ~~~! 痛いっ!」
モエモエ「えっ? どうしたの!?」
チルチル「痛いよ~~~! 何かが……何かが私の足を嚙みついたよ~~~!」
モエモエ「な、なんだって!?」

 草むらからガサガサと何かが動き回る音がする。

モエモエ「そこにいるのは誰!?」

 返事がない。だけど草むらに何か潜んでいる。

チルチル「うううっ……痛いよぉ……」
モエモエ「むむっ! オノホノギイセロエモ!ファイアボール~~~!」

 モエモエが炎の呪文を唱えると手のひらから火の玉が放たれた。



第13章「ペルセ島の秘密」 第2話

 明らかに手応えがあった。
 草むらに潜む何らかの生物に当たったようだ。

モエモエ「命中したわ! どんなやつか暗くて分からないけど」
チルチル「ううう……く、苦しい……」
モエモエ「チルチルちゃん! 大丈夫!?」

 モエモエはチルチルを抱き起こして額に手を当ててみた。
 すごい熱だ。

 その時、シャムたちの声がした。

シャム「どうしたんだ~!」
イヴ「モエモエちゃん、チルチルちゃん、大丈夫~!?」
エリカ「何が起きたのですか!?」

 少し遅れてシャルルがやって来た。

モエモエ「大変なの! チルチルちゃんがすごい熱なの!」
シャム「な、何だって? 急に熱が出たのか!?」

 イヴが松明を翳す。
 灯りに照らされたチルチルが苦しそうに呻いている。
 何かに噛まれたようで、足首から血が滲んでいる。

シャム「チルチル! しっかりしろ!」

 シャムはチルチルを抱きしめた。
 高熱のせいか顔が赤く、唇がわなわなと震えている。

シャム「これは大変だ。直ぐに手当てをしなければ」
イヴ「かなり体力が落ちてるわ! 直ぐにヒールをかけましょう!」

 すぐにヒールの魔法をかけるイヴ。
 チルチルのHPは一旦は回復したものの、直ぐに数値が下がってしまう。

イヴ「どうして? もう一度掛けてみるわ」

 その時、エリカの叫び声が聞こえた。

エリカ「ヘビがいます! でも草むらで真っ黒に焦げて死んでいます!」
ズンダーラ「ヘビが犯人のようですね」
シャルル「あっ、こいつは毒蛇だ! イヴ、ヒールを掛けてもダメだ! 毒消し薬を飲ませるか、解毒の魔法をかけないと治らないぞ!」

イヴ「あぁ、どうしよう……解毒の魔法『ポイゾナ』をまだ習得してないの。毒消しの薬も持ってないし」
エリカ「どこかで『ポイゾナ』の魔導書を手に入れておけば良かったですね。これは困りました……」

 イヴとエリカは解毒の魔法『ポイゾナ』を習得していないことを悔やんだ。
 2人とも『ポイゾナ』を使うだけのレベルには達していたのだが、不幸にも、途中、それを使うための魔導書と遭遇しなかったのだ。

シャム「オイラに任せろ」
イヴ「え? チンヒールで治せるの?」
シャム「いや、チンヒールで解毒はできない」
イヴ「じゃあ、どんな方法で治すの?」
シャム「以前、ロマンチーノ城の侍女がスズメバチに刺されたことがあって、チンヒールかけても効果がなかったんだけど、クリトリスをチューチュー吸ってみたら見る見るうちに元気になったんだ。名付けて『クリポイゾナ』!」
イヴ「しゃっくりみたいな名前だね。名前はいいとして、とにかく早く治してあげて! チルチルちゃんが苦しそうだもの」
モエモエ「チルチルちゃん、しっかりするのよ! 今、シャムが助けてくれるからね♪」
イヴ「チルチルちゃん、パンツを脱がせるけど治療だから気にしないでね」
ズンダーラ「私も何か手伝いましょうか?」
イヴ「いいえ、大丈夫よ。シャムの応援は女性だけで十分だから」

 早速イヴ、エリカ、モエモエの3人がチルチルのスカートをまくりあげパンツを脱がせにかかった。
 まだ熟しきらない果実のような少女の下半身が松明に照らされて映える。

エリカ「まだ華奢だけどきれいな身体をしていますね」
イヴ「もう、エリカさんったら。うっとりとしている場合じゃないわ」
エリカ「あら、そうでしたね」
シャム「それじゃ治療するぞ。少しくすぐったいと思うけど我慢しろよ」
モエモエ「シャム、チルチルちゃんはまだ処女だと思うので、小鳥の羽根で撫でるようにやさしくしてあげてね♪」
シャム「おいらに任せろ」

 シャムはチルチルの恥丘に顔を寄せた。
 少女特有の甘酸っぱい香りが漂う。

シャム「へえ~、まだ毛が少ししか生えてない」

 チルチルは大人への階段をまだ登り始めたばかり。
 当然、大事な場所を覆う若草はまだ十分に生え揃っているとは言いがたい。

シャム「あれ?」
モエモエ「どうしたの? シャム♪」
シャム「クリトリスが光っていないんだ。チルチルのは……」
エリカ「不思議ですね。クリトリスが光っている女性と光っていない女性に分かれてる。これは謎ですね」
シャム「それじゃチルチル、舐めるぞ」

 シャムが陰核包皮をそっと剥き上げ真珠のような愛らしい突起に舌を這わせた。

 チロチロチロ……

チルチル「wわぁ……何か変な感じだピョン♫……」

 初めての感触に緊張のせいか身体を小刻みに震わせるチルチル。
 周囲の女性たちも神妙な面持ちで解毒の儀式を見守っている。



第13章「ペルセ島の秘密」 第3話

チルチル「あああ……シャムぅ……気持ちいいよぉ♫」

 体内では毒と解毒作用が猛烈に戦っているようだ。
