時は二月
大島紬に染め名古屋帯の女
肌は降り積もる雪のごとく白く
柳腰が艶めかしく揺れる

風呂敷包を小脇に抱え
細雪が積もった路地を とぼとぼと

女がまもなく繰り広げるのは
その気品に満ちた姿からは
想像もつかない痴態の限り
それはまるで官能絵巻物

帯を解く音しゅるしゅると
肌襦袢が静かに 畳に落ちる
女の身体に残ったものは
麗しき桃色の湯文字と
白足袋だけ

男の腕にすべてを委ね
女は眼を閉じ 深い息をする
湯文字を静かに開くと
甘く切ない香りがほのかに漂う
男は 男に生まれた歓びに
心を酔わせる

時は二月
火鉢の炭火が 音もたてず燃えている
髪を解いた女の 揺れる影
歓喜の宵は更けていく

細雪がしんしんと降り積もる


























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