第13話 “黒いブラジャー、黒いヒモショーツ”

「キャッ!!見られてる!!★☆★」
「ん?」
「シャイさん、どうしよう……★☆★」
「ありさちゃん、涼しくなってきたしぼちぼち中に入ろうか」

 カップルの存在を意識して、わざと聞こえよがしにありさに語り掛けるシャイ。

「うん、そうだね……★☆★」

 ありさがシャイに小声で耳打ちをする。

『シャイさん、ありさのバスローブが紐に引っかかって下ろせないの。どうしよう……★☆★』
『じゃあ、ありさちゃんは僕のバスローブから出ないで窓の扉までゆっくり歩いて。その後を僕がくっついて行くから。ありさちゃんが速く歩き過ぎると、ありさちゃんのお尻がはみ出てしまうから気をつけて』
『うん、分かった★☆★』
『じゃあ進んで』
『うん★☆★』

 ありさが前、シャイが後の位置で、二人は密着したままゆっくりと歩き出した。
 二人の奇抜な行動にありさたちを眺めていたカップルは唖然としている。
 その時、ありさがカップルの方を見てにっこりと微笑みかけた。

「おやすみなさい~☆★☆」

 突然ありさから挨拶をされたカップルは戸惑いながら会釈をするのがやっとであった。

◇◇◇

 シャイは大きなため息をついた。

「まいったね。まさか隣のカップルに覗かれていたとはね」
「はぁ~、見られちゃったね。夢中だったから全然気づかなかったよ。あの子たちの姿を見た時は心臓が止まりそうだった★☆★」
「暗くてはっきりは見えなかったけど二人とも二十代かな?」
「うん、たぶんありさと同い年ぐらいじゃないかな☆★☆」
「僕たちがムカデ競争みたいにくっついて戻ったからきっと可笑しかったろうね。でも彼ら大笑いするどころか、驚いて絶句してたね」
「ムカデ競争って……プフッ!思い出しただけでも笑えてくる~☆★☆」
「ところで喉が渇いたね、何か飲まないか?」
「うん、喉カラカラ~☆★☆」

 シャイは冷蔵庫を開けた。

「ドリンクはいろいろとあるけど、飲みたいものはある?」
「ミネラルウォーターがいいな~☆★☆」

 ありさとシャイはよほど喉が渇いていたのか、あっという間に五百ミリリットルを飲み干してしまった。

「さぁ、喉もすっきりしたし、三回戦行っとく?☆★☆」

 ありさは少しおどけながらシャイを誘った。

「マジで?ケータイで言うなら今バッテリー充電中だから、もう五分だけ待ってよ~」
「えっ?あと五分で充電できるの?すごっ!シャイさんの回復力!☆★☆でも、ありさのためにたっぷりと充電してもらわなくちゃ。ありさはその間に下着を穿き替えてくるね☆★☆」
「今穿いているTバックでいいんじゃ?」
「さっきバルコニーでシャイさんが濡らしちゃったもん☆★☆」
「そうだったか、ごめんね」
「いいよ~下着沢山持ってきたから気にしないで☆★☆」
「そう言えばホテルに着いたときいっぱい持ってきたって言ってたね」
「だってシャイさんが直ぐに濡らしちゃうんだもの~☆★☆」
「ははははは~、前回USJに連泊したとき下着を全部濡らしちゃって着るのが無くなったのが余程ショックだったんだろうなあ」
「だってシャイさん、パンツの上から舐めまくるんだもの☆★☆穿き替えても穿き替えても、次々濡らしちゃって」
「じゃあ今回はショーツを脱がせてからしゃぶろうかな?」
「や~ん、やめちゃダメ。下着の上から舐められるってすごく興奮するんだもの~☆★☆」
「直ぐに脱がそうとする男性って多いと思うけど、僕はのんびり屋だからね」
「それがいいの。焦らされると余計に感じちゃうもの☆★☆あっ、シャイさん、風呂場で着替えてくるね」
「ここで着替えればいいじゃん」
「だって恥ずかしいんだもの☆★☆」
「エッチするともっと大胆なポーズをするくせに、着替えるシーンを見られたくないって、女の子って不思議だなあ」
「そういうものだよ☆★☆」

◇◇◇

「お待たせ~☆★☆」

 数分後ありさが下着を着替えて戻ってきたが、上からバスローブを羽織っているため、シャイにはどんな色柄の物かは分からなかった。

「どんな下着を着けてきたのかな?」
「うん、シャイさんが好きだって言ってた色だよ~。しかもヒモ~。じゃ~ん♪☆★☆」

 ありさがバスローブの紐を解くと、黒のブラジャーと黒のヒモショーツがシャイの目に飛び込んできた。

「おお!素晴らしい~!」
「セクシー?☆★☆」
「すごくセクシーだよ。それにとても似合っててめちゃくちゃ可愛いね」
「シャイさんに褒められると、ありさすごく嬉しいな~~~♪☆★☆」
「ねえ、ありさちゃん、一つだけリクエストしていい?」
「どんなこと?☆★☆」
「ありさちゃんがオナニーしてるところ見てみたいんだ」
「きゃぁ~~~冗談だよね?☆★☆」
「冗談じゃないよ。真面目にリクエストしてるんだけど、無理かなあ?」
「人前でそんなこと恥ずかしくてできないよ☆★☆」
「お願いだから」
「いくらシャイさんのお願いでも恥ずかしすぎるよ☆★☆」
「頼む」
「もう……シャイさんったらぁ……☆★☆」
「あとから初めての体位をしてあげるから」
「ん?どんなの?☆★☆」
「それは後のお楽しみ~」
「ずるいなあ……でもいいよ、シャイさんがそれほど見たいって言うんだったら、ありさやってみる……☆★☆」
「おおお~っ、やったね~!ありがとう、ありさちゃん」
「でも照明を少しだけ暗くして欲しいなあ……この明るさだと恥ずかしいもの……☆★☆」
「じゃあ窓際のスタンドライトだけ点けておいて、他は全部消すってどうかな?」
「うん、それでいいよ☆★☆」

 まもなくありさはベッドの上に移動した。
 シャイは窓のカーテンを閉じたあと、ありさから少し離れた場所で椅子に腰を掛け様子を窺っている。

「どんな体勢でもいい?☆★☆」
「うん、ふだんどおりでいいよ」


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