 チルチルの額にはおびただしい汗が滲み、苦悶の表情を浮かべている。

 ペチョペチョペチョと軽やかに舌を往復させるシャム。
 解毒治療のクリポイゾナを行うその表情は真剣そのものだ。
 一同は声を潜めてその光景に見入っている。

 シャムがチルチルの股間から唇を放してふっと息を吐いた。

シャム「もう大丈夫だ。しばらく休んでいたら元に戻るだろう」
チルチル「ありがとう……シャム……」

モエモエ「わぁ~! よかった~! 毒が消えたみたい♪」
エリカ「さすがシャムさんですね」
イヴ「でもクンニリングスを見ていたら、何だか身体が火照ってきたわ」
モエモエ「でもこれって性技じゃないのに。秘技クリポイゾナって初めて聞くけど♪」
イヴ「でもしていることは変わらないじゃないの」
モエモエ「確かに。初体験の感想をあとでチルチルちゃんに聞かなくては♪」
イヴ「クンニ初体験かぁ……」
モエモエ「イヴさんのクンニ初体験は誰だったのかな?♪」
イヴ「あは、それは内緒だよ」

 モエモエとイヴが語らっていた頃、チルチルはすっかり元気になっていた。

チルチル「シャム、みんな、ありがとう♫ 迷惑をかけてごめんなさい」
シャム「迷惑なんて言うな。ヘビに噛まれたのはたまたま運が悪かっただけだ。これから気を付ければいいことだ」
チルチル「は~い! これから気を付けます~♫」

 様子を眺めていたシャルルとズンダーラは顔を見合わせてつぶやいた。

シャルル「シャムが羨ましいぞ。チンヒールでもクリポイゾナでもいいけど、俺も何か秘技が欲しいな~。なあ、族長、そう思うだろう?」
ズンダーラ「全く羨ましい限りです。どうしてシャムさんだけにあのような能力が備わっているのでしょうね?」
シャルル「それは選ばれし勇者だから……としか言いようがないな。俺にはよく分からん」

エリカ「チルチルちゃんの解毒治療が無事終わったようですね」
イヴ「シャムは解毒の秘技も持っているので安心だわ」
エリカ「でも男性には使えないし、女性であっても戦闘中は無理だと思うので、やっぱり早く解毒魔法『ポイゾナ』を習得しなければなりませんね」
イヴ「この島には毒ヘビがいることが分かったので、注意がいるね」
エリカ「そのとおりです」
モエモエ「『ポイゾナ』の魔導書か『湯の花』を早く見つけなくては♪」

シャム「みんな、毒ヘビがいるようなので、夜は散歩は控えろよ!」
チルチル「は~い♫ シシさんとアリサちゃん、だいじょうぶかな~?♫」

⚔⚔⚔

 その頃、砦に潜入していたシシとアリサは内部の状況をつぶさに偵察していた。
 砦とはいっても鉱石発掘を目的とした拠点であり、外敵からの攻撃を受けにくい離島であることから、意外にも警備は手薄であった。
 シシとアリサは初め倉庫に忍び込み武器の質や量を確認した。
 その後、砦の所長でもある将軍パープルシェイドの居所を探り、即席で作った砦の図面にその位置を印した。
 シャムたちの島での目的は、決して砦内にいる兵士全員を倒すことではなく、人間になりすました淫獣パープルシェイドだけを倒し、囚われの身となっている奴隷達を解放することにあった。
 シシとアリサは奴隷たちが囚われていると思われる宿舎へと向かった。
 幸いこちらも門兵が2人いるだけで偵察に然したる苦労はなかった。
 そうはいっても敵に見つかることだけは絶対に避けなければならない。
 仮にうまく逃げおおせたとしても、今後敵の警戒が強まることは必至である。
 シシたちは細心の注意を払いながら、老朽化した建物の鉄格子のある窓を覗き込んだ。

アリサ「にゃんにゃん、見て! あの子たち、大変なことになっているよおおおお!」
シシ「しっ……アリサちゃん、声が大きいわ。もっと小さな声で」
アリサ「あっ、ごめん」
シシ「まさか奴隷の女の子がこんなことをされているとは……」
アリサ「かわいそうに……早く助けてあげないと……」

 シシとアリサが目撃したものは、あられもない姿で陵辱されている若い女性たちであった。
 天井から垂れた鎖で両手を縛られ2人の男性に前後からなぶられている女性。
 四隅に革の拘束具があり四肢を固定され大の字で辱めを受けている女性。
 四つ這いにされて尻を高々と上げディルドで責められている女性。
 約10人の女性たちがありとあらゆる方法で、男たちのどす黒い欲望の餌食になっていた。
 男たちは全員黒い覆面を被り、目と口だけを露出している。
 いずれも口元に淫靡な笑みを湛え、よだれを垂らしている薄汚い男もいた。
 部屋の中央には鞭をもって何やら叱咤している監視官らしき男がおり、その両脇に槍を持って直立している2人の兵士がいる。

 シシは男たちの会話に耳を傾けてみたが、残念ながらはっきりと聞き取れなかった。

シシ「アリサちゃん、あなたは半猫族だったわね? 耳はかなり良いよね? やつらの話し声が聞こえないかな?」
アリサ「このぐらいの距離だったらたぶん聞こえると思うよおおおお」

 鉄格子から覗くと見つかる恐れがあるので、アリサは壁に耳を当ててみた。

アリサ「……」

 息をひそめて耳を澄ますアリサ。

シシ「どう?」
アリサ「ふむふむ……にゃ、にゃんと! なるほどおおおお!」
シシ「もう、一人で感心してないで私に教えてよ」
アリサ「実はね……」

 ガタンッ!
