ファンタジー官能小説『セクスカリバー』

Shyrock 作



<第11章「船上の十字架」目次>

第11章「船上の十字架」 第1話
第11章「船上の十字架」 第2話
第11章「船上の十字架」 第3話
第11章「船上の十字架」 第4話
第11章「船上の十字架」 第5話
第11章「船上の十字架」 第6話
第11章「船上の十字架」 第7話



<メンバーの現在の体力>
シャム 勇者 HP 300/300 MP 0/0
イヴ 神官 HP 240/240 MP 240/240
モエモエ 魔導師 HP 190/190 MP 270/270
エリカ ウンディーネ女王 HP210/210 MP 280/280
ヒトミ 踊り子 HP 270/270 MP 0/0
スンダーラ ゴブリン族長 HP260/260 MP 80/80
チルチル 街少女 HP 130/130 MP 0/0
シャルル 漁師・レジスタンス運動指導者 HP340/340 MP0/0

シシ・フリューゲル(21才)女海賊 HP290/290 MP0/0

⚔⚔⚔

第11章 「船上の十字架」第1話

女船長「そう、あの時あんたたちに嬲り殺しにされたアンドリュー・フリューゲル船長の娘シシ・フリューゲルだよ。お久しぶりね」
ブラックシェイド「ぐっふっふっ、親父と同じように殺されたくて、のこのことやって来たか? 女船長シシ・フリューゲルさんよ~」
シシ「あれは2年前だった。ジャノバ国官船と我らフリューゲルとがこの海峡で華々しい戦いを繰広げた。あまりにも戦いが激し過ぎてお互いの被害は甚大で共倒れの様相を呈していた。そこでわが父アンドリューは船長同士の一騎討ちを提案した。負けた方が潔く敵の軍門に下ると……。あんたたちはその提案を受け入れ、当時あんたたちの船長だったホワイトシェイドが父と剣を交えた。父の剣技が朗かに上回り、ホワイトシェイドの身体に剣が突き刺さったその瞬間、あんたたちの陣営から一斉に大量の矢が発射された。そして父の身体には何本もの矢が命中したが、父は渾身の力を振り絞ってホワイトシェイドの息の根を止めた。その時、背後から1本の触手が父の首に絡み付きグイグイと絞め上げた……ああ、もう語りたくないよ……その時の触手の張本人があんただったね? 卑怯者のブラックシェイド……その名前は父の死後も頭から離れたことがなかった」
ブラックシェイド「ふっふっふっ、私のことを憶えていてくれて光栄だよ。何と罵られようと勝てばいいのだ。それが魔界のやり方だ。少しは利口になったかな? 女船長シシさんよ」
シシ「ふん! 100年経とうが魔界のやり方なんてあたしには理解できないね! さあ、覚悟して! ブラックシェイド!」

 シシは剣を振りかざし、ブラックシェイド目掛けて切りかかる。
 辛うじて剣をかわしたブラックシェイド。
 シシの攻撃を合図に両陣営の戦いの火蓋が切られた。
 海賊フリューゲルの一団は次々と護送船に乗り込み、ジャノバ兵と敵味方入り乱れての攻防となった。

 シシの父アンドリューが、2年前、ジャノバ国官船との戦闘で非業の死を遂げた後、手下からも慕われている一人娘シシが船長の後を継いだ。
 持ち前の強い正義感はまさに父譲りで、奴隷制を強いるジャノバ国に対したびたび官船襲撃を繰り返し、いつしかシシを恐れたジャノバ兵の間で『ペルセ海峡の女豹』と呼ばれるようになった。
 彼女の天才的な剣技は父親アンドリューを凌ぐとさえ噂をされた。

 ところがひとたび陸に上がると、その優姿と立ち振る舞いはいずこの令嬢かと見間違うほどの変貌ぶりであった。
 ある港に立ち寄り中、シシが至近距離にいるにもかかわらず、手下から「シシ船長はどこへ行ったんだ?」と探し回っていたと言うエピソードも残っている。

 さて話は戻り、サンジェルマン大臣が実はブラックシェイドだと知ったジャノバ兵たちに動揺が広がった。
 士気も下がり海賊たちから逃げ惑う兵士も続出する次第だ。

ジャノバ兵A「サンジェルマン大臣が実はブラックシェイドだなんて冗談じゃないよ。この国は一体どうなっているんだ?」
ジャノバ兵B「しかし顔を見る限りサンジェルマン大臣に間違いないんだけどな」

 敵前から遁走する兵士たちを見てブラックシェイドが焦りにじませる。

ブラックシェイド「むむっ、女海賊の言葉に惑わされるな! 私は正真正銘サンジェルマン大臣であるぞ! 我々を惑わすためのやつらでっち上げた虚言だ!」

 苦しい釈明で懸命に火消しを図ろうとするブラックシェイド。

シシ「ジャノバ兵たちよ! そのニセ大臣の言葉に騙されてはいけないよ! そいつはね……」

ブラックシェイド「黙れっ! 女海賊めっ! そのうるさい口を黙らせてくれるわ! 兵士たちよ、この女海賊を倒してしまえ!」
シシ「ふん! あんたを倒すのが先決みたいだね! 父の形見アンドリューソードであんたの首を刎ねてやるわ。行くよ! とりゃあ~~~!」

