衣葡林 長安乱れ花(改)



Shyrock作




<登場人物>

衣葡林(いぶりん・二十歳)
絶世の美女で、歌舞に優れている。王允のもとで実の娘同然に育てられる。
董卓の専横を憂う王允のため、董卓に近づいて誅殺をくわだてる。
可憐な容姿の中に秘めた強い意志と覚悟により、英傑並みの熱さをもって乱世を生きる。

董卓(とうたく・五十二歳)
中国後漢末期の武将・政治家。後漢王朝の混乱に乗じて幼い帝を擁し政権を握った。
猛将・呂布を養子にし、武力を背景に少帝廃立、長安遷都などの横暴を極めた。
悪鬼の残虐さと羅刹の冷酷さを持つ暴虐の徒で、暴力的で尊大な振る舞いは、乱世に更なる恐怖をもたらした。

王允(おういん・五十歳)
衣葡林の養父。後漢王朝を守るため、策略を用いて董卓の誅殺をくわだてる政治家。
高い節義と大志が備わっており、勉学のみならず騎射に励む文武両道の人。

呂布(りょふ・二十八歳)
武芸を極め、弓馬に優れた猛将。
名馬赤兎馬を駆り、その鬼神の如き強さをもって「人中の呂布、馬中の赤兎」と称された。
力に最大の価値を見出し、自らの力への自信から社会的倫理を顧みずに生きた漢。




第一話「くわだて」

 中国の後漢の末期(西暦189年頃)、董卓(とうたく)という男がいた。
 後漢王朝を事実上の滅亡に追いやり、三国時代の幕開けを導いた一世の梟雄である。
 悪知恵に掛けては右に出るものがないほどの男であった。
 長く地方官をつとめ、異民族鎮圧にめざましい活躍をしたため、近衛軍司令に起用され,軍功によって更に前将軍に昇進した。
 189年、霊帝が没すると、大将軍何進(かしん)らが宦官誅滅の計画を立て董卓らを都に呼び寄せた。
 董卓は軍兵三千を進め、洛陽郊外にいた少帝と陳留王を迎えて洛陽に乗り込み都を制圧した。
 更に朝政を独裁し、皇帝の廃立まで行うなど傍若無人にふるまった。
 やがて袁紹(えんしょう)を盟主とする反董卓の連合軍が挙兵すると、董卓は洛陽を焼き払って長安(ちょうあん)への遷都を強行し顰蹙を買った。

 そんな彼を密かに暗殺すべく機会をねらっていた皇帝司徒の王允(おういん)という男がいた。
 彼は考えた。

「董卓という男に、今真っ向から軍を進めて勝てる男はいないだろう。何しろあの軍勢だし、天下無双の呂布(りょふ)が側近にいる。ここはひとつ秘策を練らねば……」

 董卓は豪気に見えて存外用心深い男、男の間者が忍んでも見つかって血祭りに上げられる可能性が高いと考えた。

「ここは可哀想だが、我が娘、衣撫林(いぶりん)を行かせるより他にはあるまい。歳はまだ二十歳だが武術の腕は確かだし、都の内情にも詳しい。危険ではあるがこの方法しかあるまい」

 王允は我が娘を危険に晒すことに、涙ながらに断腸の想いで決断した。

 早速、衣撫林を呼び事情を話した。
 天下のため、世のため、董卓を必ず倒す必要があること。彼は天下でも名高い梟雄であること。失敗すれば死は免れないだろうと言うことも……。
 これが親子の永久の別れになるかも知れないと、涙ながらに語る父を見て、衣撫林は王允の願いを快く引き受けた。

「お父様、必ずやり遂げて見せます。ご安心ください」
「頼むぞ、衣撫林。この役目危険じゃがお前しかいない。不憫だが許してくれ」
「そんな悲しい顔をしないでください。きっとあの憎き董卓めの首を掻き切って参ります。楽しみにお待ちください」
「頼んだぞ、衣撫林。気を付けてのう」

 衣撫林は父に別れを告げ早速、長安に向った。

◇◇◇

 衣撫林は城内にうまく紛れ込んで一か月。
 周りの者に信用を築くため、ひたすら真面目に何食わぬ顔で働いた。
 董卓は天下でも名高い好色家であり、好みの美女は常に食事運搬係とし、更にその中でも特に気に入った女性を側室に抜擢していた。
 そんな董卓の目にいつしか止まって、食事運搬係となった衣撫林に、声が掛かるのは時間の問題であった。
 それもそのはず、衣撫林はスラリと背が高く、愛くるしさと可憐さを兼備えた絶世の美女であった。

「そなた、名は何と申すのか?」

 董卓は顎ひげを撫でながら淫靡な笑みを浮かべて衣撫林に質した。

「衣撫林と申します。城内のある方のご紹介でご奉公に参りました」
「そうか、そうか。よい女じゃのう。歳はいくつじゃ?」
「二十歳にございます」
「おお、そうか、そうか。どうじゃ?わしの側に上がらぬか?可愛がってやるぞ?」
「いえ、滅相もございません。私のような不つつかな者が殿のお側になどとは、恐れ多いことでございます。大変嬉しゅうはございますが、とても私目にはそのお役目勤まりませぬ」
「わっはっは!いやいや、長安広しと言えども、そなたほどの器量の女はそうそうおるまい。まあ、よく考えておいてくれ。わっはっは。」

 衣撫林は董卓にただならぬ好意を寄せられたことに戸惑いを感じた。
 本来ならば、彼に好かれ近づける機会が増えたことを素直に喜ぶべきだろう。
 しかしその一方、衣撫林の心には、ある一線以上は踏み込まれたくない処女性というものがあった。
 と言うのも、二十歳になった今もたった一度の恋しか知らず、以来、男には指一本触れられたことがなかったのだった。
 衣撫林は、持ち前の美貌にもかかわらず、日々父を助け政務に明け暮れ、時間があれば得意の拳法の鍛練に余念がなかったから、これといった男性と巡り会う機会がなかったのはやむを得なかった。

 衣撫林は考えた。
 側室となるということは、あの毛だらけの獣のような董卓に、身体の全てを蹂躙されるということである。
 そう考えるだけでも背筋が寒くなる思いがした。