 足元にあった木箱を誤って蹴ってしまった。

アリサ「あっ、まずい!」
監視官「誰だっ! 外にいるのは!? 窓の方だ!」

シシ「早く逃げよう!」
アリサ「間に合わないよ! 窓の上のひさしに登る方が早い!」
シシ「うん、そうしよう!」



第13章「ペルセ島の秘密」 第4話

 水平に逃げても隠れる場所がないならばと、シシたちが咄嗟に思いついたのは窓の上部にあるひさしだった。
 身軽な2人はスルスルとよじ登り様子を見ていると、槍を持った兵士が窓の開き戸を開け辺りを見回した。

兵士「うん? おかしいな。誰もいないじゃないか? 確かに物音がしたんだけどな……」

 ニャオオオオ~♪
 そのときネコの鳴き声が聞こえた。

兵士「なんだ? ネコだったのか?」
監視官「おい、誰かいたか?」
兵士「いいえ、ネコでした」
監視官「ネコか? それなら放っておけ」
兵士「了解です!」
監視官「ところで護送船はまだ着かないのか?」
兵士「はい、まだ到着しておりません」
監視官「変だなあ……もう着いてもよい頃なんだが……」
兵士「嵐にでも巻き込まれたのでしょうか?」

監視官「不吉なことを言うな。護送船にはサンジェルマン大臣が乗船されているのだぞ。それにここ数日天気が良く海も荒れていないから、心配することはないだろう」
兵士「早く新しい女奴隷が来てくれなければ困りますねえ」
監視官「全くだ。この島で男の慰みになっている女たちもかなり疲れて来てるからな~」
兵士「男の数がちょっと過ぎるのではありませんか?」
監視官「そんなことはない。パープル将軍が作成したスケジュールに従って男の相手をさせているのだから心配はいらないさ。はっはっは~」
兵士「通常、男奴隷はギリギリの食料で働かせるものですが、ここでは十分な食料とおまけに若い女まで与えている。言い換えるなら、ここは男奴隷にとって『パラダイス』かも知れませんね」
監視官「そうだな。これほど奴隷を好待遇で扱っている国は少ないと思うぞ。それほど鉱石採掘が重要な事業と言うことになるわけだが」
兵士「しかし、その辺がどうも腑に落ちないんですよね。どうしてこの島の鉱石採掘が重要なのでしょうかね? 採れるものといえば、どこの地方でも採れる『銀』じゃないですか。どうして、あれほど穴を深く掘る必要があるのでしょうね?」
監視官「う~ん、そこのところは私もよく分からないんだ。いずれにしても、お前たち兵士はあまり考え過ぎないで、任務をきっちりと遂行することが大事だと思うぞ。それが一番だ。はっはっは~」

 鉄の鎖に繋がれていた女奴隷が会話に聞き耳を立てていたようで、監視官たちに向かって驚くべきことを言い放った。

女奴隷「あたしは知ってるよ! 鉱石採掘と言うのは表向きのことだわ! 本当は魔界に通じる穴を掘って、魔界と自由に行き来するのが目的なのよ。間違いないわ! それにパープル将軍というのは……」

監視官「適当なことをいうな! おい、この女を地下の独房に移せ!」
兵士「了解しました!」
女奴隷「何をする気なの!? や、やめて! きゃ~! 独房はいや~~~! 真っ暗な所で閉じ込められるのはいや~~~っ!」
兵士「監視官の命令だ。あきらめろ!」
女奴隷「独房はいやあ~~~!」
兵士「余計なおしゃべりが過ぎるからだ」

 女奴隷が暴れだしたため、応援の兵士がやってきて女奴隷の両脇をかかえて部屋を出て行った。
 バタンと扉が閉まる音がすると、監視官は1つ咳払いをしたあと奴隷たちに告げた。

監視官「おまえたち、よく聞け。今しがた連行されたは女は狂ってる。あの女が言ってたことはすべて出任せなので全て忘れるんだ。私たちのこの島における任務は銀の採掘だ。いいか、分かったな」
男奴隷「はい……」
女奴隷「分かりました……」

 不自由な態で奴隷たちが静かにうなずいた。

監視官「よし、いいだろう。では引続き男どもは淫らな欲望を女どもにぶちまけるのだ。そうすれば日頃の労働の疲れは今日1日で癒すことができる。そして明日から再びジャノバのために精を尽くすのだ。良いか。それから、女どもはしっかりと男どもに可愛がってもらえ。それがおまえたち女奴隷の務めだ。良いな? 他国とは違ってジャノバ国の奴隷は恵まれていると思え。がっはっはっはっは~!」

シシ「むっ、なんてやつらだ。女は男の玩具じゃないよ! 本当にむかつくね」
アリサ「プンニャン、プンニャン! 私もマジ頭に来たああああ! 乗り込んで行ってあいつらをやっつけてやるうううう」
シシ「ダメダメ、今はダメだよ。もしもここで捕まったらシャムたちの計画が水の泡よ。それにしても、やつらはとんでもないことを企んでいるようね」
アリサ「にゃあ、早くシャム達たちに知らせに行こうよおおおお」
シシ「うん、そうしよう。じゃあ戻るよ」
アリサ「にゃあ」

2つの赤い影が疾風のように駈け抜けて暗闇の中へと消えていった。

⚔⚔⚔

シャム「ふうむ、その独房に連れていかれた女奴隷の言葉が事実ならば一大事だ。穴が完成すると魔界から魔物の大群が押し寄せてきて、地上は荒れ果てた世界に変わってしまうぞ!」
エリカ「それは絶対に阻止しなければなりませんね。今回のシシさんとアリサさんのがんばりで、彼らの目的が少し分かってきましたね」



第13章「ペルセ島の秘密」 第5話