 シシがブラックシェイド目掛けて突きを入れたが、横合いから3人のジャノバ兵が槍で突きを入れてきた。
 槍の矛先がシシに迫ったが、難なくかわしたシシは体勢を崩したジャノバ兵を一気に貫いた。

ジャノバ兵A「ぐぇ~~~!!」
ジャノバ兵B「くそ! これでも食らえ!」

 二番手のジャノバ兵がアックスを振り上げシシに襲いかかってきくる。

シシ「あんたたち、命が惜しくはないのかい!? できるだけあんたたち兵士を殺したくないんだよ。あたしの狙いはただ1人、ニセ大臣ブラックシェイドだけなんだよ! 邪魔をしないで!」

 シシは向かって来るジャノバ兵を説得しようとしたが、無駄だと分かるとアックスを持った兵士に一撃を加えた。

ジャノバ兵B「ぎゃあ~~~!!」
シシ「雑魚の相手なんて面倒なんだよ! あんたたちジャノバ兵は退いて!」

 シシから数メートル離れた甲板では、ブラックシェイドに対してシシの手下たちが戦いを挑んでいる。

海賊A「ブラックシェイドめ! 前船長アンドリュー様の恨みを晴らしてくれるわ~! どりゃあ~!」
ブラックシェイド「けっ、こざかしい! 貴様たちにこのブラックシェイド様が倒せると思っているのか!? 愚か者めっ!」

 ブラックシェイドは長い槍を軽々と降り回し、海賊たちを次から次へと倒していく。
 断末魔の叫びを発し倒れていく海賊たち……やがてブラックシェイドの周りには屍の山が築かれていった。




第11章 「船上の十字架」第2話

シシ「あんたたち、無駄死にしないで! そいつは私に任せて!」

 恐れることなく果敢に立ち向かう手下たちに、シシは戦いを自重するよう求めた。
 激しい波を受け横揺れしている甲板の上を、シシは慣れた足取りで傷を負った手下の元に走り寄る。

海賊A「船長……面目ねえ……」
シシ「ブラックシェイドはあんたたちにはちょっと荷が重かったようだね。やつはあたしに任せておいて。金魚の糞のようにあたしの後をつけ回している雑魚どもはあんたたちに任せたよ!」
海賊B「お安いご用で! おい、てめえら! いくらシシ船長のお尻が魅力的だと言っても、船長は身持ちが固いお人だ! てめえらには分不相応ってもんだぜ!」
海賊C「シシ船長のパンティの中身は手下のオレたちでも拝んだことがねえんだ! 付きまとっても無駄、無駄~!」
シシ「チェッ、つまらないエロトークしてないで、早く雑魚を片付けておくれ~!」
海賊C「エへへ、すみません! よし、てめえら、俺が相手してやる! さあ来い!」

 シシとブラックシェイドのすぐそばで、海賊とジャノバ兵がしのぎを削る。

ブラックシェイド「シシよ! 確かにおまえは親父より腕が立つ。だが、俺様に勝てるかな? それ、行くぞ!」

 シシの胸元を長い槍が襲ったが、シシは体勢を崩しながらも辛うじて矛先をかわした。

シシ「おっと、危ない! ニセ大臣さん、そんなにあたしのオッパイを突き刺したいのかい? でもその腕じゃ無理じゃないかな?」
ブラックシェイド「ふん! オッパイどころか下の穴もズボズボに貫通式をしてやるぜ! 覚悟しな!」

剣と槍が宙で交錯し、甲板の上で赤い火花を散らした。
腕力ではブラックシェイドが優り、俊敏さではシシが優っていたが、双方譲らぬ戦いが繰広げられた。

シシ「はぁはぁはぁ……結構やるじゃないか」
ブラックシェイド「ふぅふぅふぅ……おまえもなかなかやるじゃないか……」
シシ「それじゃそろそろ息の根を止めてあげるよ!」
ブラックシェイド「ふん! これでも食らえ!」

 シュルシュルと音を立てブラックシェイドの腹部から緑色の触手が数本シシに向かって伸びた。

シシ「来たわね! 触手攻撃!」

 今もなおサンジェルマン大臣を信じて疑わなかったジャノバ兵たちが、その異常な光景に色めき立った。

ジャノバ兵C「何だ、あれは? まるで化け物じゃないか。大臣はあんな奇妙な魔法を使えたのか?」
ジャノバ兵D「いや、やつらの言うとおり大臣はやっぱりブラックシェイドとかいう化け物なんだ。これはやばい……」

 脚に絡みつことした触手を、シシは間一髪かわし、光一閃ソードが放物線を描いた。

ブラックシェイド「うぎゃ~~~!」

 触手は物の見事に切断され甲板にポトリと落下した。

シシ「ふふ、口ほどにもないやつめ。ブラックシェイド、あんたも年貢の納め時のようだね~! じゃあ行くわよ! 秘技ダンディライオン~~~!!」

 シシがソードを天にかざすと突然突風が吹き荒れ、シシの長い髪が獅子のたてがみのように逆立った。

ブラックシェイド「な、何が起こったんだ!?」
シシ「父の恨み、今こそ晴らしてくれるわ! ブラックシェイド、覚悟して~~~!!」

 天をかざしたシシの剣が空中でブルンブルンと旋回したちょうどその時、大きな網がシシの頭上から覆いかぶさってきた。

シシ「うわあ~~~! 何者だ~~~!?」
副官カノープス「はっはっは~! 愚か者め、まんまと罠に掛かりおったか~!」
シシ「なにっ、おまえはカノープスではないか!? どうしてこんなことを? さては裏切ったな~~~!!」