(何とか、董卓の寵姫になるまでに彼を殺さなければならない……)

 衣撫林は食事係という立場を生かし、毒を盛ろうと考えた。

(腕には自信はあるものの、武器で近づいても絶対に成功するという保証はない。彼の腕も並みではなかろうし。やはり毒を盛ることが最も殺せる可能性が高い。うん、それしかない)


第二話「董卓と金魚鉢」

 そして翌日の夕食時、その機会が巡って来た。
 衣撫林は数人の女性とともに食事を董卓の元に運んだ。
 衣撫林が運んだものは酒であった。
 彼は毎晩、酒を欠かさない。
 必ず飲むはずだ。
 さきほど隙を見て酒の中に毒を盛った。
 料理や酒を置いて女性たちは引き上げようとした。
 その時、董卓が突然衣撫林に声を掛けた。
 衣撫林は背中に董卓の声を浴びて、ギクリとした。
 振り返り平静を装って、「な、何でございましょうか?」とやっとの思いで言葉を返した。

「うん、酌をせよ。今日、寵姫は身体の具合が悪いとか言いおって寝込んでおるのじゃ。一人では寂し過ぎるからのう」
「は、はい。承知いたしました……」

 衣撫林は董卓のそばに行き、跪いて酒を注ごうとした。
 ところがどうしたことか徳利を持つ手がガタガタと震えて、まともに注げなかったのだ。

「どうしたのじゃ? 衣撫林。緊張しておるのか」
「は、はい……申し訳ございません……」

 震える手は止まらず、注いだ酒の半分くらいは床に零れてしまった。

「どうしたのじゃ? 身体の具合でも悪いのか?」
「あ、は、はい、朝から少し目眩がありまして……」
「そうか……それは良くないのう。身体には気をつけられよ。そうじゃ、気分転換に少し面白いものを見せてやろう。病などどこかに吹っ飛んでしまうかも知れぬぞ?」

 董卓はまるでクマのような巨体を、ノシノシと揺すりながら部屋の隅に歩いて行った。
 そして、丸い金魚鉢の中に酒をすべて流し込んでしまった。

「それ、魚よ。お前たちも酒を飲め。今日は特別じゃ」

 するとどうだろう。たちまち金魚が暴れ始めたではないか。
 そして全ての金魚が逆さになり、水面にプカプカと浮き上がってしまった。

「ほほう、金魚とは酒を飲めば死ぬものなのか? これは初耳じゃ。わっはっは!なあ、衣撫林?」

 衣撫林は顔を真っ青にし、言葉を失い、ただただ董卓の方を見つめているだけであった。

「はっはっは、衣撫林よ。お前、誰に頼まれた? 袁紹か? 曹操か? 孫堅か? それとも……」
「……」

 衣撫林はぼう然として立ち尽くしていた。

「ふん、どうせ簡単には言わぬじゃろ。よし、その身体に聞いてみるとするか」

 そういって、巨体を揺らしながら衣撫林に近づいた。
 衣撫林はもうここまでか、と覚悟を決め懐から短刀を抜いた。
 悪くても刺し違えて死ぬ覚悟であった。

「何を、小癪な」

 董卓はその巨体にもかかわらず、軽く身を躱し、衣撫林の手首を掴んだ。

「ううっ、放せっ!」
「ふん、正体を見せたな。この女狐め」

 衣撫林の手首を捻じりあげる。

「くうっ……」

 衣撫林の顔が歪み、手首から短刀が落ちた。
 次の瞬間、董卓の腹に一閃! しなやかな鞭のような蹴りが一発見舞われた。

「うわ~っ!」

 もんどりうって倒れる董卓の大声に、番兵たちがやって来た。
 万事休す。
 いかな拳法の達人であっても、番兵たちに左右から青龍刀を突きつけられては為すすべがない。

「この、たわけ者め!」

 衣撫林の白い頬に、ピシャリと董卓の平手打ちが見舞われた。

「うっ……」

 すぐさま兵たちに縄で後手に縛られた。

「さあ吐け! 誰に頼まれてわしを殺しに来た」
「……」

 衣撫林は俯いたまま一言も喋らない。

「ふふん、どうせ簡単には吐かぬだろうて。ではその体に聞くとするか……」

 董卓はそういいながら、床に屈み込んでいる衣撫林のピンク色の衣服をスッとまくりあげた。

「いやぁ~!やめてくださいっ!」

 必死に脱がされるまいと、床を這って逃げようとする衣撫林であったが、兵たちが押さえつける。

「逃げられやしねえよ。董卓様のお命を狙った罪は重いぞ。董卓様、こやつには拷問を掛けて吐かせるのが良いかと思います」
「はっはっは~、こやつが男ならばそれもよかろう。だが、女には女の責め方がある。ぐふふ……。ましてやこれだけの器量の女だ。血まみれにするのも惜しかろう。ぐわっはっはっは~! なあ、衣撫林?」

 董卓はそうつぶやきながら、捲れあがった衣服の裾から露出した下穿の中心部に、刀の柄の部分で押した。

「い、痛い……」

 刀の柄はグイグイと衣撫林の微妙な部分に食込んでいく。

「や、やめてください……」

 衣撫林の股間を刀の柄で押しながら、董卓は嫌らしい笑いを浮かべながら言った。

「ぐふふ……それにしても良い身体をしておるな。この奥の方もしっかりと調べなければな」
「いやぁ……許して……一思いに殺してください……」
「殺すのは容易いこと。それよりも誰の差し金か早く吐け。吐けば逃がしてやっても良いぞ」
「……」 
「どうしても言わないつもりだな? 仕方がない。おい、貴様たち、この女を天井から吊るせ!」

 天井から二本の縄が垂れ下がっており、いずれもゆとりなくピンと張っている。


第三話「引き裂かれた衣 白磁の肌」

 手下たちは衣撫林の衣を手荒に引き裂くと、手慣れた手つきで両手首を縄で縛る。
 両手首を縛った縄尻が滑車によって天井へと巻き上げられると、それに伴い衣撫林の身体が天井へと吊り上げられていった。

