Shyrock 作

官能小説『バレンタイン~白い幸福~』






第1話“意外な贈り物”

 早乙女イヴは現在24才で華岡物産に入社して4年経つが、その美貌にも拘わらずこれと言った恋人はできなかった。
 凛としたその美しさと口数の少なさが近寄りがたいような印象を与えているのかも知れない。
 学生時代から付合っていた彼氏はいたが、卒業後遠距離になったこともあって次第に疎遠になっていた。
 そんな中、稀に男性社員からアプローチはあったがイヴはかたくなに断り続けていた。
 実はそれには訳があった。
 イヴには社内で密かに想いを寄せる男性がいた。
 それは直属の上司ではないが、同じフロアの車井という課長であった。
 車井は数年前離婚し、現在は俗にいう“バツイチ”であった。
 彼はイヴよりも14歳年上であったが、若手社員にはない落着きと渋さがありそれがイヴにとっては堪らない魅力であった。
 職場は違ったがあるプロジェクトが切っ掛けとなり、ふたりは度々話す機会があった。
 会議が長引き帰りが遅くなってしまった夜、車井から食事を誘われ、その後も時々酒やお茶に誘われる機会が増えた。
 しかし車井からはそれ以上求めてくることはなかった。
 自分に好意を寄せてくれているのか、それとも友達感覚なのか……イヴは車井の真意を量り兼ねていた。
 食事等に誘ってくれるのは嬉しいのだが、イヴとしてはいつしか心のどこかでそれ以上のものを求めていたのかも知れない。



 まもなくバレンタインデーがやってくる。
 ダンディで女性社員から評判のよい車井の元には、きっと多くのプレゼントが届くことだろう。
 一体どれだけの女性たちから受け取るのだろうか。
 イヴは元来そんな注目を集める男性を好まなかったが、車井のことは別だと思った。
 日頃世話になっていることもあり、何かプレゼントをしたいと思った。

(何がいいかなぁ……)

 イヴは他の女性たちが贈るであろうものとは少し違ったものを贈りたいと思った。

(インパクトのあるもので、私の気持ちを分かってもらえるものって無いだろうか?)

 正直以前付き合っていた男性に対してはそこまで悩むことはなかった。
 世間の女性がするようにデパートの特売コーナーでチョコレートを買って渡した。

 足が棒になるほどあちこちの商業施設を歩き回り、誘われるようにデパートの女性下着売場にたどり着いた。
 そのときイヴの脳裏にひらめきが走った。

(そうだ!私を食べてもらおう)

 おそらくチョコレートは嫌というほどもらうだろう。
 その中の1人にはなりたくない。
 それならば下着を渡して自分を食べてもらえば良い。
 まるでホワイトデーのプレゼントのようだが、心理的な衝撃はかなり大きいはずだ。
 しかし失敗すれば元も子もない。
 のるかそるかこの際賭けてみよう。
 お茶だけのお付合いに終止符を打ちたい。
 イヴはそう考えた。

 下着選びは真剣そのものだった。
 やはり色は白だろう。
 女性が自身の好みで選べば白よりも色物や柄物が上位を飾るが、男性の好みの1位は白だと確かある女性誌に載っていた。
 エッチ過ぎても品位を損なうし、かと言って股上深めのものも硬すぎて面白味に欠ける。
 清楚でちょっぴりセクシーなものが良いだろう。
 子供っぽくなく、でもあまり慣れた女性とは思われたくない。
 下着のブランドはどこが良いだろうか。 
 ビキニもいいが、キャミソールも捨てがたい。ああ、迷う……
 車井の視線を想像しながら下着を探すのも興奮するものだ、とイヴは思った。



 結局、比較的堅い目の白上下を購入し、家に持ち帰って一旦包装を解いた。
 購入時ブラジャーは試着できるがパンティの試着はできないもの。
 イヴはパンティを試着したい衝動に駆られたが、さすがにそこは思いとどまって、お気に入りの香水を1滴垂らし、もう一度きれいに包装をし直した。。
 さらに一見チョコレートに見えるように上からさらにラッピングを重ねた。
 仮に他の人に見られても義理チョコにしか見えないだろう。
 上司に義理チョコなんてどこにでもある話なのだから。


