第3話
恐怖のさなかではあったが、『怖いもの見たさ』と言う言葉があるように、人間には、怖いものは好奇心に駆られてかえって見たくなることがある。
ありさは股間を触れているものの正体が見たくなった。
ふだんなら少し屈むだけで見えるはずなのだが、どういう訳か首までが金縛りで動かない。
金縛りは睡眠時、全身の脱力と意識の覚醒が同時に起こった状態といわれている。
(もしかしたら、私は今夢の中にいるのかも知れない。あぁ、夢なら早く醒めて欲しい……)
このおぞましい出来事が夢であればいいのにとありさは願った。
額からはじっとりと汗が滲み出した。
ところが、しばらくすると不気味な『紙の感触』が股間から消えていた。
(ふっ……もう終わったのかな……?)
と思ったのもつかの間、新たな生々しい感触がありさの股間を襲った。
それはまるで男性に指で愛撫されているときのような感触だった。
その感触は割れ目に沿ってうごめいている。
(いや、いや、いや!お願いだからやめてよ~~~!)
『ぐふふ……女の子のオマ○コだあ……ぐふふ……』
(えっ?今、誰か何か言った……!?)
それは男の声であった。
低くかすれていてとても陰気な声……。
だがそれは耳に届いた声ではなく、脳裏に響き渡るような声だった。
『ぐひひ…君のような可愛い子……ずっとここで待ってたんだ……』
(あなたは誰?どうして私にこんないやらしいことをするの?)
ありさは心の中で語りかけた。
だがありさの問い掛けには答えず、一人でつぶやいていた。
『覗いただけなのに……覗いただけなのに……ううう…………』
(あなたは退学処分を受けたことを苦にして自殺したという昔の生徒なの?)
『そうだよ……よく知っているね……』
(どうしてこんなエッチなことをするの?)
『僕は悔しいんだ……生きている間に女の子と一度もエッチができなかったんだもの……』
(そんなあ~!そんなこと言ったって、死んでしまったらエッチなんて出来っこないでしょう?それなら死ななきゃ良かったのに……)
『死んだことを後悔したよ……でももう後の祭りだった……学校に復讐するために衝動的に首を吊ってしまったんだ……』
(吊ったって……もしかして……このトイレで……?)
『ぐふふ……そうだよ……』
(ぎゃあああ~~~!!助けて~~~っ!!)
ありさは恐怖に怯えながらも、心に語りかけてくる誰かと交信を続けていたありさであったが、この便所内で首吊りをしたと聞いた瞬間、激しい衝撃と戦慄を覚えた。
すでに恐怖の限界に達そうとしていた。
金縛りなんて……ありさは再び身体をよじって魔の手から逃れようと試みた。
だけどやっぱり動かない。
恐怖のあまり自然に涙が溢れた。
しかし泣き叫ぼうとしても声が出ない。
金縛り地獄から逃れれることのできないありさに、さらに『恐怖の指』が追い討ちを掛ける。
(クチョクチョクチョ……クチョクチョクチョ……)
割れ目に沿って這いまわる指は、時折、小陰唇を摘んだり広げたりと卑猥な行動を繰り返す。
『あのぅ…この丸くてコリコリしたものって…なぁに……?』
(ひ~~~~~っ!)
まるで生きている男性が触れているかのような感触が、ありさの最も鋭敏な部分を襲った。
包皮を器用に剥き出しにして、クリトリスに強い摩擦を加えてくる。
もしかしたらこの少年幽霊は、生前女性経験があって多少なりとも女性の肉体を知っていたのではないだろうか。
(クリュンクリュンクリュン)
痺れるような快感が腹腔から脳天へと駈け抜けた。
(ひゃあ~~~~~っ!)
(クリュンクリュンクリュン)
(だめ~~~!そこはいじっちゃいやあ~~~っ!)
『ぐひひ……可愛いオマ○コ……ぐちょぐちょにしてあげる……』
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