第7話「恐怖のバイク・シビアン」
ありさは、以前脱会を願い出た女性隊員が男たちから凌辱を受けぼろ布のようになっていたと聞いたことがある。が、その場に居合わすことは許されなかった。
もっぱら仲間が酷い目に遭わされる場面を見たい女性隊員などいないだろうし、凌辱する男たちも、自身が野獣と化した姿など他の女性たちに見られたくはないだろう。
なぜオートバイにエンジンが掛けられたのか……
ありさは奇妙に思った。
(バイクのエンジンを掛けて一体何をするつもりなのかしら……)
全裸のありさは両手で胸を覆い隠し身体を丸くすぼめた体勢で、男たちに囲まれていた。
リーダーが冷やかな表情でありさにつぶやく。
「ふふふ、ありさよ、おまえとは今夜でおさらばだ。最後にバイクに乗っておまえの勇姿をみんなに見せてもらおうか。おまえのバイクの走りっぷりは見事だったものな。さあ乗んな」
リーダーはありさにオートバイへの騎乗を指示した。
「まさか、裸のままで乗れと言うんじゃないだろうね? 早く服を返してよ」
「何を贅沢言ってやがる。素っ裸で乗るんだ」
「そんなことできないよ」
「今のおまえに選択権などねえんだよ! しのごの言わねえで早く乗れ!」
鬼の形相で恫喝するリーダーだが、ありさは怯むことなく睨み返す。
だが、その刹那、背後にいた男に背中を小突きかれ、不意を衝かれたありさは足を縺れさせオートバイの後輪タイヤの附近に倒れた。
「うっ……誰? 押したのは……」
ありさは立ち上がりざま、ふとバイクを見上げた。
「……!?」
目を凝らすと、サドル部分に奇妙な突起物がそびえ立っているのが見えた。
突起物はまるでペニスのような形状をしており、天井を向いて垂直にそそり立ち、その長さは優に20センチ近くある。
しかも幹の部分はありさの手首ほどの太さだ。
おそらく彼らがサドル部分を改造して埋め込んだ自慢の巨大シビアンなのだろう。
ありさは驚きを隠しきれなかった。
(うそっ……まさかこんなものを私の中に……)
ありさは戦慄を感じ、思わず後ずさりする。
「冗談じゃないよ! あんな化け物みたいなモノを入れられたら……壊れちゃうよ! 絶対にやだよ!」
「ふん、今のおまえに拒む権利なんてないんだよ。あれは『バイク・シビアン』といってな、機械に詳しいユージがバイブレーターをバイク用に改造したものなんだ。あのバイクに乗って海岸線を走りゃ気持ちよくてすぐにイッちまうぜ! がははははは~! ありさ、喜べ。あれに乗った女はまだいないんだ。おまえが初乗りだ。ありがたく思いな。バイブの振動とバイクの振動の二つが快感のハーモニーを奏でてダブル効果って訳だ。すぐに昇天すること間違いねえぜ! さあ、早く乗んな! みんなで見物しててやるから~! がははははは~!」
「くっ……何てゲスな野郎だ……」
憎しみのこもった眼差しで、リーダーを睨みつけるありさ。
「おい、てめえら、ありさを担いでバイクに乗せてやれ!」
「ほい来た!」
「オッス!」
二人の男がありさの両脇を抱え、オートバイへと引き摺って行く。
「ワッショイ、ワッショイ! さあ、ありさ様のバイク祭が始まるぜ~! はっはっはっはっは~!」
「それもいうならありさ様の絶頂祭りではねえのか? ぎゃははははは~!」
男たちは下品な笑い声をあげた。
「さ、触るな!」
「ガタガタと騒ぐじゃねえよ~!」
男たちの太い腕から逃れようと、必死に足をばたつかせるありさだがびくともしない。
オートバイ近くまで引き摺られていったありさは、男たちに軽々と担ぎ上げられてしまった。
その姿はまるで小学校の運動会で見かける騎馬戦さながらである。
男たちはサドルの中央にそそり立つ突起部分にありさを下ろそうとしていた。
下を覗くとおぞましい物体がありさを睨んでそそり立っている。
まるでありさとの結合を、今や遅しと待ち侘びているかのように。