Shyrock作







第1話

 激しく求め合っていたふたりの動きが止まった。
 クーラーを入れているのだが、すでにふたりの額に汗が滲んでいる。

「喉が渇いたね。ちょっと休憩しようか。何か飲む?」

 車山はバスタオルで衣葡(イヴ)の額の汗を拭ってやりながらたずねた。

「う~ん、ウーロン茶がいいかな?」

 衣葡は胸の膨らみをシーツで隠しながら答える。
 車山は冷蔵庫からウーロン茶を取り出した。

(コツン、コツン……)

 丸いテーブルに2つのコップを並べて注ぎ込む。
 車山は衣葡にグラスを手渡しながらささやいた。

「ねえ衣葡。この前さ、君は僕の掲示板に『3P願望はある』って書いていたよね?でも実際にはしないだろうとも書いていた」
「うん、書いたよ。ふたりの男から同時に攻められたらどんなだろう…って少し興味があったの。でもね、私は愛する人としかエッチはしないの。遊びでエッチってできないのよ。3Pは恋愛じゃなくてプレイじゃないの。だからこれからもきっとしないと思うわ」
「うん、衣葡は以前からそう言っているね。君のそういった考え方は理解できるし共感する人も多いと思うよ。そんな実直さ、頑なさに惹かれ、真剣に惚れると男性も多いと思うんだ。そんな話をしておいて真逆のことを言うようだけど、もしもだよ、今このホテルで直ぐに3Pができたとしたら、ちょっと興味あるんじゃない?」
「え~っ?興味があるとかないとかよりも、そんなことって絶対に無理じゃない?だって今いるのはあなたと私のふたりだけなのよ。もしかして今あなたの友達がホテルの表で待機しているとか!?」
「はっはっは~、そんな訳ないよ~。僕は自分の彼女をわざわざ他の男に抱かせるほど、人間が大きくできていないし、お人よしじゃないよ。君のココには誰も触らせないものね。たとえ僕の友達であってもね~」

 車山はそういって、衣葡が巻いているバスタオルの裾の方から指を忍ばせた。
 秘所にはまだ先ほどの一戦の名残りともいうべき“潤い”がしっかりと残ってる。

「あぁ……ぃやん……」

 車山は衣葡の秘裂のラインに沿ってゆっくりと指を這わせた。
 一度は治まっていたのに、またしても蜜があふれ出す。
 寝てる子を起こしてしまったようだ。

「ああん、また火が点いちゃうじゃないの……」
「うん、衣葡の身体には何度でも火を点したい……」

 そうつぶやく車山の指がせわしくうごめく。
 そんなさなかではあったが、衣葡は突然途切れてしまっていた3Pの話題を再び持ち出した。

「ねぇ?さっき言ってた3Pってどういう意味?」
「ふふ…実はね、僕たちふたりで3Pをするんだよ」
「ええ~!?ふたりで3Pなんて出来っこないじゃないの~」
「それが出来るんだよね。じゃあ、早速やってみる?衣葡、四つん這いになってみて」
「四つん這いに?うん、いいけど……」

 衣葡は車山の方へ尻を向けて四つん這いになった。

「肘はベッドにつけて、お尻はたか~く上げて」

 車山から細かな注文が飛ぶ。
 3Pと言っているが、はたしてどうしようと言うのだろうか。
 車山の意図は汲み取れなかったが、衣葡はとにかく彼の言葉に従うことにした。
 車山は白桃のような美尻を抱え込み、谷間から湧き出る水を味わった。


第2話

 舌の先端をすぼめて水流に挿し込む仕草は、まるで鳥が嘴で餌をついばんでいるように見える。
 鋭敏な箇所を攻められた衣葡はたまらず反応する。

「はあ~っ……」

 衣葡は無意識でため息をつく。
 車山の指が愛らしいクリの実を探し当てる。
 左手の親指が器用にうごめき“クリの実いじり”を開始させる。
 クリの実いじりのさなかも、谷間の吸水は一向に止まらない。

(ジュルジュル…ジュルジュル…ジュルジュル…)

 衣葡の耳に届くように車山はわざと音を立てて吸っている。

「いやん…あぁん……」

 恥ずかしさに身もだえする衣葡。
 女が恥ずかしがる仕草は男を一段と逞しく変える。
 衣葡は車山の唇から逃れようとするが、車山ががっちり腰を固めてしまっているので動けない。
 谷間から溢れる水は枯れることが無く、しずくが垂れ太股を濡らしている。

 もう準備万端だ。

「じゃあ入れるよ」
「う、うん……」

 車山の弓なりに反ったいちぶつは狭き谷間の中心部に挿し込まれていく。
 衣葡がビクッと腰を震わせる。
 車山はその感触を愉しむかのようにゆっくりと押し込んでいく。
 二歩進めば、一歩下がる…。
 一気に奥まで押し込まず、少し焦らし気味に抽挿する方が効果的なのだ。
 初めの2分ほどはふつうに後背位で攻めた。

 と、ここまでは何の変哲も無いごく平凡な攻めであったが……
 車山はおもむろに右膝を立てて、左手を衣葡の口元に伸ばした。
 そして、驚くべきことに伸ばした左手で衣葡の歯ぐきを愛撫し始めた。
 実は、歯ぐきには齦交(こんこう)という性欲増強のツボがあり、女性はここを刺激されることで興奮度が数段増すと言われている。

