静 個撮

Shyrock作



第10話「謎のジュース」

 目に一瞬キラリと、冷たく無機質な鈍光が光る。

「……」

 三好の凄みに圧されたのか、静は口を小さく開けた。
 コップに入ったジュースがゆっくりと静の口内に注ぎ込まれる。
 味は苦めのオレンジジュースといったところだろうか。

(ゴホンゴホンッ!)

 静は少しむせた。
 飲み物を他人に飲ませてもらうのは案外難しいものだ。
 三好は静の口の周りをタオルで拭ってやった。
 さらに注がれるジュース。

 コップのジュースは半分ほど減っている。
 静が「もう飲めない」とジュースを断った。
 コップが下げられ、ふたたび三好はマイクを握った。

「皆様、大変お待たせしました! いよいよ本日のハイライトです!」

 男たちは身を乗り出すようにして三好の次の言葉を待った。

「では、優勝の安野さん、準優勝の西本さん、どうぞお越しください!」

 三好の紹介により安野と西本は一歩前に出た。

「皆さん、静ちゃんにご注目ください。静ちゃんはすでにブラジャーとショーツのみとなっております。しかもご覧のとおり大開脚という恥ずかしい姿をさらしています」

 獣のようなギラギラした眼光は一斉に静に注がれる。

「ここに二本のハサミがあります。このハサミをお二人にお渡しします。でも静ちゃんの身体には決して傷つけないように願います。皆さん、今から何が始まるか、もうお分かりですよね」

 安野と西本はハサミを持った。

 当然三好の説明が静の耳に届いている。
 今から何が始まろうとしているのか、おおよそ分かる。
 静は悲痛な表情で訴えた。

「お願い! 下着だけはやめて! お願い! 脱がさないで!」

 三好が笑えないジョークを飛ばす。

「静ちゃん、脱がしたりしないよ。今穿いているショーツを数枚に寸断するだけだよ」

 西本がくすくすと笑っている。

「三好君、静ちゃんにすれば、脱がされるのも、切り裂かれるのも同じではないのかな?」
「さすが西本社長。鋭い!」
「三好君、冗談はそのくらいにして早く本番に移ろうじゃないか。皆さんもお待ち兼ねだろうから」

 その頃静は身体に妙な異変を感じ始めていた。
 身体の芯からジワジワと燃えてくるようなものがあるのだ。
 それは一種の【疼き】のような少し淫らな感覚であった。
 しかし今はその奇妙な異変よりも、下着を寸断されることの方が深刻であった。

「お願い……許してぇ……下着を切らないでぇ……」

 静は哀願した。
 だが男たちはまったく聞く耳などなく談笑している。

 デジタルカメラで撮影を続けていた山根が、三好に声を掛けた。

「三好さん、あれを忘れてるじゃないの」
「あっ、いけない! 大事なものを忘れるところだったよ」

 山根は半透明のプラスチックでできた二本の容器を三好に手渡した。
 一見シャンプーか化粧水のように見える。

「この容器にはローションが入っています。今からこれを西本社長と安野さんに塗ってもらいます。準優勝の西本社長は静ちゃんの上半身を、そして安野さんは下半身を担当してもらいます。静ちゃんのどの場所に塗るかはお二人にお任せします。では始めてください」

 ローションを渡された二人は周囲の男たちの羨望を一身に集めた。
 西本は嬉々として顔をくしゃくしゃに綻ばせながら静に近づいた。
 安野はローションの蓋を開けて、てのひらに注いだ。
 トロリとした液体がてのひらに滴り落ちる。

 静は目隠しをしているためはっきりとは分からないが、うつむいてべそをかいているようだ。
 身体の火照りが次第に抑えきれなくなっていた。
 その異変はジュースを飲んで以降に起こっていた。

「あぁ……何か変……身体がすごく熱いよぉ……あぁ……どうしたんだろぉ……?」

 西本社長が三好に尋ねた。

「三好君、ちょっと頼みがあるんだが」
「はい、西本社長、何か」
「せっかくこんな絶世の美女にローションを塗るんだし、せめてブラジャーなしって訳にはいかないかね?」
「はい、もちろん結構ですよ。でも社長はすでに手にローションがついているので、もし良ろしければ私がハサミを入れましょうか?」
「そうだね。頼むよ」

 西本はニヤリと笑った。

 三好は静の背後に廻り込み、ハサミをキラリと光らせた。

「静ちゃん、悪いねえ。今からブラジャーにハサミを入れさせてもらうね。怪我をしてはいけないのでおとなしくしててね」
「いやぁ! 切らないでぇ! お願いだからやめてぇ!」

 三好は冷酷な笑みを浮かべながら、ブラジャーの左右のストラップにハサミを入れた。
 役目を果たさなくなったストラップがだらりと落ちる。
 ブラジャーは静の肌から離され、ビリヤード台に落ちた。
 スリムな肉体からは想像もできないほどの見事な乳房に、場内から異常なほどの歓声が巻き起こった。

「おお! 見事なオッパイだ!」
「おお! 素晴らしい胸をしているじゃないか。ゾクゾクしてきたぞ。西本社長、早く揉んでやれ~!」
「ほう~、お、大きい……」
「あんなに華奢な身体に意外なほど豊満な胸。こりゃ想像がつかなかったよ」
「西本社長、いいな~。私と代わってくれませんか~」

 三好は西本に合図を送った。
 西本社長はてのひらのローションをこねながら、静の背後から近づいた。

「では、静ちゃん、たっぷりと揉んであげるからね。ぐふふ」
「いやぁ……」

 次の瞬間、冷ややかなローションの感触が静を襲った。




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