第17話「クリバイブの舌」
鈍い振動音が部屋中に響きわたる。
「やめてよぉ~~~~~!」
「ふふふ、本当は気持ちいいんだろう?」
「気持ちよくなんかないよぉ~~~~~! 早く抜いてよぉ~~~~~!」
「嘘をつけ! 媚薬が効いてくる頃だし、そのうえ散々いじられてメロメロになっているはずだぞ!」
「くはぁ~~~~~!」
「『気持ちいいわ。もっと責めてちょうだい』って正直に言ってみろ!」
「そんなこと! 絶対にいうものですか!」
「そうかい! じゃあ、気持ちよくなるまで徹底的に責めてやるまで~!」
「いやぁぁぁ~~~~~!」
フラッシュが焚かれている。
山根はカメラのアングルを移動しながらの撮影に余念がない。
部屋は野獣たちによって興奮の坩堝と化している。
中にはジッパーを下げ、いきり立ったイチブツを激しくしごいている男もいる。
バイブ音が軽快に鳴りひびく。
「今バイブの強さを三段階の『中』に設定しているが、そろそろ『強』にしようかな?」
「やっちまえ!」
「静ちゃんを徹底的に責めろ!」
「静ちゃんが泣き叫ぶまでイカせろ~~~!」
「ははははは、皆さんはもっと激しく責めることをお望みのようで。ではリクエストにお応えして……」
カチッとスイッチが切り替わる音がした。
ヴィ~~~~~~~~~~~ン!
「きゃぁぁぁ~~~~~~~~~~!」
バイブレーターの側面からはクリバイブが伸びその先端には『クリバイブの舌』と呼ばれる補助機能がありクリトリスを激しく責め苛むため、静は深い快楽の世界へといざなわれた。
、同時にバイブレーターのヘッドも膣奥深くへと侵入していき、膣とクリトリスの同時攻撃が開始された。
安野がスイッチを切り替えたことにより、振動は一気に強まり、静は悲痛なまでのあえぎ声を発した。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!」
大雨に懸命に耐えていた堤防が、力尽きて決壊の時が訪れたかのように。
鈍い唸り音は止むことなく延々とつづく。
安野がキューのグリップをぐいぐいとこね回す。
キューを動かすたびに静の敏感な箇所に、さらに強い刺激が加えられる。
「どうだ! 感じ過ぎて本物の男が欲しくなったのではないか!?」
「いやぁぁぁぁぁ~~~~~!」
「思いっきり泣いていいぞ! よがれ! よがってよがってよがりまくれ!」
「ひぃぃぃぃぃ~~~~~! やめぇ…やめてぇぇぇぇぇ~~~~~!」
大部分の会員たちは圧巻の静バイブレーターショーに魅入ってしまい、まるでストりップショーにおけるかぶり付き客のようにだらしなくビリヤード台の周囲に貼りついてしまっていた。
◇◇◇
ケンジが地下に潜入して十数分が経過したころ、パトカー数台がサイレンを鳴らさずに到着していた。
私服の刑事と警察官が慌しくクルマを降りる。
その中にはケンジから電話を受け駆けつけた刑事部長もいた。
まだ五十手前だが髪にはかなり白いものが混じっている。
しかしさすがに鍛え抜かれた身体は見事なものでまるでプロレスラーを彷彿とさせた。
警察の到着を今や遅しと待っていたアキコはパトカーが到着すると経緯をかいつまんで説明した。
「この度は警察へのご協力に大変感謝します。状況はよく分かりました。長谷部警部は応援を待たず一人で地下に向かいましたか? そうですか、相変らずせっかちなヤツだなあ。よし! みんな、地下に向かうぞ!」
「了解しました!」
「アキコさん、ここは危険なのであなたはこの場所からすぐに退避してください。お友達のことが心配でしょうが、あとは我々に任せてください」
「分かりました。静をどうかよろしくお願いします」
アキコは刑事部長たちに頭を下げた。
◇◇◇
ケンジは足音を忍ばせ暗い廊下を進んでいく。
建物は長い期間使用していないせいかやけにカビ臭い。
(そうか、廃墟を利用してやがんだなぁ。都会の盲点か……けっ、悪賢い野郎だぜ)
まもなく廊下の先に一室だけ灯りが漏れている部屋が見えてきた。
(あそこだな……)
ケンジはピストルホルダーからポリスリボルバーを抜いた。
物音を立てないように灯りの漏れる部屋に近づく。
◇◇◇
「西本社長、ちょっと手伝ってくれませんか?」
安野はもう一人の当選者である西本社長に声を掛けた。
「何を手伝えばいいのかな?」
「静ちゃんにバイブの効果をたっぷりと味わってもらいたいので、クリトリスを剥き出しにしてくれませんかね」
「ほほう、それは面白そうだね。クリの皮を剥いて指で押さえていればいいのかな?」
「はい、そうです。思い切り広げてやってください」
「よし分かった。思い切りひん剥いてやるよ。ふふふふふ」