第2話“白い幸福”

 車井ならばきっと『清楚な白いショーツ』の意味を理解してくれるはずだ。
 あなた色に染めてください……という意味を。
 イヴはプレゼントにはあえてカードを添えなかった。そして名前も書かなかった。

 イヴは思った。
 車井課長といっしょに仕事をするときにあの香水をほんの少しだけ着けている。プレゼントした下着から漂う香りで私だと気づくかしら…… 
 プレゼントに名前を書いてなければ、車井はきっと「誰がくれたのだろう?」と気にするはず。
 名前を記載したプレゼントよりも意識がそちらに傾く。
 車井は察しのよい人だからきっと思考を巡らせて最終的に私にたどり着く……
 もしたどり着かなければ、私への想いは所詮その程度のものと考え諦める。
 うまく行けば一気に進展する可能性もある。
 ホワイトデーの頃にはもしかしたら車井自ら下着を買ってくれるぐらいの関係になっているかも知れない。
 ベビーピンクのブラとTバックショーツがいいなあ。そして……

 イヴは車井の指がベビーピンクの下着に掛かるシーンを想像して頬を紅潮させた。



 バレンタインデーの翌日、職場のイヴ専用のパソコンに1通の社内メールが届いた。
 驚いたことにそれは車井からであった。

「今週金曜日の夜、ご都合はいかがでしょうか?最近天界町に『Blanc Bonheur(ブラン ボヌール)』と言うフランス料理店がオープンして、これが結構評判なんです。もしよかったらご一緒にいかがですか?」

 イヴの胸は高鳴った。
 まさかこんなに早く反応があるとは……

(でも、あのプレゼントの贈り主が私だともう分かったのだろうか?)

 もしかしたらプレゼントとは関係なく単なる偶然かも知れない。
 イヴとしてはまだ確信が持てなかった。


 
(へえ~、フランス料理か~、楽しみだわ。ところで『ブラン ボヌール』ってどんな意味なのかしら……?)

 イヴは店の名前がふと気になった。
 卒業してからというもの一度も開いていないフランス語辞書を本棚から取り出してめくってみた。

「へえ、そうなんだ……」

『ブラン ボヌール』とは『白い幸福』という意味だった。
 バレンタインデーの贈り物のお返しとして、男性から女性へキャンデー等を贈る日として生まれたのがホワイトデー。ホワイトには「幸福を呼ぶ」という意味がありそのように命名されたと聞いたことがある。
 言葉の意味が分かった瞬間、イヴは何か素晴らしいことが始まるような予感がした。



 そして約束の日がやって来た。
 イヴは夕方の4時頃からやりかけていた書類作りを早めに済ませ、時計ばかりを覗いていた。
 今日はやたら時間が経つのが遅いように思われた。
 その時、向い側に座っている真知子がイヴの様子を見て皮肉っぽくささやいた。

「ふ~ん、早乙女さん、今日はデートなんでしょう?」

 イヴは突然の真知子の言葉に少し驚きを隠せなかったが直ぐに平静を装い、

「ええ~?そんなんじゃないよ~。今日は同窓会があるんだ」
「ふ~ん、そうなんだ。急いで仕事を片付けてるし、それにさっきから時間気にしているし、てっきりデートだと思ったわ」
「あはは、そうだったらいいんだけどね~」

 デートだと悟られても別に構わないのだが、相手が車井だということだけは絶対秘密にしたかった。
 ようやく終業時刻を迎えたイヴはそそくさと席を立ち更衣室へと向かった。
 イヴは事務服を脱いだあと、何気にキャミソールのストラップを少しずらしブラジャーを眺めた。
 ブラジャーの色はベビーピンクだった。もちろんパンティも同様だ。
 
(今夜このブラジャーを外すことになるのかな……?そんな直ぐという訳にはいかないか……)

 イヴはロッカーの鏡を見つめながらそんなことを考えた。

 約束時間は6時、待ち合わせ場所は天界町駅の改札口であった。
 約束時間の5分前に着いたら、すでに車井は待っていた。

「課長、お待たせしてすみません」
「いや、僕も今着いたばかりだよ。それにしても今日は冷えるね」
「今日はこの冬一番の冷え込みだそうです」
「道理でね。さあ、早く店に行って暖まらなくちゃ。早乙女さんはフランス料理で苦手なものってあるの?」
「いいえ、何でもいけますよ」


