「ホームページの更新も終わったし、レスも全部終わっちゃったぁ。あぁ、いけない、もう2時だわ。明日も仕事だし、さぁ寝ようかなあ」
熱帯夜、イヴは仕方なくクーラーをつけベッドに潜り込んだ。
いつものように携帯は枕元に置いている。
彼からいつ電話があっても取れるし、朝は目覚し時計の代りもしてくれる。
いつのまにかウトウト仕出したかと思うと、突然イヴの上に何かが乗ってきた。
一体何が乗って来たのか勇気を払って見ようと試みたのだが、どういうわけか目が開かない。
仕方なく手で払い除けようとしたが、不思議なことに身体がピクリとも動かない。
(あん、やだぁ……これって金縛りなの?)
物凄い力がイヴの身体をベッドに圧しつけて来る。
胸が圧迫されてとても苦しい。
(あぁ、どうしよう……)
やがて圧迫感だけではなく、下半身にもただならぬ気配を感じはじめていた。
(何?この感触は……?)
パンティの上を何か奇妙な物体が這い回っているではないか。
(ええ?やだぁ、気味が悪いわ。なに?何なの?)
叫びたい。でも声が出ない。
途方に暮れているうちに、パンティの上を這い回っていた物体が、クロッチの隙間から中へスルスルと移動を始めたようだ。
(あぁん!やだぁ、気持ち悪いよ~!)
(クニュ……)
(うそっ!いやあん!)
舌のような感触がイヴのはなびらを舐めはじめたようである。
(クリュクリュクリュ)
(ひやあ~!やだよ~!)
(クリュクリュクリュ)
舌のようでもあり何かアメーバのようだとイヴは思った。
というのも人間の舌であれば、クンニされる時に触れられる面積というものは限られている。
ところが今イヴを襲っている感触は最初は狭い範囲であったが、次第に愛撫面積が広がって行くような、そんな不思議な感覚に陥っていた。
(クチュクチュクチュ……)
(あぁ、そこはダメェ!いやん!)
今度はクリトリスにまでヌメヌとした感触が広がって行った。
大切なものを包み込む皮をひん剥き、その中の実をむさぼっている。
敏感な箇所をかなりの高速で舐めている。
(ひやあ~!そこだめ、そこだめ!ダメだってばぁ~)
(レロレロレロレロ……)
(はふ~ん!ひえ~、はあ~ん!)
(といことは、このあと中に侵入してくるの!?)
そう思っていたら、あんのじょうアメーバー状のものが侵入を開始し始めた。
男性の舌がアソコに挿し込まれてくる感じ?いやかなり違う……
じゃあペニスを挿し込まれる気分?それとも違う……
物体は中に入り込み、イヴの敏感な壁を擦りはじめた。
(グチュグチュグチュ……)
(ああ!ああ!あああ~!そこは擦っちゃダメ~!いや~ん!)
あそこはもうビショビショに濡れてしまっている。
物体はさらに奥をめざした。
狭い肉道を通って、子宮を目指しているようだ。
(グリュグリュグリュ……)
(ひやあああああ~~~!あぁ、あぁ、あぁ、あぁ、あああああ~~~!)
大陰唇、小陰唇、クリトリス、Gスポット、さらにPスポットまでも
女性器に集中している鋭敏な全ポジションを同時にすべて責めてきた。
いまだかつて味わったことのない、すさまじい快感。
イヴはあっという間に絶頂に達してしまった。
(ああ、もうだめ、もうだめ、いっちゃう、いっちゃう、いっちゃうぅ~~~!ひやああああ~~~!!)
偶然にも達した直後に、枕元の携帯がメロディを奏でた。
それはメールの着信を告げるメロディー「FINAL DISTANCE」であった。
不思議なことに、イヴはこの瞬間目が覚め、身体を動かせるようになった。
「え?やっぱり今のは夢だったのかぁ?覚めて良かったような惜しかったような変な気分だわ。でも、こんな時間に誰かしら?」
イヴは携帯に手を伸ばした。
メールをチェックした瞬間、頭をハンマーで殴られたような気分になった。
「うそ……」
メールのタイトルには『夢魔死す』と書かれていた。
奇妙なことに発信者名がなく、メールには「夢魔は私が倒した。もっと素敵な快楽が君を待っている。それは明日夜に……」と書かれていた。
凍てつくような寒さが背筋を襲った。
「ってことはさっきの夢は……夢じゃなかったってこと?もしかして夢魔!?夢魔って本当にいるの?倒したって……じゃあこのメールを送信してきたのは誰なのよ!?」
アドレスが空白になっているため発信者が分からない。
夢魔を倒したのははたして誰なのか。
明日の夜、イヴの身にいったい何が起こるのか、期待と不安に包まれながら白々とした夜明けを迎えた。
完
※当作品はイヴさんHP「ベビーピンクの楽園」(閉鎖)の40万アクセスを祝して執筆した作品です。