 車山が齦交を刺激していると、まもなく衣葡はその指を舐め始めた。
 衣葡は情感が高まってきたせいか無性にフェラチオがしたくなり、車山が差し出した指をペニスを想像ししゃぶり始めたのだった。

(ピチャピチャ…)

 背後からは本物のペニスを挿し込まれ、口には仮想のペニスを咥え、衣葡はまるで男性二人と交わっているような奇妙で妖しい歓喜に浸った。
 目は潤み、唇からはだらしなくよだれが垂れている。
 そもそも後背位は動物的な体位と言われ、女性の場合好みが分かれるところである。動物のようで恥ずかしくて嫌だという女性もいれば、逆に獣になったようで興奮するという女性もいる。
 また背後から攻められることが、何か犯されているみたいで嫌だと述べる女性もいるし、顔が見えないことが逆にスリリングさを煽りとても好きと述べる女性も結構多い。女性の好みも千差万別と言ったところだろう。
 一般論はさておいて、衣葡の場合は明らかに後者であった。
「あなたの好みの体位は?」と尋ねられたら、彼女は迷わず『バック』と答える女性なのである。
 そんな衣葡好みの体位をさらにグレードアップさせ、男性一人で“2本のペニス”を味あわせようというのが、この体位の狙いなのである。
 名称を『よがり畜生』(別名『よがり天秤責め』と呼ばれているが当然四十八手には含まれていない)と言い、知る人ぞ知る幻の体位なのである。
 差し出された指をよがりながら舐める仕草が獣を彷彿させるところから、そのように呼ばれたらしい。

 さらに車山は空いている右手を衣葡の腰に宛がった。
 腰を支えるためではなく、腰のツボである腹結(ふっけつ)や環躍を刺激するためだ。
 ここは直接性感であり、性器の感度をグンとアップさせる効果があるのだ。
 腰の性感帯を指圧されながら、歯茎をなぶられて、さらに一番感じる場所に肉棒が挿し込まれている。
 こんなシチュエーションを夢想するだけでも、女性はきっと濡れるだろう。
 だが、衣葡は夢想ではなく、今現実にそれを体験している。


第3話

 効果は瞬く間に現れた。
 腰を悩ましげによじり、肩や尻がピクピクと痙攣している。
 口に指を差し込まれているため声は遮られているが、よがっているのは直ぐに分かる。

 車山は更にギアを一段アップさせた。
 自身の腰を前後左右に揺すったり、回転させたりと、せわしく動いてみせた。
 そのため、膣道は激しく擦られ一段と快感が増して行く。
 衣葡の動きも激しくなってきた。
 もうかなり来ているようだ。
 しかし指を咥えているため「ア行」が発声できない。

「うふぅ……ううっ……うぐぐ……うううっ~~!」

 車山の律動と回転がさらに激しさを増していく。
 突く、突く、突く……廻す、廻す、廻す……突く、突く、突く……廻す、廻す、廻す……

(ううう~~~~~っ!)

 衣葡の身体がまるでクルマのノッキングのように「ガクンガクン」と波を打つ。
 そして衣葡は咥えていた指を放し、堰を切ったかのように声をあげた。

「ああんっ!もうダメ~~~!イクわ~~~!あああっ、あぁん~~!やんやんやん~~~~~!!」

 車山は衣葡の絶頂到達を見届けて、じっと我慢していた欲望を一気に爆発させた。
 フィニッシュ直前の突き込みと回転はすさまじく、その激しさに衣葡自身も驚くばかりであった。

 終了後、衣葡はぐったりと綿のようにベッドに横たわっていた。
 車山も衣葡の上に覆いかぶさったままで、挿入したイチブツをまだ抜こうとしない。
 全力を使い果たし脱力の極みなのか、それとも余韻に浸っているのか……。
 ふたりは重なり合ったまま時を過ごした。

(ふうふうふう……)
(はぁはぁはぁ…はぁはぁはぁ……)

 ふたりとも息が切れてしまって言葉にならない。

 わずかの間ふたりに沈黙が訪れたが、先に言葉を交わしたのは衣葡であった。

「すごくよかったぁ……ねぇ、今の体位は何て言うの?」
「ふぅふぅ……『よがり畜生』って言うんだ……別名では『よがり天秤責め』って言う人もいるけどね」
「ふうん、そうなの。何かふたりの男性から攻められているように錯覚を起こしたわ。いやだわ、私……」
「うん、あの体位はね、それが狙いなのさ。ちょっと違った雰囲気を味わえたようだね?」
「うん、そうなの。何だか不思議な気分だったわ。うふん、すご~く良かったわ」

 車山はペットボトルの水をコップに注ぎ衣葡に手渡すと、自らは直接ボトルに口をつけグイグイと飲んだ。
 相当喉を渇かしていたのだろう、ボトルの半分ぐらいを空けてしまった。
 昼間のデートとベッドでの運動で、おそらく身体が水を求めていたのだろう。
 不思議にも人間とはわずか一杯の水で再び元気が漲ってくるものだ。
 車山は休む暇もなく衣葡を求めた。
 衣葡もまたそれに呼応するかのように、すぐに甘い声を奏でた。














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