Shyrock 作

官能小説『球 赤い欲情』




球(本人ツイッターより)



 久しぶりのデートだった。
 食事が終わると、どちらからともなくホテルへと向かっていた。
 その夜は球が大学で手掛けているロボットの完成祝いだった。
 僕はロボットに関してはあまり分からない。
 でも完成し終えた後の満足そうな彼女の表情を見るのが好きだった。
 当然彼女の酒の量も上がり、少しほろ酔い加減になっていた。

 ホテルに入ると、風呂の湯が溜まるわずかな間すら惜しんで、僕たちは抱き合った。
 そしていつものように僕が先に風呂に入り湯加減を合わせ球を待った。

「おかしいなぁ、まだ来ないなあ」
 
 湯船で待っていたが、なかなか入って来ない。
 突然風呂の照明が消えて、まもなく彼女が入って来た。
 ドアから入る薄明かりを頼りに、球はシャワーでかかり湯をした後、そっとつぶやいた。

「ごめん、今日はやっぱりダメなの」

 蚊の鳴くような弱々しい声だ。

「今日はアレの日だったの。先に言わなくてごめんね」
「そんなの謝らなくていいよ」
「その代わり、背中を流してあげるわ」

 とても彼女らしい気遣いだ。
 薄暗い風呂場で、球は僕の背後でかがみこみ背中を流してくれている。

「あれ?球……」

 少し暗さに慣れて来た頃、球がショーツを穿いたままであることに気づいた。
 照明が消えた後は暗くてよく分からなかったのだ。

「球、ショーツ穿いたままお風呂に入っちゃいけないなぁ」
「だってぇ……」

 僕はちょっと意地悪に、半ば強引にショーツを脱がせることに成功した。

「やだぁ、だめだよぅ……汚れちゃうよ~」

 わずかな抵抗を示す球。でも本気の抵抗じゃないことはすぐに分かる。
 そのしぐさがどこか意地らしい。

(ポタリ……)

 暗い中でも、何かが滴り落ちるのが分かった。
 ふと、僕がそちらに気をやると、球は、

「見ちゃだめ……」

 と軽く往なして、さっと手を伸ばし大事な場所を隠してしまった。

「捨ててくるわ」

 主語は言わなかったが、生理用品のそれだ。
 あくまでそれを僕に見せようとはしない。
 珍しく風呂の照明を消したのも、見せたくない一心からであることが理解できた。
 シャワーの湯もわざと出しっぱなしにしてる。

「ショーツが濡れてしまったね」
「大丈夫よ。スペアがあるから。今夜はきっとこうなると思っていたから」

 と薄明かりの中でぽつりとつぶやいた。

「背中を流そうか?」
「うん、ありがとう」

 球を椅子に座らせて洗ってやることにした。
 球の上半身を洗い始めた。
 柔らかでふくよかなバストの感触はとてもいい。
 乳首がツンと硬くなって来たことも、暗くてもすぐに分かった。
 なめらかな肌触りが心地よい。

 ベットで愛し合うことは、今宵はおそらく叶わないだろう。
 それなら風呂場で少しだけでも愛し合いたい、そんな想いがふつふつと湧いて来た。
 時間を掛けて指先まで丹念に洗ってやった。
 球の身体を洗っているうちに、僕の股間が少しだけ重く感じられた。
 男とは単純な生き物だ。

 球の下腹部にスポンジが移動した。

「汚れるからダメ」

 と言うので、その部分は通過させた。
 しかし、石鹸まみれのスポンジで下腹部を洗っているうちに、ツルリと手が滑ってしまった。

「あ、そこは……」

 わざとだったかもしれない。太腿が僕の手を挟んだが、それより一瞬早くてのひらが太腿を通過しデリケートな個所に到達していた。

「ダメだって、そこは……」

 球の拒絶よりも早く、僕は円筒物の先端に付いている紐を引っ張っていた。
 円筒物がスポンと抜けた。

「いやあ~ん!」

 彼女は狼狽した。
 ヌルっとした感触が僕の手に付着した。

「返して!返して!汚いよ~返して~!」

 球は悲鳴を上げた。

 それから10分後。
 風呂場に反響する悲鳴は、いつしか切ない喘ぎ声に変わっていた。















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