 もがいてはみたが、もがけばもがくほど網が身体に絡みつき、身動きが取れなくなってしまったシシ。

カノープス「ふん、俺は正義風吹かせて命張るなんてもうこりごりなのさ。ジャノバ官船しか襲わねえような儲からねえ海賊稼業に嫌気をさしたのさ。ここにいるブラックシェイドさんが仲間にならねえか、って誘ってくれたもんで、転職を考えたわけさ。あんたには別に恨みはねえけど、まぁ悪く思わんでくれ」
シシ「くっ、何と言う卑劣な男なの! それであたしを売ったのね?」
カノープス「まぁそういうこった。さぁ、野郎ども、この間抜けな女豹をマストに縛り付けてしまいな~!」

海賊C「くそっ! シシ船長が捕まったぞ! 早く助けよう!」
海賊D「カノープスめっ、裏切りやがったか~! 船長、今すぐ俺たちが助けに行きますぜ!!」
カノープス「おおっと! それ以上近づくとおまえたちの大事な女豹の命はないぞ! 今すぐ海賊船に戻れ! すぐにだ!」

 カノープスは網の中でもがくシシに向かって剣をかざし、元仲間であった海賊たちを威嚇する。

海賊C「くっ、くそっ……手が出せん……」
海賊D「仕方がない。ボスには悪いが船に戻ろう」

 海賊たちは悔しさを噛みしめながら、とぼとぼと海賊船へと戻っていった。
 囚われの身となった船長シシを何度も振り返りながら。

カノープス「それでよし! 少しでも手を出すとこの剣で女豹を一突きするぞ! 分かったか!」
海賊「……」

 海賊船に戻った手下たちは不安そうな表情でシシを見つめている。




第11章 「船上の十字架」第3話

カノープス「おい、女豹を縛ったか? なんだ、まだか? ぐずぐずしてねえで早くマストに縛り上げろ!」
ジャノバ兵「なんだよ、偉そうに。つい先ほどまで海賊だったくせに」
カノープス「なんか言ったか? 俺は大臣から女豹を捕まえたら将軍に任命すると約束してもらっているんだ。それでも文句があるか?」
ジャノバ兵「失礼しました、カノープス新将軍! 今、縛っている最中なのでもうしばらくお待ちください」

ブラックシェイド「カノープス、でかしたぞ。城に戻ったら国王の前で将軍任命式を行うので楽しみにしていろ」
カノープス「これはありがたき幸せ!」
ブラックシェイド「ところで、あの女豹、どう始末するのだ? 生かしておくと災いの火種となるかも知れないぞ」
カノープス「ごもっともで。しかし、あれだけの上玉は滅多にいませんぜ。ここは思う存分玩んだ弄んだあと始末をするのがよいかと」

 カノーブスは意味ありげに嫌らしい微笑を浮かべた。

ブラックシェイド「ぐふふふ、それは名案かも知れないな。一気に処刑したのでは面白くないからな」
カノープス「それはそうと、ブラックシェイド様が本物の大臣でないことを兵士たちが薄々感じとり騒めきが起こっているようですが、何か対処すべきかと思いますが」
ブラックシェイド「私の触手を見て度肝を抜かれたのだろう。やつらは女海賊を始末したあと、まとめて始末すればよい。兵士の代わりなどいくらでもいる。魔界から呼び寄せれば済むことだ。いやむしろそのほうがもっと強力な部隊ができあがるだろう」
カノープス「さすがブラックシェイド様、知恵が回る」

⚔⚔⚔

アリサ「上の方が何か騒々しいねえ」
ポニーテールの娘「どこかの船が襲って来て戦いが始まったみたいだわ」
アリサ「ええ? 私たちどうなるのおおおお?」
ポニーテールの娘「そんなこと私に聞かれても困るよ。私だって知りたいのだから」
アリサ「そりゃそうね。この船、沈まないか心配だなあ……」
ショートカットの娘「そんなのやだあ、まだ死にたくないよ」
アリサ「何とか逃げ出せないかな?」
ポニーテールの娘「そんなの無理だよ。脚にこんな錘を付けられてるんだから」
アリサ「にゃにゃんにゃん、誰か助けに来て欲しいにゃああああ」
ショートの娘「海の上だもの、誰も助けになんか来てくれないわ。ああ、お家に帰りたいよ~」
アリサ「くしゅん……シャムぅ……今、どこにいるの……? 助けてにゃああああ」

⚔⚔⚔

 護送船は海賊船に接合され戦闘態勢に入ったことで運航を停止していたが潮流でかなり流されていた。
 シャムたちの船は先回りして護送船を待ったがいくら待てども護送船は現れなかった。
 なぜ海賊船だけがシャムたちに先んじて護送船に接近できたか。
 海賊船は向かい風のときでも、帆を斜めに張ったり複数の帆の角度を変えることによって、前進する技術を持っていたからだ。

