(秋晴れ!)
NOAこと野島昭夫はワンルームマンションの外を見ながら思った。
さわやかな風が四階の昭夫の部屋にも吹き込んでくる。
(いい天気だなあ)
本当に空は青い。
窓から差し込む十月の弱い日差しがとても心地よい。
日中は気温が上がってやや暑い一日になるかも知れない。
大学も休みで、連休の一日を部屋で過ごすのがもったいなくて、ため息が出る。
(あっ、布団干すのいいなあ)
昭夫は部屋のベランダから外を見ていた。
少し離れたマンションの一室で若い女性が布団を重そうに持って出てくる。
ベランダに布団を干した。
薄いピンクのシンプルな布団がいい。
短めのレギンスと赤いサンダル履きがのどかな風景によくあっている。
化粧っけのないバサバサの髪が休日のひとときらしい。
布団を干すと女は部屋に入ろうとする。
十月の風に揺れるカーテンが邪魔になったらしく、女はさっと白っぽいカーテンを開け放った。
一人暮らしの女の部屋の中が自然と昭夫の目に入った。
ベランダには女の干した布団のシーツが風に揺れている。
女は部屋の奥に消えて見えない。
そしてしばらくしてバケツを持って出てきた。
(洗濯するのか)
昭夫は思った。
白い衣類がバケツから覗く。
(ん?洗濯機はベランダに置いているのか?)
ベランダに運んでくると洗濯機のスイッチを入れた。
確かに洗濯日和の青空が広がっている。
(秋の空は高いと言うけど、何となく春より空気が澄んでいるように感じるなあ)
意外と不精なのかどさっと洗濯機に洗濯物を開けた。
また部屋の中に入った。
昭夫は目で女を追った。
昭夫の視線も気づかずに、女はさっと上のトレーナーを脱ぐ。
背中から赤いトレーナーが上がっていき、細いお腹の辺りと白いブラの紐が見える。
脱ぐときにブラの肩紐が弾みで外れたらしい。
肩紐を直す指先がいい。
レギンスもさっと脱いだ。
白いショーツが細いお尻を上手に隠している。
ショーツの端が気になるのか指先で直してている。
昭夫はそれを見つめた。
女の腰のくびれが自然と昭夫の目に入る。
下着モデルのようにすらっとした長身。
横顔が美しい。
(きれいな子だなあ)
昭夫は思った。
白い下着姿のまま女はチェストを開けた。
昭夫は白いブラが隠す女の胸の膨らみを見た。
小ぶりで張りのある胸を想像させた。
清潔できれいな胸の膨らみだ。
(あっ!)
女は衣類をチェストから出すと思い立ったようにパッと脱いだ。
下も脱いだ。
ほんの一瞬、生まれたままの姿が昭夫の目に入った。
あまりにも一瞬。
息を飲んで、呆気にとられる間に水色のブラと水色のショーツに変身していた。
(惜しいことしたなあ!)
昭夫は思った。
黒い物がちらっと見えた気もするし、張りのあるバストが見えた気もする。
まさか脱ぐとは思わなかった。
スルスルっとショーツが滑って行く瞬間の清潔な白いお尻にドキッとしただけで、目に焼き付けることを忘れてしまった。
あまりにも好都合だと人はチャンスを逃すらしい。
いつの間にか女はTシャツとショートパンツに変身していた。
ベランダに出てくると、着ていた衣類を文字どおり洗濯機に放り込んだ。
女は眩しそうに青い空を見ると部屋の中に消えた。
今日は洗濯物がよく乾きそうだ。
完
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