敦子






第2話 「社長机の下」

 社長室はダークウッドと企業カラーである群青色を基調としたシンプルで高級感あるデザインが施されている。
 窓際にはシアーレースカーテンが取り付けられ、その手前に高級材のバーズアイメープルを使用した社長デスクがある。
 大輔は敦子の名前をささやいた。

「敦子……」
「社長、社内では名前で呼ばない約束でしょ?」
「そうだったね。でもここだと誰にも聞かれないよ」
「聞こえなくても、やっぱりけじめですから」

 敦子がふと大輔を見ると、視線が敦子の唇に向いている。

「社長……どこを見てるんですか?」
「唇だよ。いつ見ても魅力的な唇だね」

 その日の敦子は、コーラルピンクの口紅を塗り、その上に唇の中央のみにグロスを薄く塗っていた。そのせいか立体的でかなりツヤ感がある。
 コーラルピンクは落ち着きと華やかさを兼ね備えているので、オフィスでは最適といえるだろう。

「恥ずかしいから、そんなに見ないでください」
「なあ、敦子」
「……」
「頼むよ」
「な、なにをですか……?」
「口に含んでくれるだけでいいんだ。セックスしようなんて言わないから。頼むよ」
「そんなこと……」
「今回だけ頼みを聞いてくれないか。お願いだ」

 まるで少年のように哀願する大輔に、敦子はとうとう根負けしてしまった。

「分かりました。でも今回限りですよ」
「おおっ、オーケーしてくれるか。すまないね!」

 そこにはまるで少年のように小躍りする気持ちを隠し切れない大輔の姿があった。

「さあ、こっちにおいで」
「……」

 敦子は首を横に振ることもできたのだが、突然なつかしさがこみ上げてきて、引き寄せられるように大輔のそばに近づいた。

「敦子、今でも君が好きだ」
「いまさらそんなこと……」

 背中を抱き寄せられ、またたく間に大輔の大きな腕に包まれた。
 久しぶりに伝わってきた大輔の体温に、女の身は本能のままに反応する。
 口元に近づく大輔の唇を何のためらいもなしに受け入れてしまう。

「あっ……ぅ……んんっ……あぁ……ん、ぅ……」

 ざらついた男の唇の感触。
 ねっとりとした大輔の舌が早くも口内を蹂躙し、息つく間もなく敦子の舌は絡めとられた。
 そうしている間にも、大輔のごつごつとした男らしい手がスーツのボタンを外そうとする。

「それはだめ……」

 敦子は大輔の指をスーツのボタンから遠ざけた。
 大輔はひるむことなく敦子を抱きしめ、濃厚なキスを求める。

「んっ、うっ……んん…」
「敦子、すまないが机の下に入ってくれるかな」
「えっ?机の下に?」
「誰か入ってくるかもしれないし」 
「分かりました……」

 敦子は肘付きの豪華な椅子を少しずらし、机の下に潜り込んだ。
 社長の机の下は思ったより広く、細身の敦子なので余裕で収まる。
 ただし頭が閊えるので少し屈まなければならない。
 大輔は豪華な椅子にどっかと腰を下ろした。

「じゃあ、頼むよ」
「はい……」

 細くて白い指が大輔の股間に触れる。
 外から軽く触れただけでも、その怒張ぶりがうかがえる。
 大輔は敦子の髪をやさしく撫で、身体を敦子に委ねた。
 敦子はズボンのジッパーを下ろし、ボクサーパンツの前開き部分から肉柱を取り出す。
 外気に晒された大輔の肉柱は、まるで敦子との再会を歓喜するかのように猛々しく屹立していた。

「わぁ……もうこんなに大きくなって……」

 敦子は怒張した肉柱を握るとゆっくりと上下に動かした。
 熱くなった肉柱の先端からは我慢汁が光って垂れている。
 口をすぼめて我慢汁を吸い取ると亀頭が刺激され、大輔の表情が強張った。

「ううっ……」
「はぁん……ちゅる……ちゅる……はぁっ…ぶちゅっ……はぁぁ……」

 ゆっくり肉柱を口の奥へと含み、ジュポジュポと音を立てながら舌を使い上下に唇を動かす。

「うっ、ううっ……ヌルヌル感がすごい……」
「んくっ…ぶちゅっ……じゅぷ……んくっ……ちゅる……んはぁっ……」

 リップグロスが潤滑油となって、大輔への刺激をいっそう高める。
 しっとりと潤った唇によるフェラチオは、男を快楽の大地へといざなう。
 大輔が先程よりもはっきりとした声をあげると、肉柱はさらに硬さを増した。
 敦子の唾液とも混ざり合い、とても滑らかな動きだ。
 ピッチをを上げて動かしたとき、ポツリと大輔がつぶやいた。

「敦子の中に出したい……」
「そんなぁ……それは困ります……でも口の中ならいいですよ」
「うううっ……あつ……あつこぉ……すごくいいよぉ……」
「うわぁ……まだまだ大きくなる……ふふ……ちゅる……れろっ、んはぁっ……ちゅる……」
「あつこぉ……うわっ……いきそう……」
「……ぢゅるぢゅるっ……んんっ……んんっ……んくっ……あはぁ……うふ……社長の……つらそうな顔つき……すてき……」
「うううっ……!」
「社長の白い、どろどろのシロップ……飲みきれないくらいのシロップ……出してください……っ……」

 まもなく大輔に限界が訪れると、社長室にくぐもった声が響き射精のときを迎えた。
 敦子の口内に大輔の欲望がドクドクと流れ込んで行き、白濁色の液体で満たしていく。

「うぐぐっ……ふんぐ……っ……」

 射精を終えた大輔は肉柱をゆっくりと引き抜き、敦子の顔を見つめる。

「んっ……ふうっ……すごくよかったよ……」

 大輔はケースからティッシュペーパーを抜き取ると敦子に手渡そうとした。
 かなりの量の液体が敦子の口内に放出されたはずだ。
 ところが敦子はティッシュペーパーを丁重に断った。

「いらないです……」

 そして驚いたことに口内に溜まった白濁色の液体を飲み込んでしまったのだ。

「……んぐっ……っごくん……ごくん……ふう~ぅ…………」

 白濁色の液体を飲み干した敦子は、大きくため息をついた。

「あっ、やっぱりティッシュ二枚だけください。ご自分のモノはご自分で拭いてくださいね」

 敦子は唇をティッシュペーパーで軽く拭き取ると、大輔に一礼し社長室から出ていった。


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