イヴ「それにしても性奴隷なんて絶対に許せないわ。男たちの慰みものにされている女性たちを早く助けなければ」
シャルル「女性を餌にして強制労働を強いるとは何と卑劣なことを!」
モエモエ「く~っ! 聞いてるとだんだん腹が立ってきたわ! この夜陰に乗じて突入しようよ~♪」
シシ「いいえ、それは無謀というもの。砦は一見手薄に見えるけどそんなに甘くないわ。要所要所に厳重な警備がいるので、パープルシェイド将軍の居所まで簡単には行けないと思う。だよね? アリサちゃん」
アリサ「にゃあ、シシさんのいうとおりだよおおおお。警備の所で衝突が起きるとたくさんの敵がやって来ると思うううう」
シャム「ってことは正面突破は無理ってことか……」
ズンダーラ「何か良い方法がないものですかね」

チルチル「wあっ、そうだピョン♫」
エリカ「よい方法を思いついたのですか? チルチルちゃん」
チルチル「うん! 変装しよう~♫」
イヴ「うふ、変装するって? チルチルちゃん、ここは離れ小島よ。チル女神神殿でときおり行なわれてる仮装大会じゃあるまいし」
チルチル「もう、イヴさん、そうじゃなくって~」
モエモエ「あ、分かった♪ 何かに変装して砦に紛れ込むってわけね?♪」
チルチル「wんだピョン♫」
モエモエ「で、何に変装するわけ?♪」
チルチル「ううう……その先はまだ思案中……」

 名案が浮かんで嬉々としていたチルチルの表情が一瞬にして曇ってしまった。
 その時、新たな計画が浮かんだのかアリサの耳がビュンと伸びた。

アリサ「こんなのはどおおおお?」
シャム「どんなのだ? おいらがジャノバ兵に化けて、アリサを奴隷として送り込むとか?」
アリサ「あ~ん、奴隷は二度といやだよおおおお」
イヴ「シャム、アリサちゃんの話を最後までちゃんと聞いてあげて」
シャム「はい、すみません……」
エリカ「シャムさんの提案もよい案だと思いますが、あまりにも危険が大き過ぎると思います」
アリサ「とっておきの方法があるんだよおおおお。護送船に沢山の食料が船積みされているのを憶えているうううう?」
シシ「うん、たくさんあったね。まだ船底に眠ったままだと思うけど」
アリサ「つまり、護送船が私たちに襲われていなければ、あの食料はすでに砦の中に運び込まれてたわけだよねええええ?」
シャルル「うん、そういうことになるな」
アリサ「と言うことは、私たちが荷役作業員になって砦の中に食料を運べばいいんだよおおおお」

 アリサの提案にモエモエが手を叩いた。

モエモエ「それはすごくいい方法だね♪」
シャム「おおっ! アリサって本当はすごく賢いんだな~」
アリサ「本当はって……つまりそれは……もう! シャムは私をバカと思っていたの!? プンニャンプンニャン!」
シャム「いや、そういう意味ではなくて。そんなに怒るなよ~」

エリカ「荷役作業員に変装して入り込むのは妙案だと思いますが、問題はいつ決行するかだと思います。夜だとかえって怪しまれそうですし、昼間の方がいいんじゃないかと思います」
シシ「私もその意見に賛成するわ。荷役運搬なら白昼堂々と通過する方が自然だよね」
シャム「よし、決まった。護送船に荷役馬がいたので、あれを利用しよう」
イヴ「荷馬車で行くわけね。で、誰が御者役を務めるの?」
シャルル「よし、オレが御者役を務めよう。馬の扱いは慣れているし」
エリカ「では私が補佐役としてシャルルさんの横に乗りましょう」
イヴ「エリカさんのそのメイクって都会的すぎない? もうちょっと田舎娘っぽくしないと」
エリカ「おほほ、それでは顔に泥でも塗りましょうか?」
シシ「エリカさんは色白なのでガングロメイクすれば? 黒いファンデーションを塗るとか?」
イヴ「今の時代にそんな気の利いたものがあるか! 泥メイクで我慢して」

シャム「砦の門を通過したら食料庫まで真直ぐ進もう。もし途中で敵に見破られた場合は仕方がない、おいらが合図をするから一斉攻撃しよう。それから……」

 シャムたちの綿密な打合せは夜遅くまで続いた。
 決行は明日の早朝と言うことに決まったため、全員が早く休むことになった。
 だが気持ちの高ぶりもあって、多くの者がすぐには寝つけなかった。

 シャムは大木にもたれてそのまま眠りに就いていた。
 そこに一つの人影が足音を忍ばせてそっと近づいていた。

アリサ「シャム……」
シャム(ZZZZZZ)
アリサ「シャムったらああああ……」
シャム「ん? むにゃむにゃ……だ、だれだ?」
アリサ「しぃ~、大きな声を出さないで。私だよ、アリサだよおおおお」
シャム「大きな声を出さないでって言いながら、おまえの方が語尾に『おおおお』とかつけてしゃべるから、むしろ目立つんじゃないか?」
アリサ「私の場合、文字にすれば語尾に母音がいっぱい付くんだけど、話し方は他の人と変わらないよおおおお」
シャム「いや、変わってると思うけど。まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、一体何の用だよ。明日早いので早く寝た方がいいぞ」
アリサ「でも眠れないのおおおお」
シャム「そんなこと言ったって」
アリサ「シャム、お願い、久しぶりにチンヒールを掛けてほしいにゃああああ」



第13章「ペルセ島の秘密」 第6話

シャム「なんだって!? チンヒールをかけてというが、おまえ、すごく元気じゃないか?」
アリサ「元気だとダメええええ?」
