もえもえ 発火点

Shyrock作



第3話「ひとり遊び」

 以前、俊介との会話の中で「今度会うときに陰毛を剃ってツルツルにしたい」と要望を出され、もえもえははにかみながらも了承していた。
 再びその話題が再燃した。

「もえもえのアソコの毛を剃るのが楽しみだな~」
「あは、やだなぁ~。でも女の子のアソコを剃るのって初めてじゃないでしょう?」
「いや、初めてだよ」
「うそだぁ~。以前剃ったことがあるって言ってたじゃない~」
「え? そうだったかな。ははは、そう言えば一度だけあったかも知れないな~。まあ、それはそれとして、いよいよ近づいてきたね~」
「う~ん、考えただけでも興奮しちゃうな~」
「ツルツルになってアソコが丸見えになった状態で大きく脚を開かせて、割れ目ちゃんをペチョペチョと舐め倒して……」
「きゃっ~! もうそれ以上は言わないで! 俊介にゃ~……もうビチョビチョにゃ~……」
「ぷふっ、もう濡れてきたの? もえもえは相変らず感じやすいんだから~」
「う~ん、俊介にゃぁ、抱いて欲しいよぅ……今すぐ……」
「僕だって今すぐもえもえのところに飛んでいってすぐに抱きしめたいよ。辛い想いをさせてごめんね。でももうすぐ会えるじゃないか。しばらくの我慢だから」
「うん……」

 電話を切った後、もえもえはソファに腰を掛けたまま、さきほどまで電話の向こう側にいた俊介の顔を想い浮かべていた。

「俊介……会いたいよぅ……早く私を抱きしめて……俊介ってば……」

 瞳に影を落とす長い睫毛がふるりと震え、ゆっくりと瞼が閉じられた。
 そんなさりげない仕草さえも美しい。

 ソファにもたれ、もえもえは自身の胸を触る。
 俊介に触られているのを思い出して、身体が熱くなっていく。

「あぁ……俊介ぇ……」

 胸だけでは物足りなくなったもえもえはショートパンツを下ろし、下着の中に右手を入れていた。
 彼に愛された女の部分をそっと探る。
 柔毛の中にあるポイント。
 そっと指を押し当てて動かしてみる。
 俊介と会う機会が少ないので、時々こうして自分を慰める。
 だけど、いくばくかの後ろめたさと虚しさは残る。

「もう……いやだよ。遠距離恋愛がこんなに切ないなんて……。俊介はたまにしか会ってくれないし……。でも、でも俊介が好き……」

 もっと会いたい。そばにいてほしい。もっともっと私を愛して欲しい。
 もえもえはそう思ったが言葉にはしないでぐっと飲みこんだ。

 いつのまにかショートパンツもコットンのショーツも脱ぎ捨てられ、もえもえは生まれたままの姿でソファにいた。

「俊介っ……あぁん……」
 
 彼を思い浮かべると高ぶるばかり。
 割れ目をなぞる指の動きが速くなる。
 じわじわと身体を侵食していく熱い感覚に、もえもえはじっと目を閉じた。

「ここに……熱い塊が……ほしい……」

 クレバスの奥の、きゅっと閉じた小さな孔に、おそるおそる中指を入れた。
 自身が触っているのに、俊介に触れられているものと錯覚する。

「あっ……俊介っ……そこは……」

 指がせわしくうごめく。
 ぬめりに助けられて、中指は徐々に奥に入っていく。
 ならば、もう一本。そろりと抜いた中指に今度は人差し指を添えて、二本の指を侵入させる。

「あ……?」

 俊介に突き込まれた場面を想像してしまって、顔を赤らめえもいわれぬ快美感に襲われ、もえもえは焦った。

「あっ、あっ……ダメッ……ああっ、俊介っ……いやぁ……ダメぇ……いやぁぁぁ……」

 太ももを濡らすほどにもうグッショリになってしまっている。

「くは~っ……ああっ、あああっ……俊介っ……イ、イクッ……イクッ、あっ、はふぅ……うぐ……俊介……あああっ、あぁぁぁぁぁ~~~~~っ!」

 その夜、もえもえはあたかも俊介と愛し合ったかのように激しく濡れていた。

「ふぅ……快感のハリケーンが通り過ぎたぁ……この指が俊介のだったらなぁ……」

 確かに自慰に耽ることで、若い肉体の渇望をひとまずは鎮めることができる。
 今までも、俊介に会いたくても会えない寂しさと、満たされない肉体を何度みずから慰めて来たことか。
 ときには俊介が買ってくれたピンクローターの助けを借りることもあった。

 だがその夜のもえもえは一人快楽に耽ったあとも、心に空いた空洞を埋めることができなかった。
 暗い天井を見上げるもえもえの瞼には薄っすらと涙が滲んでいた。

「俊介……あなたがもっと近ければいいのに……。あなたがそばにいればこんな寂しい思いなどしなくて済むのに……俊介ぇ、抱きしめてょ……」

 もえもえは瞼を閉じて、五月の連休に俊介と会った逢阪の街を回想していた。
 南堀江にあるお洒落なカフェでブランチをしたこと、海遊館の行列に並んで大きなジンベイ鮫を見たこと、心斎橋筋にオープンしたばかりの複合商業ビルに立ち寄りロリータチックなランジェリーを見て大はしゃぎしたこと……そんな光景が走馬灯のようにもえもえの脳裏に浮かんで消えていった。




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