第10話




野々宮ありさ




第10話「前から 後ろから」

 呆気なく射精を終えた白人男性は、悟りを開いた賢者のようになり果て、床に伏せてしまった。

 しかし息つく暇もなく、ありさの前に筋肉質の浅黒い男が現れ、「四つん這いになれ」と指示をし、ありさを四つん這いにさせた。
 すぐさま背後から攻め立てる男。
 後方からの攻めはゆるやかだが、律動のたびにズシリと重みがある。

 ズニュッ……ズズズッ……ズンッ……

 浅黒い男が腰を前後に動かす度に、美しい曲線がゆらゆらと揺らめいた。
 やがて、連続の攻めに肉体が順応してきたのか、意外なことにありさの花芯からとろりと愛液が滴り落ちた。
 それは顔をゆがめて攻めに堪えているありさとは、まるで別人格を形成しているかのような、彼女の生殖器……そんな自身の肉体をありさは怨めしく思った。

(雅治……ゆるしてぇ……)

 浅黒い男の攻めは15分間続き、その間我慢の限界を迎えた男は、いきり立ったイチブツをありさの口に強引に押し込み口淫を強要した。
 おぞましさから肉柱を拒もうとするありさの頬に、鋭利なナイフがペタペタと当てられる。

「おい、早くしゃぶってくれよ~。俺、もう我慢できねえんだ。そのきれいな顔に傷をつけられたくないだろう~?」

 野卑な微笑みを浮かべながら威嚇をする男。
 ありさは泣く泣く男の要求に従った。
 喉を抉られる苦痛に涙が浮かび、陰毛が鼻先を撫でる心地に吐き気を催して、ありさは苦悶に顔を歪める。
 外からの苦痛ならまだしも内側、それも肉柱による喉の突き刺しともなれば、さすがのありさも眉間に皺を刻んで悶えるしかなかった。

「へへへ、ありさ様のフェラ顔たまんね~! 涙と鼻水と涎でぐしょぐしょだぜ!」
「おーいありさ様~。ほらほら、リーダーが動画撮ってくれてるよ~。リーダーの方を向いて、ほら!」

 恨みのこもった目で睨むが、男たちは意に介していない。

「すげえ光景じゃねえか~! 『前門の虎 後門の狼』ってことわざは、まさにこのことか?」
「おまえ馬鹿だと思ってたけど、意外に学識があるじゃねえか? ははははは~」

 大勢を前におどけてみせる男たち。

(こいつら、絶対に許さない……!)

🏍🏍🏍

 それから、どれくらいのときが経ったろうか。
 ありさは抵抗する気力も薄れ、ぼろ布のように全裸で床に転がされていた。
 白濁色の液体を口内に発射されたうえ、精飲を強要され、屈辱と強い不快感に苛まれていた。
 早く口をすすぎたい。

「み……水を……」

 その時、水の入ったコップがありさの目前に差し出された。
 ありさは首をかしげ差し出した相手を見上げた。
 視線の先にはリーダーの弟であるサブローがこちらを見つめていた。
 トレードマークのサングラスが蛍光灯に反射して光っている。
 サブローはありさよりも1才だけ年下であったが、ありさのことをまるで姉のように慕い、ありさもまたよく彼の面倒を見てやっていた。
 そんなことから彼だけは、自分には手を出さないだろうと思っていた。

 ありさはコップの水をグイグイと飲み干すと、サブローに尋ねた。

「サブロー、あんただけはまさか私に手を出さないだろうね?」
「はっはっは~、あいにくだな~。俺はなぁ、ずっと前からあんたに惚れてたんだよ。でもよ、リーダーの弟って立場もあったし、女リーダーのあんたに手を出せなかったのさ。だがよ、あんたはもう女リーダーでも何でもない、ただの女。だから、俺のしこたま溜まったあんたへの欲望、今、たっぷりとぶち込んでやるぜ。悪く思わないでくれよ」




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