シャルル「おかしいな……もう現れてもいい頃なのに……」
シャム「この航路で間違いないのか?」
シャルル「うん、彼らが島へ行くには必ずこの航路を通るはずなんだ。どうして遅れてるんだろう?」
モエモエ「もしかして、途中で難破したとか?」
シャルル「それはない。こんなにいい天気だし、波も穏やかだしな」
チルチル「おなかが空いてもう一度港に戻ったんじゃないの?♫」
イヴ「そんなことをするのはチルチルちゃんだけだよ」
チルチル「もう! イヴさんったら嫌いだピョン! プンプン」
エリカ「もしかしたら……」
ヒトミ「どうしたの? エリカさん」
エリカ「もしかしたら護送船が海賊に襲われてるってことはないでしょうか?」
シャルル「実は、唯一考えられるのはそれなんだ。海賊たちはジャノバ国を眼のかたきにしてるからな」
シャム「じゃあ、もう少し探してみようか」
シャルル「うん、そうだな」

⚔⚔⚔

ブラックシェイド「おい、おまえたち、マストをよく見るんだ! 磔にされた女こそがかねてより我々ジャノバ国に刃向かってきた海賊の女船長シシ・フリューゲルだ!」

 シシは身に着けていたものを全て剥ぎ取られ一糸まとわぬ姿で、マストにしっかりと拘束されていた。
 大鷲のように開いた両腕はロープで固定されているため『十字架磔』を彷彿させる。
 つま先は宙に浮き、甲板よりも1メートルほど高い位置にあった。
 そして目的は不明だが、両足首にロープが巻かれ縄尻は甲板に垂れていた。
 シシは男たちの突き刺すような視線から避けるため、じっとうつむいて耐えていた。

兵士「くそっ! あの女が俺たちに刃を向けてきた海賊の頭領か~! 生かしちゃおけねえぜ!」
兵士「だけどすげえいい女じゃないか! 殺すには惜しいぞ!」
兵士「全くだ! 俺たち50人掛かりで回して、腰が抜けるほど責め抜くのもいいんじゃないか!?」

 時折吹く潮風にダークブラウンの長い髪はなびき、皮肉なことに女らしさが一層強調される結果となった。
 兵士たちはシシの瑞々しい肉体を食い入るように見つめている。
 その視線の先には細身な身体に少々不似合いな見事な乳房と茶褐色の若草繁れる恥丘に注がれた。
 懸命に両膝を閉ざすシシだが、床よりも1メートル高い位置で拘束されているため、秘密の花園を兵士たちの視線から遮ることは困難であった。




第11章 「船上の十字架」第4話

兵士「うへ~! こりゃすごい光景だな!」
兵士「船の上でこんないいものを拝めるとは付いているね~!」
兵士「大臣、あの女海賊をどうするのですか!?」

ブラックシェイド「当ジャノバ国では、反逆者は『火あぶりの刑』、略奪を働いたものは『島送りの刑』が与えられることになっている。シシの場合、ジャノバ国への反逆者であり、さらに海賊行為の主犯者でもある。すなわちシシの罪状は『火あぶりの刑』と『島送りの刑』の二つの刑が与えられる。しかしここは船上なので『火あぶりの刑』は執行は延期してペルセ島に到着してから流刑者の面前で執り行うこととする。もう一つの『島送りの刑』だが島に到着すれば死刑を執行するので事実上不可能ということになる。通常なら免除してやっても良いのだが、シシの場合は再三再四護送船を襲った罪はあまりにも重過ぎる。よって特別刑を今から執行することとする」

兵士「特別刑とはどんな刑ですか?」
ブラックシェイド「ぐっふっふ、それは『よがり槍の刑』だ」
兵士「なんと! たしか昔一度執行されただけというあの伝説の刑ですか?」
ブラックシェイド「そうだ」
兵士「伝説によるとその昔、ジャノバを荒らし回っていた悪名たかき女盗賊だったように聞いています」
兵士「女盗賊は『よがり槍の刑』に処せられると散々よがり狂って、ついに自分から『殺してくれ!』と泣き叫び発狂して死んでいったと」
兵士「いくら昇り詰めても延々と責め続けられることがどれだけ苦しいことか、男の俺にはさっぱり分かりませんけどね」
ブラックシェイド「今回シシの場合はどうなるだろうな? ぐっふっふっ」
兵士「案外長時間耐えるかもしれないですね」
兵士「へへへ、島に到着する退屈しなくて済みそうだぞ」
兵士「大臣、お手伝いすることがあれば何でもご命令ください!」
兵士「俺も手伝いに志願しようかな?」

 兵士たちがシシ処刑の任務を申し出たが、ブラックシェイドはカノープスの勲功を称えた。

ブラックシェイド「ここは今回最も功労のあったカノープスに任せることとしよう!」
カノープス「え? 俺がそんな大役を……? いや、私が処刑のお役目を? こりゃ嬉しいね! じゃあ、女海賊シシの瑞々しい肉体をたっぷりと可愛がってやるとするか~!」
兵士「へ~、いいな~」
兵士「ちぇっ、羨ましいよ~」

