第12話

 それから数分経過した頃、ふたりの体勢は入れ替わり、まりあが上になり揺れていた。
 まりあは初め膝を床につけた『膝立ち』で上下動していたが、車本の希望で膝を立てた『ヤンキー座り』のような姿勢に変えていた。
 この姿勢の場合、深く挿入できるという長所はあるものの、膝の屈伸で上下動することになるので女性にスクワットのように筋力が必要となり、筋力の弱い女性には少しきついだろう。
 その点、日頃トレーニングで足腰を鍛えているまりあにとってはさほどの影響はなかった。

 男目線からすれば、男根が深々と亀裂に食い込む様は実にエロチックなものだ。
 この体位を行うとき、男は興味から首を起こしついその接合部を覗きこんでしまうものである。
 車本とて同じであった。
 男は愛する女と一体になっている様子を我が眼で確認すると、一段と興奮してしまう傾向がる。
 興奮することで肉棒は一段と硬さを増し、まりあにさらなる快感を与えた。

「あぁ~!いやぁ~ん~、す、すごい!あぁ~、光一さん、すごく硬い~!」
「うう、まりあさん……すごくいいよ~!」

 まりあは膝をバネにして腰を上下に激しく振った。

「あぁ~ん、いい~、あん、はふ~ぅん、あぁ、どうしよう~、すごいわ!あぁん!」

 滲み出したおびただしい蜜液は愛の潤滑油となるばかりか、車本の陰嚢までも濡らした。
 馬上の姫のごとく車本の上で乱れに乱れたまりあは、突然、前かがみになり、車本に唇を寄せた。
 ただ前屈になればどうしても挿入が浅めになってしまう。
 車本はそれを補うため、自ら膝を立て、まりあを下方から突き上げた。
 まりあは髪を振り乱し、激しくあえいだ。
 車本の両腕はまりあの背中と腰をがっちりと抱きしめている。
 抱きしめることによって、結合がいっそう強まるような気がするから不思議だ。

「はぁはぁはぁ、まりあさん、後ろに廻ってもいい?」
「うしろ?バックで……?」
「いや、少し変則だけど、寝たままで後ろから」

 車本はまりあをうつむきにさせて、自分はその背後に回り込んだ。
 そしてまりあの片膝を持ち上げ、怒張したものをその割れ目に押し当てる。
 ずぶりと食い込む。

「あああ~~~……」

 少しアクロバットな体位だが、這いつくばって後方から攻められると犯されているような気分が味わえる。
 まりあの妖艶な肉体は後方から挿し貫かれ歓喜の坩堝へと落ちていった。

 数分寝バックで攻め続けた車本は、まりあを抱き起こし正面から抱き合う座位へと移行した。
 さらに車本は自ら仰向けになって、再びまりあを腹の上にまたがらせた。
 めまぐるしく体位が変化していくに連れ、まりあはベッドに入った時の慎ましさは消え、髪を振り乱す淫らな姿へと変貌を遂げた。

 いつの時代も世間の男たちは口を揃えて好き勝手なことをのたまう。
「昼間は淑女で夜は淫らに変わる女が良い」と。
 言うまでもなく、女というものは多かれ少なかれ、そういった要素は持ち合わせているものだ。
 とりわけ昼間上品にすましている女ほど夜間は淫らになる場合がある。
 逆に昼間お色気たっぷりの女に限って、夜は意外と淡白なものである。
 女とは男には理解できない摩訶不思議な生物なのである。

 車本の上で妖しく舞ったまりあは、車本に導かれいつしかフィニッシュの態勢へと突入していた。
 終章は正常位である。
 ふたりとも既におびただしい汗にまみれている。
 とりわけ車本に至っては滝のような汗をかき、まりあの胸元に一滴流れ落ちた。
 車本は枕元のバスタオルに手を伸ばし、滴り落ちた汗を拭ってやった。

「そんなぁ……拭かなくてもいいのに……」

 一瞬動きの止まった車本に、まりあは微笑みながらつぶやいた。
 車本は無言で笑みを返す。
 そしてまりあをもう一度しっかりと抱え直し再び律動を開始した。

「はぁ~~~……」
「はぁはぁはぁはぁはぁ」

 まりあが鼻孔から抜けるような甘い声を漏らす。
 車本の息使いがだんだん速くなって行く。

「まりあ……」
「光一さぁん……呼び捨てで呼んでくれて嬉しい~……」
「まりあの19番ホール、最高だよ~」
「あぁん、嬉しい~……」
「はぁはぁはぁはぁはぁ~」
「あぁぁ、あぁ~、はふぅ~ん、あ~ん、すごくいい~……」

 車本の動きがどんどんとせわしさを増していく。

「ああっ!や~ん、あ~ん、あぁ!どうしよう~、あぁん、わたし、い、イクかも~、あぁ!」
「はぁはぁはぁはぁはぁ~」
「あああ~!あっ!あぁん、すごい!ああ!あ~ん、はぁ~ん!あぁ、あぁ、あぁ、あああああああああ~~~~~~~~!」
「まりあ、おお、おおお~、もう、限界かも~」
「あああああ~~~!光一さん~~~!わたし、わたし、あっ、イクぅ~~~~~~!!」
「ぼ、僕ももうだめだぁ~~~~~!」
「あああああああああ~~~~~~~~~~~!!」
「お~~~~~~~~~っ!!」


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