人魚を抱いた夕暮れ
Shyrock作
世間では風変わりなラブホもあるものだ。
場所は大阪、ミナミの道頓堀。
奈々子が僕を追い掛けて大阪にやってきて、まだ間もない頃だった。
本場の『吉本』に一度行ってみたいと、東京に居る頃から言っていた。
ある日曜日の昼頃、奈々子を連れてなんばグランド花月へ行った。
見終わったのが、まだ陽も傾かない夕方の4時頃だった。
夕食にはまだ早い。
夕飯までの2、3時間をどう過ごそうか。
カラオケに行くのもいいし、ミナミをぶらぶらしてお茶をするのもいい。
色々考えたあげく、ふたりの結論はやっぱりアレ(笑)
道頓堀を西に渡ってちょっと進めばホテル街。
数多ひしめくラブホの中で、きれいそうでいけてるホテルにゴー。
部屋選択パネルで適当に押そうとしたが、奈々子が横から口を、いや元へ、手を出してきた。
「この部屋がいいな~♪二階付きのメゾネットになっているし、プール付きじゃん!私これがいいよ~!♪ねえ?」
(ゲゲ~!メゾネットか何だか知らないが、他の部屋の2倍以上の料金じゃないか!何と経済観念の無い女やろか。給料前なのになあ。でも、仕方ないか、トホホ……)
ケチと思わせたくないので泣く泣く決定(笑)
部屋に入ってみると値段が高いだけあって、しつらえはさすがにゴージャスでふたりとも大満足。
わずか2、3時間の休憩ではなく泊まりたくなってしまう。
部屋の入口はメゾネットの下階にあり、入ると正面に、おおっ!ありました~!プールが~!
パネルにあるって表示してあるんだから、あって当然なんだけど。
鉄骨のらせん階段をクルクルと上がると(女性を先に上がらせること。理由は言わなくても分かるよね?)やったね~!ロフト風というか、隠れ家風と言うか雰囲気たっぷりのこの上ない超デラックスなダブルベッド。それに照明も実にいい効果を醸し出している。
室内を一通り見回した後二人はお決まりのようにくちばしをチュッ。
奈々子はまるで子供のようにはしゃぎながららせん階段を音高らかにプールのある下へと降りて行った。
僕も少し遅れて下に降りてみると、
「わあ、プールだ!」
と叫んだと思ったら、すぐに服を全部脱ぎ捨て、裸になって早速ザブ~ン!
ただしプールとは言っても、縦6m横6m程度のミニサイズだった。
でもラブホなのにプライベートプールというのは嬉しいものだ。
「ねえ、Shyもおいでよ~!」
「ああ、すぐに行くよ」
手を水に浸けてみた。
プールと言うより何だか生ぬるいお風呂って感じ。
奈々子は歳の割りには大人ぽい雰囲気の女だと思っていたが、無邪気にはしゃぐ姿を見て彼女の少女っぽい一面を垣間見たような気がした。
プールの中で泳ぐ姿はまるで人魚のようだ。
などと奈々子の姿をうっとりと眺めていた。
しかし、その後、彼女の大胆な一言で様相がガラリと一変した。
突然水の中でエッチがしてみたいと言い出したのだ。
奈々子とは以前プールでこっそりとペッティング程度はしたことがあったが、それ以上はしたことがない。
やはり周囲の目が気になるのと、不衛生というのが気になったからだ。
「一度、風呂とかじゃなくて、ひろ~い水中でエッチがしてみたかったの~」
「でもアソコに水が入るんじゃないの?大丈夫?」
「大丈夫よ!後で出せばいいんだからさぁ。ねえ、しよ、しよ、エッチしよ~♪」
風呂でエッチというのは別に珍しくもないが、さすがにプールは皆無である。
妙な興奮が僕を襲ってきた。
水中で奈々子の裸体を存分に触ることができる。
早速うしろから乳房を揉みながら、首筋にキスをしてみた。
奈々子もかなりその気になっている。
指は奈々子の股間に伸びて行き、最も感じるポイントを愛撫する。
奈々子の息遣いが次第に激しくなっていき、僕のモノもいつしかギンギンになってしまった。
もう挿れるしかない。
奈々子もそれを待っている。
向い合って膝にまたがらせてスムースイン。
奈々子の身体から滲み出した蜜は水中に薄まってしまう。
潤滑油がないからきしむような挿入感に見舞われる。
それでも水中エッチというかつて経験したことのないシチュエーションに二人のボルテージも最高潮に高まって行く。
ベッドでのエッチとは全然違う。
相手の体重がすごく軽くなってしまい、ベッドでは体験できないようなアクロバットな体位を思うがままに体験できる。
『駅弁ファック』も楽々できる。
長時間抱き上げたままでも全然疲れを感じない。
でもベッドではないようなリスクもある。
水の抵抗があるからか、ピストンがわずかながらにスローなのだ。
それでも奈々子は予想以上に興奮し、まもなく絶頂に達してしまった。
追いかけるように僕も水中で果ててしまった。
(あ、いけない!)
スキンをつけるいとまも無く奈々子の中へ放出してしまったのだ。
一風変わった水中でのセックスをした後、僕たちは一息入れた。
ベッドに腰を掛けて奈々子と交代でペットボトルを傾けた。
僕はペットボトルを傾けながら次の場面を描いていた。
水中で魚になった後は、やっぱり次はベッドかな?
こころよい疲れが身体を襲ってきた。
僕が仰向けに寝転ぶと、奈々子が上にかぶさってきた。
甘ったるいキス。
奈々子のシャギーな髪が僕の顔面にかかってくすぐったい。
僕の股間は早くも熱く火照りはじめていた。
終
奈々子
エッセイ集
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