ブラックシェイド「では今から『よがり槍の刑』を執り行う。おい、カノープスによがり槍を渡してやれ!」
兵士「はい、承知しました!」

 兵士は長い槍をカノープスに手渡した。
 槍は一見すると通常の槍と変らないが、穂先がまったく違っている。
 穂先は尖がっておらず、まるで亀の頭のように曲線を描いている。
 見方によっては男根そっくりで天然樹脂で造られている。

 カノープスは槍を握ると、磔にされたシシを見上げて冷笑を浮かべた。

カノープス「シシ船長、覚悟はできてるだろうな?」
シシ「ふん、この裏切り者め! とっくに覚悟はできているよ! 早く殺せ!」
カノープス「わっはっはっは~! 磔にされても相変わらず鼻っ柱の強い女だぜ。だがその強気がどこまで持つかな? 遅かれ早かれ殺される運命だが、その前にこの世の名残にいい思いをさせてやるぜ」

 カノープスが今から何をしようとしているか、シシは女の勘でおおよその察しがついた。

シシ「くっ! 裏切った上に、まだ私を辱めようというのかかい? このひとでなしがっ!」
カノープス「ふふ、ひとでなしね、上等だぜ。今は悪態をついていても、もうすぐ吠え面をかくことになるぜ。楽しみにしてな」

 長い髪が潮風になびき、はちきれんばかりの見事な胸の隆起は男たちの欲情をそそった。
 少し前までシシの副官だったカノープスさえも、シシに向かって槍を構えてはみたものの、その見事な肉体をついうっとりと魅入ってしまった。

(それにしても良い女だぜ……)

 乳房だけでなく、引き締まった腰のくびれといい、すらりと伸びた長い足といい、端正な顔立ちといい、非の打ち所がない女といえた。
 次の瞬間、2人の兵士がシシの足首に垂れたロープを左右にひっぱり始めた。
 シシは膝に力を入れて懸命に堪えているが、左右から強い力で引っ張られてはひとたまりもない。
 ビッシリと合わせていた両脚が左右に大きく広がった。

「きゃぁ~~~っ! やめてっ! そんな恥ずかしいこと、やめて!!」

 こんもりと盛り上がった恥丘、若草の翳り、その中央に息づく秘密の花園が丸見えになった瞬間、甲板上の兵士たちに大きなどよめきが巻き起こった。
 すべての男たちの視線がシシの花園に集中しているといっても過言ではないだろう。
 どよめきと歓声の中、シシは静かに目を閉じ身を引き裂かれるような羞恥を必死に耐えていた。

ブラックシェイド「急所攻撃隊の5名、準備はいいか! カノープスのよがり槍に先立ち、前座として急所5か所を責めるのだ!」
急所攻撃隊「はっ! 準備は整いました!」




第11章 「船上の十字架」第5話

カノープス「おい、ちょっと待った!急所攻撃隊って何だ?」
ブラックシェイド「カノープス、おまえのよがり槍の効果を一段と高めるための、言わば補助槍のようなものだ。おまえはしばらくのんびりと見物でもしていろ。おまえの出番になったら合図をする。では1番槍! 2番槍! 攻撃はじめ~!」

 急所攻撃隊と呼ばれる5人の兵士はシシの前方に整列し、槍の穂先を高く構えた。
 目を閉じ死を覚悟したシシの目前に穂先が突き出された。
 穂先とは言っても鋭利な刃ではなく、いずれも滑らかな樹脂でできている。
 いずれの穂先も円形や円錐形とおよそ処刑の道具には相応しくないものといえるだろう。

 最初に2人の兵士が前に進み出て、穂先を乳房に当て豊かな膨らみを撫で回す。

シシ「ん……? 何をする気? 変なことはやめて……」

 数回旋回を繰り返した穂先はやがて乳房の膨らみから乳首へと移行した。

シシ「くっ……や、やめろ……」

ブラックシェイド「3番槍、攻撃はじめ~!」

 3番槍の穂先はまるでオオクワガタのハサミのような形をしている。
 3番槍の兵士が一歩進み、シシの股間に狙いを定めた。

シシ「まさか……何をする気なの……? 変なことはやめて……」

 足を閉じようとしてもがくシシだが、左右からロープを引っ張られ開股縛りにされているので閉じることができない。
 そのため女の恥部が兵士たちの好奇の目に晒されてしまっている。
 悔しさのあまり薄笑いを浮かべる憎きカノープスの顔を睨み付けるシシであった。

シシ「カノープス、おまえは恩を忘れたのか?」
カノープス「忘れちゃいないさ。今までのことは感謝してるぜ。でもな、俺は生まれ変わったんだ。昨日までの俺はもういねえのさ」
シシ「ふん、勝手なことをほざいて!」
カノープス「元首領さんよ、往生際が悪いぜ。こうなったら諦めるんだな。後は良い声で泣いてもらうだけさ」
シシ「おのれぇ……うぐぐっ……」

 二人が会話を交わしている間にも、3番槍がオオクワガタのような穂先を駆使し真珠を包む薄い包皮を器用にめくり始めた。

シシ「やめろ! 変なことはするな!」
ブラックシェイド「では4番槍攻撃はじめ~!」

 つづいて4番槍がシシの股間に迫った。
 すでに包皮がめくられ無防備となった真珠がいとも簡単に穂先の餌食になってしまった。

シシ「ひぃ~……そこには触れないでぇ……いやあ~~~!」
ブラックシェイド「では最後だ! 5番槍攻撃開始!」

 細長い円筒形をした5番槍はアヌス目掛けて食い込んでいく。

シシ「そこはダメぇ~~~! いやぁ~~~!」

 5本の槍がそれぞれの役目を担い、まるで淫虫のように卑しくうごめく。
 主だった性感帯を同時に責められわめく姿は、もはやジャノバ国を震撼させた『ペルセ海峡の女豹』の姿はすっかり失われていた。