「あぁ……いやぁ……」

 衣撫林の身体がピンと真上に伸び上がっていく。
 手下たちは衣撫林が爪先立ちになるくらいの高さに調節すると引き上げを止めた。
 無残に引き裂かれた衣の上からではあっても、その見事な姿態は十分にうかがい知ることができる。

 小ぶりではあるが形のよい乳房と、きゅっとしまった腰まわりから臀部にかけては、細いながらもなだらかな曲線を描き、女らしさを讃えている。
 とりわけ際立ったその美貌は、世の中の男を虜にする魅力を燦然と放っていた。

(よい女だ。殺すのはもったいないな……)

 その神々しさに、全身を舐めるようにみていた董卓は生唾を飲みこんだ。
 引き裂かれた衣の間から、美しい乳房とふんどし状の白い下穿きが覗いている。
 天井から吊るされつらい態勢の衣撫林に、容赦のない凌辱の嵐が待っていた。

「ぐふふふ…楽しみじゃのう。どんな身体をしておるのかゆっくりと剥がしてやるぞ」

 胸の辺りをさらに大きく衣を引き裂いて、乳房を鷲づかみに絞り上げる董卓。
 衣撫林に苦悶の表情が浮かぶ。

「衣撫林よ、早く白状するのだ。でないと痛い目に遭うことになるぞ? この美しい肌に傷をつけるのは惜しいが、吐かなければやむをえないからのう」

 乳房をグイグイと締め上げる董卓。

「いたい……」
「では、これはどうじゃ?」

 今度は乳首を摘まんで、力いっぱい引っ張った。

「い、痛い!やめてっ!」
「早く吐けば縄を解いて楽にしてやるぞ。今のうちなら、下穿きを剥ぎ取られなくて済むぞ。さあ、吐け!誰がわしを殺せと命じたのじゃ!」
「そ、それは言えません。あなたのような帝(みかど)を帝と思わず、なりふり構わず傍若無人な振る舞いをする男になんか言えません。さあ、早く殺してください。一思いに殺してっ!」

 敵にこの謀(はかりごと)がばれることは、自分はおろか養父やその仲間たちの死を意味するものと衣撫林は知っていた。
 養父の願いを果たせなかったことは無念であるが、これも天命、もはやこれまでと覚悟を決めていた。

 董卓は衣撫林に告げた。

「傍若無人だと? がっはっはっはっ! わしにそこまで立てつくとは見上げたものじゃ。いいだろう、吐かなければ、その身体に訊くまでじゃ」
「くっ……」

 衣撫林は唇を噛み締めた。
 董卓は淫靡な微笑みを浮かべながら、衣撫林を舐めるように見つめた。

「ふっふっふ、衣撫林よ、貴様はわしの暗殺を試みたほどの女じゃ。もしかしたら身体に仲間への手紙を隠しているやも知れぬ。おい、この女の衣をひん剥いて、身体の隅々まで、穴という穴まで、すべてを容赦なく調べるのじゃ!」

 引きちぎられ、もはや原形をとどめていない衣は、手下たちの手で奪われていく。
 下半身を覆っていたふんどし状の下穿きまでも、いとも簡単に剥ぎとられて、一糸まとわぬ姿にされてしまった。
 董卓たちの目前に、白い陶器に薄紅を刷いたように美しい肌が現れた。
 その優美な裸身に男たちは言葉を失っている。
 
 まもなく董卓が喉の奥から声を搾りだした。

「ふうむ……実にうるわしい。見れば見るほど殺すのがもったいなくなるのう」
「いっそ閣下の愛人にされてはいかがですか?」
「それは危険じゃ。寝首をかかれてはいい笑い者じゃからのう」
「ごもっともで」
「ええい、貴様たち、この女を辱しめるのじゃ!」
「閣下、ご命令を」

 董卓は衣撫林の股間をじっと見つめている。

「毛はかなり薄めじゃな。その奥はどうなっておる? 脚をピッタリと閉じおって……見えにくいではないか。おい、この女の両足を両方から抱えて、大きく開かせろ!」
「は、はい!」
「ひぃぃぃっ……!」

 衣撫林は脚をばたつかせるなどして抵抗を試みたが、力自慢の男たちの前にはなす術もなく、両足を大きく開かれてしまった。
 覆う物を失ってしまった衣撫林は、男たちの前に恥かしい部分すべてを曝け出してしまった。
 開脚姿勢となったため、鮮やかなサーモンピンクの亀裂は口を開け、内部の粘膜までがはっきりと見えた。
 手下たちは食い入るように覗いてる。
 彼らの下半身はあきらかに異変をきたしていた。

「くっくっくっく……可愛い花びらが現れよったわ。まだあまり使い込んでいないようじゃな? 貴様たち、手紙を隠していないか、この女の穴というの穴すべてをよく調べるのじゃ!」
「承知しました!では手始めに口から調べましょう!」

 手下の一人が衣撫林の顎を掴み、無理やり口を開かせた。
 しっかりと口内を覗きこむと、

「閣下、口内は何もございません」
「そうか。では他に隠すとしたらどこかな? やはり下の口か? わしが調べてやろう。ぐふふ……」

 そうつぶやくと、董卓の無骨な手は衣撫林の繁みをまさぐり始めた。

「いやっ……やめてください……何も隠していません。そんな処に隠したりしてません……」
「まあ、探せば分かることじゃ。どれ」
「いやぁ……やめて、やめてくださいっ……お願いです……」
「それにしても艶やかな肌をしておるのう。まるで白磁のような光沢じゃ。どれどれ」

 脂ぎった手が衣撫林の腹を擦り、恥丘の辺りを撫でながら、徐々に秘所へと向かっていく。

「いや……いや……許してください……!」


第四話「濡れし花弁 猛る肉柱」

 閉じることは許されない。無防備な大股開きは、衣撫林を屈辱の底へと突き落とす。
 董卓は衣撫林を抱きかかえると、無骨な指が容赦なく花弁の中に潜り込み、女襞を掻き回す。
 やがて無骨な指は一本が二本になり、可能な限り奥までねじ込む。

「ふっふっふ…手紙は見つからぬのう。もっと奥に小さく畳んで隠しておるのではないか? どれ、もっとほじってやろう。よい感触をしておるのう。肉壁がねっとりと指にまとわりついてくるぞ。こんな名器で咥え込まれて長く持つ男は少なかろうぞ。がっはっはっはっはっ~!」

