フライパンで油が弾ける音 甘いミルクの香り バターのこげる香ばしい匂い 寝起きの悪い僕は そんな中で目を覚ます キッチンシンクに目をやれば 君はエプロン姿で まめまめしく動いている 「よく眠れた?」 「うん」 「もう直ぐフレンチトーストが焼けるわ 食べるでしょ?」 「うん」 無愛想に返事をする僕 それでも君は楽しそう テーブルに運ばれた フレンチトースト ~プレーン アンド オレンジ~ ほのかに甘酸っぱい アールグレイの香り 君がこしらえたフレンチトースト とろけるように SWEETLY まるで昨夜の君みたい フォークで口へと運ぶ君 うごめく唇 なにげに見つめる僕 「うん?さっきから私の口元ばかり見て・・・何かついてる?」 「いや、昨夜の君を思い出してただけさ」 「やだぁ、恥ずかしい」 「その口で その愛らしい唇で 僕の・・・」 「ス、ストップ あのぅ~ 早く食べないと冷めてしまうわ」 「ははははは そうだね」 僕が朝寝坊したせいで 朝食がブランチになってしまった 幸せに満ち足りた日々 偶然テレビに映った料理番組から 遠く過ぎ去ったあの日のことを 思い出していた フレンチトーストが好きだった 君のことを 笑顔がすてきだった 君のことを |