第3話“キスの雨”

『ブラン ボヌール 』はフランス南部の地中海料理がメインで、そのためオリーブを効かせた料理が多く、イヴにとっては満足のいくものであった。
 車井はそれほど強い方ではなかったが、イヴの好みでふたりはワインを傾けた。
 初めはイヴが最近観た映画の内容で盛り上がったが、やがて話題は例のプレゼントの件へと移った。
 車井はやはりあの包装された下着がイヴからの贈り物であると見抜いていた。

「早乙女さん、おしゃれな下着をありがとう。最初はチョコレートかな?って思っていたんだけど、包装を解いて驚いたよ。まさか下着とはねえ」
「すみません、驚かせてしまって。でもチョコレートじゃなくて残念だったのではありませんか?食べられないものですし」
「いや……早乙女さん、それじゃ遠回しじゃなくてはっきり言うよ。あの純白の下着を着用して欲しい。もちろん僕が見られる場所でね」
「えっ……?」
「君は僕に女性下着をプレゼントしてくれた。ふつう男性に女性下着をプレゼントしたりはしないもの。それをあえて僕にしてくれたということは……」
「その先は……その先はもうおっしゃらなくても結構です。おっしゃるとおり私は車井課長が大好きです。以前からずっと憬れてました。ちょうどバレンタインだしこの機会に私の気持ちをお伝えして、課長がお望みなら私をチョコレートの代わりに召し上がっていただきたいと……そう思ったのです」
「ありがとう。僕も君のことが大好きだ。前からずっと気になっていた。いつか……なんて勝手な妄想を描いていたことも確かだよ。君の気持ち、今夜ありがたく頂戴するよ」

 イヴは真剣なまなざしで車井を見つめ小さくうなずいた。

 食後のコーヒーはかわいいデミタスカップで出てきた。
 イヴは一口飲んで少し苦く感じたのでミルクを足した。

(今夜ついに車井課長と結ばれるのね……)

 この後のことを思い巡らすと、胸が火が点ったかのように熱くなる思いがした。
 ふたりは表通りに出てタクシーを拾った。



 シャワーを浴びたイヴはバスタオルで身体を拭ったあと、真新しい純白のランジェリーを着用した。
 自分がプレゼントしたものを、相手が持参して自分が着用するというのも何やらおかしな話だが、イヴとしてはその下着を着用できる夢が叶ったことが何よりも嬉しかった。
 自分で選んだわけだからサイズは当然ぴったりだ。
 下着を着けながらイヴは思った。

(もうすぐ車井課長にこの白いパンティを脱がされるのね。まさかこんなに早くその時がやってくるとは思わなかった。すごく嬉しい……車井課長は私をどんな色に染めるのかしら……)

 イヴは下着の上からガウンを羽織って、車井のいるベッドの方へと近づいた。
 緊張のせいか少し顔が強張っている。
 すでにシャワーを浴びた車井は照明を暗めにして、ゆるやかな音楽を小さな音量で流している。
 緊張感を和らげるにはイージーリスニングが最適だろう。
 初めての夜にクラシックは硬すぎるし、歌詞のあるポップスは不適切だ。
 その辺の選曲はさすがだな、とイヴは思った。

 イヴがガウン姿で現れると、車井は自らイヴに近づき抱擁し唇を求めた。

(あぁ……車井課長とキスしてるんだ……)

 車井は唇を重ねながらイヴの背中に腕を廻し強く抱きしめた。
 イヴの気持ちが昂ぶっていく。
 まもなくイヴはソファに倒され、首筋や肩にキスの雨が降り注いだ。

「早乙女さん、君が大好きだ……君が欲しい……」
「課長……嬉しいです……私も前から……課長のこと大好ききでした……ああ……」

 言葉がとぎれとぎれであったが、車井にはイヴの真意が十分伝わっていた。
 背中のホックが外されブラジャーのストラップがゆるむと、イヴの白磁のような乳房が現れた。
 それはまるで小ぶりのお椀のような美しい形状であった。

