もう9月だと言うのにいつまでも蒸し暑い。 惠は眠れなかった。 「やっぱりクーラー入れないと眠れないなぁ?」 冷蔵庫のミネラルウオーターを求めて部屋を出た。 高校生の弟の部屋の前を通る。 薄明かりの中でドアが開いている。 きっと弟も暑くてドアを開け放っているのだ。 ちらりと中を見た。 薄明かりの中で何も掛けずに弟が寝ている。 半ズボンに半袖。 仰向けに寝ている。 (きゃっ、やだぁ、やってるぅ……) 惠は思った。 手が動いているのだ。 起きているのか、寝ているのか、とにかく右手がズボンの中でもぞもぞ動いている。 (何を考えているのかしら?) それは魔法のランプ。 弟の脳裏に妄想を沸き起こしているに違いない。 惠は動きに目を奪われた。 男性のランプを揉みほぐすような動き。 中は見えないが、動きで状態は想像できた。 惠はバージンではない。 弟はときどき動きを止めた。 惠は苦笑した。 弟はランプの扱いに慣れている。 イクと妄想は消えてしまう。 だから長く夢を見ようと動きを不規則に止める。 快感を長引かせている。 それは惠自身もよくやることだ。 簡単にイッちゃうよりずっと良いのだ。 (あっ、だめよ) 弟が寝ぼけてズボンを下ろす。 弟の魔法のランプが現れる。 薄明りの中であっても目が慣れてくると、へそにくっ付きそうなランプの先が分かる。 (大きいのねえ) 惠は目を奪われた。 自分の手には収まりそうにない。 弟の手が相変わらず、不規則に止まったり、しごいたり、揉みほぐしたりしている。 ランプの力は偉大だ。 弟が低い声で何かを盛んに呟いている。 首を振っている。 (誰を想ってやっているのかしら?) かわいい同級生?それとも大好きなグラビア女優? 誰かは分からないけど、弟は魔法のランプの力を借りて思いを遂げているのだ。 気の弱い弟でも魔法のランプがあれば、大好きな女性のパンティを剥ぐことなんて簡単なことだ。 男の熱い想いが高まったのか弟の手が激しく動く。 憧れの女性への情熱的で淫らな言葉を弟が口にする。 キスをしたい。 オッパイを触りたい。 否、もっともっと恥ずかしい弟の望み。 おとなしい弟がこんな大胆なことを、憧れの女性に考えているのだ。 喘ぎながら何度も何度も弟がその言葉を繰り返す。 (そういうことを思っているの) 惠は冷静に受けとめたが、身体は熱くなってくる。 弟のしごき方が一段と激しくなる。 いきり立った男のものが、弟の下腹部にそっくりかえる。 今夜は男のものが欲しくなるような夢を見そうだ。 惠は自分の身体を探った。 もう大人の身体は十分に反応している。 指先が湿り気に潜っていく。 ベットに戻ってしたくなる。 惠の魔法のランプが光り始めた。 心地よさで腰がふらつく。 惠はほんの一瞬だけ快感で目をつぶった。 惠はふと目を開けた。 弟の声が少し大きくなった。 もう絶頂が近いのかも知れない。 ティッシュで弟のランプが隠れている。 弟のうわずった声が惠の耳に届いた。 「おねえちゃん……」 (え……?) 完 |