 董卓は指が届く一番奥の部分、その柔らかい内壁に、指の腹を強く押し当てた。

「んふぁ……あふぅ……い、痛い……やめ、やめて……」

 中で指を折り曲げて、激しく肉壁をえぐる。

 蚊に刺されて痒くなった部分をそうするように、指先を激しく動かして内側の襞をかきむしった。

「……くあっ……ゆ、許して……ください……んぐあっ……」

 衣撫林は額に玉のような汗を浮かべて、無骨な指に抗おうとする。

「……んぐぅ……うぅ……痛い……ぐああぁっ……」
「痛いだと? 指ていどで泣き言を言っているようでは、わが巨大マラは耐えられんじゃろう。いかに泣きわめくか楽しみじゃわい。ぐっふっふ」
「いやぁ……」
「それにしても全然濡れてこんのう。おい! 四川の媚薬を持って来い。秘所にたっぷりと塗り込んで、ひいひいと言わせてやるわ。ぐっひっひっひ」
「な、何をするつもりです……変なことはや……やめてください……」

『四川の媚薬』が何かは分からなかったが、衣撫林の心の中に何やら不吉な予感が漂った。
 
 まもなく手下が媚薬の入った小さな壷をかかえ董卓の前に現れた。
 董卓はどろりとした淡黄色の液体を指にたっぷりとつけると、衣撫林の亀裂の内外に塗り始めた。

{んぐっ……ひぃ……!」

 二度、三度と指ですくい、丹念に塗り込める董卓。

「ふふふ、すぐに効いてくるからのう。楽しみに待っておれ。おっと、ここに塗るのを忘れておったわ」

 そうつぶやきながら、実(さね)の包皮をめくりあげると、桃色のぼんぼりにも媚薬をたっぷりと塗り込めた。

「ひぇぇぇぇぇ……!」

 鋭敏な箇所に指が触れたことで、衣撫林はたまらずのけ反った。
 董卓は手下に命じる。

「おい、実の皮を押さえてろ」

 手下の一人が役得とばかりに嬉々として実の皮を拡げる。
 無防備となった可憐な実に、たっぷりと媚薬の付着した指が襲う。
 董卓はわざと手荒に擦る。
 それは愛撫などという生易しい行為ではなく、相当まるで野卑な山賊の所業のようであった。

「いやぁ、やめてぇ……いやぁぁぁぁぁ……」

 衣撫林は美しい瞳から涙をポロポロとこぼし哀願した。

「ふふふ……泣け。思い切り泣くがよい。その涙がまもなく善がり泣きに変わるのじゃ。ぐふふふふ」

 媚薬の効果はすぐに現れた。

「ああっ……なんか変……あっ…あっ……熱い……」
「ふふふ、効いて来たようじゃな。どれ」

 無骨な指で実や花弁をこねくりまわす董卓。
 衣撫林はさきほどまでの反応とはまったく異なり、わずかだが切ない声を奏でた。
 花弁はすでにびっしょりと濡れている。

「ひやぁ……許してぇ……んぐあっ……やめてぇ…」
「ふふふ、どうじゃ、熱くなってきただろう? 擦って欲しいだろう?」
「いやっ……そ、そんなこと……ありません……んぐぅ……うぅ……何か、何かおかしくなりそう……」
「素直になれ。素直になってわしに頼むのじゃ。董卓様の大きなマラで擦ってくださいとな」
「くぅっ……し、死んでもいうものですか……ううぐ……」
「ふん、しぶとい女め。ではもう容赦はせぬぞ!」

 董卓が下半身の紐を解くと、巨大にそそり立った肉柱が現れた。
 すぐさま狭い亀裂に宛がう。

「だめっ…おねがっ、やめてぇ!……ひぁっっっ……!」

 厚みのある亀頭部分が秘所に埋没すると、やすむ間もなく一気に奥へと突き進んでいった。

「うぐぐっ……おのれっ……と、董卓め~~~……っ!」

 緊縛されて不自由な衣撫林を、立位の体勢で真正面から激しく突き上げた。
 肉凶器をねじこむ董卓、逃れようともがく衣撫林、その勝敗は火を見るよりも明らかであった。

「うううっ……む、無念……」

 董卓の大きな腹が衣撫林のかぼそい腹部にパンパンと音を立てて当たっている。

「もっともっとわしを恨め!恨めば恨むほど、おまえの女壺はよく締まりおるわ!がはははははは~~~!」
「くっ……!」

 董卓は衣撫林を侮辱する言葉を並べながら、下半身を前後にあわただしく律動させる。
 手下たちもよく心得たもので、董卓に押され振り子のように揺れる衣撫林の身体を、後方から押し返し支援する。

「ふうふうふう……衣撫林よ、お前の壺は実に名器じゃ。殺すには惜しいぞ。どうじゃ、全部吐いてわしの愛妾にならぬか?」

(ペッ!)

 たとえ犯されていても、董卓への強い敵意だけは失われることはなかった。
 衣撫林が吐いた唾は董卓の顔面を直撃した。

「おのれぇ……貴様っ!許さんぞ!」

 董卓は顔面に受けた唾を拭うこともなく、衣撫林の喉を締め上げ、一層激しく肉柱を突き込んだ。

「ぐっ、く、くるしい……放せっ……」
「この女……もう容赦しないぞ!」

 董卓は深く挿入した怒りの鉄柱を、更に子宮に届くほどに強く捻じり込んだ。

「ひぇぇぇぇ……んふぁ……ひぃ~~~……!」



第五話「美肉侵寇」

 手荒い挿入であるにもかかわらず、不思議にも痛みはなく、むしろ悦楽の渦が衣撫林の肉体を取り巻いていた。
『四川の媚薬』が効果を発揮し始めたのだ。
 それでも抵抗の姿勢は決してくずそうとしない。
 往復の度に額に汗をにじませた衣撫林の顔がわずかに歪む。
 だが、すぐにそれを打ち消すように衣撫林は、董卓の顔を鋭く見つめかえす。
 その瞳には、強靭な意志が漂っているように見える。
 董卓は単調な抽送を繰り返す。
 太い肉柱が全て露出するほどに腰を引く。
 そして同じ速度でそれを逆行させ、重々しく奥まで貫く。

