1日3人の女の子と!友人マッチャンの結末
Shyrock作
酒を飲みながらゆっくり語らいたいときにちょうど手頃な酒場……それがバー(非風俗営業)ではないだろうか。
大阪市阿倍野区から住吉区にかけて帝塚山(てづかやま)という地域がある。
地名は帝塚山古墳に由来するがそんな話は横に置いといて、この地域は古くから高級住宅街として有名である。
大半が住居専用地域だが一部路線商業や近隣商業地域になっているため、お洒落なブティックやレストラン、それにカフェやバーが混在している。
大阪ではキタやミナミで遊び飽きた「通」が遊びに来る隠れ家的なエリアと言われている。
そんなエリアにたまに足を運ぶことがある。
その夜の連れはマッチャン。29才で既婚男性。
彼は取りたててイケメンではないが性格は穏やかでさっぱりしてて実によい男である。
また話術も巧みで聞く者を惹きつけ、かゆいところに手が届くほど女性に尽くす一面があり、とにかく女性にはよく持てる。
その彼が昨年を振り返って、しきりに反省をしている。
理由はこうである。
彼には奥さん以外に3人の彼女がいる。
だけどそれぞれの女性は、奥さん以外の女性の存在を知らない。
ある日曜日、彼はA子とデートの約束をした。
ところがB子とC子とも話のなりゆきで日曜日に会うことになってしまった。
普通は、A子と約束をしていたならば、B子とC子とは会わないだろう。
しかし彼は断らなかった。
時間をうまく調整して3人とデートをした。
約束時間、午前10時、午後2時、午後7時……それぞれと予定どおり会い当然のようにベッドインした。
セックス1日3回という回数は別に驚くほどではないが、それよりも驚くべきは1日に3人の女性とイタすという精神的タフさである。
A子と会い別れ、B子と会い別れ……ここまでは順調に進んだ。
C子ともベッドインまでは順調に進んだわけだが、この時彼は致命的なミスを犯してしまった。
あろうことかC子にいよいよフィニッシュという場面になった時、誤ってB子の名前を呼んでしまったのだ。
当然C子は驚き激怒しベットから飛び出し、さっさと着替えて帰ってしまった。
「B子って誰なの!?あなたなんて最低!」
の一言が彼に残した最後の言葉だった。
怒って当然だろう。誰だって怒る。
彼は暗い表情でポツリとつぶやいた。
「Shyさん、やっぱり欲張るとだめですね。僕はとんでもないミスを犯してしまいました」
「1日3人とエッチなんて所詮無茶だよ。僕は2人までしかないもの」
「あるんかい……」
「君の強欲に神様が怒ってきっと天罰を下したんだよ」
「そうかも知れませんね。今後はちょっと控えるようにします」
彼にとっては帝塚山の夜のバーボンがさぞやほろ苦かったことだろう。
店から出ると外は雨が降っていた。
晩秋に降る雨は冷たい。
そぼ降る雨の中を、男2人が傘もささず暗い闇夜に消えて行った。
終
エッセイ集
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