シャム「そりゃまずいな。健康体なのにチンヒールしたらアリサもおいらも他の子に恨まれるぞ」
アリサ「そうなの……それなら今から腹痛起こすうううう!」
シャム「仮病はダメだぞ~」

 シャムが止めても聞かず、アリサは突然ひっくり返り腹痛を訴えた。

アリサ「いたたたたたたああああ! シャム、おなかが痛いよおおおお、苦しいよおおおお!」
シャム「アリサ、仮病はダメだって。それにそんな大きな声を出すとみんなが起きてしまうぞ」

 シャムの不安が的中した。
 騒がしさは就寝中の仲間たちの睡眠を妨げたようだ。

イヴ「むにゃむにゃむにゃ……なんか、騒々しいなあ」
エリカ「どうしたのですか……? 明朝早いので早く休んでくださいよ……」
シャム「え?……うん、あの……アリサが腹痛なんだって。就寝中悪いけど二人のどちらかヒールを掛けてやってくれないか?」
イヴ「腹痛? ヒール魔法は怪我には効くけど腹痛には効かないわ。薬草を煎じて飲むといいよ……むにゃむにゃむにゃ……」
エリカ「アリサちゃん、シャムさんにチンヒールをかけてもらって寝たら翌朝楽になってると思いますよ……お休み……スヤスヤスヤ」

 なんと驚いたことにエリカがチンヒールを推奨するではないか。

アリサ「へ~、エリカさんがチンヒールかけてもらえって言ってるよおおおお? だからチンヒールかけて? シャム」
シャム「エリカさんがそんなことを? 仕方のない子だなあ。それじゃこっちにおいで」
アリサ「にゃんにゃん」

 アリサは嬉々として身をおどらせてシャムに飛び乗った。
 勢いよくシャムに馬乗りになるアリサ。

アリサ「騎乗位でニャンニャンしようおおおお」
シャム「いきなり騎乗位か」
アリサ「あは、久しぶりのチンヒールなので順番を忘れたよおおおお。にゃにゃにゃああああ」

 アリサは紺色のショーツを穿いたまま、馬乗りになった。
 アリサの繊細な箇所にすでに硬くなった物体が接触する。

アリサ「にゃん? もうこんなに硬くなってるよおおおお。シャムはアリサと早くチンヒールしたかったんでしょおおおお?」
シャム「早くチンヒールしたかったよ~、なんていうと思ってるのか?」
アリサ「もう、シャムったら上から目線なんだから。周りに女の子が沢山いるとこうなるんだねええええ」
シャム「つべこべ言ってないで、顔をもっとおいらに寄せて」
アリサ「は~いいいい」

 シャムの腹上に座するアリサは前屈みになりシャムに唇を重ねた。
 くちづけは二人を昂ぶらせるには最も効果的な手段といえる。
 尻を撫でていたシャムの指がスルリと花芯へと滑り込む。
 愛撫をしていない花芯だがすでに潤沢な湿りっ気を示している。
 シャムの指が細やかにうごめく。

アリサ「にゃあああん、すごく気持ちいいよおおおお。久しぶりだよ、この感触うううう。シャム、早く入れてよおおおお」
シャム「よし、じゃあ行くぞ」

 グニョッ……
 グッチュングッチュングッチュン……

アリサ「にゃにゃにゃにゃにゃああああ、シャム、すごいよおおおお、もっと深くう、もっと激しくうううう」

 グチョグチョグチョ、グリュングリュングリュン!
 ピストン運動に回転技を加えるシャムに、アリサはたちまち舞い上がってしまう。

アリサ「にゃあああああ、シャム、すごい、シャム、すごいよおおおお!」
シャム「うっ、アリサ、そんなに腰を振るとおいらが持たないぞ~」
アリサ「いいのいいの、すぐにイッてもいいのおおおお。だってだって、私、もうイキそうなんだものおおおお!」
シャム「いいのか? いいのか? そんなにいいのか? うううっ……おおっ……うお~~~!」
アリサ「あんあんあん! ああああ~、私、イッちゃうううう!! にゃああああ~~~!!」

 暗闇の中とはいえ、二人のあまりの激しさに目を覚ます者が現れても仕方がないだろう。
 最初に異変に気づいたのはチルチルであった。

チルチル「ん……? んん? wわわわわわ~~~! ねえ、モエモエちゃん、起きて! シャムとアリサちゃんがチンヒールをしてるよ~~~♫」

 深い眠りに落ちていたモエモエであったが、チルチルに揺り起こされた。

モエモエ「にゃふ……? どうしたのかな……?」
チルチル「モエモエちゃん、あれを見て♫」
モエモエ「え~~~!? どうして~~~? アリサちゃん、怪我なんかしてないのに? ずるい!!」
エリカ「もう、騒々しいですね……まだ真夜中ですよ」
モエモエ「だって、アレを見て……」

 モエモエにむりやり起こされたエリカは、暗闇の中にうごめく二つの影をまどろみの中で見ていた。

エリカ「アレ……って……ん? 男女が絡み合っているみたいですね……楽しい夢ですね……むにゃむにゃ……」
モエモエ「夢じゃないよ、アレはシャムとアリサちゃん」
エリカ「ええっ!? まさか~~~~~っっっっっ!?」



第13章「ペルセ島の秘密」 第7話

エリカ「シャムさんとアリサちゃんが絡み合ってるって……? 怪我もしていないのにどうしてそんなことをしているのですか?」
モエモエ「アリサちゃん、腹痛なら薬草を煎じて飲めばいいのに。シャムもシャムだよ、怪我もしていない子にチンヒールをかけるなんてずるいよ。女子なら誰だって怪我以外でもしたいときがあるけど、みんな我慢してるんだから」
エリカ「え? そうなんですか?」
モエモエ「エリカさんだってたまにあるよね?そんな時」