「ぐふふ、突き込むたびにどんどん濡れてくるぞ、衣撫林」
「……」

 湿り気の混じった卑猥な音が室内に響く。
 董卓が深く腰を突きだす都度、衣撫林は唇を噛み締める。
 次第に立ち昇ってくる快楽の気配を、懸命に自らの意思で抑えているのだろう。
 董卓の手が、衣撫林の乳首をつまむ。
 揺れる乳房を愛撫しながら、董卓は腰の往復を続ける。
 鼻から空気を抜くような、苦しげな息遣いが衣撫林に垣間見えてきた。

「気持ちよくなってきたのじゃろ? 衣撫林」
「……」
「この程度の突きでは物足らぬか? もっと激しくしてほしいのか?」

 誘うようにささやきながら、董卓の指先が衣撫林の唇に触れる。

「さあ、指をしゃぶるのじゃ」

 強引にそこに侵入した指先を、董卓を睨みつけながら衣撫林が咥える。
 衣撫林の舌を指先でいじめながら、董卓が腰の突きに力を込める。

「ほらっ、どうじゃ」

 董卓の責めがもたらす効果を否定するように、衣撫林は声を懸命に抑え、首を小さく左右に振る。
 額の汗が玉のようになっている。董卓がさらに衣撫林の両脚を抑えこむ。
 膝裏を上から押すようにしながら、董卓は深々とした抽送を繰りかえす。

「衣撫林よ、穴が狭いのか、わしが太過ぎるのか、どちらか知らぬがすごい締りじゃのう」

 董卓が満足そうにそう言いながら、腰の速度を加速させていく。
 両手を衣撫林の顔の横に置き、激しく腰を振る。
 ぱんっ、ぱんっ、と二人の裸体が触れ合う音が部屋にこだまする。

 衣撫林が我慢しきれない様子で瞳を閉じる。
 唇をぎゅっと噛み締め、床の敷物を握りしめるような仕草を繰り返す。
 美しい乳房の先端に、桜色の乳首が硬く隆起している。
 董卓の肉棒が往復する秘所のあたりにも、漏れ出す衣撫林の蜜がいやらしく濡れ光っていく。

「どうじゃ、気持ちよいか、衣撫林」

 終幕を思わせるほどの勢いで、董卓が激しく腰を振る。
 一瞬、衣撫林の唇が、わずかだが開き、そしてすぐにそれが閉ざされる。
 そんな光景が繰り返されていく。

「奥まで入れてやるぞ、それっさ、それっ、それっ……」

 とどめを刺すように、董卓が深々とした腰の突き込む。

「あっ……」
 
 衣撫林の喉奥から、かすかな吐息が漏れる。

「ほらっ……、もっと奥まで、もっと奥まで……」
「うううっ……」

 激しい董卓の攻めに、それ以上声を抑えこむことができないように、衣撫林は唇を開いてしまう。
 だが、すぐにそれを閉じ、何かに集中するように、顔に強固な意志を取り戻す。
 結合を果たしたまま、董卓が上半身を前傾させる。

「いくぞ、衣撫林……」
 
 董卓の強暴な攻めに、衣撫林は床の敷物をきつく握る。
 声を抑えうとするが、乱れる息遣いはもはやごまかしようもない。

「はぁはぁはぁ……」

 董卓が激しく腰を振る。

「たっぷりと出してやるからな」
「ううっ……やめて……」

 冷酷な言葉に衣撫林は泣き濡れる。
 董卓の息が荒くなり、肉柱の突き込みも一段と勢いを増していた。

「いくぞ、衣撫林、いくぞ~~~!」

 董卓は肉柱を埋め込んだまま動きを止めた。
 直後、体内に熱い液体が放たれるのを衣撫林は感じた。
 放出は短い間隔で何度も起こった。
 そのたびに肉柱が脈動しているのも感じた。
 噴出した精液が身体の中でじんわりと広がっていくのが分かった。

 射精を果たした董卓は肉柱を引き抜いた。
 奥から精液が漏れ出し、花弁を濡らした。

「ぐふふふ、よい味じゃったぞ。一度抱いたら何度でも抱きたくなる女じゃのう」
「……」

 衣撫林の麗しい肉体を征服した董卓であったが、まだそれだけでは満足できなかった。
 彼は捉えた獲物をとことんいたぶるという加虐心を心の中に潜ませていた。

 まもなく董卓お抱えの鍼師(はりし)が呼ばれた。
 鍼師が用意したのは、医療に用いる中国鍼といわれる鍼であった。
 長さは十センチほどあるが、かなり細いため刺されても見た目ほど痛みはないという。
 鍼師はその一本を取り出して、衣撫林に見せながら語り始めた。
 衣撫林は不安そうな表情で彼の言葉を聞いていた。

「衣撫林様はこの鍼を知っていますか? あなたはまだ若いので、使ったことがないかも知れませんが。この鍼はいつもは董卓様の腰の治療に使うのですが、今日はちょっと違う場所に使います。これをどこに使うか分かりますか? 今日は特別に女体責めに使用します。効果が四川の媚薬よりも二倍強力な『西域の媚薬』をたっぷりと鍼の先端に塗り込みます。衣撫林様の身体の奥深くに薬が浸み込めばどうなるやら……とても楽しみですね。ひっひっひ……」


第六話「鍼の悦楽地獄」

 今しがた、純潔を奪っておきながら、この上何をしようというのか。
 何をされるのか分からないときには恐怖が生まれる。
 恐怖から逃れるために人はあれこれ考える。
 考えれば考えるほど悪い方向へ思考が向く。
 そしてさらに恐怖は強まる。
 まさに未知は恐怖のスパイラル。
 囚われた者にとって未知は恐怖でしかないのだ。