シシ「うわぁ~~~っ! やめろ~~~っ! ひぃ~~~~~~っ!!」
ブラックシェイド「かなり堪えているようだな。ではカノープス、仕上げを頼んだぞ」
カノープス「ここまで女豹をいたぶるとはまるで夢にも思わなかったぜ~! ひっひっひっひ~、では仕上げはこのよがり槍で決めてやるぜ!」

⚔⚔⚔

海賊C「首領……、首領にあんな酷いことしやがって……俺はもうがまんならねえ! 首領、今から助けに行くぞ!」

 シシの悲惨な姿を目撃した海賊の1人が、隣接する隣の船に乗り移ろうとしている。
 それを見た数人の海賊たちが必死に制止した。

海賊D「バカ野郎! 今、おまえが一人行ってどうなるというのだ! おまえまでが殺されてしまうぞ! 今は我慢しろ。必ず機会が訪れるはずだ」
海賊C「くそ~っ! 首領ぉ~~~! 許してください……ううう……」

 海賊たちは囚われの身となりマストの上で陵辱されているシシを救出できない自分たちが歯がゆかった。
 中には悔しさのあまり男泣きする者もいた。

⚔⚔⚔

 カノープスはよがり槍を天に翳した。
 よがり槍の穂先には30センチもある巨大な『ディルド』が設置されており、その迫力は形容しがたくこれを見て絶句しない女性はおそらく皆無であろう。
 飴色の穂先に白いボーダー柄は刑執行時に遠くからでも穂先がどこまで女陰に挿入されたかを計測するための狙いがあった。

 シシは頭の中は混乱していた。
 身も心も極度に疲弊し、混濁し、朦朧となっている。

カノープス「兵士たちよ! よく見ろ! 槍の穂先には自然薯をすり潰した汁をたっぷりと塗り付けてある。ジャノバ国に逆らった女海賊シシが果たしてどうなるやら? 泣いて許してくれと喚くか、それとも必死に耐え続けるか? 俺は耐えられないと思うがな。ひっひっひ~!」

 シシの羞恥の花園に狙いを定めるカノープス。
 船上に静けさが訪れた。
 男たちは固唾を呑んで見守っている。

 海賊船ではシシの手下の者たちが悔し涙を流し何やら叫んでいるようだが、波の音にかき消されて聞こえない。
 つい先ほどまで陵辱の前座を務めていた5本の槍も一瞬動きを止め、よがり槍の行方を見つめている。

 穂先が花園にあてがわれた。
 ゆっくりと捻るような動きを見せて穂先が肉の中に埋没していく。
 突如、シシは覚醒した。
 激しい痒みと灼熱感が身体の中心を刺し貫いた。

シシ「ぎゃあ~~っ! あ、熱いっ! ああ、か、痒い! や、やめて~~~っ!!」

 穂先を深く突き入れられ、そのまま揺すられ、揺すられ、シシは全身をくねらせた。
 瘙痒感の奔流が熱のうねりとなって全身を駆け巡る。

シシ「ぐわぁ~~~! 抜いて! お願い! 許してっ! ぎゃぁ~~~~~~っ!!」

 やがて獣のような絶叫がほとばしり、シシはがっくりと首を垂れた。
 痛みとは異なる瘙痒感という刺激に耐え切れず気絶してしまったのだ。
 意識のなくなったシシに対しても構うことなく責めはつづいた。挿しては抜き、抜いては挿す……繰り返し、繰り返し。
 シシの陰裂からはおびただしく蜜が溢れだし、太股にまで滴った。

 多くの兵士は歓喜に沸き目を凝らしていたが、中には興奮のあまり股間を大きく膨らませる者もいた。
 また、あまりの刺激の強さに体調を崩す者も現れた。




第11章 「船上の十字架」第6話

 ちょうどその頃、シャムたちの船は護送船を目前に捉えていた。

シャルル「予想したとおりだ。やはり護送船が海賊船に襲われているぞ。しかし何か変だな……」
シャム「どう変だ?」
シャルル「まだ少し距離があるのではっきりしたことは言えないが、戦っている気配がないんだ。もし海賊船が護送船を襲っていたら、甲板上で激しい戦いが繰広げられているはずなんだけどな」
エリカ「もしかしたら無益な戦いはやめようという話になって、和解しようとしているのではないでしょうか?」
ヒトミ「お互いに血を流さないで話し合いで解決というのはいいことね」
シャルル「いや、それはないだろう。お互いが国同士なら和解もあると思うが、どちらも譲らないだろうから」
モエモエ「ということは、何か裏がありそうね♪」
イヴ「とにかくもう少し近づいてみましょう。そろそろ戦闘の準備をしなくては」
チルチル「wわ~い! 私も戦い初参加~♫」
ズンダーラ「ついにチルチルさんも初陣ですね」
チルチル「『ういじん』ってナ~ニ? ニンジンなら知ってるけど♫」
シャム「戦争に出て初めて戦うことだ。それはそうと、ズンダーラ、あんまりチルチルを煽らないでくれよ。この子は弱い魔物と戦った程度で本格的な戦闘は未経験なんだから」
ズンダーラ「おお、私としては軽率な発言でした。チルチルさん、失礼しました。戦闘になれば、私の後にいてください。私が守ってあげますから」
チルチル「ありがとう。でも私はシャムの後がいいなあ♫」
ズンダーラ「そうですか(ふん!)」
エリカ「おほほほ、見事にチルチルさんに振られましたね。族長」
イヴ「だんだん近づいて来たわ! みんな、準備はいいね~!」

