第15話「ブルースネイクは壊滅、そして……」
まもなく検査が終わり医師から詳しい検査結果を聞いた雅治は、すぐにありさとの面会を申し出た。
医師は、縁者ではないが患者の恋人と聞いていたので面会を許可した。
「ありさ、大変な目に遭ったね? でももう大丈夫だよ」
雅治の姿を見た嬉しさと安心感で、ありさは思わず泣き崩れてしまった。
「ありさ、お医者さんや警察の人たちから状況は聞いたよ。今日のことは早く忘れようね」
「うん……」
「ありさ……」
「うん?」
「ありさ、愛しているよ」
ありさにとって雅治のその一言は、どんな治療や薬剤よりも最も効果のある良薬といえた。
「雅治、ごめんね。私があんなグループにいたばかりに、こんなことになってしまって……。許して……」
「許すも許さないもないよ。あれは災難だったんだから、気にしてはいけないよ。今はしっかりと治療に専念して、早く元気になってね」
雅治のやさしい言葉が、ありさの心に深くしみた。
一方、暴走族『ブルースネイク』のその場にいたメンバーは一人残らず現行犯で逮捕され、警察で取調べが行なわれた。
リーダーから押収したビデオにはありさへの暴行の状況が克明に収められており、それは起訴を固めるための動かぬ証拠品となった。
警察はすぐさま、傷害罪及び不同意性交等罪(従来の「集団強姦罪」は平成29年刑法改正で現法に吸収)等で彼らを起訴することとした。
また、彼らには今回のありさ暴行事件だけでなく、過去にもいくつかの余罪があることが判明した。
🏍🏍🏍
時間の経過とともに、ありさは次第に元気さを取り戻していた。
しばらくはPTSDから夢にうなされることも多かったが、最近はそれもほとんどなくなっていた。
ただ一つだけ奇妙なことがあった。
それは雅治とのデートでラブホテルに泊まったときのことだった。
テレビを付けるといきなりアダルトビデオが流れた。
ラブホテルでは珍しいことではないのだが、驚いたのはスイッチボタンを押した雅治。
しかも運が悪いことに、それはレイプもののビデオだった。
雅治はありさを配慮し、すぐにテレビのスイッチを切ってしまった。
ところがありさは意外な言葉を切り出した。
「ねえ、雅治、今日はやさしくじゃなくて、めちゃくちゃに私を犯して」
「えっ……どうして? ありさはノーマルなエッチが好きだったじゃないか」
雅治は唖然として、ありさの顔を見た。
そして、突然ありさを押し倒し、タオルで目隠しをし、そばにあった浴衣のヒモで両手を縛ってしまった。
不自由な姿のまま四つん這いにさせ雅治がバックから攻めようとしたとき、ありさが意外なことを口走った。
「ねえ、雅治ってお尻の方には興味はないの?」