「あまり怖がる必要はないですよ。私がほどこす鍼はほとんど痛みがありませんからね。いや、むしろ、気持ちよくなると言っておきましょう。ひっひっひっ」

 語り終わると、鍼師は一本の鍼を衣葡輪の左の乳頭に刺しこんだ。
 チクチク、チクチクと鍼師は時間をかけて微妙な力加減で刺し込んでくる。

「うっ……」

 鍼師の言葉どおりほとんど痛みはなかったが、むず痒いような感覚とわずかな熱感を覚える。
 右の乳頭にもゆっくりと刺しこまれていく。
 董卓はその様子を楽しそうに見ていた。

「鍼の薬が少し効いて来たようだな。眉など歪めおって、その切なそうな表情を見ていると、わしはまた元気になって来たぞ。がっはっは~」

 鍼師は刺し終わると、鍼の端を指で軽くピンと弾いた。
 衣撫林は乳頭に痺れのような感覚と、身体全体が妖しげな感覚に包まれた。
 やや乱暴に鍼をグリグリと廻し始めると、

「あぁ……」

 乳房を何やら猫の舌で舐められるようなくすぐったさが生じる。
 そしてズキンズキンと拍動し始めた。

 さらに鍼師は手に鍼を持つと、柱に縛られている衣撫林の足元に屈み込んだ。
 彼の目の高さに、褐色の淡い繁みがあった。
 衣撫林の繁みをかき分けると、木の実を探り出した。
 その在処を見つけると、実を覆う皮をゆっくりとめくり始めた。
 二、三度指で撫でながら、鍼をゆっくりと刺し込む。

「ひやぁ……」

 さきほどとは違う妙につややかな声をあげる衣撫林。

「ひっひっひ……衣撫林様、感じるのは少々早過ぎますぞ」

 木の実に刺した鍼はそのままで、さらに下方の花びらを指で広げ、鍼を刺し込んでいく。
 一本にとどまらず、二本、三本……

 痛みは感じないものの、恐怖で顔が引きつる。

「ああぁ……いやぁ、そんなところに刺さないでぇ……」

 すべての鍼を刺し終えた鍼師は董卓に報告する。

「閣下、衣撫林様の急所八か所に鍼を刺し終えました。まもなく薬の効果が現われ、身体中の穴という穴から汗が噴き出し、腰をよじり、切なき声をあげることでしょう。四川の塗り薬とは比べ物にならぬほど長時間の効果が期待できます。閣下が、衣撫林様のいずこの肉に触れても、火が点いたように泣き叫び、早く欲しいとせがんでくることでしょう。すべては閣下の意のままにございます。ひっひっひ……」
「そうかそうか、ご苦労であった。下がって良いぞ」
「では私めはこれにて失礼いたします」

 鍼師が帰ると、董卓はすぐに衣撫林の拘束されている身体を撫で回した。
 乳房、腰、尻、太股、脇腹と……
 するとどうだろう。
 衣撫林の身体中の皮膚からおびただしい汗が滲み始め、つやっぽい声を奏でた。

「あぁ、もう、もうだめ、もうだめです……あぁ、もう……」
「ん? どうしたのじゃ? わしの物が欲しいのか? はっはっは~」
「いり、いりません……、あっ、でも……もうだめですぅ……」
「かなり効いて来たようじゃな。ぼちぼち鍼を抜いて、代わりにわしのマラを咥えさせてやるとするか。がははは~」

 董卓は鍼をゆっくりと抜き、愛撫もほどほどに、衣撫林の片足を抱え上げると一気に立位で貫いた。
 抵抗する意欲も衰え、徐々に『西域の媚薬』の効果が現れてきた衣撫林は、すでに董卓のなすがままであった。
 さきほどまでの楚々たる姿は今はなく、まるで情欲の権化かと勘違いするほどのみだれようであった。
 渓谷からは聖なる蜜が太股に伝うほどに激しく溢れ、憎き董卓の前だというのに愛人と思わせるほど悶え狂った。
 肉壷は董卓の太いいかづちを難なく受け入れ、ヒクヒクとまるで生き物のように蠢動している。
 衣撫林は歓喜にむせび、桃源郷への旅路を何度も往来した。
 あろうことか悪鬼董卓の前で随喜の涙を流し、大量の愛蜜を流したことは、衣撫林にとっては最大の屈辱であり明らかなる敗北であった。

◇◇◇

 その後数日間、昼夜を分かたず董卓は衣撫林を責め続けた。
 あまりにも精を出して衣撫林に溺れたあまり、日常の政務にも影響が出るほどであった。
 いくら責めても暗殺の指示者を白状しないことが、余計に董卓の怒りの炎に油を注いでいた。

(むむ、しぶとい女め。指示者を早く吐かせなければ、わしの命が危ない。可哀想だが寵愛はもう諦めるしかないか……)

 董卓は衣撫林に溺れかけたが、それが身の破滅になると悟り、作戦を変えることにした。
 番兵たち数名に対して、地下牢で衣撫林を徹底的に犯すよう指示をしたのであった。
 番兵たちは歓喜の声を上げ、早速衣撫林を地下牢に連れて行き、後手に緊縛し、代わる代わる犯し続けた。
 中には順番を待ちきれず、衣撫林の菊座まで犯す浅ましい蛮人まで現れた。
 また、あぶれてしまってそれすらも適わない者は、衣撫林の小さな口に怒り狂った肉棒を押し込み、欲望をぶちまけた。
 哀れ衣撫林の顔や身体は、白濁色の液体にまみれてしまった。
 瞳の輝きは消え、生気はなくなり、もう抗う気力すら失いかけていた。

 自失ぼう然の衣撫林ではあったが、翌朝、董卓の御前に連行された。
 董卓は髭を撫でながら、冷ややかな眼差しで衣撫林に尋ねた。

「衣撫林よ。久しく女と交わっていない男たちばかり集めたのじゃ。飢えた狼のようでさぞや楽しかったろう? ふっふっふ、充分に楽しめたか?」
「くくっ……鬼畜生め……」

 衣撫林は眼を吊り上げ董卓を睨みつけ、憎々しげに言葉を吐き捨てた。


第七話「伝説の犬『類』」

「ふん、まだわしに逆らおうというのか? いくらわしでもいつまでも悠長に待っておれぬわ。おまえが戻らぬことで、おまえの仲間はすでにおまえは死んだものと思っているだろう。ということは、敵はかならず次の策を講じてくるはず。もう時間がない。早く吐いてもらわねば困るのだ。だが、尋常な方法では簡単に吐かぬ女だということがよく分かった。そこで……」

