白の記念日
Shyrock作









「景気が悪い悪い」と言ってても、3月14日が近づくにつれ、今年もまた繁華街の至る所でホワイトデイ・ムードが高まっている。
デパートの1階には専用の特設コーナーができ、商業ビルには「ホワイトデイには当店の品を」といやが応でもプレゼント用品が目に飛び込んでくる。
ふだん男性には縁の薄いランジェリーショップ。
この季節だけは男性1人でも大手を振って入店OK。
とは言っても人の目が気になり、入るにはやはり勇気がいる。
買い慣れない女性下着を選ぶ男性のために、少しでも買いやすいようにと店も気を配っている。
一見ハンカチか花束のように見せ掛けて、店頭に並べてあるのは心憎い演出と言える。

そんな売場に彼女とぶらりと覗く。

「もうすぐホワイトデイだけど何がいい?」
「う~ん、そうね。何もいらないわ。強いてあげるなら、そうね、あなただけが欲しい~!」
「くう~!言うね~!う~ん、下着をプレゼントしようと思ってたんだけど、そう言うんだったらやめとこうかな~」
「あぁん、そんな~!うそうそ!ダメ、ダメ~、ねえ、下着買ってぇ?」
「アクセサリーじゃなくていいの?」
「うん、ランジェがいいな~♪」
「じゃあ決まりだね。どんなのがいいの?」
「そうね~、やっぱり、ホワイトデイだし、白にしようかな?」
「うん、白は僕も大好きだよ~」
「ねえ、Shy、これ見て!すごいわ~!」

彼女が手に取って僕に見せたものは、一見、普通の白のティーバックに思えたが、よく見ると・・・おおっ!!
クロッチに小窓がついていて、簡単に開く仕掛けになっている。
(最近ではかなり増えたが、数年前はまだ珍しかった。)

「これはすごい!」
「でしょう?これにしようかなあ~」
「このパンティって、やっぱりあの時・・・専用なのかなあ?」
「うん、そうね。こんな所に小窓がついてるとちょっと落ち着かないかも~。アソコにすきま風が入ってス~ス~するだろうし」
「近頃、大手の下着メーカーも変わったものだね。あの時用の下着を販売するとはね~」
「そうね。エレガンスだけじゃ売れないのかも知れないね。セクシーを目指す子も増えたみたいだし」
「男にとってはありがたいことだ」
「そういうことになるね~」

「それじゃ、試着してきたら?」
「パンティは試着できないの。試着できるのはキャミとかブラだけなの」
「そうなんだ~。キャミとかブラだけね。よし!じゃあ今日はセットで買ってあげるよ~!」
「セットで?キャミとかブラも買ってくれるの?」
「ガーターとストッキングもね」
「やった~~~!」

結局、白レース小窓付きパンティとブラジャー、それに加えて、ストッキングとガーターとセットで買うことになった。
上から下までオールホワイトである。

その後、夕食の後、どちらから誘うでもなく、自然にふたりはホテルへと向っていた。
先にシャワーを浴びた僕は、ベッドに転がって、部屋に流れるリズム&ブルースに聞き耳を立てていた。
がそれは格好だけのことで、心の中はもう時期シャワーから出てくる彼女のことで一杯になっていた。

彼女がシャワーを浴びている最中、僕はベッドに転がって、彼女が出てくるのを心待ちに待った。
彼女のことだ。先ほど買った下着を身に着けてきてくれるのは間違いない。
問題はその後だ。
脱がすのはやっぱり白いブラだけにしようかな?
白いガーターとストッキングはそのままの方がいい。
窓付きのパンティは当然脱がさなくていい。
むふふ♪
窓を開けて、泣き出すまでキスを見舞ってやろう~。
それから・・・
うお~~~~~!こりゃ楽しくなって来たぞ~~~~~!!

今日彼女と初めてエッチするわけでもないのに、胸の鼓動が激しく鳴り出した。
淫らな妄想はどんどんと暴走する。
彼女を突きまくる時、僕の頭の中はいつも真っ白になってしまう。
他の男性もやはり同じ現象が起きるのだろうか?

エピローグには彼女の中に白いプレゼントを今日はあげよう~♪
「今日は安全日」だと言ってたから。
受取ってくれるだろうか?

(ガタン・・・)

彼女がバスから出て来た。

僕は恥ずかしがりやな彼女のために、予め部屋の灯りを薄暗くしていた。
その時、出窓から見える夜空に何かがキラリと煌いた。
それは白い光を発して落ちていく流星だった。










image









エッセイ集

トップページ




inserted by FC2 system