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俺は大学を出て3年目、現在は大学の体育講師をしている。 講師としての仕事はまずまず順調に行っているのだが、ひとつだけちょっとした問題を抱えている。 それは2年生のゆまのことだ。 全体的に成績もよく、美人で性格も悪くないのだが、どうも体育が嫌いなのか体育実技の見学が非常に多いのだ。 理由を聞いてみると、判で押したようにいつも『生理』だと言う。 しかも、1ヵ月に2回も3回も『生理』だと言ってくる。 『生理』と言っておけば、若い独身の男講師だし何も言えないだろうと甘く見ているようだ。 今日の授業もゆまは「生理なので見学させてください」と教官室にやって来た。 今日は俺しかいない。 近くで見るとゆまは確かに美人。 さらさらしたヘア、はっきりした顔立ち、爽やかな感じ、今時の模範的な女子大生。 俺はいつものように明るく答えた。 「分かりました」 今までずっとこうして了承してきた。 生徒の身体のことは分からないし、ましてや相手は若い女性である。 プライバシーもあるのでそれ以上は詳しく尋ねたことはなかった。 しかし今日はいつもと違った。 「確か先週も同じこと言ってきたよね?」 俺は一言付け加えたのだ。 ゆまから返ってきた答えはこうだった。 「私、実はすごく生理不順なんです……」 ゆまは蚊の鳴くような消え入りそうな声で恥ずかしそうに答えた。 俺は出席簿を広げて確認した。 「先週の前も、その前も、その前の前も同じことを言ってきたね?」 ゆまは多人数の授業だし、生徒1人1人のことなんて憶えていないだろうと高をくくっているように見受けられた。 ところが俺はこう見えても几帳面な方だ。 生徒の申し出は全部記録している。 つまり見学理由のメモが残っているのだ。 ゆまは俯いている。 (今日はどうも様子が違うぞ。これはやばいや……) などと考えているのだろうか。 休むのであれば見学ではなくて、欠席にすれば良い訳だ。 ところがゆまはかなり休んでいて単位がやばい。 それでも、実技は苦手だ。 運動は汗をかくし、疲れるから嫌なのだ。 だから出席はするが、生理でやむなく見学していると言う方法をとるのだ。 「生理であっても体育実技を受けている女の子はたくさんいるんだけどね」 俺は助け船を出してやった。 何とか授業を受けさせたかったからだ。 「着替えが無いなら、学校の方に予備があるので貸してあげるよ」 今後のためもある。 ゆまにはできる限り甘えさせたくなかった。 「2日目なんです……だからすごく多いんです」 ゆまがもじもじしながら言い訳した。 確かこの前も、そして前の前も、全く同じ理由だった。 俺はゆまの白々しい嘘にとうとう切れてしまった。 1ヵ月の間に生理の多い日が3回もあるはずがない。 男だから知らないとでも思っているのだろうか。 いくら無知な男でも、女性に月のものがあることくらいは誰でも知ってる。 ましてや俺は体育の講師だ。 体育の講師というものは保健の知識はある程度持っている。 「じゃあ証明しなさい」 俺はついに言い放ってしまった。 証明できなければ欠席にするともつけ加えた。 それが不満なら帰れば良い。 単位を落とすこと以外は何ら問題はない。 ゆまは俯いて何やら考え事をしているようだ。 ゆまはここで帰ることができた。 欠席にすれば良いだけなのだから。 しかしゆまは帰らなかった。 ゆまは躊躇ってはいるが、証明する気持ちもあるようだ。 俺はさらに追い討ちを掛けるような言葉を浴びせた。 「スカートをめくりなさい」 俺は恥ずかしがるゆまにスカートをめくらせた。 観念したようにゆまがスカートを少しだけ持ち上げる。 それでは見えない。 「もっと上まで」 俺は命令した。 しずしずとスカートが上がる。 太股の上の方がはっきりする。 滑らかな白い肌。 ゆまが目をつぶり頬を染めて屈辱に耐えている。 いい表情だ。 可愛いピンクのショーツ。 ショーツの下の方に赤黒い大きな跡。 まるですごくお漏らしをしたようだ。 生理用のショーツではなさそうだ。 生理用ならもっとゆったりしている。 大きなナプキンがショーツの裏側にしっかり貼り付いているのが分かった。 失敗したのか、溢れたのか、とにかく今日は本当に生理だ。 しかもかなり多い日のようだ。 「それにしても、ずいぶん汚いショーツだね」 俺は冷たく言い放った。 「とてもゆま君みたいなきれいなお嬢さんが、穿いているとは思えない」 「毎週毎週ショーツを赤黒くして、ゆま君はいやらしくて恥ずかしいね」 プライドの高そうなユマ…… きゅっと唇を噛んでいる。 間髪を入れずに、俺はぎゅっとショーツの上からナプキンを押した。 ゆまの体液がショーツの透き間から太股を伝って落ちてくる。 ゆまの白い太股に一筋の赤い液体の跡が残る。 むっとする女の匂いが俺の鼻を突く。 20歳前後の娘の生理はかなり匂う。 分泌物の生臭い匂い。 男を欲しがる身体に変わりつつあるのだ。 ゆまの目に涙が浮かび始めた。 もうそろそろ限界か? 「ゆま君、狼少年の話を知っているかい?」 俺は優しく声を掛けた。 ゆまが涙をこぼしながら肯いた。 今までのほとんどが嘘だったことも認めた。 完 |