 シャルルが士気を高揚させるため船員たちに掛け声をかけた。

シャルル「みんな! まもなく戦いが始まる! 自由を勝ちとるためがんばろう! ここにいるシャムたちも俺たちの仲間だ! ともに手を取り合い必ず勝利しよう!!」
レジスタンス軍「おお~~~! 必ず勝利するぞ~~~!!」

⚔⚔⚔

 シシの秘孔に突き刺されたよがり槍はいったん引き抜かれた。
 その瞬間、秘孔からは愛液と自然薯の汁が入り混じった液体がとろりとこぼれ落ちた。
 よがり槍が抜かれて開いた秘孔はすぐに収縮することなく内部の肉襞を覗かせている。

「うううっ……か、身体が火照る……熱い……ううう、かゆい……うう、うううっ……」

 シシは不自由な体勢にもかかわらず、秘所を襲う猛烈な痒みから逃れようと懸命に身をよじり悶えた。
 せめて膝を閉じて擦り合わせたい、という切なる願い。
 しかし両脚首に結わえられたロープは無情にもそれを許さない。
 よがり槍を引き抜かれた今も、安息は訪れることなく、いつまでもむず痒さと戦わなければならなかった。
 虚空を見つめるシシはすでに茫然自失となっている。

ブラックシェイド「どうだ、女海賊シシ、よがり槍を挿し込まれてさぞ気持ちが良いだろう? がはははは~」
カノープス「いつも偉そうに野郎たちに指図していた女船長が、どうだい、あのみっともない姿は? おい、シシよ! そんなに痒いのか? 穴をもっと槍で掻き回して欲しいのか?」

 すでに我慢の限界が訪れていたのだろう。シシは頭を激しく縦に振りうなずくような仕草を見せた。

シシ「うううっ……いっそ、いっそ、ひと思いに殺しておくれ……ああっ、つらいっ……あううっ……」
ブラックシェイド「そんなに死に急ぐことはない。島に到着したらすぐに処刑してやる。それまではたっぷりと痒みで苦しむがよい」
カノープス「だけど島まで持つかな? それまでに狂い死にするんじゃねえですか?」
ブラックシェイド「持たないかも知れないな。まあ、その時はその時だ」

兵士「大臣! 何か妙な船がこちらに近づいて来ました! 戦闘態勢をとりますか?」
ブラックシェイド「妙な船だと? どんな船だ?」
兵士「どうも漁船のようです。漁師が我々に一体何の用でしょうか?」
ブラックシェイド「漁船か? なら放っておけ。どうせ魚を売りつけようというのだろう」
兵士「はい、では放置します」

⚔⚔⚔

 シャムたちの船は互いの船員の顔が識別できるほど護送船に近づいていた。
 シャルルたち船員はいつもどおりの任務に就いていたが、シャムたちは身を屈ませ敵の目から姿を隠す作戦に打って出た。
 護送船からは平凡な漁船にしか見えない。

シャルル「こんちわ~! ジャノバ兵の皆さん、お勤めご苦労様です~! 今日は大漁で美味しい魚がいっぱい獲れましたので皆さんにお分けしたいと思いまして~! お値段は半額にしておきますよ~。よかったら買ってくださいな~!」
兵士「ほほう、半額か? 安いじゃないか。コック長に連絡するからちょっと待っててくれ」

 兵士が背中を見せた瞬間、ヒトミが立ち上がりナイフを投げた。

兵士「ぐわ~~~っ!」

 大部分の兵士がシシの磔に没頭しているので、1人の兵士が叫び声をあげてもまったく気付かない。、

シャルル「よし、今だ! 護送船に梯子を掛けろ!」
レジスタンス軍「了解!」




第11章 「船上の十字架」第7話

 漁船から数本の縄梯子がかけられ、レジスタンス軍が次々と護送船に乗り込んだ。

レジスタンス軍「いけ~~~! 独裁ジャノバ国を倒せ!!」
レジスタンス軍「自由を取り返すだ~!!」

 シャルル率いるレジスタンス軍とほぼ同時に、シャム、ズンダーラ、ヒトミなど戦士系が先陣を切り、イヴ、エリカがつづいた。
 さらには後方からモエモエとチルチルが護送船に乗り込んだ。

 慌てたのはジャノバ兵であった。
 シャムたちの船をてっきり漁船だと思い込んでいたため、鎧甲の装着も遅れまったくの無防備での戦闘となった。
 ようやく剣や槍を握りシャムたちに立ち向かうジャノバ兵たち。
 シャムたちの侵入に気づくのが遅れたため、弓矢隊を準備する余裕はなかった。
 シャムたちがジャノバ船に攻撃を仕掛けたのを機に、海賊たちも一気になだれ込む。