エリカ「まあ、無いといえば噓になりますが。いいでしょう、私が二人に注意をします」

 エリカはベッドから起き上がると、すでにりんヒールが終わりまどろんでいるシャムとアリサの元に歩み寄ると、二人に厳重に抗議をした。
 すると……

アリサ「だってエリカさん、夜中に私がおなかが痛いって言ってたら、起きてきて『アリサちゃん、シャムにチンヒールを掛けてもらって寝ると翌朝楽になるよ』って言ってたよおおおお」
エリカ「は……? そう言えばそんなことを言ったような気がしますね。私としたことが寝ぼけていたのかしら……おほほほほほ」
モエモエ「エリカさん、そんなことを言ったの? じゃあ、仕方がないか」

ズンダーラ「皆さん、会話が弾んでいるようですが、早く寝ないと明日が辛いですよ」
起きている人たち一同「は~い」

⚔⚔⚔

 炭坑を掘り続ける彼らの真の目的を究明し、自由を奪われ強制労働を強いられている人々を一刻も早く解放したい。
 早朝、シャムたちを乗せた荷馬車は砦に向かって出発した。
 シャムたちは3台に分かれて荷馬車に乗りこんだ。
 先頭車の御者はシャルルとエリカが務め、各荷馬車の顔ぶれは次のとおりである。

先導車 
御者 / シャルル、
補助 / エリカ
荷台 / シャム、モエモエ、アリサ、レジスタンス軍5名
全体リーダー / シャム

2号車 
御者 / 海賊A
補助 / 海賊B
荷台 / イヴ、シシ、海賊5名、レジスタンス軍3名
2号車リーダー / イヴ

3号車 
御者 / レジスタンス軍C
補助 / レジスタンス軍D
荷台 / ズンダーラ、チルチル、レジスタンス軍5名
3号車リーダー / ズンダーラ

 経路は一旦海辺に出て砦へとつづく道を選んだ。
 もしも途中で敵兵に遭遇したとしても、『護送船から下ろされた荷馬車だ』と敵を欺くためである。
 人の往来が少ないことは幸いしたが、右に左に凸凹道がつづくのでシャムたちに過酷な道のりとなった。

シャルル「それにしても酷い道だなあ、エリカ、だいじょうぶか?」
エリカ「ええ、大丈夫ですよ。でもどこかに掴まっていないと馬車から落ちそうですね」
シャルル「それじゃあ、オレのポールにでも掴まっておくか?」
エリカ「ポール……? まあ、エッチなんだから。シャムのエロが移ったんじゃないですか?」
シャルル「バカ言っちゃいけないよ。オレは元々天然エロさ。今は大事な任務遂行中だから抑えているだけさ」
エリカ「あら、そうなのですか。おほほほほ」

アリサ「モエモエちゃん、まだ怒っているのおおおお?」
モエモエ「だってアリサちゃん、怪我をしていないのにチンヒールをかけてもらったんだもの」
アリサ「あの時おなかが痛かったのおおおお」
モエモエ「本当に?」
アリサ「本当だよおおおお」
モエモエ「顔に嘘と書いてあるんだけど?」
アリサ「えっ! 顔にそんな文字が書いてあるのおおおお?」
モエモエ「うん、文字が浮き出てる♪」
アリサ「きゃああああ、鏡を貸して!」
モエモエ「鏡を見ても分からないよ。顔に書いてあるというのは、言わなくても気持ちが表情から読み取れる、という意味だよ♪」
アリサ「そうなの? ああ、びっくりしたああああ。モエモエちゃん、嘘をついてごめんね」
モエモエ「あは、嘘はダメだよ。すぐにばれるんだから♪」
アリサ「は~い、今後気をつけるねええええ」
シャム「お~い、静かにして。もうすぐ砦に着くから気持ちを引き締めろよ」
モエモエ「は~い♪」
アリサ「にゃああああ」

シシ「イヴさん、私、どうも気になるの」
イヴ「何が?」
シシ「あのチルチルちゃんという子」
イヴ「チルチルちゃんがどうしたの? とても良い子だよ」
シシ「うん、確かに素直だしすごく良い子だと私も思う。でも……」
イヴ「でも?」
シシ「あの子、ごく普通の街少女と言ってるけど、どうも違うような気がするの」
イヴ「どうして?」
シシ「動きが俊敏過ぎるのよ。まるで人間じゃないみたい……。それにシャムの周囲に集まってくる子のクリトリスはみんな宝石のように光っているのに、あの子は普通のピンク色だし。これは絶対に何かあるわ」
イヴ「う~ん、それって思い過ごしじゃないかしら。私には普通の子にしか見えないんだけどなあ。それに皆にすごく協力的だし、それに皆に懐いているし……」
シシ「変なことを言ってごめんね。きっと私の思い過ごしだと思うわ。この話は忘れてね」

チルチル「ねえねえ、ズンダーラはゴブリンの族長なんだってね♫」
ズンダーラ「そうですよ」
チルチル「色々な物語で、ゴブリンって悪の軍団の尖兵として登場する場合が多いけど、本当は良い人なんだね♫」
ズンダーラ「分かってもらえて嬉しいですね。そのとおりなんですよ。祖先が悪い魔法使いの味方をしていたもので、いつまでもその話が語り継がれて、今だに悪者扱いされるんですよ」
チルチル「それっていつ頃の話なの?」
ズンダーラ「そうですね。およそ1000年ぐらい前でしょうか」
チルチル「1000年前!? wひゃあ~~~! そんな古い話なの!?」



第13章「ペルセ島の秘密」 第8話

ズンダーラ「よくそう言われるのですが、我々の寿命がおおよそ200年なのでそんなに古い話という感覚はないのですよね」
チルチル「へえ~、200年生きるんだ」