 車井は胸全体を丹念に愛撫し、乳首にはキスを繰り返した。

(ああ……)

 上半身の愛撫はそのまま続け、さらに一方の手は下半身へと伸びた。
 見事にくびれた腰部を慈しむように撫で、その指は臀部の美のカーブへ向かっていた。
 美しい女体に纏いつく指……
 これが嫌な男なら虫唾が走る行為なのだが、好きな男にされたらそれが快感となるから不思議。

「ああ……課長……」
「早乙女さん、君は美しい身体をしているね。いくら見てても飽きないよ。最高だよ」
「嬉しい……」


第4話“濡れて可愛い”

 仰向けで寝転ぶイヴに重なった車井は愛撫をしながらゆっくりと下がっていった。
 左手で美尻を撫で右手は腹部を愛でる。
 臍から下に降りた指はまもなくパンティに掛かった。
 だけどまだ脱がせようとはしない。
 パンティの上からの愛撫はこんもりと小高い丘に到達した。

(あっ……)

 3本の指を使ってまるでエステマッサージのように丁寧に腹部を撫でた。
 やがてその指は小高い丘下方の窪みへと下りていった。
 その奥にある肉の感触を愉しむかのように執拗に指が這い回る。

「ああっ……そこは……」

 車井は指の腹で窪みをゆっくりと押してみた。
 クロッチの上からだというのに、その柔らかな感触は指に吸いついてくるようだ。
 愛撫を繰り返しているうちに、わずかだが中央に薄っすらと染みが現われ、軽く押しただけなのに凹みが残った。
 染みができた部分を何度も擦っているうちにくっきりと縦線が現われた。
 脱がしていないのに女性器の形が浮き彫りになっている。何と卑猥な光景だろうか。

「もう濡れて来たみたい。とてもかわいいよ」

 と車井はつぶやいた。

「恥ずかしい……」
「ん?でも、濡れてきてかわいいって、俺、変な日本語使ったかな。ははは~」
「うふっ、でも何となく分かる気がします」
「そうなの?じゃあ、もう一度いうかな?濡れてかわいい」
「あぁん……いやぁ……」

 車井はイヴのよく引締まった両足を広げ股間に顔をうずめ、すでに染みが浮かんでいる部分に唇を這わせた。

「ああんっ!」

 イヴが火がついたように声をあげた。
 車井はイヴの声には反応せず尚も薄い布の上に舌を這わせた。
 下から上へ……上から下へ……入念に……綿密に……

「ああ……だめ……だめっ……そこだめ……」

 イヴは無意識のうちに否定ではない否定形言葉を連発した。
 車井はイヴのパンティを脱がさずに、クロッチ部分を片側に寄せ陰裂に指を割り込ませた。

「あぁっ……いやっ……」

 サーモンピンクの陰裂からはすでにおびただしい蜜が溢れていた。
 車井は指で撫でたり陰裂を広げたりして観察している。

「いや、見ないで……お願い……」

 車井はクロッチの隙間から覗いている陰裂に舌を挿し込み内部をえぐるように旋回させた。

(ピチャピチャ……ピチャピチャピチャ……)

 車井はわざとイヴに聞こえるように音を立てて秘裂をしゃぶりあげた。

(ベチョベチョベチョ……ベチョベチョベチョ……)

「ああん、いやん~、音やめてぇ……恥ずかしいから……あぁ、変に……なりそう……ああ~ん……」
「早乙女さん、どうしたの?」
「ああっ……そんなぁ……いじわるぅ……」

 車井がパンティに指を掛けたとき、ついにその瞬間が訪れるのかとイヴは胸ときめかした。
 憧憬していた車井との一夜……とばりがもうじき開く。

(ついに、車井課長の前で私のすべてを晒すんだわ。すごく恥ずかしい……でも嬉しい……すべてを、すべてを見てもらいたい……)

 車井がイヴのパンティを下ろすと、比較的薄めの茂みが目に入った。
 ゆっくりと指を這わせ探索するかのように茂みをかき分けた。
 茂みの奥には愛らしい薄紅色の真珠が顔を覗かせていた。


