第2話

 とりわけ降ったばかりの雪のような色白な女性は、見ているだけで激しい劣情を催した。
 俊太はゴクリと生唾を飲み込んだが、運転前の緊張感に包まれたメルモの耳に届くことはなかった。

「じゃあ、始めようか」

 俊太の声を合図に、メルモはうなずいてクルマを始動させた。
 最近ではマニュアル派よりもオートマ派が圧倒的に増加した。
 オートマは運転が簡単だからである。変速機の操作が自動ということもあり、マニュアルのように複雑でなく教習時間も少なく、教習代も安いことが理由といえるだろう。
 メルモは運転技術の全てを習得したいという理由もありマニュアルを選択していた。

「それじゃあ、向こうの初心者コースまで行こうか」

 俊太の指導は至ってシンプルであった。

「う~ん、カーブを曲がる時のハンドルの切り方が少し急なんだよね」
「あ……そうですか」
「もう少しなめらかにカーブを曲がる練習をしてみよう」

 俊太は、真剣な眼差しでメルモに指導する。
 メルモもうなづきながら俊太の指示どおりゆっくりとハンドルを回す。
 初心者にしてはなかなか覚えがよい。

 しかしここまでの行程は全て俊太の思惑どおりに進められていた。
 俊太はハンドルを握りしめ前方に気を取られているメルモを確認しながら、右手に持っていたボールペンをわざとメルモの股間に落とした。
 一瞬驚きの色を示すメルモに、俊太は詫びたふりをする。

「あ、ごめん」

 俊太はスカートの上に落ちたボールペンを拾い上げようとした時、メルモの股間に軽く触れた。

「……!?」

 虚を衝かれて慌てたメルモは、ハンドルを持つ手元が狂い一瞬クルマが蛇行した。

「きゃっ!」
「うわっ!ダメダメ!少々何があっても気にしないでちゃんと前を向いて運転に集中しなきゃ!」
「す、すみません!」
 
 と謝りしっかりと前方を見据えた。

「でも僕がボールペンを落としたから君が慌てたわけで、僕が謝らなくちゃね。ごめんね」

 俊太の潔い態度にメルモは瞳に安堵の色を滲ませた。

 しかし安心させるのは俊太の作戦。
 俊太はもう一度メルモの股間を見つめた。
 純白のパンティがちらりと覗いている。
 触れた時に隙をついてスカートの裾を少し捲りあげておいたのだ。
 メルモは運転に気が行っているため気づかない。

 俊太は拾い上げたボールペンのキャップのついている方を先端にし、股間のYゾーンを2、3回押してみた。
 これにはメルモも狼狽し顔を真っ赤にして言葉に詰まらせる。

「少々何があっても気にしないで運転に集中すること」
「あ、はい……でも……」
「前をしっかり見て」
「はい……」

 メルモは妙な困惑を感じながらも、無言でハンドルを握った。
 俊太はかまわずキャップの先端でメルモの股間をいじくり回す。

「そ……そんなこと……」

 メルモは顔を真っ赤にし、俊太に抗議しようとしている。
 もう我慢の限界なのかも知れない。
 キャップでいじくる手が止まったのも束の間、今度は図々しくもじかに指を伸ばしてきた。
 パンティに指が触れた瞬間、

「や、やめてください……」

 メルモは首を左右に振り、初めて拒絶の意思を示した。
 けれどその懇願が叶うわけでももなく、俊太の指先が割れ目の上をなぞった。

「嫌です……本当にやめてください……」

 メルモは前方を見据えながらも、身体をよじって俊太の指から逃れようとした。
 それでも無遠慮な指は執拗にうごめく。
 拒み続けるメルモであったが、困惑する気持ちとともにかすかな快楽の芽が生まれようとしていた。

 そこへ俊太の乱暴な言葉が飛んで来た。

「ほらほら、もっと運転に集中しなきゃあ。こんな程度で事故ってたらいつまでたっても免許なんてとれないよ」

 もしかしたらプレッシャーや逆境への耐性を鍛えようという教習方針なのか。
 それにしてもこれはちょっとやり過ぎではないだろうか。
 メルモは困惑しながらも、じっと我慢し従順に徹した。
 それが免許取得の早道だと信じて。

 メルモが大人しいことをいいことに、俊太はいよいよ図々しくなっていった。
 俊太の右手はメルモの胸元へと忍び寄った。

「……!」

 ふくよかな胸をそっと撫でる。
 胸元のボタンをゆっくりと外していく。
 メルモは表情を曇らせ今にも泣き出しそうだが、嫌われまいと必死にハンドルを握っている姿がけなげであり痛々しくもある。

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