ズンダーラ「人間であれば平均で80年ぐらいですかね。ところでチルチルさんは人間に生まれてよかったと思っているのでしょう?」
チルチル「え? 私? はい……そうね、人間に生まれて良かったと思っているわ」
ズンダーラ「そうでしょうね。人間の女性って、他の部族よりも、麗しいし、それに知能も発達していますからね」
チルチル「……」

 ズンダーラとチルチルがそんな会話をしていた頃、先導車から『砦が近づいてきたので会話を控えるように』という伝令が入った。
 各荷馬車に分乗した戦士たちは一様に緊張感に包まれ、ぴたりと口をつぐんでしまった。

シャルル「エリカ、近づいて来たぞ。門番の前ではできるだけ笑顔を繕うようにな」
エリカ「分かりました。演技には自信があるので任せておいてください」
シャルル「はははははは~、ではお手並み拝見と行こうか」

 荷馬車がゴトゴトと音を立てて進みゆくと、まもなく砦の入口に差しかかった。
 槍を携えた険しい面構えの門番が荷馬車に近づいてきた。

門番「おお、ご苦労だな~! 護送船の到着が遅かったじゃないか。海が荒れてたのか?」
シャルル「酷い時化で本当にまいりましたよ」
門番「それは大変だったな~。食料を中に運び込んだら、ゆっくりと休憩してくれ」
シャルル「ありがとうございます。お言葉に甘えて後からちょっと休ませてもらいます」
門番「ところでサンジェルマン大臣のお姿がまだ見えないようだが、どうかされたのか?」
シャルル「あまりにも船の揺れが酷くて酔ってしまわれたのです。少し休んで後から来られると思います。すごい美人を連れてね」
門番「へ~、今回の女奴隷はそんなに美人なのか?」

 強面の門番の表情がにわかに緩んだ。

シャルル「1人は飛びっきり美人のネコ耳で、他にも上玉のブロンドと茶髪がいたようで……」
門番「ほほう、ネコ耳か。それは珍しい! ぜひ味わってみたいものだな~」
シャルル「だけど男奴隷たちの慰み物にされるんでしょう?」
門番「あんた知らないのか? 格別美人であればパープルシェイド将軍や将校たち可愛がってもらえるんだよ。で、そのあと将校たちのお下がりとして俺たち兵士に回ってくるのさ。もちろん全兵士ってわけにはいかないがな……おおっと、ちょっと口が滑ってしまったな。まあ、それがこの砦の慣わしってわけだよ」
シャルル「羨ましいですね。オレもあやかりたいものですよ」
門番「あんたは良い体格しているしこの砦の兵士に志願をすればいいさ。うまくいくと美味い思いができるかも知れないぞ。ん? 横にきれいな女性がいるのにつまらないことを言ってしまったな。今の話は忘れてくれ」
エリカ「おほほ、別に気にしないでくださいね」
門番「ちょっとおしゃべりが過ぎたかな。ここは滅多に人が来ないので退屈してるんだよ、ははははは。後ろの荷馬車も同じ荷物のようだな。よし通っていいぞ」

 門番の許可が出たので、シャルルが誘導する荷馬車につづいて、2号車、3号車も砦の門を通過していく。
 早朝と言うこともあって、砦の中はまだ寝静まっており人影も見えなかった。

 荷馬車が通り抜けた後も、途中で誰に出会うでもなく悠然と砦の奥へと進むことができた。

シャルル「ふう、何とか砦の入口は切り抜けられたな。目指すは食糧庫だ。さあ急ごう」
エリカ「ねえ、シャルルさん?」
シャルル「なんだ?」
エリカ「シャルルさん、先ほどの門番とのやりとりですけど、本当にきれいな女奴隷にあやかりたいと思っているのですか?」
シャルル「あんなの口から出任せに決まってるだろう? 門番の機嫌をとるために話を合わせただけさ」
エリカ「そうでしたか。それならいいのですが」
シャルル「俺は1人愛せる女性がいればよい。それだけさ」
エリカ「今、いるのですか?」
シャルル「残念だけどいないよ」
エリカ「そうなのですか」

シャム「シャルルとエリカが門番にうまく対応してくれたようだ。これから食糧庫に向かうがそれはあくまで偽装で、真の目的はその奥にいるパープルシェイド将軍を倒すことだ。みんな準備は良いか? それから兵士がかかってきたらやむを得ないので倒すが、倒すのは最小限にしよう。彼らも騙されているだけだからな」
レジスタンス兵「分かりました!」
モエモエ「それじゃあ最近覚えたばかりの魔法『スリープ』を試してみようかな?♪」
シャム「それはいい方法かもな」
アリサ「にゃんにゃん、眠らせるのはいいにゃん。それじゃ私は敵の顔を引っ掻くだけにしようかにゃ? ふ~、ガリガリガリ~~~!」
シャム「痛そう……」

イヴ「まだシシちゃんの腕前を見ていないわね。かなりの凄腕と聞いているけど楽しみだわ」
シシ「うふ、あまり買いかぶらないほうがいいよ。でもさ、あんたたちには助けてもらった恩があるので、精一杯がんばるからね」

チルチル「wわ~、ついに敵の砦に突入したピョン! 族長、もうすぐ戦いが始まるんだね?」
ズンダーラ「いよいよ戦闘の火蓋が切って落とされますね。チルチルさんは無理してはダメですよ。私の後ろを離れないようにしてくださいね」
チルチル「チルチルも戦うもんね~♫ だって船での戦いで自信が付いたんだピョ~ン♫」

 ゴトリと荷馬車が止まる音がした。
 ついに食糧庫に到着したのだ。



第13章「ペルセ島の秘密」 第9話

 シャルルが長い脚を伸ばし御者席から下りた。
 つづいてエリカが下りる。
 荷台に潜り込んでいたシャムたちも周囲の様子を確かめながら一人ずつ下りていく。