第5話“愛の歓び”

 真珠を包む薄皮がゆっくりと剥きあげられた。
 真珠は艶やかにその光沢を放っている。
 車井は唇を寄せた。

「あっ……」

 唇が触れた瞬間、イヴはかすかなうめき声をあげ、腰をびくんと反応させた。
 車井は真珠を舌先で転がした。
 かなり速いピッチで左右に回転させる。
 これにはイヴも堪らず今度は大きな声をあげた。

「あああっ!それはぁ!いやん、すごすぎるぅ!あぁぁぁ~~~!!」

 それはすでに叫び声といっても過言ではなかった。
 女性の身体の中で最も繊細な部分を舌で横攻めされるのだから堪ったものではない。
 イヴは敏感に反応し真珠は硬さを増していった。
 舌に呼応して息遣いも荒くなっている。


「あぁん、いきそう、いきそう、もういっちゃうかも、いっていい?いっていい~!?あああ~~~~~~~!!」

 イヴの目に見えるものがすべてオレンジ色に見え、身体中の血液が一所に集中するような気がした。
 セックス前の舌攻めだけで桃源郷の頂に到達してしまったイヴ。
 それはまるでメインディシュ前のアベリティフだけで酔態してしまった天使のようなものであった。

 しかしここまではまだイヴ攻めのほんの序幕に過ぎなかった。
 右手は真珠をこねくり回し、左手は秘肉をかき分けて1本の指が潜り込んだ。
 第1関節、第2関節……
 車井は指を止めてスクリューのように回転させた。
 膣壁を激しく擦られたイヴは堪りかねて声を荒げた。

「ああっ、ああっ、あああ~っ、そんなぁ~……そんなことしちゃぁ……ひゃぁ~~~!!」

 女性は昇りつめた後身体がかなり敏感になっており、すぐに攻められると感じ過ぎて思わずのけぞりたくなってしまう。
 それを知りながら車井はわざと攻め続けた。
 イヴは攻めから逃れようともがくが車井はそれを許さない。
 秘裂から溢れる半透明の液体……それはまるで永遠に湧き出る泉のようであった。

 車井の攻めが10分ほど続いた頃、秘肉を愛撫し始めた時と比べて驚くほどに柔かくほぐれていた。
 その時にわかに……
 イヴの仰向けのままソファのコーナーに追いやられ身動きできない状態となった。
 上体は後ろにやや傾斜し正常位と座位の中間的な姿勢となり、長い足はM字型に開かれた。
 そんな不自由な体勢の上から車井がのしかかってきた。
 秘肉には怒張した肉棒が進入を開始した。
 肉棒は燃えるように熱く『熱棒』とでも名付けたいほどだ。
 車井の昂ぶりがじかに伝わってくるようで、イヴはつられて激しく興奮した。
 狭い膣内は寸分の隙間もなくきっちりと肉棒を咥え込んでいる。
 肉棒が動き始めた。
 車井が突き込むたびにイヴの腰が揺れる。
 イヴとしてはあまりにも窮屈な体位であるため、まるで犯されているようなちょっと危ない気分にさせられた。
 車井がイヴを攻め立てたこの体位はとても珍しくその名を『小娘土蔵折檻』といった。
 誰が編み出したのは分からないが四十八手にも入っておらず、当然イヴとしても初めての体験であった。
 女性を動きにくい不自由な姿に追いやり攻め立てる体位であるところから、そのような名前がつけられたのかも知れない。
 一見SMを彷彿させるような名前だが決して縄等の拘束具を使用するわけではない。
 SMとも違う、しかし身体が拘束されているような気分が味わえる……
 イヴはそんな不思議な気分に包まれた。
 恍惚感はすさまじいものがあるが、さきほどの真珠攻めのときちはまったく違う。
 まるで身体が浮遊するような感じ……
 白い馬車で雲の上を走るような気分……
 イヴはかつて味わったことのない不思議な快楽に溺れた。

 バレンタインから数日が過ぎた頃、イヴは白い幸福に満たされていた。
 愛する歓び……愛される歓び……
 この幸せがいつまでも続いて欲しいとイヴは心から願った。
















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