Shyrock作


本編はフィクションです



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第2話

 六尺ふんどしは、一枚の長い布を股間から腰に巻き付けて着用するタイプのふんどしである。生地は真っ白なさらしで、長さは名前のとおり6尺(通常の1尺=約30cmではなく、鯨尺と呼ばれる1尺=約38cmなので、228cmある。)ある。
 ありさは当日ジーンズ姿でやってきた。
 ありさのそばにやって来た担当は中年の朴とつとした親父であった。
 畑仕事に明け暮れているのか、とても良い色に日焼けしている。

 そしていよいよ練習開始。
 2メートル余のさらしを左肩から背負い、股の間を通してねじる。
 股に通した部分をさらにねじりながら右から腰に巻き後ろでからめる。
 これだけ捻じられるといくらジーンズといっても、さすがにデリケートな部分を刺激する。

(いやぁ~ん☆だはぁ・・・アソコに当ってるぅ・・・☆)

 後ろで絡めたさらしは左側の脇腹に向かって、2重にねじり込んでいく。
 初めに背負った部分を前に垂らし、幅を整えながら股に通す。
 初めに通したさらしに、さらに巻きつけていく。
 ここをしっかり巻かないと、あとで緩むと親父は真顔で言う。
 尻の間から順にネジは右脇腹側へねじり巻く。
 終わりまできれいに巻く。

 さあ、できあがった。
 たるみなくビシッと決まれば、とても動きやすいと親父は言うのだが・・・。
 それは男の場合じゃないのか?
 ありさは股間への強い食込み感に少し気持ち悪さを感じた。

(やだにゃあ、Tバックとは全然違う感じ・・・☆)


 練習も無事終わり、ついに祭の日が訪れた。
 ありさは遠方ということもあったため、前日から宿泊して当日に備えた。
 当日ともなると、近郊から多くの人が集まって来た。
 どこから噂を聞きつけたのか高価な撮影機材を備えたカメラ小僧の姿も見られた。
 そして新聞記者や雑誌記者までが現れた。
 女のふんどし姿は滅多に見られるものではないのだ。
 男の好奇心をくすぐるには充分過ぎるコスチュームと言えよう。

 一同はふんどし姿の女性達が登場するのを固唾を呑んで待った。
 ところが更衣室でふんどしを着けて出てくるはずの女性達が一向に現れない。
 どうしたのだろうか・・・。
 やはり気後れしたのだろうと、女性参加反対派が嘲笑する中、ありさがひょっこり私服のままで出てきた。
 観衆や関係者は一斉にありさに視線を送った。

「困ったにゃん☆締め方がよく分からなくなったんですぅ☆」

 男達は顔を見合わせ苦笑いをしたが、誰もありさ達女性の元に行く気配がなかった。
 それもそのはず。練習の時はズボン等の上に着用させたが、今日はそうはいかない。
 一糸まとわぬ全裸の女性がふんどしを着けるのだ。
 スケベー根性丸出しの男達もさすがに行くのを躊躇った。

「あのぉ・・・村長。ここはやっぱり長老でもある村長が行ってやるべきです。女性達にふんどしを締め方を教えに行ってくれませんか?」
「なんじゃと?このわしが教えるのか?」
「はい、お願いします!」
「仕方がないのう。それじゃ行って来るか。」

 亀村長が選ばれたのは、表向きは村長で長老だからということであったが、本音は「あの村長ならきっとアレが役に立ちそうにない」という大変失礼な理由で、女性に説明する担当に選ばれたのだった。

 亀村長は更衣室へ入って行った。
 入った途端、亀村長は腰を抜かしそうになった。
 それというのも若い女性達が全裸でふんどしと格闘しているではないか。

(ふう、何という凄い光景じゃ。わしも長生きしてきたが、こんな凄い場面は見たことがないわい。ほう、長生きして良かったのぅ。)

 亀村長はそのように思った瞬間、長年忘れていた男の興奮がムクムクとよみがえった。

(ううう、どうしたことじゃ。こりゃあマズイわい。息子が元気になってきよったぞい。)



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ありさ
















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