＜質問＞１６才の女の子から（匿名希望）

わたしの小陰唇は、医学書の性器の図と違って大陰唇よりとび出ています。左右の大きさも違います。奇形ではないかと心配でたまりません。



＜解答＞

　顔や身体がそれぞれ違うように、性器もひとりひとり違ってて当たり前。
　ましてや成長真っただ中の子は、小陰唇やクリトリスなど、その形や色、大きさが、どんどん変化していく時期なんだ。
　何も気にすることはないよ。奇形などじゃないので安心してね。
　君のように、自分の性器を気に病む人がいる一方で、自分の性器を見たことがない、触ったこともない女の子って結構多いみたい。
　あるアンケートによると「自分の性器を、触ったことがない」と答えた女子中学生は60％。「見たことがない」女子中学生は、なんと70％にものぼっている。

　小陰唇は、大陰唇の内側のやわらかい2枚のひだひだのことで、大切な膣口を感染や外傷から防ぐ役目を果たしている。小陰唇は月経が始まる少し前から、大きく成長し着色されていく。（色素量は個々に差がある）まれにあまり大きくならなくて幼女のように「スジマン」の子もいる。後から大陰唇が大きくなって、小陰唇をおおうようになるけど、大陰唇が成熟した後でも、小陰唇がはみ出ているのが一般的。左右のひだの大きさが違うのも、よくあること。

　気になっていても、誰にも相談できないのが女性器の悩み。他の人と比較できないため、本当に大きいのかどうか判らないのが悩みをさらに増幅させている。小陰唇の大きさや形が機能障害を起こす事は全くないんだけど、どうしても気になるなら、一度お医者さんに相談してみてね。 手術も可能だけど、できるだけしないで欲しい。だって、男性は、女性の小陰唇が大きくても小さくても、それはその人の個性だと理解しているのだから。（性にうとい男性は例外として）

　少し余談になるけど、男の子の場合は、自分の性器はいつも見える位置にある。（笑）手で触れるのにも、ちょうどいい位置にある。触れればやわらかく暖かい。幼児のころからひっぱったり、ねじったり、ピストルのようにして遊んだり「おちんちん」というかわいいニックネームもある。というわけで、男の子にとっては、自分の性器を「見る」「さわる」は、ごくごく自然な行為なんだよ。
　ところが、女の子が自分の性器に、無関心無頓着でいる理由の一つは、女性器が男性のそれと違って、鏡で工夫しないと、見えにくい構造になっている点が大きい。また、もう一つは、女の子の育てられ方にもよる。女の子の多くは、小さい時から「そんなところに触ってはいけません」と母親に、きつくたしなめられて育つ場合が多い。
　小学校の保健「月経・射精」や理科「ひとの誕生」の学習でも、教科書に外性器の説明はほとんどない。中学校の保健もまたしかり。教科書の不足を補って、科学的にきちんと教えてくれる先生も、残念ながら極めて少ない。
　外性器は恥ずかしいところであり、知ろうとしたり、触ってはいけないところと、教えられて育った女の子は、性器を見たり、触ったりできないだけでなく、性器の名称すら口に出せなくなってしまう。友人の産婦人科医に聞いたところによると、診察に来た女性が「性器」といえずに「あそこ」と表現することが、少なからずあるらしい。

　自分の身体はやっぱり自分で知っておこうよ。
　性器を見たことのない、触ったことのないという方は、どうぞ、いけないことと思ったり、恥ずかしがったりしないで、鏡で見たり、手でさわったりして、自分の身体にもっと近づこうね。そして自分の外性器（膣口・尿道口・小陰唇・大陰唇・クリトリス）と肛門をきちんと確かめておこうね。
　それが将来の自分のためにもなるのだから。





　※メールによる質問は結構ですが、解答はホームページに公開することをご承知のうえご質問ください。
　なお私は医師ではありませんので、基本的に医学的なご質問はご遠慮ください。（今回懇意である某医師に確認のうえ、ご返事させていただきました）