サンタクロースに生まれ変わる日
今年もクリスマスの季節がやって来た。
お店の前ではサンタさん達が大忙しだ。
お母さんといた、ちっちゃな女の子が風船を配っているサンタの一人を捕まえて言った。
「ねえ、本当にサンタさん?」と聞いている。
サンタのお兄さんは困ってしまっているようだ。
そんな光景を見ていると、サンタは本当にいると信じていた幼かった頃を思い出してしまった。
12月24日の夜、寝床に着いて天井を見上げて、プレゼントが欲しいと願ったときの想い出。
翌朝、枕元にプレゼントがポツリと置いてあった時のあの感激。
いつから消えたのだろうか?
たぶん小学校低学年までは信じていたように思う。
もうあの頃のような「ときめき」は二度と味わうことはできないだろう。
そんな想いに浸っていると、街角のある店から、懐かしいクリスマスソングが耳に飛び込んで来た。
ユーミンの「恋人がサンタクロ~ス♪」
あ、そうなんだ!とつい手を打ってしまった。
大人になった今、子供の頃のときめきはどこかに消えてしまったけど、女の子にとっては彼氏がサンタなんだと。
夢を運んでくれるサンタなのだと。
男は大人になれば、愛する人のサンタになればいいのだと。
そしていつしか可愛い子供が生まれたら、自分が子供のサンタになればいいのだと。
それが少年から大人に変わってしまった男の新たなメルヘンなのかも知れない。
終
エッセイ集
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