ホラーミステリー官能小説

『 球 ~鏡~ 』

Shyrock 作



 
球(モデル時名 川崎優)



第8話「鏡の前で燃え上がる二人」

 潮が放物線を描き鏡に向かってほとばしった。

「あああ~~~……」

 潮はまもなくその勢いを弱めていく。
 ワタルはポケットからハンカチを取り出し、球の股間にあてがった。

「しまった。球がたまに潮吹きするのを忘れていたよ~」
「そんな大事なこと、忘れないでよ」
「悪い」
「でも、参ったねぇ……汚れちゃったよ……」
「ううん、でも出ちゃったものは仕方ないじゃないか。オレが後からちゃんと拭いておくから心配すんなって。それよりも続きを……」
「うん……」

 ワタルは球の背後から、球のスカートを上のほうまで捲り上げる。
 よく引き締まった臀部が丸出しになった。
 ワタルは背後から攻めたいようだ。
 球はワタルにすべてを委ねている。
 硬くなったものが球の臀部に触れた。
 いつの間にかジッパーを下ろして、怒張したモノを露出させている。

(うわっ、すごく大きくなってるぅ~)

 球はワタルのモノが大きくそして硬くなるだけで胸がときめいてしまう。
 そのワクワク感は結婚前と全く変わらない。
 ワタルは球の臀部を難なく持ち上げた。

「じゃあ、入れるよ」
「うん……」

 緊張の一瞬が訪れる。
 球はこの挿入される直前の『間』という、1秒にも満たないわずかな時間帯が大好きだ。
 その期待感が堪らないのだ。
 すっかり濡れそぼった蜜壷に硬直したモノが触れる。

(……)
(……!)

 ズニュッ……!

「あっ……」

 ズズズ、ズニュニュ……

 イチブツは肉襞をかき分けて進攻していく。
 かなり太めの竿だが、潤いのある蜜壷は受け入れ態勢万全だ。
 片手で乳房を揉みしだき、もう一方の手は下方の繁みへと滑り込んだ。
 木の実の在処を探している。
 球が開脚姿勢だったこともあって、ワタルは容易に木の実を探り当てた。

「あっ……そこは……」

 鋭敏な箇所に触れられ、球は身体をぶるっと震わせる。
 ワタルは腰を動かしながら、両手も器用に操っている。
 動きはそれぞれ異なるが、それらは三味一体となって美しい姿態を攻め立てる。
 切ない声がモデルハウスに響き、むせ返るような甘い香りがワタルの鼻腔をくすぐる。
 朝方丁寧にブラッシングしてきた髪も、かき上げているうちに乱れを見せている。

「ああっ……ワタル、すごい……あああっ……すごいよ~~~……」

 下からの強烈な突き上げと、ワタルの執拗な指のうごきに、球はすでに蕩けそうになっていた。
 いや、そればかりではない。
 淫らにうごめく自身の姿を真正面に映して、いつもにも増して激しい昂ぶりを覚えていた。
 ワタルもノンストップ特急のような状態に陥り、早くも終着駅を迎えようとしていた。

「はぁはぁはぁ~、球……お、オレ、ううっ、うぐっ、もうイキそうだぁ……」
「あっ、ああっ……ワタル、私もぉ……もうイキそう~……」
「イッていいかぁ……!?」
「いいよ! いいよ! イッてぇ……! 私もうイッちゃいそう~~~! ああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~!」
「うお~~~~~~~~~~っ!」

 球とワタルが絶頂に達しようとしていた頃、建物の外でブレーキの音がした。
 夢中になっている球たちの耳には入っていない。
 急用ができて事務所に戻っていた案内人の吉野が用事を済ませ、球たちの待つモデルハウスに帰ってきたのだ。

「あら、大変だわ。お客さんに一時間以上も待たせちゃったわ。謝らなければ」

 吉野はクルマから下りるとモデルハウスへと向かっていった。

「それにしても新婚さんって初々しくていいなあ。とても羨ましいわ。私も早く良い人を見つけなくては。あっ……大変だわ! 私、あの新婚さんたちに大切なことを言い忘れてた! でもまさかねえ。迷信だわ、きっと……」

 ふと吉野に前の家主と売買契約を行なった際の光景が蘇っていた。
 売買契約は前の家主とある不動産会社との間で交わされた。
 その際、今後の販売委託先に吉野の勤める会社が選ばれ、吉野が販売主任として契約に立ち会うことになった。

 前の家主は名前を塚野といい五十代半ばの男性であった。
 事業の失敗が精神的に大きく影響を与えたのかも知れないが、吉野は初めて塚野を見たとき、陰気で小心者のように感じられた。
 また会話が進んでいくにつれ、その印象はさらに深まり『この男は実業家には向いてない。失敗したのも肯ける』とさえ思ってしまった。
 そんな塚野との売買契約も無事終了した頃、彼は書類を鞄に詰め込みながら奇妙なことを語りはじめた。

「う~ん、話そうかなぁ……どうしようかなぁ……」

 塚野は吉野たちに何やら伝えたい様子だが、口籠もってしまいなかなか切り出そうとしない。
 吉野とともに同席している不動産会社の花山という三十代の男性が、にこやかな表情で塚野に言った。

「塚野さん、どうされたのですか? まだ何か言っておきたいことがあるんじゃないですか? そうであれば、ぜひお聞かせください」
「うん、そうだね……」



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