 衣撫林としては、しくじった場合敵に殺されることは覚悟していたが、延々と辱めを受けることには耐えられなかった。
 董卓の言葉を遮るように訴えた。

「董卓っ! 早く私を殺せ!」

 董卓はニヤリと笑みを浮かべながら、恐るべきことを提言した。

「いや、まだ殺さぬ。吐くまでおまえを徹底的にいたぶるだけ。とはいっても、わしや手下どもではビクともせぬようじゃから、今度はおまえがわしに先程ほざいた『畜生』と交わらせてやるとしようか。がっはっはっは~~~!」
「な、なに……? ち、畜生だと……!?」

 思いがけない董卓の言葉に、衣撫林の表情が凍りついた。

「ふふふ……驚いたか。畜生と言ってもわしの可愛い番犬たちじゃ。やつらは今ちょうど盛りがついておってのう。犬と美女のまぐわいも一興じゃろう。なあ、おまえたちも見たいだろう?」

 手下たちはニヤニヤと笑いながら一様に相槌を打った。

「はい、閣下、ぜひ犬と美女の交わりを見とうございます。では早速番犬を入場させます」

 犬と交わるなんて冗談じゃない。衣撫林は恐怖のあまり言葉を失ってしまった。
 衣撫林は両手を後手に縛られたまま、四つん這いにさせられた。
 床に頬を押しつけた状態で、手下の一人が後頭部を押さえつけているため、身動きが取れない。

「や、やめてぇ……犬なんて嫌……絶対にいやぁ……」

 衣撫林の目頭からとめどもなく涙がこぼれ落ちる。

(グルルルル~~~グルルルル~~~!)

 衣撫林の背後に、大きな獣が五匹現れた。
 その姿は顔が獅子のようであり、身体には寅縞がある。さらに背中には髦(たれがみ)がなびいている。
 その名を『類』という。
 たぶんチベタンマスチフなど、北方系のイヌを掛け合わせて作られた犬種だと思われる。
 かなり獰猛だが、飼い主の言葉には極めて忠実なのが特徴である。
 彼らは衣撫林の姿を捉えて、クンクンと臭いを嗅ぎ始めた。
 衣撫林は恐怖のあまり顔面蒼白になっている。

「いやぁ!近寄らないで~!」

 辛うじて首紐が『類』の自由を奪ってはいたが、それが解かれるのも時間の問題であった。
 束縛された衣撫林は、手下たちによって何やら奇妙な油を乳房や股間にしっかりと塗り込められた。
 それは類の好物である鶏肉から作った油であった。
 ベトベトとした不快感が衣撫林の敏感な部分を襲う。

「いやぁ……塗らないで……」
「へっへっへ、これを塗ると類がどんな反応をするか、楽しみだぜ」

 黒々とした髭の手下が油を塗りながらささやいた。
 油を塗りながらも、役得とばかりに指を必要以上に動かしている。

「うっ……」

 董卓が今度は真顔で恫喝してきた。

「衣撫林よ。これは最後の忠告だ。誰の差し金か早く吐くのだ。もし吐かなければ、この獣どもがおまえを徹底的に犯すことになるぞ。この獣どもは今盛りが付いておる。その性欲は人間の男の比ではないぞ。もしかすれば、おまえは化け物を孕むことになるかも知れぬぞ。ぐわっはっはっは~!それが嫌なら早く吐くことだな」
「くくっ……董卓……この卑怯者め……こんな獣と交わるくらいならば、いっそ一思いに殺せっ!」
「ふっ、どうしても吐かぬ気だな。仕方がない。やれ!」

 董卓の合図とともに、五頭の類が放たれた。

(グルルルル……)

「きゃああああああ~~~!」

 類たちが一斉に衣撫林に近寄ってきた。
 最初はクンクンと匂いを嗅いで様子をうかがっていたが、まもなく彼らにとって美味なるものと分かると、油の付着した乳房や花弁をペロペロと舐め始めた。

「ひぃぃぃぃぃ~~~!」

(ピチャピチャピチャ)

 類たちの生暖かくザラザラとした舌の感触に、衣撫林は例えようがないほどの不快感と恐怖感に襲われたのだった。
 左の乳房に一頭、右の脇腹に一頭、左の腰に一頭、右の臀部に一頭、そして股間に一頭が舌を這わせた。
 長い舌が花弁の中まで侵入してきた。

「いやぁ……お願い……やめて……」

(ピチャピチャピチャ……ピチャピチャピチャ……)

「いやぁぁぁぁぁっ!」

 衣撫林の苦悶の表情を、董卓は腕を組みながら満足そうに眺めている。

「衣撫林よ。この番犬どもは空腹だと人肉を喰らうこともあるが、先程たらふく食事をさせた後じゃ。ゆえにおまえを食ったりはしない。安心しろ。ただし、久しく雌犬との交尾をさせていたないため、あちらの方はかなり飢えておるはずじゃ。番犬と心行くまでまぐわるがよいわ。がっはっはっはっは~~~~!」

 衣撫林が類たちに犯される様子を、固唾を飲んで見守っている手下たちに董卓はつぶやいた。

「実に壮観な眺めじゃのう。美女と類どもとのまぐわいなど滅多に見られるものではないぞ。しっかりと目に焼き付けておくのじゃ。類どもの股間を見てみよ。おまえたちの腕ほどの太さに怒張しておるわ。あの猛々しい犬棒がもうすぐ美女の秘所を貫くぞ。これは見ものじゃのう~。がっはっはっは~!」

 董卓の言葉どおり、一頭の類が早くも怒張したものを衣撫林に入れるべく背後から乗りかかった。
 赤黒く充血した巨大な犬棒があっという間に、衣撫林の亀裂に押し込まれた。
 だが太過ぎるため、なかなか埋没しない。

(グルルルル!)