 男たちは粗末な荷役風の衣装に変装している。
 女たちは質素な作業着に着替えているものもあれば、奴隷に扮するため下着姿の者もいる。
 ほかの2台の荷馬車からも同様に下り立った。

 シャルルが食糧庫に隣接する建物の扉をノックする。
 シシとアリサによる事前の調査によると、ここが厨房らしい。
 兵士や奴隷の食事がすべてここで賄われていることになる。
 扉の向こうからぶっきらぼうな男の声が聞こえて来た。

食糧庫の番人「ん、だれだ? こんな朝早くから」
シャルル「遅くなりました。護送船の運搬係の者です。食料をお届けにまいりました。それから新入りの奴隷も連れてきました」
食糧庫の番人「おお、そうかそうか。ご苦労だったな、中に入ってくれ」

 ギギギと軋むと音とともに扉が開いた。
 ペコペコと頭を下げながらシャルルが中に入っていく。
 なかなかの名演技だ。
 彼の手には1本のロープが垂れている。
 ロープを辿って後方を見ると、ネコ耳娘がショーツ1枚のあられもない姿で手首を縛られつらそうな表情で立っている。

食糧庫の番人「早朝からご苦労だな。荷物は隣の食糧庫に運び込んでおいてくれ。なんと、今回の女奴隷は粒揃いじゃないか」

 アリサの後方には、さらにモエモエとチルチルがブラジャーとショーツだけの下着姿で辛そうに俯いている。

食糧庫の番人「これだけの器量ならパープルシェイド将軍の寵愛は間違いなしだな。オレたちのところに回って来るのはいつのことやら……。どれ、ちょっとばかり味見してみようかな~? でっへっへ」

 食糧庫の番人は図々しくも、先頭にいるアリサの乳房をむんずと摘まんだ。
 その瞬間をシャルルは見逃すはずがなかった。
 後方から食糧庫の番人の首を絞めあげる。

食糧庫の番人「ううぐ……な、何をする……おまえたちは一体……何者だ?……く、苦しい……」

 耳元でささやくシャルル。

シャルル「おとなしく俺の言うとおりにしろ。騒ぐと命はないぞ」
食糧庫の番人「ううう……わ、分かった……騒がないから……殺さないでくれ……」
シャルル「いいだろう。逃げようとしたり大声を出したら命はないと思え」

 シャムたち数名が中に入ってきて、瞬く間に食糧庫の番人は縄で縛られたうえ、猿轡を噛まされてしまった。

シャルル「ここでしばらくおとなしくしていろ。調理はこの奥でやっているのか?」
食糧庫の番人「うう、うぐっ……」

 脅えた表情で首を縦に振る食糧庫の番人。

シャム「シシ、ここから先は内部に詳しいおまえが誘導してくれ」
シシ「任せておいて。じゃあ厨房に入るよ」

 厨房へと繋がる扉が開いた。
 シシたちが内部を観察するよりも早く、厨房特有のムッとする匂いが鼻孔を衝いた。
 食卓なら食欲をそそる良い匂いがするのに、厨房だと色々な食品が混在した複雑な香りに変化する。

 厨房では数人の料理人が早朝からまめまめしく動き回っている。
 ただしシシの情報によると、この厨房はパープルシェイド将軍や司令官専用のものであり、一般兵士や奴隷の食事はさらにこの奥の大厨房で作っているらしい。

シシ「おはようございます! 朝早くからご苦労様ですね」
調理人A「なんだ? おまえは? 見ない顔だな」
シシ「それはそうでしょう。だって私は……うふ、女海賊なので」
シェフA「な、なんだと!」
シシ「おおっと、静かにしてもらいましょうかね?」

 言葉が終わるよりも早く、シシの拳が疾風のような速さで調理人のみぞおちに繰り出された。

シェフA「ぐっ!」

 シェフは腹を押さえてそのまま床にうずくまった。

調理人B「どうしたんだ? うん? だ、誰だ!? おまえたちは!」
モエモエ「騒がないほうが身のためだよ。スリープ魔法ゆりかごの歌『ねんねこねんねこ ゆりかごだよ~♪ ねんねこねんねこ おやすみよ~♪』」

調理人B「……? むにゃむにゃむにゃ……スヤスヤスヤ……」

 モエモエが放ったスリープ魔法に調理人はたちまち深い眠りに誘われてしまった。

 異変に気づいたほかのシェフたちがやってきた。
 厨房には武器が配備していないこともあって、調理人たちは手に包丁を握っている。

調理人C「おまえたちは泥棒か!?」

 包丁をかざしシャムに襲い掛かる2人の調理人。

シャム「おいらを調理する気か!? 美味くないからやめておけよ! えいっ!」

 シャムのハードパンチが顔面に炸裂し、調理人は数メートル吹っ飛んでしまった。
 もう1人の調理人に対してはシシの鞘付きの剣が見舞われた。
 シャムたちにかすり傷1つ与えることのできなかった調理人たちは番人と同様に猿轡を噛まされ拘束されてしまった。

シシ「あなたたち、悪いけどしばらくの間ここでおとなしくしててね。用が済んだら縄を解いてあげるからね」
調理人たち「うぐぐぐぐ……」

 シシはシェフたちに軽くウィンクをして厨房を立ち去っていった。

アリサ「にゃんにゃん~、うまくいったねええええ。みんな、この厨房を出ると長い廊下があるのおおおお。その廊下を真直ぐ行って右に折れたらパープルシェイド将軍の部屋があるのおおおお!」
シャム「よし! では前もって決めたとおりの役割で今から変装するぞ!」



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