海賊「首領を助けるぞ~~~!!」
海賊「ジャノバ国を倒せ~~~!!」

ブラックシェイド「な、何事だ!? あの船は漁師たちではなかったのか?」
ジャノバ兵士「レジスタンス運動の指導者シャルル率いる漁師たち、いや、正確にいうならレジスタンス軍です!」
ブラックシェイド「レジスタンス軍などといっても所詮は烏合の衆ではないか。我々の敵ではないわ。誇りを持て! おまえたちは誇り高きジャノバ国の兵士なんだぞ!」
ジャノバ兵士「ははっ! ですが、ちょっと様子が違うのです……」
ジャノバ兵士「シャルル率いる革命軍の他に、何やら助っ人らしきやつらがいるのです。それが滅法強くて……」
ブラックシェイド「海賊の一味か?」
カノープス「それが海賊ではないんです! やつらは噂に聞く勇者シャム一行かと……大臣、これは油断なりませんぞ!」
ブラックシェイド「勇者シャムだと……? むむむ……魔界から出でし者たちを次々倒しているという連中か? ちょうどよい機会じゃ、まとめて葬ってやろうではないか! カノープス、行くぞ!」
カノープス「シシはこのまま放っておいていいのですか?」
ブラックシェイド「シシの始末は後回しだ!」
カノープス「了解!」

⚔⚔⚔

 再びこちらは護送船の船底。

アリサ「さっきより上が騒がしくなってきたよおおおお。護送船が襲われているのかなあ? 誰が襲ってきたんだろうううう?」
ポニーテールの娘「もしかしたら海賊かもしれないよ。ペルセ海峡によく海賊が出没するらしいから」
ショートカットの娘「海賊ということは私たちも捕まったら殺されるの? それともどこかに売られるの?」
ポニーテールの娘「海賊といっても、ペルセ海峡に出没する海賊は、悪い役人からお金を盗んで貧しい人たちに分け与える義賊だってお爺ちゃんが言ってたよ」
アリサ「かっこいい海賊なのねええええ! そんな海賊だったら私たちを助けてくれるかもしれないねええええ」
ショートカットの娘「でも私たちを見つけてくれなければ、もうお終いだよ」
ポニーテールの娘「そんなのやだ~、まだ死にたくないもん!」
アリサ「おなかが空いたなああああ。死ぬ前にせめてパンの1個ぐらいは食べたいよおおおお」
ショートカットの娘「アリサちゃんはのんきだね。生きるか死ぬかというときに」
アリサ「でも空腹のまま死にたくないよおおおお」
ポニーテールの娘「なにか分かる気がする。扉の向こうに立っている番兵さんに聞いてみようか?」
アリサ「ねえ、番兵のおじさああああん! ご飯はまだなのおおおお!?」

 反応がない。

アリサ「いないみたい。お手洗いに行ってるのかな?」
ポニーテールの娘「そんなわけないでしょう!」
ショートカットの娘「敵に攻められて戦っているのに違いないわ」
アリサ「ってことはご飯はお預けなの?」

 アリサのおとぼけ発言に二人の娘は思わずずっこけてしまった。
 
⚔⚔⚔

 甲板では、ジャノバ国50人に対して、シャムたち7人、レジスタンス軍13人、海賊35人が入り乱れての大激戦が繰り広げれていた。
 そんな中、シャムたちは向かってくる敵を一人一人倒しながら、アリサの行方を探し求めた。

シャム「アリサはどこだ~~~!? んっ……? マストに磔されている全裸の女は誰だ?」
シャルル「な、何と! あの女はかの有名な女海賊シシ・フリューゲルではないか! 簡単に捕まるような海賊ではないのに、どうして捕まったんだろう? さてはブラックシェイドに謀られたか。おそらくそうに違いない。シャム、おまえの仲間のアリサちゃんも大事だが、あの女海賊シシもオレたちの大事な同士なんだ。彼女を助けるぞ!」
シャム「うん、いいだろう。助けよう!」

 そのとき数人のジャノバ兵が襲いかかってきたが、ズンダーラが前面に踊り出た。

ズンダーラ「おっと! 貴様たち、私が相手だ、さあ、かかって来い!」
兵士「死ね~~~!」
ズンダーラ「ふん、そう簡単には私を倒せないぞ。とりゃあ~~~!」
兵士「ぐわっ!!」
シャルル「ええい! 雑魚はじゃまだ! そこを退け!」
兵士「ぎゃあ~!」

シャム「みんな、アリサとあの女海賊を助けるぞ~~~!」

 ジャノバ兵がシャムめがけて槍を突いてきた。
 シャムが槍をかわしソードを振るった瞬間、空気を引き裂く音とともにジャノバ兵がうめき声をあげて甲板に倒れる。 
 別の兵士が槍を構えシャムへと突き立てる。

「残念だな」

 空を切るジャノバ兵の槍。シャムはニタリと笑うとジャノバ兵の懐へと掻い潜り、再びソードを横に薙ぐ。
 シャムによる光の一閃、断末魔と共にジャノバ兵の身体は血飛沫をあげて甲板に崩れた。



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女海賊シシ・フリューゲル











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