第2話 パンパンに張った筋肉もぬるい目の湯にゆっくり浸かっていると次第にほぐれていく。 (今日はよくがんばったなあ。次の登板もこの調子で行きたいなあ。あ、そうそう、フォークボールの握り方をちょっと変えてみようかな?鋭く落ちる球とゆるやかに落ちる球の2種類あった方がいいし) 入浴中であっても脳裏に浮かんでくるのは野球のことばかりだ。どんなに結果が良くても反省することは怠らない。 そんな野球一筋の浩治だが、今日はちょっと様子が違っていた。 バスに乗る前に人形をくれた女の子のことが気になって仕方なかったのだ。 (人形をくれたあの子名前は何て言うんだろう?聞いておけばよかったなあ。でもバスが発車する直前だったしちょっと無理だったな。また球場に来てくれたらいいんだけど……) 女の子の名前は分からなかったが、浩治は彼女の笑顔が忘れられなかった。 (それにしてもすごくスタイルのよい子だったなあ) 風呂から上がった浩治はバスタオルで汗を拭いながらリビングルームへと向かった。 ソファに腰をかけるとミネラルウォーターをゴクゴクと飲んだ。 今日ファンからもらったプレゼントの包装を解いた。 人気選手とあってかなりの数だ。 そんな中であってもひときわ異彩を放つアンティークドールに浩治の目が止まった。 浩治はアンティックドールを握りしめてじっと見つめた。 (すごく可愛い人形だなあ。何だか吸い込まれそうだ。ん?そう言えばこれをくれた女の子とどことなく似ている気がするなあ……) 瞳は海のように青く、髪は黒くロングで、花飾りがついた帽子をかぶっている。 レース調のアンティークな洋服は品格があり異国情緒がたっぷりと漂っていた。 映画やドラマ以外で見ることはなくなったが、比較的近いものといえば、ピンクハウス、イノセントワールド、ジュリエット・エ・ジュスティーヌ辺りのファッションであった。 スカートの裾からチラリと覗くペチコートのフリルが可愛くて健全な色気を醸し出している。 アンティークドールには見れば見るほど惹き込まれていくような魅力があり、愛らしさに溢れていた。 浩治はプレゼントを一通り見終わると、テーブルに乗っていたリンゴを1個取りがぶりとかじりついた。 テレビには試合のDVDがセットされており、早速今日の浩治が映し出された。 自身の投球動作を再生し常に研究を怠らない。 その熱心さが彼を一流投手に育てたのかも知れない。 150キロを超える球速と制球力のよさは言うまでもなく彼の武器だが、『決して逃げることのない強気の投球』…実はこれが彼の隠れたる最大の武器といえた。 当然その分ストレスも激しいわけで、今夜もいつのまにか眠り込んでいた。 ◇ ◇ ◇ 眠ってからどれだけ時間が経過したのだろうか。 浩治は暗闇の中に何か異様な雰囲気を感じ取り目を覚ました。 ふとテーブルを見ると置いていたアンティークドール全体が光り輝いているではないか。 そしてみるみるうちに、アンティックドールはその姿のまま大きくなっていった。 (うわ~~っ!!に、人形が大きくなっていく~~~!!) 浩治は大声を出そうとしたが、奇妙なことに声が出ない。 (いったいどうしたというんだ!?) 声が出ないばかりか、まるで金縛りに遭ったように手足が動かなくなっていた。 (これは夢なのか!?夢を見ているのか!?) BACK/NEXT |
kyu |
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