「い、痛い! やめてぇぇぇぇぇ~!」

 それでも塗られた油の効果で、次第に犬棒は亀裂に沈められていく。

「うううっ……!うぐぐぐっ……!」


第八話「飛将呂布」

 淫靡な水音が部屋にこだましている。
 董卓とその配下は衣撫林の周囲を取り囲み、目をギラギラとさせてその様子を見つめてる。

「すごい! 類がこれほどまでに人間の女に欲情するとは驚いたぞ……」
「閣下、これは最高の見世物ですな~」

 類の交尾は想像以上に激しいが、その分人間の男のように抑えることができず、当然射精も早い。
 三分ほどの間、猛烈に抽送を繰り返すと、呆気なく果ててしまった。
 ただし精液の量が半端なものではなく、延々と射精が続いた。
 まもなく衣撫林の谷間から白い液体が溢れ出した。

 一頭が果てると、次の一頭が挑む。
 待機している残りの四頭もおとなしく待っているわけではなく、常に衣撫林の随所にその長い舌を這わせている。
 五頭の猛攻が終わっても、最初の一頭がふたたび挑みかかってくる。
 五時間もの間、延々とけものたちの交尾は続く。
 終盤になると衣撫林の身体の力が抜け、意識が薄れ、指先の一本すら動かすことができなくなっている。
 それでも容赦なくけものたちの蹂躙は続いた。

「ぐぐっ……類にこれだけ責められて吐かぬとは、何としぶとい女じゃ。やむを得ぬ。殺すしかないな……」
「へへへへへ、殺す前に我々が少しだけ味わっても構いませんか? これほどの上玉は滅多に手に入りませんので」
「好きにするがよい」
「おお!これはありがたい!」
「閣下、感謝いたします!」

 手下たちが手を打って喜んだそのとき、すごい速さで一本の矢が彼らの前を横切った。

「ぎゃ~~~~~!!」

 次の瞬間、董卓は大声を上げると、その巨体をまるで大木が倒れるようにゆっくりと倒れてしまった。
 仰向けに倒れた董卓の胸には一本の矢が突き刺さっている。
 手下の兵士たちは狼狽するばかり。

「董卓様!」
「何者だっ!」

「見て分からぬか?私を」

 そこに現れたのは身の丈が優にニメートルはある董卓の参謀呂布であった。

「りょ、呂布将軍! なぜ閣下を!?」
「董卓は後漢を滅亡に追い込んだ張本人だ。世間の人々から反感と嫌悪の情を持たれておることはおまえたちも知っているはず。そんな愚男が天下を治めるなど笑止。董卓に代わって、この私が長安を収めることにする!」
「何を!この裏切り者め!」
「おのれっ!」
「おまえたちにこの私が切れると思ってるのか? 皆の者、この雑魚どもをやってしまえ!」
「おお~っ!」
「やれっ!」
「わ~!」
「うわ~っ!」
「ぐわっ~~~!」

 呂布軍が一斉に董卓の手下たちに切りかかり、彼らはひとたまりもなく倒されてしまった。
 呂布は弓馬の術にすぐれ、また抜群の腕力を持ち、飛将と呼ばれていた。
 ただ、彼は〝裏切りの呂布〟とも言われたように生涯ひとりの上司に忠節を尽くすことはなかった。
 董卓の謀で董卓が敵対する実父をも殺し、金銀財宝、官位、名馬『赤兎(せきと)』をも手に入れた。
 そして騎都尉に任じられ、董卓にも目をかけられ、父子の契りまで結んだ。
 ところが今また野心のため、その董卓をも殺害したのであった。
 ただ董卓を殺害するまでにひとつに経緯があった。
 彼はその腕を買われ、常に董卓の護衛をしていた。
 しかし、董卓は気性が激しくおさえの効かない性格で、後先考えずに怒ることがよくあった。
 呂布はある時、気にくわないことがありカッとした董卓に戟を投げつけられた。
 殺されそうになるが、呂布はその腕力と敏捷さで身をかわし、董卓に謝ったのでその場は収まった。
 しかし、呂布はこのことから董卓を恨むようになった。

 そのように人としては信頼できない呂布ではあったが、女性に関しては実に純粋で初心な面があった。
 偶然助け出した衣撫林を一目で好きになってしまったのは、彼女の美しさから仕方がなかった。
 呂布は衣撫林から暗殺計画の一部始終を聞き、ひとまず親元・王允のもとへ返してやることにした。
 衣撫林との去り際、彼は彼女に告げた。

「天下統一の暁には必ず迎えに来る。待っていて欲しい」と。

 衣撫林は深くうなづいた。

 呂布は董卓を殺した功により、奮武将軍に任命され、温侯に封じられた。
 しかし、董卓の残党の李・郭らが長安を攻撃してきて、支えきれず袁術のもとに逃亡した。
 ところが、袁術は、二度も主を殺した呂布の変節ぶりを嫌い、受け入れてくれなかった。
 そこであきらめて、次は袁紹のもとへ身を寄せた。
 その後、叛服常無く群雄の間を渡り歩いて裏切りと離反を繰返し、ついにはあらゆる城主からも不興を買い、最後、曹操に処刑されることになった。

 衣撫林は呂布がそのような悪名高い男とは知らず、ただ彼の勇猛さと優しさに心を奪われていた。
 何しろ命の恩人である。彼を慕ったとしても不思議ではなかったろう。
 やがて風の便りで彼の死を聞きつけ、夜毎涙したという。
 だが父の王允は、呂布の元に走らなかったことを内心喜んだ。
 そして王允は衣撫林に言った。

「泣くな、衣撫林よ。悲しいだろうがこれが戦国の世というもの。呂布殿に嫁いでおったならば、そなたは今頃この世にいなかったろう。嫁がなかったことを喜ぶべきじゃ」
「喜べません。この世に生を受けて何年生きるかが大事なのではなく、どのように生きるかが大事だと思うのです。私は例えこの身が滅ぼうとも、あの方の元に嫁ぎたかった……」

 衣撫林のこの言葉には、さすがの王允も返す言葉が見つからなかった。
 呂布が没した後、中国では直も混迷を深め、やがては三国の時代へと移り変わって行くのであるが、衣撫林のその名は後に歴史の表舞台に登場することは二度となかった。






<後書き>
この作品は、三国志をモチーフにしておりますが、三国志の本説とは何ら関係がありません。















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