

第34話「部屋の静寂をかき消す声」
ありさと衣葡は男たちに追い立てられ、ショーツだけの姿で寝室の右隣にある洋間に放り込まれた。
飾りっ気がなくベッドが二台配備されただけの質素な部屋だ。
放尿公開という破廉恥極まりない仕打ちを受けた衣葡は、震える声で思い切って尋ねた。
「あ、あなたたちはいったい誰なんですか……?」
殿井がにやにやと笑いながら答える。
「とあるきっかけで、友達になったんだよ」
「嘘です! 友達ならこんな酷いことをするはずがないわ!」
「うぜえな! つべこべ言いやがると口をふさぐことになるぞ!」
恫喝された衣葡は黙りこくってしまった。
ありさが衣葡に詫びた。
「ごめんなさい。私たちのせいでこんな目に遭わせてしまって」
殿井がありさと衣葡を食い入るように凝視している。
「それにしても俺たちはついているぜ。これほどの上玉ふたりと楽しめるとはなあ、なあ、崎野……ん? おい富成、崎野はどこに行った?」
「なんでも旦那が小便漏らしてたらしくて、風呂場でシャワーぶっかけるとか言ってたよ」
「きったねえ旦那だな~。まあ、旦那には後でがんばってもらうつもりだから、ちょうどいいか。きたねえ男は嫌いだろう? なあ、ありさ?」
「後からがんばるってどういう意味ですか? 夫に何をさせようとしているのですか……?」
ありさの問い掛けをはぐらかす殿井。
「まあその話はいいとして、さあ、富成、秘書さんも加わったことだし、何か面白い趣向はないのか?」
どうやら富成に名案があるようだ。
「女ふたりで向かい合わせになれ。身体をくっつけて抱き合うんだ」
ふたりにレズビアンショーをさせようというのか。
富成がそう命じると、ありさと衣葡の顔色が変わった。
「素直に従えば痛いことはしないが……どうする?」
蚊の鳴くような小さな声でささやく富成。
「あ、ありさちゃん……ここは悪い夢だと思って我慢しようよ」
逆らわないほうが賢明だと判断したようで、衣葡はありさに語りかけた。
「うん、そうね」
声をうわずらせながら相槌を打つありさ。
いくら親友同士であっても、レズビアンの真似事をするのは抵抗がある。
しかしここは衣葡の言うどおり、彼らの要求に従うのが得策だとありさも思った。
ふたりはピタリと身体を寄せ抱きしめあった。互いの背中に手を回して。
さらに富成が命じる。
「おまえたち、キスをしろ。ディープキスだぞ。いいと言うまで続けるんだ」
意を決したふたりはそっと口唇を合わせる。
それはやさしく軽いキスだった。
「挨拶のキスじゃないんだぞ。ディープキスをしろ。もっと舌を絡め合って」
珍しく声を荒げる富成。
ふたりは富成の怒りを買わないよう慌てて唇を強く合わせる。
「互いの唾液を吸うんだ」
少々捨て鉢の気持ちもあったふたりは、唾液を吸い合った。
唾液を吸い合っていることは、喉仏がヒクヒクと動いていることで証明された。
強制的なキスとはいえ、舌を絡めているうちに妙な気分になってくるふたりであった。
舌を絡め合うふたりを眺めながら殿井が笑う。
「おふたりさんよ、結構その気になってきたんじゃねえのか? キスはそのぐらいでいいから背中合わせに立ってもらおうか?」
「……?」
いったい何を企んでいるのだろうか。
不可解ではあるが、ありさたちは殿井の言葉に従った。
「今から目隠しをする」
アイマスクをされ突然視界が遮られてしまった。
ありさたちの心の中に不安が雨雲のように広がる。
次の刹那、表情一つ変えない富成はまたたく間にふたりを背中合わせのまま縛り上げ、両手も前方で拘束してしまった。
「何で縛るの!? お願い、縄を解いてっ!」
「言うことを素直に聞いているのに、どうして縛るのですか!?」
血相を変えて叫ぶありさたちを尻目に、殿井はへらへらと笑う。
「あんまり騒ぎ立てると口も塞いでしまうぞ」
衣葡の顔を覗き込んで凄む殿井。
衣葡が震えているのが、ありさに伝わってくる。
ありさの額にも嫌な汗が滲む。
「ふふふふ、ふたりのレズシーンを見ていると、急にムラムラと来ちまってな」
殿井の手が衣葡の胸に伸び、荒々しく揉みしだく。
むぎゅっと乳房を掴まれ、爪が食い込むほど強く握られる。
「痛いっ……!」
「ありさも小ぶりだが形の良いおっぱいしているが、衣葡さんもなかなか感度のよさそうなすてきなオッパイをしてるじゃねえか?」
まるで餅でも捏ねるような手付きで圧し潰され引き伸ばす。
乳首を乳輪ごと掴んで強く捻る殿井。
衣葡は堪らず痛みを訴える。
「痛い……やめて……!」
富成もありさの乳房に食らいつき、赤ん坊のようにちゅうちゅうと音を立てて吸いあげる。
「あぁ、奥さん、乳首が大きくなってきたよ……乳首も勃起するんだね……」
富成はありさの乳首を口に含み、舌の上で何度も唾液をからめて転がした。
「あっ、やめて……」
ふたりの女の切ない声がハーモニーとなって部屋の静寂をかき消していく。
